台湾プロ野球データベース コラム集

ホームページ「台湾プロ野球データベース」(http://cpbldatabase.jimdo.com/)のコラムを掲載しています。

2016CPBLドラフト指名選手リスト 中信兄弟+ラミゴ

f:id:cpbldatabase:20160727024620j:plain

 

f:id:cpbldatabase:20160727024648j:plain

*1

※本記事で紹介する選手はドラフトで指名された選手であり、全員が契約に至ったわけではありません(仮に契約に至らなかった場合は追記します)

 

中信兄弟(指名10名)

陳琥(チェン・フー) 穀保家商 180cm 99kg 18歳 右左 投手

契約金520万元 月給6万元 出来高100万元 背番号62

 まずは投手として一軍定着を目指す「台湾の大谷」。今年の玉山盃では投手とDHの二刀流としてMVPに輝き新北市の優勝に貢献、また昨年のU18W杯に続き今年もU18アジア選手権代表に選出された。どっしりとした体格から投手としては最速147kmをマークし、コマンドも良好。主な変化球はカーブであるがフォークも習得中との情報も。野手としては内外角のボールに対して的確にミートする巧さを持ち合わせ率を残せるタイプ。チームは投手が不足していること、DHの候補が多い現状を考慮しまず先発として育成する方針。最速でも来年7月1日に一軍昇格させるとのことで、二軍でまずはじっくりと体作りとなる。

 

詹子賢(ジャン・ズーシェン) 中國文化大學 183cm 93kg 22歳 右右 外野手

契約金420万元 月給9万元 出来高80万元 背番号39(17年末まで契約)

 失投は逃さない、パワーが売りの外野手。高校2年生まで投手として名を馳せ、高1で最速146kmをマーク。しかし高2時に故障がきっかけでイップスにかかり外野手に転向。大学進学後は1、2年時には目立った成績を残せなかったものの3年から結果を残し始め中軸に座るようになり、大学の先輩である王柏融(ラミゴ)の後を継ぐ形で4番に入ることもあった。昨年のウインターリーグではチーム最多の15試合に出場し.354/.436/.500 1HR 12打点、今年の春季リーグでは打率.513 17打点の二冠とここ最近の大会でのスタッツが良好。守備は判断能力は悪くないものの走力が特別あるわけではないため職棒ではコーナーOFが無難か。打席に入る際体を沈ませ腰を左右に振るルーティーンが特徴。

 

楊志(ヤン・ジーロン) 中國文化大學 189cm 95kg 23歳 右右 投手

契約金340万元 月給8.5万元 出来高80万元(17年末まで契約)

 大卒投手としては今ドラフト最高の評価を受ける右腕。国際大会の経験も豊富で大学ではエースとして君臨。14年にアジア大会代表のアメリカ遠征、NCAAとの練習試合で6回無失点、9Kを奪う好投でスカウトの注目を集めた。その後もU21代表入りし優勝に貢献、昨年もユニバ代表入りを果たしたが右肘の炎症で4か月の離脱を余儀なくされ出場不可となり補充役の資格を取得できず10月から替代役として國訓でプレー、ドラフト参加は叶わなかった。先発時は130km代後半~140km代中盤をマークする角度あるストレート(最速147km)にカーブ、フォークを組み合わせるスタイルで、安定してストライクを取ることが可能。故障の影響で球速が少し落ちているのが心配だが以前はスリークォーターだったフォームも6月からオーバースローに修正。リリーフとしての経験もありチームは一軍の即戦力リリーフとして起用する可能性が高い。ただ退役は9月27日であり今シーズンの登板があるかは微妙といえる。

 

吳東融(ウー・ドンロン) 崇越隼鷹 173cm 70kg 24歳 右右 内野手

契約金280万元 月給8万元 出来高80万元(17年末まで契約)

 アマ最高のSSとの声もある即戦力。ラミゴから5巡目で指名された馮健庭は國訓での二遊間コンビ。小柄な体格ながら肩、守備力、走力共にプロでも即通用する高いレベルにある。中学卒業後近大新宮高校に留学、その後帰国し穀保家商→國立體大と進学。大学を卒業し兵役を終えた後は國訓に在籍し1番SSとしてプレー、弱点である打撃の向上に取り組み長打力が向上した。チームは不動のSS王勝偉が32歳となりそろそろ世代交代を考える必要があるが、安定感あるセンターラインの後継者として期待がかかる。

