台湾プロ野球データベース コラム集

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2022CPBLドラフト指名選手リスト 樂天桃猿+統一+中信兄弟

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樂天桃猿(指名8名)

宋嘉翔(ソン・ジャーシャン) 穀保家商 184cm 87kg 19歳 右左 C

〇肩 インサイドワーク 打力向上 △走力

主要国際大会経歴(高校以降) 22年:U-18ワールドカップ

 強肩強打の高卒捕手。高校入学時はレベルの高さに挫折しかけるも、地道に練習を重ねレベルアップ。当初はディフェンシブな捕手との評価も、3年以降は先輩捕手が卒業し出場機会が増加。打撃にも進歩が見られ、今年の玉山盃では打率.667、9打点でベストナインを獲得した。最大の武器は守備で二塁送球が1.9秒~2秒と強肩を誇り、インサイドワーク、フレーミングも良好。穀保家商の周宗志監督からの信頼も厚く、サインもほとんどを自ら出していた。樂天桃猿は林泓育の打力に衰えが見られ、廖健富が肩の故障で将来的な1B転向が噂されている中で、実力のある高卒捕手を1巡目で指名した形となった。本人は3年以内の一軍昇格を目指しているが、早期の昇格も十分にあり得る。

 

陳佳樂(チェン・ジャーレ) 平鎮高中 183cm 88kg 19歳 右左 1B

〇パワー アプローチ △走力 ポジション

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 将来の主軸になれる可能性を秘めた二世選手。父は守備型捕手として活躍した陳瑞昌(元兄弟)。高校1年、2年時は中軸として活躍も3年時は不調に陥り、7番や8番に入ることもあったが、無事上位指名を果たした。打撃が最大の売りで、今年の高卒選手では打撃に最も優れるとの声もある。しっかりとボールを引き付け、速いスイングスピードで長打を生み出し、アプローチも良好。一方で1B守備は平均レベル、走力は体格ゆえ平均以下。1Bレギュラーの陳俊秀が今年34歳で今年はまだホームランがなく、打棒に陰りが見えてきた。即戦力としての活躍は難しく1B専なのがネックだが、樂天桃猿に欠けている長打力ある若手野手となれるか。

 

劉家翔(リョウ・ジャーシャン) 穀保家商 181cm 79kg 18歳 右左 RHP

〇球種 投球数の少なさ アップサイド △変化球のコントロール メンタル

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 これから場数を多く踏みたい右腕。中学まではC兼投手で、高校入学後に膝を傷め約1年実戦から離れた。投手に専念したのは2年からで、リリースポイントが安定せずコントロールに難があったが、3年後半になってから修正されストライク率の向上、平均球速のアップに繋がった。メカニクスはスムーズで、エクステンションも良好。最速149km、平均140~145kmのストレートに、カウント球のナックルカーブ、スライダー、勝負球のフォークと豊富。レベルアップには変化球のコントロールを高めたい。投手に転向して日が浅く、大きな大会での登板も少ないため、今後プロの舞台でメンタルに変化があるかは未知数。高校ではリリーフでの登板が多かったが、先発として育成しても面白い存在だ。

 

邱緯綸(チョウ・ウェイルン) 穀保家商 180cm 86kg 18歳 左左 LHP

〇ストレート リリーフ向き △変化球のコントロール リリースポイント メンタル

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 速球派左腕。下半身がどっしりとしたパワーピッチャーで、高校では主にリリーフとしての登板し、ピンチを多く切り抜けてきた。高校入学時は130kmだったストレートは最速146km、平均139~143kmに成長。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップを投じるがコントロールが課題。またリリースポイントが不安定で、変化球を投げる際の癖が打者に見抜かれている可能性もある。樂天桃猿は左のリリーフの層が薄く、一番の実績がある賴鴻誠も今年34歳。未来の勝ちパターン候補として育てたい。

 

林耀煌(リン・ヤオホァン) 高苑工商 183cm 85kg 19歳 右左 OF

〇守備 アップサイド △パワー

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 俊足巧打タイプが将来像の高卒外野手。1年時は3B、2年からOFを守るようになり、3年からはCFを主に守った。OF守備は安定しており、打球判断も良好。打撃はバットコントロールが良く堅実にヒットを生み出すタイプで、当てに行くスイングが目立ちパワー不足。体の線もまだ細く、プロ入り後のアップサイドに期待。

