台湾プロ野球データベース コラム集

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2016シーズン展望+チアリーダー名鑑 Lamigoモンキーズ

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2016年シーズン展望第1回はチーム史上初の3連覇に向け歩みを進めるLamigoモンキーズ

 

 <投手>

(戦力構成)

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(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

 

先発

羅曼(右)(新外国人)

尤猛(左)(新外国人)

索爾(右)(新外国人)

王溢正(左) 23試合 11勝6敗 123.1IP ERA6.13

王躍霖(右) 10試合 1敗 14.2IP ERA5.52

太字は移籍、新入団選手

 昨年16勝とシーズンを通して大黒柱となった蘭斯佛(ジャレッド・ランスフォード)、8月中旬からの入団で6勝、台湾シリーズ第7戦でノーヒッターを達成した明星(パット・ミシュ)などとは再契約せず、10~11年に兄弟(現中信兄弟)に所属、昨年はヤクルトで61試合に登板しリーグ優勝に貢献した羅曼(オーランド・ロマン)、5年ぶりの復帰となった尤猛(シェーン・ユーマン)、昨年BCリーグ奪三振王の索爾(ライアン・サール)と3人の外国人先発で開幕を迎える。羅曼は今年で37歳となる年齢が懸念されてのヤクルト退団だったがオープン戦では無難な仕上がりを見せ、今季は先発に専念してのフル回転に期待したい。尤猛は昨年ハンファで17試合に登板し4勝6敗 ERA4.52と平凡な成績に終わり7月下旬肩の故障が早期回復しないことをうけ退団。140km前後の直球とスライダー、チェンジアップを組み合わせるスタイルだが、昨年は直球の被打率が.326と思わしくなく韓国球界での4年連続二桁勝利を阻んだ原因となった。今季も3月上旬に腕の違和感を訴えて以降投球練習をしておらず、開幕ローテ入りは絶望的。37歳という年齢や昨年の投球を見る限り今季の活躍には疑問符がつく。索爾はアジア球界での実績においては前二人に及ばないものの27歳の若さが魅力であり、力強い速球に加え鋭く落ちるスライダーをアウトピッチとする。

 4番手は昨年リーグの台湾人投手で最多となる11勝を挙げた王溢正が確実も、安定感に欠けるため外国人が不振で彼がローテを繰り上げて投げるようなチーム状況となれば苦しくなる。昨年先発(13登板)、リリーフ(6登板)を行き来しながらも85IP ERA4.76と一定の成績を残した許銘傑の退団(中信兄弟に移籍)により空いた5番手には昨年入団し主にリリーフとして一軍10試合に登板した王躍霖が入る。国際大会経験が豊富で5シーズンマイナーでプレー、故障後の一時期は球速低下に苦しんでいたが今年に入り先発でも安定して140km中盤をマークするようになった。

 

先発候補、及びロングリリーフ

洪聖欽(右) 28試合 2勝2敗 20.1IP ERA5.31

林樺慶(右) 19試合  27.2IP ERA4.55

駿傑(右) 1試合 1IP ERA9.00

曾孟承(右) 25試合 3勝1敗1S 50.1IP ERA7.15

 昨年勝ち継投に入るも今一つの成績に終わった洪聖欽、昨年リリーフとして19試合に登板した22歳の林樺慶がロングリリーフとして待機。奇しくも二人は昨年の千葉ロッテ鴨川秋季キャンプに参加した投手である。その他には昨年二軍で6勝、一軍での先発経験もある駿傑や昨年は不振でビハインド時の登板が主だったベテラン曾孟承なども控える。

 

勝ち継投

黃偉晟(右) 54試合 2勝3敗2S 44.2IP ERA5.44

林國裕(右) 40試合 2勝 36.1IP ERA4.95

陳禹勳(右) 45試合 2勝7敗4S 40.1IP ERA4.91

林柏佑(右) 44試合 5勝2敗13S 50IP ERA3.96

林彥峰(右) 13試合 1勝 11.1IP ERA6.35

游宗儒(右) (一軍登板なし)

太字は移籍、新入団選手

 勝ち継投は昨年と大きく変動はなく、6回と7回を2年連続50試合以上登板の黃偉晟、存在は地味ながら使い勝手の良い林國裕の2人に任せ、8回を陳禹勳、抑えを林柏佑に任せるであろう。他にも義大を戦力外となった後入団となった林彥峰、右サイドから最速147kmの直球を投じる游宗儒といった新入団選手にも勝利の方程式入りの期待がかかる。

