台湾プロ野球データベース コラム集

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2017CPBLドラフト指名選手リスト 中信兄弟+富邦

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中信兄弟(指名10名)

岳東華(ユエ・ドンホァ) 開南大學 178cm 75kg 21歳 右左 内野手

契約金520万元 月給10万元 出来高160万元(推定) 

 走巧守三拍子揃った打力に優れたSS。15年のウインターリーグでは内野全ポジションを経験し代表ではOFも兼任。昨年のU23ワールドカップでは3Bとしてベストナインに選ばれた。スイングスピードが速く様々な球種に対応し、広角にヒットを放つことができ選球眼も良好。ただSSとしては敏捷性、守備範囲共に平凡なため2B、3Bに将来はポジションを移す可能性もある。打撃では内角低めと変化球の釣り球が弱点だが克服すれば高校の先輩である王柏融(ラミゴ)のように即戦力として一軍の舞台で活躍できるであろう。ユニバーシアード代表のため大会終了後チームに合流する見込み。



黃恩賜(ホァン・エンス) 台灣體大 185cm 98kg 21歳 右左 投手

契約金440万元 月給10万元 出来高不明 

 今ドラフトの投手で一番の大物。当初は海外でのプレーが予想されていたがドラフト参加締め切り日に突如参加を表明。トルネード気味のフォームが特徴だったが昨年後半からのスランプや故障の影響もあってか今年に入ってからはシンプルなフォームに変更。最速151km、先発時でも平均して145km前後の沈む軌道を辿るストレートを内外角低めに投げ分けゴロを生み出し、変化球ではフォークで空振りを奪うケースも多い一方でスライダーとチェンジアップは磨きを重ねる必要がある。制球にムラがあるのが欠点で余計な体力を消耗してしまうケースも。怪我の状況が不安な点ではあるが体調が万全であればエースになれるポテンシャルは秘めている。

 

陳柏豪(チェン・ボーハオ) 西苑高中 178cm 78kg 18歳 右右 投手

 今ドラフトで高卒ナンバー1との呼び声高い右腕。恵まれた体格ではないが全身を目一杯に使った投球を見せ、ストレートは徐々に球速がアップし現在は145キロを超えノビも十分。またスライダーも130kmを超え、縦の落差が鋭く今年のリーグ戦では24IP/29Kと奪三振能力の高さを見せつけた。再現性のないフォームゆえ突然制球を乱すことがあるのが課題だが、プロではスライダー以外にももう一つ使える変化球を身に着ければアップサイドは大きくないものの先発ローテ入りも見えてくるだろう。


蔡齊哲(ツァイ・チージェ) 台東大學 182cm 80kg 21歳 右右 投手

 台東大學初のプロ野球選手。現在までキャリアを全て台東で過ごした生粋の台東人で、高校時代はエースでスタミナは十分も球速は130~135km程度、最速も138kmと目立たない存在だったが大学で最速147km、先発時にも平均140km近くまで出せるようになり今年の春季リーグでは35.1IP/38K/ERA1.78の好成績。カーブ、スライダー、フォークといった変化球はいずれも平均以上で奪三振を多く奪える。課題は球威不足と制球で、ボールが少しでも甘く入ると容易に長打にされてしまう。年齢的にも体格的にも伸びしろが見込めるため将来の先発投手として楽しみな存在だ。

 

吳明鴻(ウー・ミンホン) 中國文化大學 178cm 85kg 22歳 右右 捕手

 国際大会の経験豊富な中國文化大學の元キャプテン。U21ワールドカップ、U23ワールドカップなどに出場。Cとして必要な要素を備え堅実なプレーを見せ、盗塁阻止能力も高い。打力は大学時代から下位打線メインだが粘り強い打撃を見せDHに入ることもあった。映画「KANO」では嘉義高中の一塁手役として出演、ライバル嘉義農林の学生に真っ先にパンチをふるい喧嘩のシーンが始まった。


王鴻程(ワン・ホンチェン) 崇越隼鷹 192cm 91kg 25歳 右右 投手

契約金180万元 月給7.5万元(一軍昇格時に月給変動の可能性あり)

 日本で計8年プレーした火の玉右腕。中学卒業後来日し福岡第一高、日本経済大学でプレー。惜しくも目標だったNPB入りを果たせなかったため15年はBCリーグ・石川に入団、38試合で1勝3敗3S ERA3.41の成績を残し最速153kmもマーク。昨年は兵役の関係で台湾に戻り、その後3年契約で崇越入りし抑えとして活躍。常時150kmを超えてくるストレートが最大の武器で奪三振を多く奪うが、落差の大きい130km後半をマークするフォーク、チェンジアップといった変化球も含めて制球力が課題。またスリークォーターゆえ高身長を生かした角度がなくストレートにも球速ほどの威力を感じることがないのもネック。プロでは少なくとも変化球の精度を高め一軍の勝ちパターンに入りたい。