 

林書逸(リン・シューイ) 國訓 181cm 78kg 23歳 右左 内野手

契約金230万元 月給7.5万元 出来高100万元(17年末まで契約)

 内外野こなせる器用さが武器の選手。大学は強豪中國文化大學に在籍しながら目立った情報はなく、12年の春季リーグで打率.444(2位)15盗塁(4位)、15年の春季リーグで打率.429(10位)をマーク。ドラフトでは内野手として指名されるも昨年の替代役は外野手として資格を得た。OFは3ポジションとも難なくこなすが、國訓では3Bも守るようになりプロへの準備を整えた。

 

陳子鴻(チェン・ズーホン) 國訓 180cm 93kg 23歳 右右 内野手

契約金180万元 月給7万元 出来高50万元(17年末まで契約)

 パワーを秘める右打者。中学卒業後江の川学園石見智翠館野球留学、その後帰国し開南大學の日本語学科に進学。大学ではOFメインだったが國訓では1B、3Bも守り始めるようになった。大学ではアッパースイング気味だったスイングから長打を生み出していたが國訓ではシンプルなスイングを意識するようになってか力任せのスイングが減少。ただ内角も恐れない打撃スタイルのため死球も少なくない。

 

陳文杰(チェン・ウェンジェ) 花蓮體中 181cm 75kg 18歳 右左 外野手

契約金120万元 月給5万元 出来高50万元(19年末まで契約)

 アマの選手としては現在最新のサイクルヒット達成者。昨年の高校野球リーグで1番打者としてサイクルヒットを達成。CFを守り1、2番に入り選球眼も良く広角に打球を飛ばせる。國立體大に原住民枠として合格が決まっていた中での指名となった。

 

李吳永衡(リーウ・ヨンヘン) 高苑工商 175cm 80kg 18歳 左左 投手

契約金90万元 月給5万元 出来高50万元(19年末まで契約)

 台湾の甲子園で躍動した左腕。高校では主にリリーフとしてプレー、1、2年時はフォームが安定せずストライクが入らないなど苦しむも3年から安定。昨年の台湾の高校野球大会「黒豹旗」では決勝戦で2番手として7.2IP/1Rと好投し優勝の立役者となり、大会MVPも獲得した。ストレートは平均130km中盤と平凡もコマンド能力の高さが光る。持ち球はスライダー、カーブ。

 

黃稚峰(ホァン・ジーフォン) 輔仁大學 182cm 85kg 23歳 右右 外野手

契約金60万元 月給5.5万元 出来高30万元(17年末まで契約)

 情報が非常に少ない外野手。高校は平鎮高中、大学も輔仁大學と強豪校に在籍しており大会にもコンスタントに出場しているようだが、特筆すべき結果は残せていない様子。ポジションはRFがメインのようだ。

 

吳哲源(ウー・ジェユエン) 高苑科技大學 175cm 70kg 21歳 右右 投手

契約金30万元 月給5.5万元 出来高30万元(18年末まで契約)

 こちらも情報の少ない選手。大学入学当初は内野手だったが、その後投手に転向。CPBL新人テストでは最速143kmをマーク。

 

 

ラミゴ(指名8名)

張閔勛(ジャン・ミンシュン) 中國文化大學 178cm 80kg 21歳 右右 捕手

契約金460万元 月給9万元 出来高50万元 背番号86

 リーダーシップで投手を引っ張る攻守兼ね備えた捕手。大学3年から徐々に頭角を現し、近年の国際大会では14年のU21、昨年の光州ユニバ、アジア選手権でも主力捕手としてマスクを被った。配球と正確なスローイングにも評価が高く、打撃は長打こそ少ないが確実にボールを捕らえヒットを生み出す。チームの主力捕手は林泓育、劉時豪、黃浩然といるもののフルシーズンを任せられる捕手がおらず、即戦力捕手を求めていた中での1巡目指名となった。ドラフト指名から4日後に契約、17日後に二軍戦を経ずに一軍戦でスタメンマスクは球団の期待の表れといえる。
 

