台湾プロ野球データベース コラム集

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2020CPBLドラフト指名選手リスト 統一+富邦

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統一(指名10名)

①林子豪(リン・ズーハオ) 平鎮高中 185cm 78kg 18歳 右左 3B/SS

〇コンタクト バットコントロール △体格 アプローチ

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 林益全(富邦)と比較される、高校2年時から高校トップクラスの打者として国内外の大会で活躍した内野手。中学では主に「1番・SS」として活躍、3年時に中学野球リーグの優勝に貢献。高校では金属バットの部でスタートも、17年の台日高中棒球菁英對抗賽で活躍後出場機会を増やし、3番打者に定着。19年のU18ワールドカップでは中軸を打ち.355/.474/.452のスラッシュラインをマークし優勝に貢献。今年5月の王貞治盃ではチームメートの李灝宇の故障により抜けた穴を埋める形で、中学時代以来となるSSを守りスカウトにアピールした。打撃では広角に打てるコンタクト能力と高校トップクラスのバットコントロールが際立っていたが、3年に入りパワーが向上し更にレベルアップ。一方で選球眼には課題を残し、外角のボールに対し当てるだけの打撃や空振りが多い。スピードと運動能力は平均的。185cmとSSにしては高い身長、強肩でキャッチングも安定しているため、3B向きと見られる。体の線がやはりまだ細く、プロでやっていくにはまだまだ鍛える必要があるが、完成した際には高い率を残せる3Bとしてやっていけるだろう。

 

②何恆佑(へ・ヘンヨウ) 穀保家商 185cm 80kg 18歳 右左 1B/2B

〇完成度 バットコントロール スピード △ポジション 高め

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 高校生野手としての完成度に高い評価受ける内野手。中学では3B、SSとしてプレー。1年では出場機会が多くなかったが、2年からスタメンの機会を増やし、3年では3番に固定された。18年の黑豹旗ではベストナイン&最優秀一塁手、19年の玉山盃では最優秀一塁手、今年の高校野球リーグでは全体3位の打率.432、全体1位の16打点と国内の大会でしっかりと数字を残せる安定感が光る。打撃はバットコントロールにも長け、コンタクトとアプローチを兼備し、打球方向の半分以上はセンターから左方向と逆方向へ打つ技術も高い。ただ高めのボールを苦手にし叩きつけゴロアウトになるケースが多く、ミートポイントが遅くプロの球威についていけるかも不安なポイント。スピードも武器で一塁までの到達タイムは約4.1秒、内野安打も多く相手守備のミスも誘っていた。守備は穀保に優秀な内野手が多かったこともあり1Bで固定、強いゴロへの反応も良く、安定した守備力を見せていた。一方で2B/3B/SSを守ることは少なく、技術面では送球までの動作が不安定。なお劉育辰打撃コーチによると統一は2B、SSでの起用を考えているとし、手足が長い分逆方向の動きが多い2BよりはSS向きではとの考えを示している。プロでの生き残りを考えるなら、2Bが現状最適解か。

 

③劉予承(リォウ・ユーチェン) 穀保家商 179cm 75kg 18歳 右右 RHP/SS/3B

〇運動能力 二刀流 フォーク △スタミナ 攻守の安定感

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 まずは投手でプロに挑む二刀流。国際大会に縁はなかったが、19年に補強選手として参加したU18台美熱身賽での投球で自信をつけ、その後の立德盃では高苑工商を相手に7回パーフェクト、今年のU18アジア選手権代表候補22人に残った。ストレートは最速148km、平均でも143km前後をマーク。カーブ、スライダーで球速差をつけ、ホームベースで一気に落ちるフォークを勝負球にする。投手として見るならば3年時の投げ過ぎは懸念材料で、また長いイニングを投げると球速が落ちるのでスタミナをつけたいところ。3年からは投手としての登板が多くなったが、3B/SSもソツなくこなすことができ、野手の評価の方が高いスカウトも。打撃はストレートに強く、引っ張り傾向が強い。守備では特にSSとして打球反応の速さ、守備範囲、肩どれもが平均以上で、走力も高い。今ドラフトに参加する高校生の中でも屈指の運動能力を誇る。一方で野手としては選球眼、守備の安定感を課題とし、アップサイドは大きくないとの見方もある。本人は試合の主導権が握れ、マウンドにいる方が落ち着き自信も出てくるとのことで、投手として今回のドラフトに参加、統一もまずは投手として起用する見込み。

