台湾プロ野球データベース コラム集

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2017WBC台湾代表 選手名鑑

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・総評

 史上初めてとなる2次ラウンド進出を果たし、台湾中が興奮のるつぼと化した前回大会。しかし今大会はあの感動を再びと言うには厳しい戦力と対戦相手が台湾を待ち構えている。

 まず今回の代表選手招集で一番誤算だったのは言わずもがなラミゴの選手が不出場となったことにある。事の経緯はこちらに詳しく書かれているため割愛するが、仮にCPBL4球団全てが選手派遣を決めていれば投手では陳禹勳、林柏佑。野手では林泓育、陳俊秀、王柏融といった主力選手は間違いなく代表入りしていたと考えられるため大きな戦力ダウンとなった。そしてある程度織り込み済みだった海外組の投手招集もスムーズにはいかず、前回大会で大活躍した王建民(FA)、陳偉殷(MIA)、王維中(MIL)、曾仁和(CHC)、胡智為(TB)といったアメリカ組が不参加。(王建民、王維中は予備投手リストには入っているが出場の可能性は限りなく低い)先発候補がNPB3人組+米マイナー所属選手と台湾代表の国内の投手層の薄さを物語る陣容となったのは残念でならない。結果としてプレミア12に続いて薄い投手陣をCPBLが誇る強力打線でカバーすることとなったが、今回は投手、守りから破綻するリスクがより大きくなったといえる、心配なメンバー構成である。

 次にA組の他国を見ると前回よりもパワーアップした野手陣となり、海外組の投手が先発に回るオランダ、プレミア12を制したキム・インシク監督のもとKBOのスターが揃う野手陣と不安な投手層を細かな継投でカバーするであろう韓国。そしてMLB組はいなくとも実力あるマイナー所属選手を中心に他国にはない団結力で向かってくるであろうイスラエル。台湾としては激戦区のA組でどこかが全勝という可能性は低いため、初戦のイスラエル戦で1勝し流れに乗り、2戦目で前回大会で勝利したオランダ戦に力を注ぎ2勝できれば理想的である。逆にイスラエル戦で敗れるとかなり苦しくなるのは言うまでもないが…一ファンとしては最低でも全敗は避け最低1勝2敗であわよくばプレーオフ勝利して2次ラウンドへ、というのが現実的かと考えるが勝負は時の運、間もなく行われる野球の祭典を心ゆくまで楽しみたい。

 

WBC台湾代表日程(1次ラウンド)

3月7日(火)12時半 イスラエル 

3月8日(水)19時 オランダ 

3月9日(木)19時 韓国

3月10日(金) プレイオフ

(時間は日本時間、会場はすべて韓国・高尺スカイドーム

 

これまでのWBC台湾代表練習試合スタメン、投手起用一覧

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WBC台湾代表全選手名鑑

(名前のリンクをクリックするとNPBCPBL、Baseball Referenceの成績ページに飛びます)

 

・先発

 NPB3人組+米マイナー組の以下4名が有力候補。絶対的なエースがいないのが泣き所である。

 

陳冠宇(チェン・グァンユウ)Kuan-Yu Chen

1990.10.29(26歳) 179cm 75kg 左投左打  

穀保家商-國立體育大學-横浜(11)-DeNA(12~14)-千葉ロッテ(15~)

16年成績:7試合 4先発 1勝1敗 ERA4.01 24.2IP 被HR3 与四球10 奪三振23 WHIP1.42

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 "投手陣の軸として期待かかる左腕エース"

 郭俊麟と並ぶ左右の二枚看板として期待される先発左腕。大学在学中の11年に横浜に入団もその年のオフに育成選手となり、12年8月にはトミージョン手術。外国人枠の関係で登板機会に恵まれず、一軍登板は14年の1試合のみに終わった。オフに戦力外となるとロッテの秋季キャンプでテストに合格し入団。15年はチーム左腕先発として最多の13試合に先発登板し5勝4敗 ERA3.23をマークし更にはCSでも好投、飛躍の一年となった。昨年は二軍で22試合4勝4敗 ERA4.64とまずまずの成績も一軍では7試合の登板で、9月に挙げた今季初勝利はチーム左腕先発唯一の勝利となった。

 ストレートは平均130km台後半ながら、スライダー、フォーク、カーブ、シュートとのコンビネーションで内角を強気に突ける小気味のいい投球が持ち味。14年の仁川アジア大会では韓国戦2試合に登板し計7イニングを無失点。15年のプレミア12では1次ラウンドオランダ戦先発も2.0IP/4R、2試合でリリーフも計3試合でERA16.20と打ちこまれた。代表合宿ではロッテ入団後新たな武器として投げ始めたチェンジアップのレベルアップに取り組み、またロッテの春季キャンプでは良き友人でもある石川歩から教わったシンカーも大会では使っていきたいと話している。右のエース郭俊麟の体調に不安があることもあり実質エースとして投手陣を引っ張ることとなるだろう。

 

 

郭俊麟(グォ・ジュンリン)Chun-Lin Kuo

1992.02.02(25歳) 175cm 70kg 右投右打  

西苑中學-國立台灣體育運動大學-埼玉西武(15~)

16年成績:12試合 3先発 3敗 ERA8.46 22.1IP 被HR2 与四球10 奪三振20 WHIP1.42

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"国際大会で躍動する右のエース"

 昨年の不振を大舞台でまずは取り返したい右腕。大学卒業後、偉大な同郷の先輩である郭泰源の背番号12を与えられ入団。1年目から即戦力として開幕からローテ入りも21試合3勝7敗 ERA5.31と物足りない内容で2年目の昨年の飛躍が期待されたが昨年はリリーフとしてスタート、まずまずの投球を見せ5月に2試合先発したが2敗。そこから二軍落ちすると以降の登板は9月の1試合のみ、まさかの勝ち星なしでシーズンを終えた。平均144kmのストレートにチェンジアップ、スライダー、カーブを織り交ぜるスタイルもNPBでは制球難とスタミナ不足に苦しみ、マウンドでの表情にも自信の無さが垣間見えることもあった。

 10年のAAAW杯8強戦のオランダ戦で9.0IP/2R、13年の侍ジャパン強化試合で6.0IP/1R、15年のプレミア12 1次ラウンドイタリア戦で7.0IP/1R、プエルトリコ戦で8.0IP/1Rと数々の国際大会で好投し「国際大会のために産まれた男」との異名も。今大会で一番投げたいのは韓国戦と語っており、韓国戦では14年の仁川アジア大会の決勝で先発し試合には敗れたものの4.2IP/1Rと好投。昨年の秋季キャンプで右脇腹肉離れで代表キャンプへの参加が遅れ2月中旬時点では実戦登板はせずブルペンでの投球のみ。若干の不安はあるが国際大会での勝負強さを発揮し、今大会ではエース格として活躍が期待される。

 

 

宋家豪(ソン・ジャーハオ)Chia-Hao Sung

1992.09.06(24歳) 185cm 92kg 右投左打  

南英商工-國立體育大學-東北楽天(16~)

16年成績(二軍):15試合 8先発 6勝3敗 ERA2.44 62.2IP 被HR4 与四球10 奪三振42 WHIP1.16

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"支配下昇格は目の前、成長著しい右腕"