楊達翔(ヤン・ダーシャン) 新北市 191cm 97kg 23歳 右右 投手

 無名の隠し玉。中学2年時の肘の故障の影響で高校時代はボールを投げることすらできず、5年ぶりにマウンドに上がった大学時代も140km以上は出るようになったものの制球が悪く、目立った実績も残せぬまま卒業。しかしその後國訓を経て新北市へ入団すると曹竣崵投手コーチの熱心な指導もあり大きく成長、制球力も改善され今年の春季リーグでは先発完投、最速149kmを出せるまでになった。2年目のドラフト参加で指名を手にした今後は実戦で自らの存在をアピールすることとなる。

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鄭佳彥(ジェン・ジァイェン) 台北市 184cm 92kg 24歳 左左 投手

 プロで再び輝きを取り戻したい左腕。高校時代に練習量の多さ、史上最多の1試合170球を投げるなど酷使がたたり炎症を起こし手術を考える健康状態だったが、大学では球数をコントロールされたことが幸いし健康を取り戻した。しかしそのような過去の故障歴もあり球速は140km前後、変化球はチェンジアップとスライダーで球速差で打者を惑わす投球に現在はスタイルチェンジしている。中信兄弟では手薄な左のリリーフとして起用されるとみられる。


蔡岱霖(ツァイ・ダイリン) 崇越隼鷹 177cm 81kg 25歳 右右 捕手

 強打の社会人捕手。Cでありながら崇越の4番としてパワーツールにも秀でており、昨年の冬巡賽では大会トップタイとなる3HR。昨年にもドラフト参加を考えたが自身の成績を考慮し引き続き1年間崇越でプレー、二塁送球タイム最速1.79秒をマークした肩に自信がついたとの本人談。大学時代は1B/3Bも守った経験があるもののプロでは打てる捕手としてアピールしていくこととなるだろう。


吳蔚驊(ウー・ウェイホァ) 台中運動家 180cm 92kg 26歳 右右 投手

契約金なし 月給8万元(一軍昇格時に月給変動の可能性あり)

 2年続けて指名された速球派右腕。昨年はドラフト参加者を選抜するテストに遅刻し受験資格を失うも、義大がチャンスを与えた結果149kmをマークし義大から6巡目で指名も契約に至らず。リラックスした腕の振りで145km前後を安定してマークし最速は150km、ストレートは右打者の内角をえぐる軌道をたどり、変化球は右打者にはスライダー、左打者にはナックルカーブを多投する。特に左打者を相手にした際に顕著な制球難が課題で、これは左足を上げ終わった後に後ろにのけぞる動作が制球に影響を与えている可能性がある。26歳と年齢を重ねているもののストレートを武器に即戦力として層の薄い中信兄弟のリリーフ陣に加わりたい。


富邦(指名7名)

楊晉豪(ヤン・ジンハオ) 高苑工商 172cm 74kg 18歳 右左 内野手

 打撃フォームが郭嚴文(ラミゴ)そっくりの高卒SS。1学年上の高校の先輩である申皓瑋に続きドラ1で富邦から指名となった。高1では投手、高2では2B、高3に入ってからSSとポジションを転々とし高3ではキャプテンに。打撃はスイングスピードが速く外角への対応も成熟しており、様々な角度のボールに対し強いフライを放つことができる。一塁到達4.1秒をマークした最大の武器である走力は内野安打を多く生み出し、次の塁を積極的に狙う走塁意識も高い。守備に関してはメインのSS以外にも2B、3Bもこなし、守備範囲の広さが際立ち、投手として140kmを投じるなど強肩。課題は空振りを喫しやすい内角のストレートへの対応とキャッチングの安定感と送球時のステップのスムーズさの向上。富邦の葉君璋監督は「3年かけて育成していく」とコメントしている。

 