 

④李其峰(リ・チーフォン) カブス 180cm 70kg 22歳 右右 RHP

〇マイナーでの経験 △コントロール 球種不足

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 マイナーで3年間プレーした右腕。興大附農卒業後、カブスマイナー契約カブスの台湾担当スカウトがFacebookに台湾アマの観戦レポートを投稿している女性であることが後に判明し話題となった。しかし契約後肘の靭帯断裂が判明しトミージョン手術、契約金も10万ドルから3万ドルに減額。その後リハビリを経て18年に復帰した。マイナーでの2年間は先発とリリーフ両方で起用され、Rk止まりも計24試合でERA4.85、K/9 7.9、BB/9 2.0とスタッツは悪くなかった。今年は新型コロナウイルスの影響で3月に自らチームを退団し、6月に富邦に自行培訓選手(練習生に相当)として入団、約1か月間二軍でプレーも、9試合でERA7.90と甘いコースに来た失投を打ちこまれたのは気がかり。140km前半のシンカー気味のストレートとスライダーが持ち球で、チェンジアップを現在習得中。若さ、マイナーでの経験はプラスだが、渡米前と比較し大きく成長した点が見られない。本人は先発でのプレーを希望しているが、そのためには変化球のレパートリーを増やしたいところ。

 

⑤姚杰宏(ヤオ・ジェホン) 中国文化大学 184cm 78kg 22歳 右右 RHP

〇スタミナ 球質 △メカニクス 投球過多

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 中国文化大学のエース。中学時代は内野手で高校から肩の強さを買われ投手に転向。大学入学後に右ひざの半月板を損傷し手術を受け、復帰後も球速は130km前後だったが、トレーニングを経て球速を140km前後まで戻した。さらに劉致榮(レッドソックス)が通っていたことで有名になったトレーニングセンター「黑山羊訓練中心」で科学的なトレーニング、さらに徹底した自己管理を行った結果、ストレートが最速148km、平均でも143km前後にまで球速アップ。威力のあるフォーシームとツーシーム、カウント球に用いるカーブ、勝負球のフォークが持ち球で、最近はチェンジアップの習得に励んでいる。また昨年のポップコーンリーグ、大学野球リーグ、そして今年6月の春季リーグで計111イニングを投げるなどスタミナもある所を見せたが、投げ過ぎは心配。特に今年の大学野球リーグの2次リーグ以降は計21.2IP/2Rと好投。その後U-23ワールドカップの強化チーム入りを果たした。世代別代表の経験がない為、新人トライアウトからのドラフト参加。憧れの投手に則本昂大(楽天)を挙げ、制球、ストレートのノビ、フォークを参考にしていると語る。

 

⑥許哲晏(シュ・ジェーイェン) 遠東科技大学 178cm 78kg 22歳 右右 SS

〇SSの経験豊富

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 チームの弱点を埋めたい大卒SS。野球を始めてからずっとSSを守ってきた。先日行われた中職二軍交流賽でも打率.429とアピール。今年のドラフトは高校生野手にSSを本職とする選手が不在だったこともあり、莊韋恩と共に守備力の高い大学生SSとして注目を集めた。統一は近年SSが固定できなかっただけに、即戦力として活躍が期待される。本人はチームメートとなった先輩陳鏞基のように打てるSSが憧れと語るが、内野はどのポジションでも守る意向。

 

⑦林原裕(リン・ユエンユ) 強恕中学 185cm 73kg 18歳 右右 RHP

〇アップサイド △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 今後に期待の高卒右腕。オーバースローから130km前後のストレートにスライダー、カーブもコントロールがアバウトでまだまだこれから磨き上げる必要のある選手。185cmと恵まれた身長があり、また近年は各大会で結果を残せていない強恕中学出身でもあるため、完全に今後の指導者、育成の方法次第で伸びる可能性を秘めた選手と言える。

 

⑧張肇元(ジャン・ジャオユエン) 台東大学 183cm 103kg 22歳 右右 C

〇パワー △アプローチ 守備

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 長打が期待できる捕手。中学時代は4番も、平鎮入学後はチャンスを得られず出場機会が減少。台東大学に入学後も、3年までのパフォーマンスは平凡だったが、4年になりパワーが増しホームランが増加。アプローチの雑さ、変化球への対応は要改善。また体格が太り気味であるため、敏捷性に欠け守備力も平均以下。守備はプロ入り後磨いていく要素が多いが、現状統一には長打が期待できる捕手がいないため、まずは打で結果を残しチャンスを掴みたい。