 

董順傑(ドン・シュンジェ) 大理高中 181cm 80kg 18歳 右左 SS

〇複数ポジション 肩 △打力

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 器用さが売りの高卒SS。高校ではSS兼投手としても登板し最速140km。また今年の玉山盃ではRFとしても出場し美技を披露した。守備範囲は平均ながら、キャッチングが安定しており肩が強い。内外野守れるユーティリティーが将来像か。

 

洪敏暘(ホン・ミンヤン) 三民高中 175cm 85kg 18歳 左左 OF/1B/P

〇二刀流 △体格

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 今後に期待の高卒外野手。離島の澎湖出身で小学校から投手、野手両方でプレーし、高校から高雄に引っ越し三民高中に入学。1年時は肘を痛めた影響で野手としての出場がメイン、2年から再び二刀流としてプレーするようになり、スタメンでは野手、ピンチの場面でリリーフ登板というケースが多かった。今年の高校野球リーグでは1Bとしてベストナインを獲得。また今年の東岸連盟では台鋼ドラフト1位指名の伍祐城からホームランを放った。打撃は藍寅倫(樂天桃猿)と似たスタイルとの評価。投手としても最速143kmで評価は高く、スライダー、チェンジアップ、カットボールを投じる。球団はまず二軍で二刀流として起用する方針。体格が小柄なのがネックだが、一軍で二刀流選手が見られる日に期待したい。

 

舒治浩(シュ・ジーハオ) 陽明高中 177cm 75kg 18歳 右右 RHP

〇ストレート ナックルカーブ スタミナ △体格 投球過多 故障歴

主要国際大会経歴(高校以降) 22年:U-18ワールドカップ

 陽明高中から初のプロ入りを果たした右腕。双子の弟の舒治偉とは小中高チームメイトだった。高校3年時の黒豹旗で高苑工商を相手に完封勝利を挙げたことから、その名を挙げた。速い腕の振りから先発では142~146km、リリーフでは常時145kmを超えるストレートは空振りを奪え、内外角への投げ分けも良好。変化球はナックルカーブを武器としており、落差をしっかりコントロールできる。またフォークも投球比率は少ないが大きな落差を誇る。ストレートを投げる際に一塁方向に倒れこみすぎる癖は要修正。先発として回を重ねた後も球速が大きく落ちず、先発とリリーフ両方をこなせるが、ここまでの順位で残っていたのは薄い体型、高校時代の投げ過ぎ、中学卒業前に靭帯を断裂し復帰までに1年半を要した点が影響していそうだ。

 

統一(指名8名)

黃勇傳(ホァン・ヨンチュアン) 平鎮高中 173cm 82kg 18歳 右左 2B

〇バットコントロール アプローチ 守備範囲 △外角 体格

主要国際大会経歴(高校以降) 22年:U-18ワールドカップ

 卓越した打撃センスが光る高卒内野手。強豪の平鎮高中で1年からレギュラーを掴み取り、1年と3年の黒豹旗ではベストナイン、今年の高校野球リーグでは野手MVPを獲得。台鋼にドラフト1位指名されたSSの曾子祐との二遊間コンビは高校の先輩である林靖凱(統一)、江坤宇(中信兄弟)コンビに匹敵するとの声も。天性のバットコントロールを持ち、粘り強いアプローチで失投を仕留める。小柄ながら外野の頭を超えられるパワーも備えている。課題は外角球への対応で、当てるだけのスイングになる場面が多い。本人が一番自信があると語る2B守備は範囲が広くセンスの良さを見せる。ただ、高校入学後に比べて体格ががっちりとしており、スピードや体の敏捷性が落ちている点と、ボールを引き付けるあまり詰まった逆方向への打球も多く、プロの投手のレベルに苦労する可能性が高いのが心配。野球センスに頼ってプレーしてきた点も多いため、しっかりとした技術を身に着け、レベルアップしたい。将来像は広角に安打を重ねる陳傑憲(統一)のような1番打者だ。