楊岱均(ヤン・ダイジュン) 國立體大 173cm 85kg 22歳 右右 内野手

契約金400万元 月給8.5万元 背番号36

 若くして代表経験豊富な「台湾のキャプテン」。高校時代から代表の常連であり、大学進学後は5度キャプテンとして代表チームを引っ張った。代表では主に3、4番に入り右の大砲として長打力に高い評価を受ける。本職は1Bだがプロ入りに備え出場機会を増やすため今年から中学以来となる3B守備にも挑戦、一時100kgを越えた体重も大幅減量。入団後すぐに一軍登録されたものの1Bには陳俊秀、3Bには林智平とレギュラーが控えており代打からどこまで機会を得られるか注目したい。楊承駿(義大)の弟にあたる。

 

劉昱言(リョウ・ユーイェン) 開南大學 179cm 67kg 21歳 左左 投手

契約金320万元 月給8万元 出来高40万元 背番号37

 球速差で打者を抑える「小さなカーショー」。2014年にはU-21代表として日本戦に先発、試合に敗れはしたが5回無失点の快投を見せた。しかしその後上腕骨を疲労骨折し昨年8月にようやく完全復帰となった。大学の監督である郭李建夫からのアドバイスもあり球速アップのためカーショー(ドジャース)を参考にフォームを改造、これにより制球力もアップしたとの本人談。最速145kmのストレートと質の高いカーブ、チェンジアップとのコンビネーション。

 

森榮鴻(セン・ロンホン) 國立體大 183cm 83kg 21歳 右右 投手

→契約に至らず

 故障からの復活果たした右腕。2012年AAA世界選手権では曾仁和(カブス)とのダブルエースとして活躍、12年のWBC予選では代表入りするなど順調な成長ぶりを見せていたが、その後肘を傷め手術を行い復帰するも今度は登板中に肘の靱帯を損傷、トミージョン手術により大学在籍中は約3年半のリハビリを余儀なくされ、今年の春季リーグが久々の登板となった。7月の台湾アメリ大学野球交流試合ではリリーフとして最速151kmをマーク、連投もこなしラミゴも即戦力として指名したが、指名順位が低かったこともあり契約せず来年のドラフトに参加する可能性もある。持ち球はスライダーとチェンジアップ、制球はやや不安定。張志豪(中信兄弟)の甥にあたり、ドラフトの志望届提出も彼が付き添った。

 

 

馮健庭(フォン・ジェンティン) 崇越科技 182cm 85kg 24歳 右右 内野手

契約金210万元 月給7万元 出来高100万元 背番号45

 大型2B。崇越では主に2、3番に入り活躍、守備力よりも打力が優れた選手といえポップコーンリーグではリーグ4位の8打点。ポップコーンリーグでは開幕戦で記念すべきリーグ初安打を放った。ラミゴの2Bにはレギュラー郭嚴文がおり、二遊間を守れる選手も豊富でライバルは多いがまずは打力でアピールしたい。

 

江忠垣(ジャン・ジョンユエン) 成德高中 184cm 73kg 18歳 右右 捕手

契約金140万元 月給5万元 出来高100万元 背番号5

 将来性に期待したい高卒捕手。國立體大に合格していたがプロ入りを選択、成德高中からは初めてのプロ野球選手となった。高校の監督からは「高校球界では一、二を争う守備能力を持っている」と評されるディフェンス面で秀でた捕手。ドラフト1位で張閔勛が加入したため将来の有望株としてまずは二軍で経験を積むこととなるだろう。

 

鄭佳銘(ジェン・ジャーミン) 台北市 173cm 90kg 23歳 左左 投手

契約金110万元 月給6万元 出来高30万元 背番号98

 左のリリーフで一軍狙いたい左腕。でっぷりとした体格から140km前半のストレートと大きく曲がるカーブ、そして一番の武器であるチェンジアップとのコンビネーションで抑える。高校で野手から投手に転向しチームの主力投手となるも大学1、2年時はほぼ登板機会がなかったが大学3年生からリリーフで登板機会を得るようになり、卒業後は台北市で1年間プレー。

 

林知譽(リン・ジーユ) 國訓 186cm 99kg 23歳 右右 外野手

 若くして様々な経験を積んだ外野手。輔仁大学では1年で投手→2年で野手→3年で再び投手→4年で再び野手と転向を繰り返した。高校野球のコーチ資格も有している珍しい経歴の持ち主であり、昨年は出身高校である強豪穀保家商で監督経験も。外野手の競争が激しいラミゴだが若手外野手は少なく24歳以下の外野手は王柏融のみ、チャンスはある。