 NPB1年目から二軍で結果を残した右腕。15年のシーズン中ドラフトで統一から2位指名を受けるもNPB行きを選択し指名拒否、10月に東北楽天と育成選手契約。昨年は先発時に5イニング以上投げること、遅いカーブを持ち球に増やしストレートとの球速差を出すことの二つを首脳陣から課題として与えられながら、球団の期待を良い意味で裏切り二軍で好投を続けた。今オフは「支配下に一番近い育成選手」と高い評価を受け、育成選手としては唯一一軍の久米島キャンプに参加。この大会での活躍を足掛かりに支配下昇格、一軍登板を目指したい。15年のプレミア12では1次ラウンドキューバ戦に先発、6.1IP/1Rの好投で勝利に貢献した。

 185cm、92kgのがっちりとした体格から最速151kmの重いストレートとツーシームを中心に打者の内角を厳しく突くことができ、コマンドも良好。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップ。NPBの環境に慣れた今季はスタミナ不足を克服しより長いイニングを投げられるかが課題となりそうだ。アマ時代から14年の仁川アジア大会と21U、15年の光州ユニバーシアードに出場するなど国際大会の経験豊富で、今大会では先発候補の一人として名前が挙がっている。

 

 

江少慶(ジャン・シャオチン)Shao-Ching Chiang

1993.11.10(23歳) 186cm 90kg 右投右打 

穀保家商-インディアンスマイナー(12~)

16年成績(A):27試合 27先発 8勝12敗 ERA3.96 152.1IP 被HR13 与四球26 奪三振92 WHIP1.15

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"制球と力強いストレートが武器、唯一の米マイナー所属選手"

 今大会代表唯一米マイナーに所属する投手。強豪の穀保家商を卒業後11年にインディアンスと契約。しかし12年にトミージョン手術を受けリハビリに1年近くを費やし、Rkでの12年と13年の登板はそれぞれ1試合のみ。実質の1年目となった14年はRkで10試合4勝2敗 45.2IP ERA4.53、15年はA-に昇格し9試合3勝2敗 41.1IP ERA3.92と平凡ながら、昨年はAでシーズン通して先発として投げ抜き成長を見せた。

 変化球はチェンジアップとカーブのみだが、マイナー計5年でBB/9が1.3と制球力が高く、92~94マイルをマークするストレートと組み合わせゴロアウトを多く生み出す。14年の仁川アジア大会ではグループBの韓国戦で先発が予想されていたが背中の違和感により先発回避、決勝の韓国戦で9回に1イニングを投げるにとどまった。また昨年のU23ワールドカップ代表に選ばれるもインディアンスが先発1試合、8イニングしか登板許可を出さなかったため出場は叶わず。体調万全で迎える国際大会は今大会が初、今大会もインディアンスが球数制限(1次ラウンドの合計球数65球以下、1イニング35球以下)を課しているため首脳陣は起用法に頭を悩ませそうだ。

 

・中継ぎ(ロングリリーフ可)

 おそらくこの中で中心となるのは前回大会のオランダ戦で2番手として好投した潘威倫。加えて倪福德を除く投手は実績と国際大会経験という意味で未知数な部分が多いが、情報の少なさが果たしてどう影響するか。

 

潘威倫(パン・ウェイルン)Wei-Lun Pan

1982.03.05(35歳) 182cm 98kg 右投右打 03年D1位 

美和中學-輔仁大學-合作金庫-統一(03~)

16年成績:13試合 8先発 5勝2敗 ERA5.33 52.1IP 被HR4 与四球3 奪三振23 WHIP1.51

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"オランダキラーのCPBL通算最多勝投手"

 有終の美を飾りたいCPBL通算最多勝投手。プロ入りした03年から8年連続で二桁勝利し押しも押されぬ統一、CPBLのエースとして活躍。10年オフに海外FA権を申請しNPBKBOの球団からの注目を集め、SKが強い関心を示すも高額な移籍金がネックとなり結果として統一と3年の複数年契約を結んだ。しかし11年に右肘の故障により二桁勝利が途絶えると12年は大半をリハビリに費やし登板は3試合のみ、13年はCPBL通算勝利数最多記録を更新するもERA5.47、14年は開幕前トレーニングの際に転倒し右手掌にヒビが入ったことで10試合のみの登板に終わり、15年は5年ぶりの規定投球回到達で久々に活躍を見せるも昨年は右肩炎症と水が溜まった影響で復帰は6月中旬から。しかし以降5勝と存在感は示した。

 ストレートは平均130キロ後半と球速は落ちたが制球力は健在で、多彩な変化球を組み合わせ打たせて取るベテランらしい巧みな投球を見せる。今大会では先発候補の一人として名前が挙がっており、投手陣最年長の右腕にかかる期待は大きい。国際大会に強く、特にオランダ戦では13年のWBCでは2番手で4.2IP/0R、15年のプレミア12では3.1IP/0Rと相性の良さを見せる。「おそらく台湾代表ユニフォームを着るのはこれが最後になるだろう」と語っており今大会が最後の国際大会出場になる可能性は高い。投手陣のリーダーとして活躍が期待される。 

 

 

陳韻文(チェン・ユンウェン)Yun-Wen Chen

1995.11.28(21歳) 183cm 97kg 右投右打 14年D1位 

屏東高中-統一(14~)

16年成績:35試合 5先発 5勝7敗6S ERA7.76 60.1IP 被HR6 与四球27 奪三振60 WHIP1.76

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"今大会最年少の奪三振マシーン"

 首脳陣から大きな期待を受ける若手右腕。元々高校時代は遊撃手だったが、高2から投手転向。トレーニング量は多くなかったものの球速を130キロから150キロまで上げチームのエースとなり、13年の18Uワールドカップ代表に選出。MLBの球団からは50万ドル以上の契約を提示されるもCPBLが目標だとして国内でのプレーを選択、14年のシーズン中ドラフトで陳俊秀(ラミゴ)の外れ1位として当時の高卒新人最高額となる契約金505万元で統一に入団。実質1年目となった15年は3月の練習試合で肘に違和感を覚え、後に肘内側の腱炎であることが発覚し実戦登板は9月の二軍戦と遅れた。9月中旬に一軍昇格後は8試合のリリーフ登板で6試合無失点とアピールし最後の2試合では先発として起用、16IP/17Kと奪三振能力の高さを見せた。昨年は開幕から江辰晏、林子崴と合わせた若手投手3人が先発ローテーションに入り首脳陣の期待の高さを伺わせたが、シーズン最初の4先発で8失点以上が3回と産みの苦しみを味わい先発では1勝も出来ぬまま5月下旬からリリーフに配置転換、6月中旬からはブルペン投手の故障が重なった関係で抑えに回り、安定感には欠けたがリリーフ時のERAは4.36と先発時よりも躍動した姿を見せ、60.1IPで60Kと奪三振能力の高さは相変わらず。

 140キロ後半を連発する最速152km(昨年の台湾人投手最速)のストレートに、落差の大きいフォークを武器にしていたが、リリーフ転向後は130キロ中盤のスライダーを代わりに多く用いるようになった。課題は制球で特に変化球の制球に難あり。今オフは西武の秋季キャンプに参加すると2週間経たずで台湾代表の練習に参加し休みのないオフを過ごしている。今季は開幕から勝ちパターンの一角として起用される見込みで、WBCでも右のリリーフとしての活躍が期待される。

 

 

