台湾プロ野球データベース コラム集

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2016シーズン展望+チアリーダー名鑑 義大ライノス

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2016年シーズン展望第3回は投打が噛み合った戦いを見せまずは3年ぶりの台湾シリーズ出場を果たしたい義大ライノス。

 

<投手>

(戦力構成)

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(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

 

先発

羅力(右) 30試合 16勝5敗 190.2IP ERA3.26

力猛(右)(新外国人)

倪福德(左) 11試合 4勝2敗 57.1IP ERA5.18

蔡明晉(右) 21試合 5勝5敗 85IP ERA5.40

蕭一傑(右) 10試合 2敗 17.1IP ERA5.19

太字は移籍、新入団選手

 義大は今季外国人先発2人の態勢で開幕を迎える。羅力(マイク・ローリー)は昨年投手三冠を獲得するなどフル回転の活躍で今季もチーム投手陣の柱となる。新外国人投手力猛(スコット・リッチモンド)はメジャー通算36試合に登板し09年には8勝を挙げた右腕で、プレミア12ではカナダ代表として出場。しかしマイナーでの過去のシーズンを見ても1試合平均6イニング未満のシーズンも多く、外国人投手に求められるイニングイーターぶりが発揮できるかは疑問。3番手には昨年ドラフトで入団し先発ローテの一員として機能した左腕の倪福德、4番手には昨年4年ぶりに先発中心の起用となりまずまずの成績を残した蔡明晉が入ることになりそうだ。先発ローテ最後の枠となる5番手は3人が1枠を争う形となったが、開幕は蕭一傑がローテ入りという見方が強い。2年目の昨年は成績を落としたものの、今季は調整が順調でオープン戦でも2回無失点と結果を残した。その他の先発候補は昨年ドラフト3位入団のルーキー黃亦志、復活を目指す林晨樺が候補。黃亦志はスライダーをアウトピッチにカーブ、チェンジアップを投じる右腕だが制球とメカニクスに課題がある。首脳陣は二軍で先発経験を積ませてから一軍で登板させる意向。サイドスロー林晨樺は13年に15勝を挙げ最多勝のタイトルを手にして以降2年は不振にあえいでいたが、今季は積極的にストライクを取りに行く投球スタイルにモデルチェンジし自信を取り戻しつつあるのは朗報。課題の対左打者への投球がどうなるか。

 義大は昨年台湾人投手で100IP以上投げた選手がおらず、台湾人投手の最多勝蔡明晉の5勝と国内先発投手の人材不足が浮き彫りとなった。今季は開幕から実績のある倪福德がおり、5番手候補も複数人上がる状況で期待は持てそうだが、果たしてどうなるか。

 

先発候補、及びロングリリーフ

黃亦志(右)(新入団)

林晨樺(右) 12試合 1勝 23IP ERA5.87

范玉禹(右) 4試合 1勝1敗 9IP ERA12.00

太字は移籍、新入団選手

 前述した二名に加え4年目を迎えた21歳の長身右腕范玉禹も先発候補。昨年は二軍でフルシーズンプレーし22試合5勝9敗 ERA5.76と平凡な成績に終わり自身二度目のウインターリーグ参加を経験。そろそろ結果が求められるだけにまずは二軍で先発として結果を残し一軍の先発5番手争いに食い込みたいところ。

 

勝ち継投

林正豐(右) 50試合 4勝3敗1S 50IP ERA5.94

沈鈺傑(左) 37試合 30IP ERA3.60

黃勝雄(左) 37試合 3勝7敗2S 65IP ERA4.99

許文錚(右) 7試合 6.2IP ERA5.40

林羿豪(右) 60試合 2勝4敗1S 54IP ERA4.50

潘力(右)(新外国人)

太字は移籍、新入団選手

 以前から弱点であったリリーフ陣は昨年抑えを務めた羅嘉仁が肩の手術により今季絶望で更に悲惨な状況となる可能性が高い。空いた抑えには新外国人潘力(ハッサン・ペーニャ)が入る見込み。しかし昨年メキシカンリーグで20Sを挙げたものの来台が遅れ、オープン戦の登板でも1イニング持たず6失点するなど調整不足が伺える投球であった。