 

 

*2

2016CPBLドラフト指名選手リスト 統一+義大

f:id:cpbldatabase:20160710182326j:plain

*1

f:id:cpbldatabase:20160710182559j:plain

*2

※本記事で紹介する選手はドラフトで指名された選手であり、全員が契約に至ったわけではありません(仮に契約に至らなかった場合は追記します)

 

統一(指名8名)

蘇智傑(スー・ジージェ) 中國文化大學 180cm 88kg 21歳 右左 内野手

契約金560万元 月給10万元 出来高100万元 背番号32

  長打力と内外野をこなす器用さが武器の全体ドラ1。文化大では王柏融(ラミゴ)卒業後4番として活躍、昨年のアジア選手権では打点王、今年の春季リーグでも最多の4HR。強打者でありながら粘り強くボールを選ぶこともできるのが特長。大学では当初1Bに入ることが多かったがアジア選手権ではRF、昨年のウインターリーグでは2Bと様々なポジションに挑戦。守備の安定感はそれほどないものの、統一では選手層の薄いSSでの即戦力としての活躍が期待される。

 

②陳傑憲(チェン・ジェシェン) 台灣電力 175cm 75kg 22歳 右左 内野手

契約金440万元 月給10万元 出来高60万元 背番号46

 走力とコンタクト能力に高い評価の、溌剌さが光る内野手。10年から岡山共生高校に留学。12年にはNPBドラフト志望届を提出するも指名されず、卒業後はアマ強豪台灣電力でプレーし昨年10月からは正社員に。高校までは主にSSとしてプレーも台灣電力ではOF(LF、RF)で出場する機会が増えた。球団の少なさによる競争の激しさからドラフトを引き延ばしてきたが今回ようやくの参加に。パワーレスではあるが、打高投低の職棒における起用法が注目される。

 

陳育軒(チェン・ユーシュエン) 國立體大 177cm 72kg 20歳 右左 投手

契約金350万元 月給6万元 背番号70

 「今年のドラフト最大のサプライズ指名」となった右腕。昨年のウインターリーグで中華培訓隊の一員として6試合に登板もこれまで目立った国際大会での実績はなくドラフト参加資格はなかったが統一の推薦により参加、本人も予想外の上位指名となった。球速は130km中盤、変化球もほぼスライダーのみだが高いコマンド能力が統一の高い評価を得ており、ノビのあるストレートと落ち着きのあるマウンド捌きも良い意味で20歳らしからぬものを見せる。現在アメリカの大学野球サマーリーグに参加中のため8月に帰国予定。 

 

王玉譜(ワン・ユープ) 開南大學 184cm 81kg 20歳 左左 投手

契約金310万元 月給8万元 背番号29

 9月から大学3年生も休学しドラフト参加した本格派左腕。ドラフト前の評価は高く上位指名が予想されていたが直前にU23代表として巨人三軍戦に登板も今一つの成績に終わったことが影響したか。まさかの4位指名に統一と契約せず海外でプレーする可能性もある。 今年に入ってからはリリーフ中心で登板し最速150kmのストレート、スライダー、チェンジアップを持ち球とする。昨年のウインターリーグでは4試合に登板し12IP/17K/6BB ERA3.75と奪三振能力の高さを示した。U23監督の郭李建夫は「もしプロに行くのであればロングリリーフが向いているのでは」とコメント。

 

潘彥廷(パン・イェンティン) 中國文化大學 184cm 78kg 22歳 右左 内野手

契約金250万元 月給5万元 背番号35

 余德龍(ラミゴ)のような便利屋を目指すユーティリティ。今回はSSとしてドラフト参加も中学ではSS、高校ではOF、そして大学では内外野を守るようになりバッテリー以外の7ポジションをこなす。敏捷性のある守備と走力、選球眼の良さが持ち味ながら競争の激しい文化大では大学2年までは出場機会に恵まれず3年から徐々に頭角を現してきた。スイングがスムーズでなくパワーが上手く発揮できていないという指摘もあり、打撃がどこまで通用するかがカギとなりそう。

 