倪福德(ニー・フーデ)Fu-Te Ni

1982.11.14(34歳) 182cm 90kg 左投左打 05年D1位 

屏東高中-嘉義大學-中信代訓-中信(07~08)-タイガース-ドジャース-米独立・ランカスターバーンストーマーズ-米独立・カムデンリバーシャークス-義大(15~16)-富邦(17~)

16年成績:43試合 10先発 6勝6敗8S ERA4.84 96.2IP 被HR17 与四球22 奪三振69 WHIP1.39

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"代表投手陣で唯一MLBを知るベテラン左腕"

 05年にドラフト1位で中信に入団、1年間代訓でプレーした後07~08年の2シーズン共に勝敗では負け越すもERAは3点台、08年には132Kを奪い奪三振王のタイトルを獲得。08年オフにチームが解散、それにより行われた特別ドラフトで兄弟が1位指名するも本人は特別ドラフトに参加するとの意思表明もしておらず、ドラフト前にも兄弟に既にいくつかの国外球団から連絡があったことを伝えたとして兄弟側の怒りを買いながらも指名拒否し、MLBタイガースに入団。MLBではリリーフとして09~10年の2年間で計58試合に登板、ERA4.33。その後11~12年は3Aでプレーも12年5月にトミージョン手術を受け8月に放出、13年のABLで復帰。14~15年途中まで米独立でプレーし15年のシーズン中ドラフトで義大から1位指名を受け入団。15年はシーズン途中入団で10先発4勝2敗 ERA5.18とまずまずの活躍、昨年は5月下旬まで先発も成績が今一つだったこともあり6月から中継ぎに配置転換、7月下旬からは抑えにまわり短いイニングに専念したことで以前に近い球威が戻った印象。

 以前はサイドスローに近い腕の振りだったが現在は若干腕の角度が上がり、140km台中盤のストレートと横に滑るような軌道を描くスライダーのコンビネーションで奪三振を多く奪うスタイル。今季は再び先発に戻る方向で代表合宿でも先発候補として調整していたが、今大会では第二先発、ロングリリーフ候補として考えるのが自然か。ただ一応奇襲先発の可能性も残している。

 

 

蔡明晉(ツァイ・ミンジン)Ming-Chin Tsai

1984.09.28(32歳) 179cm 68kg 右投右打 06年D2位 

強恕中學-國立體育大學-興農代訓-興農(08~12)-義大(13~16)-富邦(17~)

16年成績:21試合 11先発 5勝5敗 ERA7.30 61.2IP 被HR10 与四球21 奪三振40 WHIP1.65

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 "隠し玉となれるか、代表初選出のベテラン右腕"

 代表初選出で躍動したい細身のベテラン右腕。ルーキーイヤーの08年からリリーフとして頻繁に登板を重ね、10年には52試合に登板しERA2.81をマーク。しかし11年から前身の興農が外国人選手を獲得せず台湾人選手のみでシーズンを戦う「全本土政策」の影響を受け、投手の頭数が不足した影響で先発とリリーフを行き来する登板が増えた結果、11年末にトミージョン手術を受け12年は登板なし。13~14年はリリーフとして計67試合に登板、15年からは先発での登板も増え2年間で計27試合に先発。昨年は先発とリリーフを行き来し11先発中5イニング以上を投げたのは6試合、2桁失点を2度マークするなど安定感は不足していたがチームの台湾人投手最多タイとなる先発数である程度の貢献を見せた。

 先発時でも140~145キロを安定してマークするストレート(ツーシームを多く用いる)と左打者にとっては外角に逃げる軌道を辿るフォーク、そして大きく縦に割れるカーブが主な変化球で高低で勝負するタイプといえる。有力候補の出場辞退が重なった関係で選出され、今回が自身のキャリア初の国際大会代表となったが、他国に詳しい情報が行き渡っていないという意味ではポジティブに選出を捉えることもできよう。先発とリリーフ共に経験豊富なため第二先発、ロングリリーフの候補となり得る一人である。

 

 

林晨樺(リン・チェンファ)Chen-Hua Lin

1988.12.16(28歳) 185cm 92kg 右投右打 11年D1位 

中道中學-中國文化大學-台灣電力-興農(12)-義大(13~16)-富邦(17~)

16年成績:40試合 2先発 4勝1S ERA6.05 58IP 被HR12 与四球20 奪三振40 WHIP1.48

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"リリーフでアピールしたい、代表唯一のサイドスロー"

 リリーフで生き残りをかけるかつての右のエース。大学時代から頭角を現し09年のIBAFワールドカップ、10年の世界大学野球選手権、IBAFインターコンチネンタルカップ、11年にはハーレムベースボールウィークなどに出場。大学卒業後はアマ強豪の台灣電力でプレー。その年の11月には育成選手としてソフトバンクの入団テストを受けるも合格には至らず、12月に興農からドラフト1位指名された。チームが暗黒の真っ只中だった1年目からエースとして7勝10敗 ERA3.96と奮闘すると義大へとチーム名が変わった13年には15勝を挙げ最多勝のタイトルを獲得、前期優勝の原動力となったがその後は成績が低迷。14年は先発で1勝も出来ず、オフにABLブリスベンへ派遣された。リリーフからの再起をかけた15年は二軍で7勝を挙げるも一軍では12試合の登板にとどまったが、昨年はリリーフを中心に40試合に登板し首脳陣の信頼を取り戻した。

 サイドスローから130キロ台中盤のストレート、シンカー、スライダーを組み合わせ横の揺さぶりで勝負するが一般的に左打者に弱いとされる右サイドでありながら昨年の左右の被打率に大きな差は見られなかった。(対左.288 対右,281)。今回の代表選出は投手陣にサイドスローがいなかったことによるもので、右の強打者相手への起用が中心となるか。

 

 

・中継ぎ

 中継ぎと抑えに関してはラミゴの勝ちパターン2人(陳禹勳、林柏佑)が不在なのはやはり痛い。加えて羅國華が練習試合で調子を落としているため、CPBL組の奮起が必要となる。

 

黃勝雄(ファン・シェンション)Sheng-Hsiung Huang

1990.12.03(26歳) 186cm 98kg 左投左打 13年D1位 

台東農工-嘉南藥理科技大學-台中威達-義大(14~16)-富邦(17~)

16年成績:47試合 0先発 1勝4敗8S ERA4.91 44IP 被HR6 与四球22 奪三振31 WHIP1.55

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 "リリーフで才能開花した13年のドラ1左腕"

 13年にドラフト1位指名され契約金400万元、月給11万元で入団すると、ルーキーイヤーの14年から先発として常時140km台中盤をマークするストレートを武器に好投を続け9勝、119Kで奪三振のタイトルを獲得。CPBLでは貴重な台湾人先発左腕への期待が高まったが翌年の15年はシーズン序盤からチームの投手の状況により先発とリリーフを行ったり来たりの登板が続き、6月中旬以降リリーフに固定されたもののスタッツが悪化した。10月に肘の骨棘とネズミ除去手術を受け、右肩が開かないよう意識したフォームに修正を図った昨年は開幕から中継ぎとして起用されると開幕から13試合連続無失点と絶好調で抑えを任された外国人投手の不振もあり、代わって守護神として登板する機会も増え8セーブを挙げ、疲労蓄積、肩の炎症、足の捻挫で3度の離脱はあったものの、勝ちパターンの一角としてベンチの信頼を得た。8月以降打たれ出しシーズン成績は平凡なものに終わったが、台湾シリーズでは5試合に登板し無失点と活躍、リリーフとしてリーグ優勝に貢献する充実の一年となった。