 加えて昨年50試合に登板したベテラン右腕林正豐も肘の炎症の回復が遅れ二軍スタートと苦しい状況。現状潘力に繋ぐまでの勝ちパターンは7、8回を昨年チームトップの60試合に登板した林羿豪、14年の奪三振王の速球派黃勝雄、12年にトミージョン手術を受けて以降主に二軍で復活を目指してきたアンダースロー許文錚の3人で凌ぐものとみられる。他にはベテラン左腕沈鈺傑も勝ちパターンに入りそうだ。

 

その他の主な投手

賴鴻誠(左) 27試合 3勝1敗 38.1IP ERA4.46

郭勝安(右) (一軍登板なし)

陳煥揚(右) 10試合 2敗 10.2IP ERA8.44

張耿豪(右) (一軍登板なし)

張耀文(右) (一軍登板なし)

 独特の投球フォームが特徴の左腕賴鴻誠はロングリリーフもこなすことが可能で、サイド気味のフォームからオーバー気味に改めたとのこと。2年連続で不本意な成績に終わった陳煥揚は開幕一軍入りし、苦しいブルペン事情の中で久々のフル回転を果たしたい。18歳で一軍のマウンドに上がり1年目から7勝も、その後成績を落とし昨年3月には急性椎間板ヘルニアの手術によりシーズンのほとんどを棒に振った張耿豪は3年ぶりの一軍での登板が間近に迫る。威力あるストレートが持ち味だった郭勝安はラミゴ時代の2年は酷い制球難により一軍にさえ昇格できず昨年シーズン途中に戦力外となったが今季はコーチ兼任として制球のみならずメンタルも改善して復活を期す。統一を戦力外となった後テスト入団した張耀文オープン戦での登板を果たしており、制球難が改善されれば一軍のリリーフ陣に入る余地はある。

 

<野手>

(戦力構成)

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(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

予想オーダー

7胡金龍(右) 108試合 打率.383 16HR 76打点 OPS.987

6陳凱倫(右) 79試合 打率.303 1HR 27打点 OPS.722

9張建銘(左) 114試合 打率.342 11HR 74打点 OPS.873

3林益全(左) 117試合 打率.367 23HR 126打点 OPS1.008

D高國輝(右) 120試合 打率.324 39HR 110打点 OPS1.016

8林哲瑄(右) 20試合 打率.244 1HR 8打点 OPS.730

5陽冠威 (右) 90試合 打率.300 11HR 60打点 OPS.779

2林琨笙(右) 57試合 打率.336 1HR 17打点 OPS.782

4林威廷(右) 45試合 打率.216 1HR 10打点 OPS.535

 

主な控え

(捕手)

方克偉(右) 24試合 打率.250 1HR 5打点 OPS.652

内野手

黃智培(右) 30試合 打率.247 3HR 17打点 OPS.695

于孟雄(左) (新入団)

楊承駿(右) 12試合 打率.241 0HR 2打点 OPS.599

羅國麟(右) (一軍出場なし)

藍少白(左) 63試合 打率.221 0HR 15打点 OPS.513

林瑋恩(右) 93試合 打率.235 0HR 20打点 OPS.551

玄宗(右) 50試合 打率.231 2HR 11打点 OPS.649

(外野手)

高孝儀(右) (一軍出場なし)

林旺衛(左) 93試合 打率.282 2HR 31打点 OPS.769

吳宗峻(左) 20試合 打率.275 0HR 2打点 OPS.635

張詠漢(左) 47試合 打率.206 2HR 8打点 OPS.522

太字は移籍、新入団選手

 

(打線総評)

 義大の打線はここ数年1~5番までの上位と中軸の破壊力でアドバンテージを有していた一方6番以降の下位打線が弱点であったが、今季は若干陣容を変えてシーズンに臨むこととなりそうだ。

 1番と3番は首位打者胡金龍、ベテラン張建銘が時に打順を入れ替わる形で上位を打つこととなり、間の2番には今季SSメインで調整を続けている陳凱倫が入り繋ぎ役となる。4番に打点王林益全、5番に39HRのシーズン新記録を達成した高國輝を入れ破壊力十分の上位打線でランナーを還す役目を今年も負う。下位打線の頭ともいえる6番には昨年ドラフト1位で入団し一時期1番を任された林哲瑄が入り比較的貧弱だった下位打線に刺激を与える存在となるか。打力に定評があるわけではないものの走力と選球眼を兼ね合わせており、出塁能力には期待が持てる。7番以降は陽冠威林琨笙林威廷といった面々が予想され特に大きく昨年と代わり映えがするわけではない。控えに目を移すと于孟雄羅國麟といった昨年のドラフト入団組がアピールを続けており于孟雄は内外野を守れるバイプレーヤーとして空いた打順にうまく入り込み、羅國麟はOFからSSにコンバートされチームの穴だったSSの打力向上に貢献できればチームとしては助かるだろう。