林威志(リン・ウェイジ) 國訓 190cm 103kg 23歳 右右 投手

 大学入学前は最速145kmをマークしたものの大学1年時に交通事故に遭った影響から登板数に恵まれず。3年になってから登板機会が増え主にロングリリーフとしてプレー。14年のポップコーンリーグでは崇越に所属、レギュラーシーズンでは10試合に登板しERA3.29と平凡ながら優勝決定戦第1戦で7回4失点と試合を作り勝利投手に。どっしりとした下半身が印象的で、変化球はチェンジアップに自信がある様子。

 

林航(リン・ハン) 國訓 180cm 86kg 23歳 左左 投手

 目立った実績はないものの國訓の王光輝監督から楊志龍(中信兄弟)、林威志と共にドラフト指名される可能性があると名前が挙がった一人。持ち球はフォーク、シンカー、カーブ。

 

洪心騏(ホン・シンチー) 新北市 185cm 101kg 22歳 右右 投手

 立派な体躯を誇る右腕。12年AAA選手権代表として日本戦に先発し藤浪(阪神)と投げ合い、敗れはしたが6回2失点と好投。先発投手としてまずは二軍で育成となりそうか。

 

 

義大(指名10名)

申皓瑋(シェン・ハオウェイ) 高苑工商 183cm 75kg 18歳 右右 外野手

 打撃ではスイングスピードの速さと逆方向の長打の多さ、守備では肩の強さが光るCF。昨年はU18代表入り、昨年末のMAZDA台日高校野球交流試合では日本の指導者からも高い評価を受けた。課題は選球眼の悪さとスイングの過度な大振り、そして長打を処理する際の守備で無駄な進塁を許すなど拙さは残るが高卒選手としては十分完成された素材といえる。スカウトの中にはCFとしてはスピード不足との声もあり義大のCFが現状林哲瑄で安泰なことからもコーナーOFとして育成される可能性が高い。小柄な選手が多い布農族だが体格は立派。

 

陳仕朋(チェン・シーポン) 西苑高中 182cm 80kg 18歳 左左 投手

 先発としての育成が見込まれる高卒左腕。ストレートの最速は140km、平均135km程度であり主な変化球はカーブ、フォームの柔らかさと協調性の高さが特長。高校の監督は先輩の同じ左腕である江辰晏(統一)よりも球速が早く、ボールにノビもあると評価。昨年のLLBワールドシリーズアジア太平洋予選では投手とOFの二刀流としてプレー。尊敬する選手はデビッド・プライス(レッドソックス)。

 

李宗賢(リ・ゾンシェン) 國立體大 177cm 67kg 22歳 右右 内野手

 14年のU21で3Bベストナインを獲得。3B/2Bを主に守り(SS、OFも可能)、ここ最近は2番、9番に入り打線のつなぎ役として機能した。走力と守備の安定感が特長で打撃は確実にボールを捉えるコンパクトなスイングも高めのボールに弱く長打力には欠ける。自身も打撃のレベルアップを課題に挙げており、義大では競争が比較的激しくない3Bから出場機会を得ていきたい。

 

陳明軒チェン・ミンシュエン) 開南大學 180cm 74kg 22歳 右右 投手

 14年のU-21、昨年のアジア選手権代表。若干体をトルネード気味に捻るフォームから最速148kmのストレートと鋭いスライダー、フォークを武器とする。制球が今一つであり、そこが改善されれば先発ローテ入りも見えてきそうだ。

 

張冠廷(ジャン・グァンティン) 美和中學 184cm 83kg 17歳 右左 捕手

契約金150万元 月給5万元(4年半の複数年契約)背番号21

 高校では主戦捕手としてプレー、1BとOFもこなし高い運動能力を持つ。外野のギャップを抜く長打も珍しくなく、焦らず将来の正捕手を伺える存在となってもらいたい。

 

吳蔚驊(ウー・ウェイファ) 合作金庫 180cm 93kg 25歳 右右 投手

→契約に至らず

  ここ最近は主にリリーフとしてプレー、サイド気味のフォームから最速150kmのストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップと球種は豊富。制球はアバウトで力で押すタイプといえる。6月に行われたドラフト参加資格を得るためのCPBL新人テストに遅刻したため、球団推薦によりドラフト参加資格を得るハプニングもあった。

 