 先発時は安定感に欠けるところがあり突如制球が乱れるケースが度々見られたが、リリーフでは自らの最大の長所である140キロ台前半~中盤をマークするストレートを中心に力で押せるようになり、良い意味で開き直り打者と勝負できるようになった。変化球はスライダーとチェンジアップを投じるがリリーフに転向して以降は投球比率が低下している。プロ入り以降初の代表入りとなるが、打者の左右関係なく1イニングを任せる起用法が彼には適しているように思える。

 

 

羅國華(ルォ・グォホァ)Kuo-Hua Lo

1992.10.28(24歳) 180cm 89kg 右投右打 

三信家商-ツインズマイナー(12~16)-米独立・リンカーンソルトドッグス(16)-独立リーグ・高知(17~)

16年成績(A):25試合 0先発 2敗3S ERA2.60 45IP 被HR4 与四球31 奪三振42 WHIP1.47

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"代表での守護神経験もあるリリーフ右腕"

 今季から日本でプレーする右腕。高校卒業後ツインズマイナーでプレー。12~14年までRkで平均以上のパフォーマンスもなかなか昇格のチャンスを掴めず。15年は登板こそ19試合のみもERA1.44と安定感を見せ、抑えも任された。RkからAに昇格した昨年もERAは2.60ながら、45IP/31BBと制球が悪化し8月に放出された。マイナーで5年間プレーも大きな成長が見られず、安定感が不足していたことが放出原因ではないかとの本人談。その後米独立でプレーし3試合に登板。今季からは高知で同じく米マイナー経験者の林逸翔(元オリオールズマイナー)と共にチームメートとなる。

 140キロ台後半を安定してマーク、最速154kmのストレートとカーブ、チェンジアップを組み合わせ積極的にストライクゾーンを攻める投球スタイル。15年のアジア選手権では抑えとして準優勝に貢献も、続いて代表入りしたプレミア12では登板機会がなかった。なお高國輝、羅國華、羅國龍、羅國麟の「羅家四兄弟」の羅國華とは同姓同名だが全くの別人である。代表では右のリリーフとして活用されるであろう。練習試合ではメンタルの影響から制球を乱したのが不安材料。

 

 

王鏡銘(ワン・ジンミン)Ching-Ming Wang

1986.01.16(31歳) 176cm 93kg 右投右打 08年D1位 

台東體中-開南大學-統一代訓-統一(10~)

16年成績:44試合 0先発 2勝3敗6S ERA3.49 49IP 被HR4 与四球12 奪三振39 WHIP1.51

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"頼れる右のリリーフエース"

 大学時代から最速151kmの本格派投手として鳴らし08年ドラフト1位で入団。09年に代訓でプレー後10年から一軍のマウンドに上がると先発として2年連続で二桁勝利。11年の台湾シリーズではリリーフに回ると4試合 9.1IP ERA0.96という獅子奮迅の活躍でシリーズMVPを獲得した。翌12年はリリーフに転向し45試合 ERA2.49、13年はリリーフで開幕スタートも8月上旬から先発を任され9勝 ERA2.93と結果を残しオフに2年契約を結んだが、14年は右肩の炎症などの影響もあり自己最低の1勝に終わると15年は先発とリリーフを行き来するもどちらも今一つに終わり自己最多の10敗、低調な時期が続いた。昨年は抑えとして開幕を迎えたが5月末に右肩炎症で二軍落ち、2か月後に復帰以降は勝ちパターンの一角として7、8回を任され9月下旬から再び抑えに戻り極端な打高投低のシーズンにおいて久々に存在感を示した。

 右肩の故障に悩まされて以降は以前のストレートで押す投球から140km前半のストレートにスライダー、フォーク、チェンジアップといった変化球を組み合わせるスタイルにモデルチェンジしている。今回の代表のリリーフ陣では一番国際試合の経験も豊富で実績を残しているためリリーフの柱として活躍が期待される。なお日本戦に縁のある投手であり、11年の東日本大震災復興支援試合、13年WBC第2ラウンド日本戦、16年の侍ジャパン強化試合(2試合とも登板)でマウンドに上がっている。

 

 

・抑え

陳鴻文(チェン・ホンウェン)Hung-Wen Chen

1986.02.03(31歳) 180cm 97kg 右投右打 12年D1位 

三民高中-中國文化大學-台北體育學院-カブスマイナー-國訓中心-兄弟(13)-中信兄弟(14~)

16年成績:53試合 0先発 9勝2敗15S ERA4.87 61IP 被HR10 与四球16 奪三振58 WHIP1.36

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"中信兄弟の守護神、前回の借りは返せるか"

 大学在籍時の07年にカブスと契約、10年には3Aまで上り詰めるもあと一歩壁を破れず、12年3月に自らチームを離れ帰国。その後國訓でプレーしCPBLドラフト参加、12年のドラフト1位指名を受け兄弟入団。ルーキーイヤーの13年、2年目の14年は先発とリリーフ両方で起用され2年連続でERA2点台の好成績を残すと、15年は抑えに定着し24セーブを挙げタイトル獲得、ERAも2.94と好成績。しかし昨年は15セーブで2年連続タイトルを獲得するも投球内容は芳しいものではなく、セーブ失敗がリーグトップの8回。9勝はチームの台湾人投手最多勝タイだが抑えに失敗し後にチームが勝ち越して得た勝利も多く手放しでは喜べない内容だった。台湾シリーズ第6戦でも救援に失敗しこの試合で義大の優勝が決定。試合後ホテルに戻った際足がつりロビーで転倒と散々なシーズンの締めくくりに。そのような自らの状況も鑑み一度は代表辞退するも郭泰源監督らの説得もあり翻意し代表入りが決まった。

 昨年は肩の開きが早かった影響で球速もやや落ち平均は140km中盤程度のストレートを中心に押し、変化球は主にスライダーとフォークを投じる。プロ1年目で代表入りした前回のWBC二次ラウンド日本戦では9回に井端を二死2ストライクまで追い込むも無念の同点打を浴びた。今回の合宿での調整は上々のようで練習試合でも結果を残しているため抑えのポジションにはまる可能性は十分にある。前回大会の悔しさを晴らすような本来の鬼気迫る投球を見せられるか。

 

・C

 これまでWBC台湾代表は捕手3人制だったが今回は2人に。正捕手として起用される林琨笙は打力に期待できず、緊急時に捕手をこなせる内、外野手も不在のため代打を出しづらいことがネック。

 

林琨笙(リン・クンシェン)Kun-Sheng Lin

1987.03.08(29歳) 178cm 87kg 右投右打 10年D4位 

台中高農-台灣體院-台中威達-國家儲訓-興農(11~12)-義大(13~16)-富邦(17~)

16年成績:91試合 240打席 .266/.306/.358 得点23 安打58 HR1 打点27 三振35 四球12 盗塁6(成功率85.7%) 守備率.994 盗塁阻止率.293

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"義大の2度の優勝に貢献した守備型捕手"