 

林培緯(リン・ペイウェイ) 大理高中 188cm 92kg 18歳 右右 1B/3B

〇パワー 肩 メークアップ △アプローチ 走力

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 プロでパワーヒッターになれる資質を秘めた内野手。元々はバトミントンをしていたが、野球の才能を見込まれ中学2年時に野球を始めた。3年時には腰痛に苦しみ、リハビリに費やしたが、大理高中入学後は1年から打撃を活かし活躍。今年の玉山盃では1Bでベストナイン。打撃は1学年上の先輩である李展毅(味全)のようなパワーヒッターで、どっしりとした体型から速いスイングスピードで強烈な打球を飛ばす。ただバットコントロールは平凡のためミスショットも多い。アプローチも要改善で、低めの変化球や高めの吊り球に手を出すケースが多く、空振りも高い。肩は平均以上で3Bを無難にこなせる。走力は平均以下。運動能力からはどちらかというと1B向きか。統一は近年1Bレギュラーが定まっていない状況が続いているため、1Bメインで他ポジションも守れる中長距離砲として育成したいところ。林岳平監督はOFも練習させるプランを明かしている。

 

林詔恩(リン・ジャオエン) 平鎮高中 177cm 70kg 18歳 左左 LHP

〇投球フォーム ストレート △対右打者 変化球

主要国際大会経歴(高校以降) 22年:U-18ワールドカップ

 完成度が高い平鎮の左腕エース。中学までは投手兼OFで、高校から投手に専念。昨年の高校野球リーグでは4勝、防御率0.00の活躍でMVP、玉山盃ではベストナイン、今年の王貞治盃では防御率0.00で投手賞を獲得と結果を残してきた。体格には恵まれないものの、上から投げ下ろすフォームから、ステップ幅の長さと長いエクステンションを生かし、打者に近い所でリリースでき、球速以上の球威を感じさせる。最速143km、平均137~141kmのストレートは内外角へのコントロールも良く、高い空振り率を誇る。縦に落ちるスライダーは威力はあるもののコントロールは平凡で、カーブはコントロールに苦しみ、ストライク率も低いため修正が必要。チェンジアップは右打者の外角に落とし打者のリズムを崩す。対左打者を上手く料理できる一方で、対右打者には球数が多くなる傾向がある。負担の大きい投球フォームのため、プロ入り後は先発として長いシーズンに耐えられるスタミナがあるかが気になるところ。左殺しのリリーフとしても面白い存在だ。

 

宋文華(ソン・ウェンホァ) パドレス 185cm 90kg 26歳 右右 RHP

〇変化球 △コントロール 投球フォーム

主要国際大会経歴(高校以降) 13年:U-18ワールドカップ

 CPBL奪三振マシーンになる可能性を秘めた右腕。宋家豪(楽天)はいとこ。小学生時代から突出した実力で大きく注目され、平鎮高中3年時には153kmをマーク。U-18ワールドカップでは抑えを任された。国立体育大学を卒業後、契約金67.5万ドルでパドレスに入団。17年は投球フォームの修正に取り組んだため登板が無かったが、18~19年はA-で計40試合に登板、昨季はA+で23試合 ERA2.52と結果を残すと、今季はA+で7試合 ERA2.35、3Aでも4試合 ERA1.50とメジャーリーグが見える所まで来ていたが、その後コロナ感染もありRkに落とされたことも影響してか、6月に自ら台湾に戻ることを決意。ストレートは145km前後と以前より球速は落ちているがノビで補っており、縦に大きく落ちるカーブとフォークと組み合わせ空振りを奪え、マイナー通算のK/9は12.9。一方でコントロールには苦しんでおり、マイナー通算のBB/9は4.1。アーム投げでボールが体から離れるフォームのため、故障リスクが気になるところ。マイナーでは計74試合全てがリリーフということもあり、今季は勝ちパターンとして実戦投入される可能性が高い。

 