陳品捷(チェン・ピンジェ) 徳島インディゴソックス 184cm 80kg 26歳 右左 外野手

契約金なし 月給25万元(今季~18年末) 背番号93

 スピードツールに長けた俊足巧打の外野手。高校卒業後カブス入りすると、12年にAで36盗塁と走力を武器に10~15年までマイナーで2桁盗塁をマークし2Aまで到達。16年5月にトレードでドジャースに移籍も7月にリリース。その後四国アイランドリーグ・徳島に入団し今季途中までプレー、今季は32試合 .280 0HR 11打点 6盗塁。長打力には乏しいもののバットコントロールに優れライナー性の打球を放つことに長けており、マイナー通算のBB%が10.76%とアプローチも上質で上位打線で起用するに適した存在と言える。守備に関しては範囲は広く肩は平均レベル。チームは3位指名の羅國華と共に後期開幕前に契約を済ませ、既に後期開幕戦から出場。CFには林哲瑄がいるためコーナーOFとしての起用が中心になると予想されるが、マイナー1年目でメインに守ったチームの穴である2Bでも早速起用されている。

 

羅國華(ルォ・グォホァ) 高知ファイティングドッグス 180cm 88kg 24歳 右右 投手

契約金なし 月給19万元(今季~19年末) 背番号37

 リリーフとして即戦力の活躍に期待の右腕。高校卒業後ツインズマイナーでプレー、12~14年までRkで平均以上のパフォーマンスもなかなか昇格のチャンスを掴めず。15年は登板こそ19試合のみもERA1.44と安定感を見せ、抑えも任された。RkからAに昇格した昨年もERAは2.60ながら、45IP/31BBと制球が悪化し8月に放出された。マイナーで5年間プレーも大きな成長が見られず、安定感が不足していたことが放出原因ではないかとの本人談。その後米独立でプレーし3試合に登板。今季は四国アイランドリーグ・高知で抑えを任されリーグトップの9S、19試合でERA0.86の好成績。また課題だった制球難も21IP/1BBと改善の兆しを見せた。140キロ台後半を安定してマーク、最速154kmのフォーシームとゴロを生み出すツーシーム、落差の大きいカーブ、チェンジアップを組み合わせ積極的にストライクゾーンを攻める投球スタイル。チームでは早速抑えとして起用される見込み。

 

吳世豪(ウー・シーハオ) 美和高中 178cm 72kg 18歳 右右 投手

 大きな伸びしろを秘める高卒右腕。高1までは野手で、高2から監督の薦めもあり投手に転向。最速144km(平均140km前後)のストレートに約130kmのスライダー、約123キロのチェンジアップが持ち球で、スライダー、チャンジアップは共にストライクゾーンの内外角低めにコントロールできる。制球力も安定しておりピンチにも動じないメンタルを持つ。「チェンジアップのレベルを高め、投手有利のカウントでの自信を身に着ければ2年以内にプロでロングリリーフをこなせるようになる」とは美和高中の臨時投手コーチを務めている葉明煌氏の評価。

 

范國宸(ファン・グォチェン) 台灣體大 183cm 90kg 22歳 右右 内野手

 打力とユーティリティーさを兼備した内野手。高校~大学と中軸を任され、広い範囲に長打を飛ばせる広角打法が持ち味。高校までは主に1Bも大学3年から3Bも守るようになり今では3Bメインに、昨年のウインターリーグでは3B/1B/2Bの3ポジションをこなした。プロでは外角のボールへの弱さを克服し、長打力をもう少し高めたいところ。富邦の野手として唯一ユニバーシアード代表入りを果たした。

 

陳韋奇(チェン・ウェイチー) 開南大學 185cm 95kg 22歳 右右 外野手

 パワーは今ドラフトナンバー1との声もあるOF。速いスイングスピードとパワーで三振を恐れず常にフルスイングする打撃が魅力。一方で打撃のアプローチは未熟で率を残せるタイプではない。また守備に関しては肩は悪くないものの大柄な体格ゆえ範囲は広くなく、コーナーOFを守るものとみられる。昨年のウインターリーグでは宮國(巨人)、横山(阪神)から2HR、今年の春季リーグでも3HRを放った。


陳勤宗(チェン・チンゾン) 台中運動家 180cm 86kg 24歳 右右 内野手

 長打力ある3B。大学卒業後は台東綺麗珊瑚→國訓→台中運動家とアマ3球団でプレー、台中運動家では主に4番3Bとして活躍し1Bもこなす。低めのストレートを苦手とするも外角のストレートを逆方向へ、失投した変化球を強く引っ張れるのが特長。昨年もドラフトに参加したが落選、その後は特に守備の安定感向上に取り組み今回の指名に至った。今年の春季リーグでは2HR、CPBLがドラフト前に実施した新人テストでは参加者唯一HRを放つなど魅力は長打力。富邦の3Bに不足しているパワーを補う存在となりたい。

 

参考:

https://www.sportsv.net/articles/42526

https://www.sportsv.net/articles/42558

https://www.sportsv.net/articles/42585

https://www.sportsv.net/articles/42611

https://www.sportsv.net/articles/42630