 

⑨李慶隆(リ・チンロン) 穀保家商 185cm 81kg 18歳 右右 RHP

〇球速 リリーフ経験豊富 △安定性 メカニクス

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 リリーフで期待したい高卒右腕。非凡な野球センスを持ち、中学から145kmをマーク。穀保入学後もリリーフ中心に活躍し球速が148kmまでアップ。その後3年になる夏休みに故障し、復帰後フォームをオーバースローからサイド気味のスリークォーターに修正し制球が改善。しかし球速が一時平均140km前後まで落ち、今も全盛期の球威には完全には戻っていない。ストレートはリリーフでは常時140km前半をマークし、右打者の内角をえぐる軌道を辿る。変化球は右打者にはスライダーとカーブ、左打者にはチェンジアップを多投する。ボールの安定性には欠けるが、リリーフとして打者を抑え込む術は備えている。故障歴があり、また肩に負担のかかりそうなフォームなのでケアには気を付けたい。元興農の李國慶はおじにあたり、学歴をつけ将来の仕事を考慮しての大学進学をアドバイスされたが、家族と話し合った結果自分の希望を尊重し、ドラフト参加を決めた。

 

⑩楊淳弼(ヤン・チュンビ) 国立台湾体育運動大学 184cm 85kg 22歳 左左 LHP

〇投球フォーム メークアップ △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 今ドラフトで最後に指名された左腕。彰化出身で、高校から高雄に移り三民高中に進学。2年時には玉山盃の代表に選出された。球の出所が見辛い投球フォームは、元統一の潘俊榮にそっくりという声も。130km台後半のストレートにスライダーが主な変化球でストレートが決まると威力があるものの、フォームの不安定さも関係してかコントロールが乱れるケースが多い。プロ入り後は左のリリーフとしての起用が見込まれるが、まずはじっくりとフォームを固め制球難を改善させたい。

 

 

富邦(指名9名)

①張進德(ジャン・ジンデ) ジャイアンツ 179cm 102kg 27歳 右左 C

〇守備 △パワー 故障歴

主要国際大会経歴(高校以降) 14年:アジア大会 15年:プレミア12 19年:アジア選手権、プレミア12

 マイナーでキャリアを積んだ捕手。11~18年までパイレーツマイナーでプレー。昨年は45年ぶりにSF所属の台湾人選手となったが、怪我の影響もありRkと2Aで計45試合でOPS.488と不振に陥った。マイナー通算盗塁阻止率37%を誇り、また安定したスローイングも備え守備は高く評価されていた一方で、打撃はパワー不足が否めなかった。今季は新型コロナウイルスの影響、また子供も成長し、マイナーでのプレーが長くなったこともあり、家族と話し合い故郷に戻ることを決断。4月に富邦に自行培訓選手(練習生に相当)として入団。二軍で26試合 打率.444 5HR 17打点 OPS1.227と打棒爆発、盗塁阻止率も30.8%とレベルの違いを示した。ドラフト4日後の7月24日に2.5年契約を結び、翌25日には代走から出場しタイムリーを放ち、單場MVPの活躍。その後もシャープなスイングで外野のギャップを抜く打球を連発、チームの雰囲気も盛り上げている。富邦にいなかった攻守兼備の捕手獲得で後期巻き返しを狙う。

 

②郭俊麟(グォ・ジュンリン 埼玉西武 175cm 76kg 28歳 右右 RHP

〇経験 完成度  △手術 年齢 コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) 10年:IBAFU18ワールドカップ 11年:IBAFワールドカップ 14年:アジア大会、U21ワールドカップ 15年プレミア12 17年:WBC