 

その他の主な投手

郭文凱(右) (一軍登板なし)

洪宸宇(右) 4試合 3.2IP ERA14.73

陳敏賜(右) 2試合 1IP ERA18.00

鄭承浩(右) 11試合 2敗 14.1IP ERA5.02

王豐鑫(右) 13試合 14.1IP ERA5.65

蔡璟豪(右) 9試合 1敗 18.2IP ERA12.54

 ビハインド時、ロングリリーフでの登板が主の郭文凱は過去2年目だった成績を残せなかったが、年齢的にもそろそろ一皮剥けたい。でっぷりとした体格が特徴の投手転向2年目洪宸宇オープン戦にも登板しCPBLでは貴重な左腕で140km超えの直球が健在な所を見せ開幕一軍入り、左殺しとしてアピールなるか。191cmの長身、140km後半の直球が持ち味も制球難が課題の陳敏賜もフォームを修正し投球内容が改善、短いイニングで打者を制圧する投球が期待される。鄭承浩は同じリリーフ左腕洪宸宇の成長により肩身は狭くなったがまだ29歳と若く、奮起を促したい。

 

<野手>

(戦力構成)

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(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

予想オーダー

9陽耀勳(左) 25試合 打率.425 0HR 10打点 OPS.968

8詹智堯(左) 113試合 打率.284 3HR 34打点 OPS.715

7王柏融(左) 29試合 打率.324 9HR 29打点 OPS1.017

D林泓育(右) 119試合 打率.353 24HR 101打点 OPS1.024

3陳俊秀(右) 113試合 打率.335 25HR 118打点 OPS.989

5林智平(右) 107試合 打率.305 4HR 42打点 OPS.756

6余德龍(右) 93試合 打率.301 1HR 34打点 OPS.734

2黃浩然(右) 108試合 打率.335 2HR 41打点 OPS.674

4郭永維(右) 73試合 打率.280 1HR 11打点 OPS.668

 

主な控え

(捕手)

劉時豪(左) 68試合 打率.237 1HR 12打点 OPS.649

内野手

林承飛(右) 4試合 打率.400 1HR 2打点 OPS1.164

郭修延(右) 27試合 打率.279 0HR 8打点 OPS.721

朱育賢(左) (一軍出場なし)

陳雁風(右) 32試合 打率.256 1HR 5打点 OPS.645

翁克堯(右) 6試合 打率.083 0HR 1打点 OPS.167

(外野手)

陳金鋒(右) 41試合 打率.200 0HR 7打点 OPS.533

藍寅倫(左) 56試合 打率.325 2HR 19打点 OPS.792

鐘承祐(右) 57試合 打率.276 4HR 22打点 OPS.781

林政億(右) 6試合 打率.083 0HR 1打点 OPS.167

太字は移籍、新入団選手

 

(打線総評)

 昨年両リーグ最多の124HR、785得点という圧倒的な攻撃力でチーム史上初の二連覇を勝ち取ったが、今季は昨年史上初のトリプルスリーを達成した林智勝が中信兄弟にFA移籍し、2Bレギュラーの郭嚴文が右肘の骨片除去手術、左膝の半月板手術のため前期の出場が絶望的となるなど内野の要が抜け三連覇に向けては逆風が吹いている現状。とはいえ若手の出場機会がベテランや主力の離脱、退団により増えたという見方も可能であり、若手の成長とチームの勝利を同時に見守ることができればそれにこしたことはない。

 1、2番は昨年途中入団ながら野手として打率.425と存在感を示した陽耀勳、CFレギュラー詹智堯のコンビが有力か。詹智堯は左投手との相性の悪さから左腕先発時には9番に入り上位打線への繋ぎ役になることも考えられる。3番は昨年大ブレイクし新人王のタイトル獲得を狙う王柏融が入るとみられるも、素質や実績は申し分ないが若干23歳の若さで3番に入りフルシーズン戦い抜けるのかは未知数。4、5番は林泓育陳俊秀と昨年と同じ顔触れ。