 13、16年の義大の台湾シリーズ優勝に貢献した捕手。小学校から大学時代まで数多くの国際大会を経験。経歴が申し分ないこともありドラフト1位指名が有力視されていたが10年ドラフトでは4位指名と予想外の低い評価を受け、一時は興農との契約に消極的で契約に至らなければ海外進出も考えていたようだが結局契約。入団後の11~12年は1番手捕手として実績ある鄭達鴻がいたため2番手捕手としての出場がメインだったが13年に過去最多の91試合出場、阻止率47.9%と守備で貢献を見せゴールデングラブ賞を獲得。14年は怪我とキャプテンを務めたアジア大会出場の影響で23試合の出場にとどまるも、15年は2番手捕手として57試合の出場ながら打率.336をマーク。鄭達鴻がFAで中信兄弟へ移籍しレギュラーとなった昨年は阻止率こそ29.3%ながら自己最多タイとなる91試合に出場、主戦捕手としての存在感を発揮し台湾シリーズ優勝にも貢献した。

 強肩と配球に高い評価を受ける一方で打撃はそれほど得意としておらず、いわゆる守備型の捕手といえる。国際大会の経験豊富で投手陣からの信頼も厚く、今大会では主戦捕手としての起用が見込まれる。WBCは大学在籍時の09年以来2大会ぶりの選出となったが、今回は主戦捕手としてチームをどこまで導けるか注目したい。

 

 

鄭達鴻(ジェン・ダーホン)Ta-Hung Cheng

1981.01.12(36歳) 174cm 85kg 右投左打 03年代訓D5位 

高苑工商-中國文化大學-國家儲訓-興農代訓-興農(05~12)-義大(13~15)-中信兄弟(16~)

16年成績:91試合 283打席 .271/.342/.331 得点40 安打68 HR0 打点35 三振34 四球23 盗塁4(成功率57.1%) 守備率.986 盗塁阻止率.379

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 "今大会最年長、巧打のベテラン捕手"

 俊足巧打のベテラン捕手。03年に代訓ドラフトで入団、05年から一軍出場を果たした。当初は捕手としての起用が中心だったが07~09年までは外野手メインの起用となり、10年からは再び捕手メインの起用に戻り、ここ2年はほぼ捕手としての出場。10年には31盗塁を記録しCPBL史上初となる捕手として盗塁王のタイトルを獲得。一軍3年目となる07年からは興農、義大でレギュラー野手として活躍を続けてきたが15年オフに2年+1年のオプション、総額2016万元の大型契約でラミゴの林智勝と共に中信兄弟へFA移籍。実績あるベテラン捕手がおらず、安定して率を残せる打てる捕手は中信兄弟にとって良い補強になると思われたが、昨年はレギュラー定着後ワーストの打率.271、HRなし。守備では阻止率.379をマークするも捕逸は自己ワーストの10個を数え大型契約に見合った活躍ができたとは言い難い一年となってしまった。

 今大会では林琨笙が主戦捕手として起用されるとみられ、二番手捕手として出番を待つことになると見られる。しかし中信兄弟から選出された投手が陳鴻文一人のみであること、ベテランではあるが国際大会の代表経験が少ないことを考慮すれば出場機会は限られたものとなるのではないだろうか。またかつては俊足として鳴らした脚力も衰えが見られ、外野守備にもここ2年はほとんどついていないため代走や緊急時の外野手として出場する可能性も低い。今大会では縁の下の力持ちとしてベテランらしい味のある活躍をグラウンド外でも発揮してもらいたい。

 

 

・1B

 基本林益全メインとなると予想されるが、タイプは違えど2人とも打力に期待できるのは心強い。また林智勝が1Bへ移る可能性も出てきた。

 

林益全(リン・イーチュエン)Yi-Chuan Lin 1B〇

1985.11.11(31歳) 180cm 83kg 右投左打 07年D1位 

南英商工-台灣電力-興農代訓-台灣電力-興農(09~12)-義大(13~16)-富邦(17~)

16年成績:106試合 472打席 .350/.416/.530 得点67 安打146 HR17 打点81 三振62 四球46 盗塁1(成功率50.0%) 守備率.995

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"8年連続3割、CPBL屈指の左の中距離ヒッター"

 高いレベルで活躍を続ける左打者。高校卒業後社会人の台灣電力でプレーし活躍、その打撃は早くからプロの注目を集めていた。07年にドラフト1位で興農が指名し、08年は代訓でプレーもその年のオフに八百長事件が発生、一時はプロ入りを諦めかけるも球団側の説得もあり入団。1年目からシーズンMVP、新人王、打点王ベストナインゴールデングラブと賞を総なめにする活躍を見せるとその後も首位打者1回、本塁打王1回、打点王3回。13、14年には2年連続でシーズンMVPを獲得と高いレベルで安定した打撃を見せ、昨年まで入団から8年連続打率3割を継続中。なお守備に関しては以前はあまり上手くないという評価で過去に1Bとして10失策以上を記録したシーズンが2度あったが、ここ3年は一桁台でありやや改善された印象。ただし強烈なゴロの処理は苦手なようである。

 CPBLで好成績を残し続ける一方で、国際大会ではあまり活躍できず「活躍できるのは国内のみ」という声もあった。しかし直近の15年プレミア12では打率.353(17-6)と一定の活躍を見せた。代表の練習試合では5番に入っておりシーズンと同様、確実に走者を返す役割が求められる。ちなみに09年のWBC出場時は興農と未契約だったため(興農の代訓選手として参加)プロとしての参加は13年WBCのみである。

 

 

許基宏(シュ・ジーホン)Chi-Hung Hsu 1B〇 3B△

1992.07.22(24歳) 187cm 103kg 右投左打 14年D2位 

高苑工商-台灣體大-ポップコーンリーグ・台灣電力-中信兄弟(14~)

16年成績:78試合 322打席 .356/.457/.603 得点56 安打95 HR15 打点62 三振69 四球41 盗塁1(成功率50.0%) 守備率.972

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"豪快なフルスイングが魅力の左のパワーヒッター"

 CPBL屈指の左の若手長距離砲。高校卒業後台灣體大でアメリカ行きのチャンスを待ちながら中軸を任され13年東アジア大会などに台湾代表として選出。プロ1年目から大柄な体躯を生かした長打力は期待を集め、21試合で4HR。15年は3Bとして主にプレーし途中故障やスランプもありながら87試合で13HRを放ち新人王を獲得。昨年は左腕の捻挫や腰の怪我による離脱があったが9月下旬まで打率4割をキープ、自己最多の15HRと強力な中信兄弟打線にありながら存在感ある活躍を果たしている。豪快なフルスイングから放たれる打球は高い放物線を描くように消え、強く引っ張る打球が印象に残るが昨年はレフト方向にも4HR。その一方守備は不得手としており1Bではキャッチングに課題、プロ入り後本格的に守り始めた3Bは範囲、送球の安定感に欠け安心して見ていられるレベルとは言えない。今大会の起用法としては同じく本職が1Bの林益全がDHに入った際に1Bとして先発出場すると見られるが、自身初となるWBCで守備の不安が露呈しないことを願いたい。何度も言うように長打力は強力な今大会の台湾打線でも屈指であり、下位打線に入るとなると相手にとっては脅威。強敵を相手に豪快なアーチを描くことはできるだろうか。余談だが前回大会時は大学2年生、洲際棒球場でアルバイトとして交通整理をしていた。

 

 

・2B

 林智勝が毎試合スタメンとなるのは既定路線と見られていたが林智勝の失策の多さから林志祥が起用される可能性も。仮に林智勝が2Bとしてもリードして逃げ切りを図るとなると林志祥の投入は不可欠となるだろう。