尹柏淮(イン・ボーホァイ) 白河商工 176cm 95kg 18歳 右右 RHP

〇ストレート メンタル △コントロール 故障

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 リリーフとして活躍したい「台湾の平良海馬」。ダブルエースとしてチームを支えた中信兄弟4位指名の阮裕智と共に、白河商工から初のプロ野球選手となった。中学3年時に肘の靭帯を傷め野球を諦めかけるも、野球部ができたばかりの白河商工に入学。1年をリハビリに費やした後、2年から実戦復帰すると球速が大幅にアップし、最速は153km。上背はないものの爆発力があり、ストレートは右打者の内角に食い込む軌道を辿る。平均でも140km台後半を安定してマークし、空振り率も高い。内角へのコントロールが改善されればよりクオリティの高いボールになる。主な変化球は縦に落ちるスライダーでカウント球、勝負球の両方で用いる。他は投球比率が少ないながらカーブ、チェンジアップを投じるが。リリーフとして勝負所を切り抜けた経験も多く、勝負度胸があるため、プロでも勝ちパターンでのリリーフが将来像。チームの先輩である王鏡銘のキャリア前半のような力で押す投球を見せたい。

 

田子杰(ティエン・ズージェ) 平鎮高中 175cm 74kg 19歳 左左 OF

〇アプローチ 肩 △パワー 高め

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 高校で打撃が順調にステップアップした外野手。中学まではOF兼投手も、高校入学後はOFメインに。打順は1年では9番、2年では2番中心に6番、7番も打ち、3年に入り3番で固定された。昨年、今年の高校野球リーグではベストナインを獲得。低めのボールをミートする能力に長け、広角に打球を飛ばす。また粘り強いアプローチで、空振りが少なく、ボール球を追いかけることも少ない。パワー不足なため長打は少なく、高めのボールへの対応は要改善。走力は平均レベルで、LF、RFがメインのOF守備は守備範囲は平均レベル、肩は平均以上。投手としても評価する一部スカウトの声もあるが、高校以降は登板機会が少なく、プロ入り後はOFでプレーすることになりそうだ。全盛期に差し掛かっているOFレギュラー陣の壁に挑むには時間を要しそうだが、焦らず走攻守のレベルを高めたい。

 

鄭副豪(ジェン・フーハオ) 台北市立大学 183cm 74kg 22歳 右右 RHP

〇ストレート アップサイド △実績

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 潜在能力に期待の右腕。高校では先発、リリーフ両方で起用された。大学に入学後はリリーフとして起用されるも3年間は低迷し出場機会も少なかったが、4年になってから140kmをマークすると、平均143km前後まで球速がアップし、最速は148kmを出すまでに成長。郭俊麟(富邦)に似た投球フォームから繰り出すストレートにはノビがあり、変化球は125km前後のスライダーと稀にフォークを投じる。細身の体格のためアップサイドに期待。下位指名ではあるが、球威も一定あるため右のリリーフとして早期の一軍昇格も見込める。

 

潘磊(パン・レイ) 高苑工商 184cm 95kg 18歳 右左 C

〇コンタクト 盗塁阻止能力 △アプローチ インサイドワーク ブロッキング

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 廖健富(樂天桃猿)のような存在となりたい打てる捕手。台東出身の排湾族で、高校から高雄に引っ越し高苑工商でプレー。1学年先輩の捕手には毛英傑(樂天桃猿)がいたため、1年時は出場機会が少なかったが、2年からは1Bで出場機会を増やし、3年からはレギュラー捕手に。打撃はコンタクト能力に長け、チャンスでの集中力も高い。今年の高校野球リーグでは打率.360、14打点でベストナインを獲得。一方で一度前傾してからスイングするためパワーを生かし切れていない感があり、打撃フォームは修正が必要。またアプローチも要改善。守備はスカウトからもまだ時間がかかるとの評価で、盗塁阻止能力には長けるものの、インサイドワークやブロッキングはこれからプロで磨きをかける形となりそうだ。統一は昨年同じ高卒捕手で張翔を獲得したが、さらなる捕手陣の強化を図った形となった。

 

中信兄弟(指名9名)

鄭浩均(ジェン・ハオジュン) 米独立 191cm 93kg 24歳 右右 RHP

〇ストレート △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:世界大学野球選手権 18年:U-23ワールドカップ 21年:U-23ワールドカップ