劉家愷(リョウ・ジャーカイ) 台灣體大 181cm 88kg 22歳 左左 外野手

 父は義大のヘッドコーチ劉榮華。同じチームにコーチの父と子が同時に在籍するのはCPBL史上初。今年の春季リーグではリーグ5位となる17打点をマーク。スピードに優れていることからCF向きであり、長打力も兼ね備えるが外角、そして高めのボールへの対応を若干苦手とする。義大は4番手外野手の層が薄いだけに、下位指名ではあるが一軍で姿を見られる日も近いか。

 

吳筌宏(ウー・チュエンホン) 輔仁大學 178cm 70kg 22歳 右左 内野手

契約金、月給、出来高は不明 背番号49

 大学では2B、OFとしてプレー。今年の春季リーグでは.477/.566/.705のスラッシュラインで打率3位にランクイン。バットを短めに持ち速いスイングスピードで野手の間を抜き安打を量産するタイプだがボール球に手を出しがち。2B守備が安定感に欠けているとの評価も。

 

林志洋(リン・ジーヤン) 輔仁大學 176cm 77kg 21歳 右左 捕手

契約金、月給、出来高は不明 背番号89

 大学では主戦捕手としてプレー。Cとしてはスムーズで素早い送球を誇り、打撃ではミートに長け流し打ちを得意とするが、ボールを後ろ寄りで捌く傾向にあり、プロのボールについていけるかがカギとなりそう。

 

潘庭豐(パン・ティンフォン) 義大練習生 174cm 85kg 23歳 左左 投手

契約金、月給、出来高は不明 背番号79

 昨年もドラフトに参加も落選、今季から義大の練習生として二軍で12試合に登板しERA8.68。(7/10現在)左腕ながら安定して140~145km程度のストレートをマークするが制球に苦しみ、カーブ、チェンジアップといった変化球も自信のなさからなのかほとんど投げることなく直球のみで打者と勝負する姿が目立った。一軍で左のリリーフとして活躍するならば制球難の改善はもちろんのこと、変化球の質を高める必要がある。

 

 

*3

台湾プロ野球をインターネットで視聴する方法(2016年版)

 かつて台湾プロ野球を海外から視聴するのはハードルが高かった。というよりも若干のストレスを感じながらの視聴を強いられていた、と言った方が正確かもしれない。私が台湾プロ野球を視聴し始めた09年頃は当然インターネットによるオフィシャルな中継などはなく、台湾現地のテレビを視聴できなければ現在既にサービスを終了したJustin TVにアクセスし台湾のユーザーが配信する中継映像を見るか、PPS等のテレビ中継を視聴できるサイトにアクセスするしかなかった。しかし前者は人数制限があるが故に試合開始時点でルームに入らなければ観戦途中で締め出しを食らうことがあり、後者は動画がスムーズに閲覧できなくなることもしばしばで、中継一試合を通して見るのも簡単とは決して言えない状況だった。

 

 そんな状況が変わり始めたのは2013年8月。CPBLによる公式youtubeチャンネルが開設され、8月下旬から試合終了後にフル動画がアップロードされるようになり、11月に実施されたアジアシリーズウインターリーグの生中継が行われた。海外の職棒ファンにとって大きな一歩であり、近くて遠かった職棒が身近になった契機でもあった。

 翌年2014年にはCPBLによる公式中継チャンネル「CPBLTV」がスタート、海外からもストレスと大きなラグを解消しスムーズに中継が楽しめる環境となった。そして2015年からはラミゴが「LamigoTV」をスタートさせ、現在に至るまでラミゴのホーム試合を全試合無料中継。今年からは中信兄弟がpb+寶悍運動平台と提携し専門チャンネル「Brothers TV」を、統一がYahoo奇摩、愛爾達(ELTA)と提携を結びネット中継をスタートさせ、それぞれの球団ホームゲームを無料で中継することとなった。これにより今年4/26時点では4球団中3球団のホームゲームが無料で見られる環境が整ったことになる。(なお、残りの義大に関しては今年3/19の時点でGMが「業者と話し合いを進めているところであり、最も早くて4月には専門チャンネルをスタートさせる」とのコメントがあったため、遅くとも今季中には公式戦全試合を無料で視聴できそうだ)*1

 ここではまず3球団の無料で視聴可能なチャンネルについてそれぞれの特徴をメインに紹介し、基本有料のCPBLTVについては後半に紹介する。

 

 