 

林智勝(リン・ジーシェン)Chih-Sheng Lin 2B〇 1B〇

1982.01.01(35歳) 183cm 108kg 右投右打 03年代訓D1位 

善和高中-合作金庫-國家儲訓-LaNew代訓-LaNew(04~10)-Lamigo(11~15)-中信兄弟(16~)

16年成績:104試合 474打席 .337/.420/.648 得点100 安打135 HR34 打点107 三振77 四球53 盗塁8(成功率72.7%) 守備率.954

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"「強攻」打線の柱となる右の長距離砲"

 台湾が擁する強力打線の核となる大砲。高校卒業後社会人の合作金庫でプレー、03年にLamigoの前身である第一金剛に代訓ドラフトで1位指名を受け入団。ルーキーイヤーから走力と長打力を武器にSSとして活躍し、これまで3度の本塁打王打点王を1度獲得。15年には打率.380 31HR 124打点 30盗塁という圧倒的な成績でCPBL史上初となるトリプルスリーを達成。オフにFA権を取得し国内外球団から注目を集め、一時はKBOサムソンも関心を示していたが3Bを十分に守れなかったことがネックとなり獲得を断念。結果として中信兄弟に3年総額4500万元の大型契約でCPBL史上初のFA移籍を果たし話題を集めた。移籍初年度の昨年は兄弟不動の4番であった彭政閔に代わる新たな4番としてリーグトップタイの34HR、リーグ2位の107打点と大型契約に見合った活躍を見せた。

 今大会では練習試合から4番に固定されており、打棒に関しては信頼を置くことができる存在だが懸案事項は2B守備。大柄な体格で守備範囲が狭く、グラブ捌きも上手いとも言えず昨年は2Bのみで22失策、守備率.948。さらに練習試合でも失策を連発しているため1Bに移り、2Bは林志祥となる可能性も出てきた。国際大会での主な活躍としては06年のドーハアジア大会決勝では高崎(DeNA)から9回に逆転の2点サヨナラ適時打、そして15年のプレミア12では4HRを放ち本塁打王に。今大会ではキャプテンと4番という二つの重責を担うが、そのプレッシャーを力に変える活躍に期待したい。

 

 

林志祥(リン・ジーシャン)Chih-Hsiang Lin 2B〇 3B△

1987.03.08(29歳) 173cm 74kg 右投左打 09年D2位 

高苑工商-中國文化大學-統一代訓-統一(11~)

16年成績:105試合 486打席 .320/.376/.469 得点83 安打139 HR10 打点75 三振74 四球38 盗塁5(成功率41.7%) 守備率.980

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"走攻守そつなくこなす、統一の核弾頭"

 安定した2B守備を誇る統一の1番打者。大学卒業後統一に入団すると2Bレギュラーとして、長打力はないものの13~15年まで3年連続20盗塁を記録した走力と、打率.280以下を下回らない安定感ある打撃を武器に活躍。加えて守備も肩こそ強くはないが脚力を生かした広い守備範囲を誇り、ゴールデングラブを3度獲得。15年からは1番に定着し、昨年は不運な故障に見舞われることがありながらも自己最高の打率.320 10HRをマーク。

 プレミア12では出場した3試合とも全て途中出場、打席も1打席のみと出番は少なかったが今大会も引き続き2Bの林智勝をバックアップする役割となる。しかしここにきてスタメンで2B起用される可能性が浮上。なお3Bも主に13年に2Bと共に守った経験があるため可能ではあるがそれほど上手くはないため緊急時への備えとして考えておくのが無難であろう。ちなみに現在の500元札に載っている台東・南王國小少棒隊のメンバーの中心にいるのがこの林志祥である。

 

 

・3B

 3Bは打力重視のスタメンを組むため、蔣智賢に空けられたといっても過言ではないポジション。こちらも守備を鑑み、リードした終盤は陳鏞基が3Bに回るか。

 

蔣智賢(ジャン・ジーシェン)Chih-Hsien Chiang 3B〇 2B△

1988.02.21(29歳) 183cm 95kg 右投左打 15年D1位 

三民高中-レッドソックスマイナー(06~11)-マリナーズマイナー(11~12)-レンジャーズマイナー(13)-オリオールズマイナー(14)-独立リーグ・高知(15)-中信兄弟(15~)

16年成績:88試合 396打席 .402/.455/.738 得点85 安打141 HR30 打点104 三振43 四球31 盗塁2(成功率50.0%) 守備率.933

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"2年目で真価発揮、左のパワーヒッター"

 高校卒業後マイナーでプレー、元々は2Bだったが課題の守備を考慮し09年からOFに転向。その高いバッティングセンスで11年に打率.302 18HR 86打点の好成績を残すと12年には3Aに昇格し40試合に出場。13~14年は2A、A+で平凡な成績に終わると15年は独立リーグ・高知で今大会のチームメートである林哲瑄と共にプレー。4番として32試合で打率.347 7本 19打点の好成績を残しCPBLのシーズン中ドラフトで1位指名。1年目は環境への適応に時間がかかったかやや平凡な成績に終わったが昨年は本領発揮し打法を神主気味に変えHRを量産。史上最速で30HRを達成し右肩の関節唇を傷めシーズン終盤に約1ヶ月の離脱はあったものの終わってみれば打率4割超えも果たした。

 代表ではその長打力を生かすために3B起用となるが、守備は範囲が非常に狭く、送球も不安定で台湾シリーズでは義大から集中的に三塁方向を狙われることもあった。08年北京五輪予選ラウンドの中国戦では2Bとして出場も延長12回RFからの送球をカットに入らず尻に当てる前代未聞のミスを犯しサヨナラ負けとなった。代表では6番もしくは3番として左の長距離砲として打線を活気づけたい。

 

 

・SS

 今大会のため再びSSに戻った陳鏞基が起用される。バックアップの王勝偉含め内野4ポジションで唯一安心して見ていられるポジション。

 

陳鏞基(チェン・ヨンジ)Yung-Chi Chen SS〇 3B〇

1983.07.13(33歳) 179cm 89kg 右投右打 10年D1位 

高苑工商-國立體院-マリナーズマイナー(04~08)-アスレチックスマイナー(09~10)-パイレーツマイナー(10)-統一(11~)

16年成績:99試合 436打席 .327/.385/.528 得点78 安打129 HR20 打点95 三振87 四球35 盗塁11(成功率84.6%) 守備率.935

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"数々の国際大会を経験、攻守優れたベテラン"

 代表では貴重な安定感ある守備を見せるベテラン。04年からマリナーズのマイナーでプレーし07年には3Aまで上り詰めたがこの年5試合に出場した後肩の古傷が再発しシーズン終了。翌08年も3Aでプレーも6月に膝の故障により手術を受けシーズンアウトと故障と共に闘うマイナー生活を送った。09~10年はアスレチックス、パイレーツでプレーもその多くを2Aで過ごした。11年に統一入団後はマイナーでは2BメインだったポジションをSSに移しレギュラーとして活躍。昨年は打率、HR、打点でキャリアハイの成績を残し4年連続二桁盗塁をマーク。一方守備は膝の古傷を考慮し3Bに本格的にコンバートされたが16失策とやや精彩を欠いた。