 球威で押したい長身右腕。桃園農工(現・北科附工)を卒業し、国立体育大学進学後は2年まで球速が伸び悩むも、その後復調し国際大会に2度出場。大学卒業時はCPBLドラフトでも全体1位指名も狙えるほどの高い評価もアメリカでのプレーを選択し、19年にドジャースと契約。20年はマイナーリーグが開催されず台湾でアマ主催の大会やポップコーンリーグでプレーしブランクを補い、9月にはU-23ワールドカップで2試合にリリーフ登板し自己最速の154kmをマーク。昨季はRkで7試合全てにリリーフ登板しERA5.40。今季はアメリカの独立リーグアメリカンアソシエーションでプレー、10試合(3先発)でERA10.47、K/9・7.2、BB/9・7.7と制球力が課題。陽岱鋼(元巨人)とはチームメイトで、グラウンド内外で多くのことを学んだという。リリーフとして平均150kmをマークするストレートと、カーブが主な持ち球。勝ちパターンが固定しきれていない中信兄弟では7、8回を任される可能性が高い。

 

徐基麟(シュ・ジーリン) フィリーズ 188cm 92kg 23歳 右右 RHP

〇投球術 △故障 経験

主要国際大会経歴(高校以降) 17年:U-18ワールドカップ 21年:U-23ワールドカップ

 アメリカでの経験を台湾で活かしたい右腕。三民高中のエースとして活躍し、卒業後フィリーズに入団。19年は故障の影響でRkで1試合の登板のみに終わり、21年はRkで5試合 ERA4.85、Aで2試合 ERA3.38と登板機会に恵まれず。同年はU-23ワールドカップ代表に選出され2試合で4.1IP/1Rと好投。今年1月にリリースされたが、これは本人が希望したとの噂もある。4月から5月までは樂天桃猿の自行培訓選手(練習生に相当)として調整。その後杭州アジア大会の強化チームのメンバーに選出された。144km前後のツーシームにスライダー、大きく落ちるチェンジアップと、ボールを動かして打ち取る投球が持ち味。フロントドア、バックドアも有効に使え、投球の引き出しが多いのもメリット。17年に右肘の靭帯断裂でPRP治療を受け、渡米後もリハビリに長い時間を費やした過去があり、健康面に不安が残る。(U-18ワールドカップは故障のため出場無し)また登板機会がRk、Aの数少ない試合しかなく、実戦経験不足も気になるところ。中信兄弟はポテンシャルを評価し上位指名に至ったと考えられ、即戦力としての起用が見込まれる。

 

馮皓(フォン・ハオ) 穀保家商 180cm 79kg 19歳 右右 RHP

〇完成度 変化球 メンタル △アップサイド

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 高い完成度を誇る右腕。中学卒業時に140kmをマークした有望株で、穀保家商に入学後は1年から147kmをマーク。2年時の黒豹旗と王貞治盃では投手賞を獲得と、エースとして実績を積み上げてきた。ゆったりと足を上げるフォームから、最速147km、平均138~143kmのストレートはコントロールも良好で内外角のコースをしっかりと突ける。変化球もカーブ、スライダー、チェンジアップもコントロール良く、高いレベルで扱え、今年からはカットボールも実戦投入。中学まではSSも守っていたためフィールディングも良く、長いイニングを投げてもメンタルに大きな起伏もなく安定している。高卒投手として完成度は高いが、1年で147kmをマークして以降は大きな成長がなく、ハイフロアーな投手と言える。プロではイニングイーター向きの先発投手になりそうだ。

 

阮裕智(ルァン・ユージ) 白河商工 180cm 85kg 18歳 右左 RHP

〇コントロール △アップサイド

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 制球力に優れた右腕。中学2年時に野球への情熱がなくなり、中学の野球部を退部し地域の野球サークルでプレー。白河商工でも引き続きサークルでプレーする予定だったが、発足したばかりの野球部に惹かれ、入部した経緯がある。高校入学後は球速を120kmから大幅にアップさせ、ストレートは最速147km、平均139~143km。変化球はカーブとスライダーがメインで、チェンジアップは発展途上。内外角コーナーへの投げ分けのコントロールに長ける。手足が短く体格には恵まれていないため、アップサイドは小さいとみられる。変化球の精度、先発投手として将来的にローテーション下位に入れるか。