 

(捕手)

 昨年までの正捕手鄭達鴻が中信兄弟にFA移籍し一番の懸念材料であるポジション。林琨笙が正捕手となることが濃厚だが、現状チームに捕手が彼を含め4人しかおらず2番手の方克偉も打力と盗塁阻止能力に長けた存在として出場機会は増加するとみられる。二軍の正捕手は昨年に続き強肩と長打力に定評の蔡友達、守備型の林憲章が出場機会を分け合うことになりそう。万が一一軍の捕手陣2人のどちらかが離脱するようなことがあれば一気に苦しくなり、ドラフトで捕手の指名は必要不可欠。現状3Bとして起用される見込みの陽冠威の捕手復帰も十分あり得るだろう。

 

内野手

 1Bは林益全が不動だが、その他の3ポジションはいずれも流動的。2Bは14年のルーキーイヤーに打率.313をマークした林威廷がレギュラーで藍少白于孟雄といったところがバックアップ候補。3Bは打力では陽冠威が一歩リードしているものの守備には難があり、昨年4年目にして開花の兆しを見せた黃智培、3Bメインに内野複数ポジションを守れる玄宗にもチャンスはある。SSは陳凱倫がレギュラーとなり、広い守備範囲を誇る専守型の林瑋恩、対してフルスイングが魅力な一方守備に不安を残す羅國麟もSS候補。

 内野は他球団と比べ20代後半の脂の乗った時期に差し掛かった選手が多い一方で今一つ抜け出た存在がおらず、加えて複数ポジションを守れる選手も多いというメリットは見方を変えればポジションを固定できなかった課題の表れでもあり、それが下位打線の層の薄さにも繋がっている印象がある。今季そんな殻を破る存在が激戦区の内野から誕生するか注目したい。

 

(外野手)

 LFは昨年胡金龍高國輝が分け合う形で守るケースが殆どだったが、今季開幕は胡金龍をメインに、CFは広い守備範囲と走力を誇る林哲瑄で万全。RFにはお馴染みのベテラン張建銘が入ることとなるが、高國輝の今オフの海外進出(正確に言えばKBO進出を目論んでいるとされる)を考慮すれば4番手、控え外野手のデプスの薄さは頭の痛いところ。4番手の外野手としては林旺衛が最有力だが、俊足巧打タイプの選手で長打力とコンタクト能力では一段劣り、彼に続く4番手候補吳宗峻はベテランの域に差し掛かるもここ数年は結果を残せず正念場のシーズンを迎え、14年にブレイクした張詠漢も昨年は不振と明るい兆しは見えない。そしてOF最年少が高孝儀(26歳)と若手育成に力を注いでもいないのも気がかり。ドラフトで高卒野手を指名するなり、義大の攻撃力を生み出してきたOFの立て直しを考える時期に既に来ていると見るべきであろう。

 

(DH)

 高國輝をDHで固定し、身体の状況によっては胡金龍と入れ替えて起用することとなりそうだ。他にDHで入れて起用したい選手も特には見つからず、2人を中心に運用していくと予想される。

 

<プラス要素>

内野は他球団と比べ20代後半の脂の乗った時期に差し掛かった選手が多い

・台湾人投手の中で唯一フルシーズン先発として投げた経験のある倪福德が今季は開幕から先発できる

・弱点だった下位打線がルーキーの加入により活発となる可能性

・リーグ屈指の上位、中軸の攻撃力が今年も健在

 

<マイナス要素>

・羅力以外の先発投手陣のイニング消化能力があまり高くない

羅嘉仁の離脱などによりリリーフ陣の層がより薄くなった

外野手の控えのデプスが薄く、ドラフトなどでの補強が急務

正捕手林琨笙に続く2番手以降の捕手が物足りず、陽冠威の捕手復帰もあり得る

 

チアリーダー

Rhino Angels

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*2

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 今シーズンはメンバーを増員予定だったが、新メンバーと同じ3人が脱退したため昨年と同じ11名に。20代前半のメンバーが7名と若いメンバーが多いのが特徴か。

*1:義大ライノス公式FBより引用

*2:中央通訊社より引用