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台湾プロ野球データベース コラム集

ホームページ「台湾プロ野球データベース」(http://cpbldatabase.jimdo.com/)のコラムを掲載しています。

2015ドラフトを振り返る 統一7-11ライオンズ

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指名選手

1巡目 林子崴 19投 左左 中國文化大學 

2巡目 宋家豪 22投 右左 國立體育大學

3巡目 鄭鎧文 23外 右右 國訓

4巡目 林志賢 22捕 右右 台灣電力

5巡目 蔡亦玄 21內 右右 中國文化大學

6巡目 郭力瑋 18投 右右 南英商工

7巡目 郭阜林 24內 右右 統一練習生

8巡目 郭恆孝 26投 左左 崇越隼鷹

9巡目 江亮緯 18外 右右 南英商工

10巡目 莊駿凱 23外 右右 統一練習生

 

・寸評

常勝球団に急がれる世代交代。特に統一においては長打を期待できる野手の育成は急務となっている。勝ちを知るベテランが軒並み30代前半から後半に入る中、ラミゴのような強力打線を築くことは難しくともここまでリーグ最少失点と奮闘している投手陣のプラスを打ち消さない程度に適度な補強と新陳代謝は最低限必要だ。しかしながら、そのような中で行われた今年のドラフトは多くのファンにとっては不満の残るものとなった。陳連宏監督はドラフト後のインタビューで「チームの若返りは会社側の決定」と語ったように首脳陣の思いとは異なるドラフト戦略になった可能性は否定できない。しかしそのような中にあっても未来を見据えつつ着実に即戦力を補強したことについては一定の評価を与えても良いのではないだろうか。

即戦力を獲得すると予想された中で1巡目で指名された林子崴はブレーブス、ツインズからも興味を示された大物左腕で、新人として過去最高の契約金を得るのではと目されている。ストレートの球速は137~142kmと特別秀でてはいないものの、スライダーとカーブの制球は高評価を受けており、最近は二種類のチェンジアップも投げるようになり投球のバリエーションが増した。加えて牽制技術の上手さにも定評がある。現在でも先発3、4番手あたりに入れる実力は持ち合わせているものの、高校時代に腰と左肘を傷めておりプロ入りからすぐの過度な酷使は避けたいところ。

2巡目の宋家豪は今ドラフトナンバーワン右腕の呼び声高い将来のエース候補。185cm、92kgのがっちりとした体格から最速151kmの重い球質のストレートで打者の内角を厳しく突く本格派。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップを投げるが特にスライダー、チェンジアップはプロでも通用するクオリティとの評も。4巡目の林志賢と共に兵役を免除されているためユニバーシアード終了後すぐに契約に至れば後期からの出場も可能となる。

3巡目の鄭鎧文は春季リーグで最多の6本塁打を放ったパワーの持ち主で、大きなスイングが特徴も三振数は決して多すぎることはなく、ポジションも統一が長打力のある選手を欲しているOFと鄧志偉が今一つのパフォーマンスに終わっている1Bを守ることができ、加えて代表経験がないため契約金を安く抑えられることも考慮すれば3巡目で良い指名ができたと捉えられる。

4巡目の林志賢は台湾アマ強豪の台湾電力で主戦捕手としてならし、打者の弱点を突いていく強気のリードが特徴。同時に強肩と広い守備範囲を持つSSもこなす俊足捕手であるが、統一はSSとして起用予定。堅実にな守りを見せる内野手が不足しているチームを救う存在となるか。

5巡目の蔡亦玄は大学時代は2B、SSを守り走力と守備力で高い評価、21U代表にも選ばれた。すぐに一軍で活躍できる存在ではないが、センターラインを任せられる守備力で2Bレギュラーとして活躍している林志祥の後釜となれるか。

6巡目の郭力瑋は高卒ながらボールのキレ、制球、変化球を主な武器とする右腕でオーバースローからカーブとチェンジアップといった縦方向の変化球を主に投じる。ストレートも安定して135kmを超え、最速は142km。

7巡目の郭阜林はヤンキースマイナー時代「Aロッドの後継者」とも謳われたが13年末にリリースされた後台湾アマを経て今季から統一の練習生としてプレー、二軍成績は24試合 .310 2本 13打点 OPS.911と好調。守備も5つのポジションをこなす器用さを見せ今季中の一軍昇格が濃厚。年齢もまだ24歳と若いのもプラスポイント。

8巡目の郭恆孝は福岡第一高校、福岡経済大学でプレーし高校時代は最速147kmをマークする怪物左腕としてNPB10球団のスカウトが注目した存在だが高3時の肘の怪我により指名は見送られ、大学でも計200イニングを投げERA3.33と成績は悪くなかったが肘の故障が癒えきっておらずやはり指名はなく、新潟アルビレックスでプレー後台湾に戻った経歴を持つ。138~146kmのノビのあるストレートとスライダー、チェンジアップが主な持ち球の本格派だが制球難が課題。下位指名だが26歳という年齢を考えると左の中継ぎあたりで一軍に食い込みたい。

9巡目の江亮緯は170cm 76kgと小柄だが高校時代は主軸として活躍。パワー、俊足、強肩を兼ね備え伸びしろに期待できる外野手。

10巡目の莊駿凱も郭阜林と同じく今季は統一の練習生としてプレー、29試合 .368 1本 9打点 OPS.946と打撃成績の良さが光る。守備はCFを中心にバッテリー以外の7ポジションをこなしてはいるものの守備率は.903と特に内野守備は合格点をつけられるレベルではない。今季既に7盗塁をマークしている俊足と広い守備範囲を武器にまずは一軍で代走、守備固めといった出場機会から外野手としてチャンスをつかんでいきたい。

 

・今後の展望

今回の統一のドラフトは見る人によって評価が大きく分かれるものとなったのではないだろうか。1、2巡目で即戦力となる若手投手を獲得し、3~5年後の投手王国へ向けての礎を築いたと見ることも可能である一方で、内外野ともに長打を期待できる選手を3巡目の鄭鎧文しか獲得できなかったことについて主力の高齢化が進む野手の先細りを危惧する声があってもおかしくはない。今ドラフトは野手の大物も多かった分、1巡目または2巡目で狙ってもよかったと筆者自身思うところはあるが、長打を期待できる選手は来年以降の即戦力となる選手の指名、野手中心のドラフトで凌ぐ算段と予想する。かつての常勝球団は投打ともにバランスの取れた陣容から若手に有望株が揃った投手力を生かした守り勝つ野球にうまくシフトしていけるのか、今後に注目したい。