 02年から数々の国際大会代表に選出され04年アテネ五輪、05年のIBAFワールドカップ、06年WBC、ドーハアジア大会、10年広州アジア大会、13年WBCなどに出場。15年のプレミア12では10打数ノーヒットに終わったが安定感ある3B守備で貢献。今大会はチームが打力重視のスタメンを組むこともあり国際大会では初めてSSとしてプレーする見込み。本人は「短期の試合なので問題ない」と語るが負担を考慮するとリードした試合では終盤に守備固めを出すか、3Bにポジションを移した方が賢明であろう。打順は2番または7番に入る可能性が高い。本人は今大会が自身最後の国際大会になると話しており、大会にかける意気込みは強い。ベテランの技術と経験が攻守にわたり発揮されることを期待したい。

 

 

王勝偉(ワン・シェンウェイ)Sheng-Wei Wang SS〇 3B〇 2B〇

1984.04.01(32歳) 180cm 73kg 右投右打 06年D1位 

成功商水-台灣體院-兄弟代訓-兄弟(08~13)-中信兄弟(14~)

16年成績:106試合 433打席 .300/.365/.419 得点76 安打113 HR5 打点53 三振45 四球32 盗塁3(成功率42.9%) 守備率.969

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 "ベンチで出番を待つ中信兄弟不動のショート"

 内野のバックアップとして貢献したいベテラン。ルーキーイヤーの08年からSSのレギュラーに定着し2年連続で盗塁王。10年までは1、2番の上位打線を打つことが多かったが11年以降は下位打線を中心に様々な打順で出場。昨年は時折休息を与えられながら一年間出場を続け7年ぶりとなる打率3割を達成するも盗塁3、そして台湾シリーズで打率.190、第3戦で敗戦につながる失策を犯したことが悔やまれる一年となった。今オフにFA権を取得し、2年総額1000万元で契約更改。

 ベースに近づいて立つクラウチング打法のため死球が多く、通算95個は現役1位、歴代でも2位の多さ。最大の武器は7度のゴールデングローブを受賞するほど広い範囲を誇る守備で、若手時代は多かった軽率なミスもここ数年は減少してきた印象。今大会のSSは陳鏞基が基本となるためバックアップとして出番を待つこととなる。とはいえ内野手は打力に偏った選手が多く守備に難があるためSSのみならず3B、2Bもそつなくこなせる彼の存在はベンチに安心感を与えるだろう。

 

 

・LF

 胡金龍が基本となるが、DHに入った場合は張志豪がスタメンに入る。

 

胡金龍(フー・ジンロン)Chin-Lung Hu LF〇

1984.02.02(33歳) 180cm 86kg 右投右打 12年D1位 

南英商工-中國文化大學-ドジャース(03~10)-メッツ(11)-米独立・サザンメリーランド(12)-義大(13~16)-富邦(17~)

16年成績:79試合 362打席 .373/.427/.532 得点73 安打122 HR10 打点55 三振31 四球29 盗塁10(成功率76.9%) 守備率.966

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"台湾でヒットメーカーと化したMLB初の台湾人内野手"

 先頭打者として打線を活気づけたい安打製造機。大学入学後間もなくしてドジャースに入団。SSとして守備能力の高さは早くから評価されておりマイナーで徐々に頭角を現した。07年にはセプテンバーコールアップで台湾人内野手としては初のメジャー昇格を果たし12試合に出場。しかし08年には65試合に出場も打率.181 0HR 9打点とメジャーでは打力に乏しく、以降出場機会が減少。10年オフにメッツへトレードされるも22試合で打率.050と振るわず再契約に至らず。マイナー球団と契約できなかったため12年は米独立でプレーも故障の影響から平凡な成績に終わり一度はゴルファー転向の噂も流れるほどであった。12年に1位指名を受け義大に入団、SSとして開幕を迎えたが肩の違和感から送球難に陥り、守備への自信を失ったこともあり最初の4試合で3失策。以降はLFにコンバートされ上位打線で活躍。14年には最多安打首位打者のタイトルを獲得。15年には更にその打棒が猛威を振るい打率.383 171安打をマーク、2年連続で最多安打首位打者に。昨年は左手指の負傷もあり出場数が減少したが4年連続打率3割、2桁盗塁を達成した。

 苦手なコースなく、特に低めを救い上げてヒットにする技術に長けており、またミート能力と選球眼に長けるため三振と四球の数がほとんど変わらないのが特徴。前回の国際大会出場は10年の広州アジア大会であり、15年のプレミア12は肩の故障により出場を果たせず。06年以来となるWBCでは不動の1番打者としてLFもしくはDHでの起用が濃厚。

 

 

張志豪(ジャン・ジーハオ)Chih-Hao Chang LF〇 CF〇

1987.05.15(29歳) 180cm 81kg 右投左打 09年D2位 

高苑工商-台湾體院-合作金庫-中信代訓-合作金庫-兄弟(10~13)-中信兄弟(14~)

16年成績:70試合 324打席 .322/.375/.603 得点73 安打94 HR17 打点70 三振61 四球20 盗塁7(成功率100%) 守備率.951

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"年々パワーを増す三塁打製造機"

 バントは少なめの攻撃型2番。大学をサボりが理由で退学となった後一念発起し社会人の合作金庫でプレー。07年に中信鯨から4位指名を受け代訓選手として08年は二軍で27試合 打率.373 4HR 20打点の好成績を残すも不幸にもオフに球団が解散。この年行われた解散球団に所属した選手を対象の特別ドラフトでLaNewから3位指名も安定した環境のアマでのプレーを決め再び合作金庫で1年間プレー。09年には3度目のドラフト指名を受け兄弟に入団。当時兄弟は八百長事件により戦力流出が激しかったため監督自ら説得し入団にこぎつけた。1年目からレギュラーとして起用されここ3年は2番に定着。昨年はCPBL記録を更新する開幕30試合連続安打と好調で2度の故障による離脱があり出場は最小の70試合にとどまりながらも打率、HR、打点でキャリアハイを更新した。

 ギャップを抜く打撃と6年連続二桁盗塁をマークした走力を持つ故三塁打が多く、プロ7年間で計54個は既にCPBL歴代一位。2番には入るものの小技はそれほど上手くなく、フリースインガーに近いタイプだが近年は長打力が増しチームでの存在感は年々強まっている。本職のCF守備は範囲が広く特にフェンス際の打球に強い印象だが、一方で昨年も8失策と軽率なミスも目立つ。6年ぶりの国際大会代表となった15年のプレミア12ではカナダ戦で負傷の陽岱鋼に代わって1番CFで先発出場。今大会は胡金龍がDHで出場した場合は2番LFでスタメン起用されるものとみられる。魅せる走塁守備と長打力を兼ね備えた外野手として初のWBCで躍動したい。

 

 

・CF

 林哲瑄がほぼ出続けることとなる。シーズン同様LF胡金龍、RF高國輝となった場合は2人とも守備範囲がそれほど広くないため縦横無尽に動き回る姿が見られそう。

 

林哲瑄(リン・ジェーシュエン)Che-Hsuan Lin CF〇

1988.09.21(28歳) 180cm 90kg 右投右打 15年D1位 

南英商工-レッドソックス(07~12)-アストロズマイナー(13)-レンジャーズマイナー(14)-独立リーグ・高知(15)-義大(15~16)-富邦(17~)

16年成績:107試合 476打席 .345/.434/.570 得点77 安打138 HR22 打点79 三振63 四球54 盗塁12(成功率85.7%) 守備率.981