 故障からの復活に期待の右腕。数々の国際大会で好投しインパクトを残し、大学卒業後、偉大な同郷の先輩である郭泰源の背番号12を与えられ埼玉西武に入団。1年目から即戦力として開幕からローテ入りし21試合3勝7敗 ERA5.31をマークも、その後は不振や故障に苦しみ出場機会が減少。昨季は2試合のみの先発登板にとどまり、オフに戦力外通告を受けた。今季は4月に樂天桃猿に自行培訓選手(練習生に相当)として入団、リリーフとして登板していたが5月15日の味全戦で1球を投げただけで降板。試合後に右肘の靭帯断裂が発覚しトミージョン手術を受けた。復帰は早くとも来季の後期になると見られる。平均145kmのストレートにスライダー、チェンジアップ、カーブを織り交ぜるスタイルもNPBでは制球難とスタミナ不足に苦しんだ。トミージョン手術が指名順位に影響するのではという声もある中での2位指名について洪一中監督は「もし2巡目で指名しなければ、3巡目には残っていなかっただろう。王維中以外では今ドラフト一番の投手」と語っており、彼への期待が伺える。

 

③陳真(チェン・ジェン) 中国文化大学 185cm 92kg 21歳 右右 OF

〇パワー アプローチ △ミート能力 スピード フライ処理

主要国際大会経歴(高校以降) 16年:U18アジア選手権

 即戦力のパワーが魅力の外野手。穀保家商時代から選球眼に長けた好打者として活躍、16年にはU18アジア選手権の代表に選出された。体格が痩せており、長打力は平凡だったが、大学入学後から同級生の劉致榮(レッドソックス)と行っていた朝早くからの猛練習が実を結び、2年までで3本だった公式戦のHRが3年だけで7本と長打力が急成長。今年の大学野球リーグでは3HRで本塁打王を獲得、決勝では余謙からもHR。打撃は常にフルスイングながら、アプローチも成熟しておりしっかりと考えて打席に入れる。一方でミートの正確性に欠け、力ないフライやゴロも多く、外角球への対応を向上させる必要がある。走力は平均以下で、外野守備は肩は平均以上だが、深いフライを追いかけるのを苦手としており打球判断に不安が残る。生まれつきの多指症で、野球を始めた後にグローブが入らなくなったため手術をした経験を持つ。

 

④莊韋恩(ジュアン・ウェイエン) 国立体育大学 170cm 59kg 22歳 右右 SS

〇守備範囲 走力 △守備の安定感 パワー 変化球

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 今年の大学生ナンバー1SS。成德高中ではSSとしてプレーしつつアンダースローのリリーフとしても登板。大学からはSSに専念し主に1番として切り込み隊長の役割を担った。最大の武器は守備と走力で、守備については打球反応の速さと広い守備範囲を有している。送球も動作が素早くどの位置からもしっかりと送球でき、肩も悪くない。ただ試合でのエラーが多く、キャッチングと送球の安定性は改善する必要がある。打撃に関しては体格が小柄で痩せ型のためパワー不足が否めず、スイングの軌道を短くし確実にミートする。4年時には体格も大きくなりスイングスピードとパワーが向上、外野のギャップを抜く長打が出るようになったが、変化球への対応は課題がある。元義大、富邦、味全でプレーした林瑋恩のように小技と華麗な守備で魅せるSSとして活躍を期待したい。

 

⑤林詠翔(リン・ヨンシャン) 高苑工商 176cm 72kg 18歳 右右 RHP

〇ストレート 角度 △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 小柄ながら爆発力のある高卒右腕。トライアウトからドラフトに参加した選手では最初に指名された選手となった。体格は小柄ながらオーバースローでボールに角度がある。先発では137~141km、リリーフでは142~145kmのストレートを投じる。課題はコントロールで、内外角への投げ分けができず、はっきりとしたボール球も多い。カーブ、スライダー、フォークなどを投じるがストレートとリリースポイントが異なるため球種を見破られやすいのも要修正。コントロールを意識してかスピードを抑えているようにも見受けられ、アップサイドへの期待は大きい。しっかりと体作りをしコントロールが改善すれば一軍でもリリーフでチャンスを掴める可能性がある。

 