 

盧孟揚(ルー・モンヤン) 東石高中 185cm 65kg 18歳 右右 RHP

〇球種 アップサイド △スタミナ 変化球の精度

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 器用さが光る細身の右腕。昨年の玉山盃では東石高中初の3位に貢献。中学の先輩である劉致榮(レッドソックス)を参考にした、足を高く上げる投球フォームが特徴で、長い手足を生かしたメカニクスはスムーズ。フォーシームは最速147km、平均138~142kmで、ツーシームも投じる。変化球はカウント球としてナックルカーブを用い、他にもチェンジアップ、スライダー、フォークと球種は豊富だが、クオリティは今一つ。体質のため太ることが難しく細身の体型だが、それゆえ球威を維持したまま長いイニングを投げることは難しいため、二軍でじっくりと体を大きくしていきたい。

 

陳柏均(チェン・ボージュン) 国立台湾体育運動大学 175cm 77kg 21歳 左左 LHP

〇球威 △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 力のあるボールを投げる左腕。双子の兄で、弟の陳致均とは小学校から大学まで共に同じ学校でプレーし、13年のU12ワールドカップ、16年のU15ワールドカップでは共に代表入り。平鎮高中では主に金属バットの部でプレー。最速はCPBLトライアウトでマークした143kmで変化球はカーブ、スライダーを投じる。メカニクスは上半身頼みのため、コントロールにばらつきが出ており、プロでは修正が必要。現状では球威を生かしたリリーフ向きか。

 

張祖恩(ジャン・ズーエン) 興大附農 180cm 73kg 18歳 左左 LHP

〇スタミナ 健康 アップサイド △球威 コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 今後の成長に期待の左腕。中学まではOF兼投手で、高校から投手に専念。1年から2年の夏休みに大きく成長し、2年からエースに。スムーズなメカニクス、デリバリーから投じるストレートは平均135km前後で、台鋼が行ったトライアウトで自己最速となる141kmをマーク。変化球は横方向に鋭く曲がるスライダー、空振りが奪えるチェンジアップ、発展途上のカーブを投じる。長いイニングを投げられるスタミナも持ち合わせるが、球威不足で粘られ球数がかさむケースが多い。完成度は低いものの細身の体格ゆえアップサイドが見込め、右打者を苦にしない投球スタイルのため、先発投手として大きく育てたい。

 

潘泓凱(パン・ホンカイ) 合作金庫 177cm 80kg 25歳 右右 C

〇パワー

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 退路を断って見事プロ入りを果たした捕手。09年のリトルリーグワールドシリーズでは宋文華(統一ドラフト4位指名)、歐晉(味全)、高宇杰(中信兄弟)とチームメイトで優勝に貢献した。平鎮高中、輔仁大学を卒業後、社会人の強豪2チームである台湾電力、合作金庫でプレー。どちらかと言えば守備力よりも打力に優れる捕手。中信兄弟の捕手陣は黃鈞聲と陳家駒が今年33歳になり、中堅である吳明鴻も二軍で結果を残せておらず、社会人捕手を獲得した形か。

 

李承恩(リ・チェンエン) 桃園市 168cm 83kg 26歳 右右 2B/SS

〇パワー △体格 年齢

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:世界大学野球選手権 18年:U-23ワールドカップ

 小柄なオールドルーキー。平鎮高中、国立体育大学を卒業後、社会人の安永鮮物、桃園市でプレー。18年にはU-23ワールドカップ代表に選出され、日本戦では塹江敦哉(広島)からホームランを放った。国際大会の経験もある実力者ながら、今回が3度目のドラフト参加での指名という苦労人。打撃はパンチ力があり、守備では2B/SSを守れるが、年齢と小柄な体格がネック。中信兄弟の内野にはプロスペクトが多く控えており、二軍でも優先的に使われることは少ないと予想されるが、どこまで結果を残せるか。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

https://taiwanbaseballnotes.com/

小楓康

https://www.sportsv.net/articles/95992

logic

https://www.sportsv.net/articles/93442