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"ダイナミックな守備で魅せる身体能力の塊"

 高校卒業後レッドソックスでプレー。マイナー時代から恵まれた身体能力を生かした外野守備と高校時代100m10.79秒をマークした俊足で順調にステップアップし12年にメジャー昇格、9試合に出場。ただ打力が物足りずその年にウェーバーアストロズに移籍、3Aで122試合 打率.234 3HR 42打点と今一つの成績に終わった。レンジャーズとマイナー契約を結んだ14年は強肩を買われて投手転向しRkで14試合に登板、最速95マイルをマーク。15年は外野手として独立リーグ・高知でプレーも34試合 打率.230 2本 3打点と打では貢献できなかったが、CPBLシーズン中ドラフトでセンターラインを強化したかった義大が1位指名。1年目は初安打が満塁HRというド派手なデビューを飾ったが20試合 打率.244 1HR 8打点、9月中旬に左つま先に死球を受け物足りないシーズンを終えた。しかし昨年は開幕から打撃好調で9月には8HRと大爆発。5番もしくは3番を打つまでに飛躍を遂げ、メジャー級との呼び声高い守備力と相まってスター選手に成長。台湾シリーズでもシリーズMVPを獲得と充実の一年となった。

 前回大会は2番CFとして出場も、3大会連続出場となる今回は本人もほとんど経験がない9番打者として上位打線に繋ぐ役割を果たすこととなる。守備力に全体的に不安のある今回スタメン入りする野手では唯一と言っていいほど安心して見ていられる存在であり、難しい打球も簡単に処理し広い範囲を誇る守備は自らのあだ名である"エビ"から「エビ釣り場」と呼ばれるほど。WBCでもそのダイナミックな守備から目が離せない。

 

 

羅國龍(ルォ・グォロン)Guo-Long Luo CF〇 RF〇

1989.06.24(27歳) 176cm 78kg 右投右打 13年D4位 

穀保家商-台北體院-崇越科技-統一(14~)

16年成績:111試合 480打席 .328/.400/.513 得点100 安打138 HR16 打点74 三振91 四球48 盗塁12(成功率70.6%) 守備率.992

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"兄弟でWBC出場果たした守備に定評あるセンター"

 陽岱鋼(巨人)の代替選手となった成長著しい外野手。兄弟4人が全員プロ野球選手として知られる「羅家四兄弟」の三男にあたり、共にWBCに出場する高國輝(富邦)は兄。大学時代から主軸に座りミート力と俊足を武器としていたが、それ以上に注目を集めたのは華麗な守備。11年のワールドベースボールチャレンジでは最高守備選手として表彰。崇越に在籍した13年の春季聯賽では主に1、2番を任され打率.358をマーク。統一入団1年目の14年は後期に一時期2番に定着したがK%が25.3%と環境に適応しきれず。15年は外野競争の激しい中レギュラーとして99試合に出場し打率.306をマーク、11捕殺と高い守備力も健在でゴールデングラブ賞を獲得。昨年は打撃で成長を見せ5月上旬まで打率4割をキープ。また後期だけで11HRと長打力も見せ2年連続でゴールデングラブ賞と充実の一年となった。

 最大の武器であるCF守備は美技を連発することも少なくなく、強肩であり守備の安定感も高い。1月下旬に代替選手として代表参加が決まったがアマ時代から国際大会経験豊富なのも心強い。本職はCFだがアマ時代にはRFも多く守っており緊急時には2ポジションこなすことも可能。今大会では自身が憧れとしている林哲瑄のバックアップとしてベンチで出番を待つこととなる。

 

 

・RF

 打力を生かすため高國輝が基本線。バックアップの張正偉が守備固めと言えるほど上手くないのが泣き所か。

 

高國輝(ガオ・グォフイ)Kuo-Hui Kao RF〇 LF〇 CF△

1985.09.26(31歳) 189cm 95kg 右投右打 12年D2位 

高苑工商-台北體院-マリナーズマイナー(06~12)-義大(13~16)-富邦(17~)

16年成績:104試合 451打席 .286/.368/.617 得点88 安打112 HR34 打点79 三振69 四球49 盗塁6(成功率75.0%) 守備率.986

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"シーズン本塁打記録を持つ3年連続本塁打王"

 富邦が誇る長距離砲。旧名は羅國輝。大学在籍中の06年からマリナーズのマイナーでプレーし10年、11年は2Aでプレーも本塁打は09年A+時の14本が最多とくすぶった印象は否めず。義大1年目の13年から打率.350 15HR 65打点と好成績を残したがオフにシーズン中から患っていた脊髄すべり症の手術を受け一時はシーズン絶望かと噂されたが14年7月中旬に一軍復帰。すると後期だけの出場で18HRを放ち見事本塁打王に。翌15年はさらに成長した姿を見せ39HRを放ちCPBL歴代最多本塁打記録を樹立。昨年は率こそ落としたものの長打力は健在で、3年連続本塁打王。 マイナー時代は5ツール揃った外野手というイメージだったが義大入団後は一転、CPBL屈指のパワーヒッターへと変貌を遂げた。

 打った瞬間に分かる弾道の高いHRが特徴で、昨年の34HR中右方向へのHRは2本のみ。ラミゴのホーム球場である桃園棒球場でHRを量産していることから「桃園王」の異名も。プレミア12では打率.353もHR、打点共になし。しかしキューバ戦で手が滑りながらのバックホームで走者を刺した場面は話題となった。マイナー経験があり国内での実績ある野手としては意外にもこれが初めてのWBC代表。練習試合では当初3番で起用されていたが調子が上がらずここ数試合は6番に下がった。ポジションは昨年も両翼を共にこなしておりスタメンに応じてRF、LFのどちらかに入ることになるだろう。

 

 

張正偉(ジャン・ジェンウェイ)Cheng-Wei Chang RF〇 CF

1986.08.05(30歳) 174cm 74kg 左投左打 08年D7位 

台東體中-開南大學-興農代訓-台灣電力-兄弟(10~13)-中信兄弟(14~)

16年成績:109試合 501打席 .342/.408/.424 得点108 安打149 HR4 打点48 三振41 四球46 盗塁5(成功率50.0%) 守備率.980

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"便利屋として貢献したい中信兄弟不動の1番"

 代表では何でもこなす中信兄弟の安打製造機。08年に興農からドラフト指名を受け、09年は代訓選手として二軍でプレーし打率.409 81安打、首位打者最多安打の二冠という素晴らしい成績を残すも本契約には至らず自由契約選手となり、09年オフに八百長による大規模な戦力流出で補強を望んでいた兄弟に入団。同じ年に入団した張志豪と共に一軍に定着し10年後期からは1番に定着。11年は首位打者最多安打の二冠、12年は2年連続で最多安打のタイトルを獲得。また10~15年までは6年連続でベストナインに選ばれた。昨年は史上2番目の早さで通算1000安打を達成。ここ2年は盗塁数が減少したものの、10年から4年間出ていなかった本塁打を最近3年間は毎年記録と時たま長打も飛び出すようになった。

 広角に打ち分ける打撃で大きなスランプなくコンスタントに安打を量産できるのが特長。一方守備は体を張ったプレーを見せるもののやや苦手としており、特にフライの処理が苦手な印象。今大会では13年WBCと同じく基本はベンチスタートで代走、守備固めとして待機しスタメンで起用される際は2番として戦術の起点となることが予想される。