 ラミゴにとって泣き所なのは6番以降の下位打線となるだろう。2B 3B SS Cの選手が主に入ることになりそうだが、いまだに打順がはっきりしないところがあり、シーズン開幕後も手探りでオーダーを組むと予想される。即戦力高卒野手である林承飛オープン戦に入り本職のSSに加えて2Bにも就いているが打線にアクセントを加えるという意味でも郭嚴文が復帰するまでスタメンで起用し続けるのも一考か。

 

(捕手)

 昨年と変わらずベテラン黃浩然をメイン、2番手に劉時豪という形となり林泓育がマスクを被る場面はほとんど見られないだろう。劉時豪はまだ25歳と若く黃浩然の後継者として今季も引き続き出場機会を増やせるか。二軍はここ5年間中堅の許躍騰がレギュラーとなっているが22歳の許禹壕、昨年高卒で入団した嚴宏鈞の若手二人がどこまで出場機会を得られるかにも注目したい。

 

内野手

 ラミゴにとって最大の変数となるポジション。1Bは昨年2年目で打棒をいかんなく発揮した陳俊秀、3Bは2年連続盗塁王、昨年初の打率3割をマークの林智平でほぼ確定だが、2BとSSは決まらぬまま。2Bは郭永維郭修延翁克堯といった面々が守ることになりそうだがいずれも打力に乏しく、郭嚴文の復帰までは大きなウイークポイントとなることだろう。SSは昨年主にOFで起用された便利屋余德龍が有力で、彼を高卒2年目の林承飛が追いかけるという形。攻撃面を考慮するならば2B林承飛、SS余德龍が良いのかもしれないが内野手としての実績が不足しておりリスクも大きい。少ない朗報としては昨年ドラフト7位入団の1B朱育賢のアピールがキャンプ、オープン戦を通して続いていることである。陳俊秀が最近まで脇腹を傷め体調に不安がある中、持ち前の長打力でチームに良い刺激を与えてほしい。

 

(外野手)

 LF王柏融、CF詹智堯、RF陽耀勳が有力。両コーナーのポジションについては昨年陽耀勳がLF、王柏融がRFに入ることが多かったが陽耀勳の守備の負担を軽くするために洪一中監督が行ったコンバートである。しかしながら陽耀勳オープン戦で打率.083と振るわず、まずい打球の追い方を見せるなど変わらず守備に難があるところを露呈しており、仮に打棒が振るわなければ走攻守三拍子揃った14年の新人王藍寅倫や昨年の右肘骨片除去手術から復帰したかつてのRFレギュラー鐘承祐といった実力者に出場機会を奪われることは想像に難くない。このように外野は競争がかなり激しいポジションとなっているが、今年30歳を迎えた13年にブレイクの謝炫任、昨年出場機会は少ないながらも打率3割をマークした林政億の2人がどこまでこの競争に割って入れるかにも注目したい。

 

(DH)

 昨年は林泓育がほぼ1年間DHを任されていたが、今季限りでの引退を表明している陳金鋒の状態が良く開幕戦ではDHでの先発出場が確定。球団が彼のために引退関連イベントを企画している、との話もある9月の1か月間は彼の姿をスタメンで拝める機会も多くなるかもしれない。

 

<プラス要素>

・林智勝のFAによる退団でプロスペクト林承飛を一軍で起用できる幅が広がった

・台湾球界で実績ある羅曼と尤猛を獲得し新外国人の環境適応といったリスクを軽減

・外野手の層の厚さはリーグトップクラス、各選手のタイプもばらけておりバランスも良い

・昨年のドラフト組を中心に若いリリーフに飛躍の兆し、戦力となれば心強い

 

<マイナス要素>

・攻撃面において林智勝の穴埋めが困難、それに関連し2B、SSのセンターラインも固定しきれない恐れ

羅曼と尤猛は共に今年37歳となり以前のようにイニングイーターとしてチームに貢献できるか疑問

・昨年13先発、6リリーフをこなしそこそこの成績を残した許銘傑の穴を埋めることが案外容易ではない

・プロ2年目、23歳の王柏融を3番に固定することによる他球団からの厳しいマーク

 

チアリーダー

LamiGirls

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*2

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 今年は小萍、Angelの2人が脱退もオーディションにより新たに6人が加入し23人に。今後もメンバーの増員を示唆しており、その勢いは止まるところを知らない。

 

*1:Lamigo球団公式FBページより引用

*2:LamiGirls公式FBページより引用