⑥黃兆維(ホァン・ジャオウェイ) 平鎮高中 185cm 85kg 18歳 右右 1B

〇パワー メークアップ △ポジション スピード

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 過小評価されていた平鎮のパワーヒッター。高校入学後は木製バットに慣れずバットコントロールや変化球への対応を苦手とし結果を残せなかった。しかし3年に入ってからミートの正確性、長打力が向上し李灝宇が不調に陥った時は4番打者に入った。打撃はプルヒッターで常にフルスイング、大きなフォロースルーとパワーヒッターに必要なものを備えている。ライナー性の打球が多いためホームランは多くないが、代表クラスの投手からもしっかりと成績を残しており、今ドラフトの高校生の中でパワーの潜在能力では一番との声もある。今年の高校野球リーグでは1Bでベストナイン王貞治盃では打率.583、9打点は大会トップだった。課題は外角球と高めのストレートへの対応で、打撃技術をもう一段プロでは磨きたい。スピードは平均以下、中学時代は肩も良かったため3Bを守ることもあったが、高校では1Bメイン。しかし出場機会を得るためには敏捷性を高め、1B以外のポジションも守れるようにしておきたい。中学、高校でキャプテンを務め、性格は物静かながらキャプテンシーのある人物である。憧れの選手は朱育賢(樂天桃猿)で、長打力を参考にしたいと語っている。

 

⑦曾峻岳(ツェン・ジュンユエ) 西苑高中 174cm 68kg 18歳 右右 RHP

〇ストレート スタミナ △アップサイド 球種不足

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 西苑のエース。中学ではSS、高校でも入学当初はSSも投手を始めたところ才能が開花。その後は投手メインでSSをたまに守る形となった。ストレートはホップし威力があるフォーシーム、沈むツーシームの二種を投げ分け、最速は146km、先発では137~141km、リリーフでは140~143kmを平均してマークする。コントロールも良く高低の投げ分けはしっかりと出来ているが、内外角への投げ分けは要修正。変化球はカーブを多く投じ、カウント球として用い、また右打者の外角低めに縦に落ちるスライダーを投げ込み三振を奪う。フォークはコントロールが不安定であまり投じない。2年時はスタミナと投球効率の良さを見せたが、3年になってからは疲労からスランプに陥りパフォーマンスにバラつきがあったのは心配な点。小柄でリリースポイントも低く投球に角度がないため、プロでも通用するかは疑問。また先発タイプにしては球種が少ないので現状はリリーフ向きか。本人も球種不足を自覚してかフォーク以外にもチェンジアップを練習している。

 

⑧許宸銘(シュ・チェンミン) 南英商工 178cm 70kg 18歳 右左 SS

〇守備範囲 △肩 パワー

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 許禹壕(樂天桃猿)の弟。南英商工ではキャプテンを務めた。広い守備範囲を誇り、特に三遊間への打球へ軽々と追いつく場面も多いが肩の弱さがネックでアウトを取れない場面もしばしば。打撃は広角に打て外野のギャップを抜く長打はあるものの、ややパワー不足。今年富邦の胡金龍が母校である南英商工のライングループで洪一中監督を批判する投稿をし騒動になったため、彼の指名時は少しだけドラフト中継が沸いた。

 

⑨周奕丞(ジョウ・イーチェン) 台東大学 178cm 80kg 22歳 右左 2B/3B/SS

〇スピード アプローチ 内野3ポジション △肩 攻守の安定感

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 日本での留学経験を持つ内野のユーティリティー。中学卒業後、張奕(オリックス)の紹介で福岡第一高に野球留学。主に外野を守っていたが入学当初は言語面で苦しみ、2年になってからようやく慣れたという。3年時にスライディング時に右肩を脱臼し長期離脱を経験。卒業後も日本の大学からの誘いはなく、一時は野球を辞めることも考えたが、家族の応援もあり国立台湾体育運動大学に進学。しかし3年になる前に出場機会を得るため台東大学に転学した。打球角度はないものの、ボールを遠くを飛ばそうという意識が伺え、ライナー性の二塁打が多く、広角に打球を飛ばせアプローチも我慢強い。また走塁は積極的で盗塁も多い。一方でスイングが安定しておらず、ボールの下を捉えての力ないフライが多く、左投手の球筋への対応も苦手としている。守備は2B/3B/SSを守れ、守備範囲は広いものの肩が弱く、安定感に欠け失策も多い。今年の春季リーグではリーグ2位の打率.575をマークし脚光を浴びた。既に完成度の高い内野手ではあるが富邦では手薄な2Bとしてプレーしチャンスを伺いたい。父の周永慶は味全の練習生としてプレー、今年の冬は川﨑宗則と一緒に自主トレを行った。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

https://www.youtube.com/channel/UCJ8cnUlVCybEsYRoRNwXNbA

Twinkle一瞬之光

https://www.sportsv.net/authors/salada