・LamigoTV(リンクは生中継用。ラミゴのホームゲーム60試合を放送。なお昨年はラミゴホームの台湾シリーズも中継された。)

www.camerabay.tv

 長所

 ①ベンチ、ブルペン、Lamigirlsのステージを独自のカメラにより確認可能(PCのみ)

 ②2年目に入ったチャンネルということもあり、中継以外の番組もそこそこ充実

 ③人気アナウンサー徐展元氏の名調子、ゲストとの掛け合いが楽しめる

 

 短所

 ①基本的にTV中継を行っているチャンネルの映像をそのまま流している他の2チャンネルと異なり、徐展元氏とゲストによる実況であるため、中継のスタンスがラミゴ寄りであり、きちんと解説を聴きながら楽しみたい人には不向き

 ②徐展元氏とゲストが試合中に食事をしたり、野球に関係ない話題も少なからず話すため試合観戦に集中しにくい時がある

 

 現在ある3チャンネルでは最もアクセスしやすく、内容が充実している。「台灣好」というアプリをダウンロードし視聴することも可能だが、スマホタブレット、PCで直接上記のURLにアクセスすれば視聴可能である。FOX體育台による中継を行い、サービス開始当初は前期終了直前まで無料、その後は有料とするとしていたが、現在まで無料で視聴できる状態が続いており、ネット中継サービスを提供している「麥卡貝」も昨年8月に「スポンサーからの広告料により引き続き無料でサービスを行いたい」とコメントしている。*2

 サービスが2年目に入った今季からはベンチ、ブルペン、Lamigirlsのステージにカメラを設置し様々な角度で中継を楽しめるようになった。

 

f:id:cpbldatabase:20160427033747p:plain

  一番左にある「多視角」をクリックすると上の画像のようになり、違うカメラからの映像をチェックできる。上から「主視角」がメイン画面、「球員休息區」はベンチ、「牛棚熱身」はブルペン、「Lamigirls舞台」は一塁側の内野ステージのカメラに切り替わる。(画質は少々粗い)

f:id:cpbldatabase:20160427040638p:plain

f:id:cpbldatabase:20160427040656p:plain

f:id:cpbldatabase:20160427040712p:plain

 画面を切り替えるとメイン画面は視聴できなくなるが、例えばラミゴの打者がHRを放った直後にベンチに切り替えて選手の反応をチェックしたり、試合中盤以降、競ったゲーム展開でブルペンで誰が準備しているのかを確認する、と言った楽しみ方が考えられる。

 短所として中継がラミゴ贔屓であることを挙げたが、これはラミゴのチャンネルという特性上許容しなければいけないであろう。それよりも改善してもらいたいのは中継そっちのけでゲスト(始球式を務めた芸能人、LamigoTVにゲストとして出演した芸能人、Lamigirlsのメンバーであるケースが多い)と実況の徐展元氏が食事に勤しんだり、雑談に花を咲かせる時間が決して短くないこと。そのため野球中継を純粋に楽しみたい人にとっては少々不向きなチャンネルかも知れない。(一枚目の画像のように徐展元氏とゲストが映るとなると中継画面が小さくなったり、試合中も画面左上に彼らが映りこむことが殆どである)

 

・Brothers TV(リンクはチャンネルトップ。中信兄弟のホームゲーム60試合を放送。視聴には無料のアカウント作成が必要。)

中信兄弟 Brothers TV

 長所

 ①今後番組を充実させていく予定で、中継だけでなくチケット購入や球団グッズ購入の機能も兼備した専用アプリのリリースも検討されている*3

 

 短所

 ①他2チャンネルと異なり視聴するためにはアカウント作成、ログインが必要

 ②他2チャンネルと比べ中継(音声、映像)の安定度に欠ける

 

 今年からサービス開始。スポーツプラットフォーム「寶悍運動平台」と提携しており、緯來體育台の中継映像をそのまま用いることで配信を行っている。これもLamigoTVと同じくアプリは必要なくスマホ、PCから視聴可能。

 

 アカウント作成方法、ログイン方法を説明する。

①まずトップページにアクセスし「登入/註冊」(ログイン/登録)をクリック。

f:id:cpbldatabase:20160427044230p:plain

②「註冊/忘記密碼?」(登録/パスワードを忘れましたか?)をクリック。

f:id:cpbldatabase:20160427044357p:plain

③上から「電話番号」「メールアドレス」「設定したいパスワード」「パスワード(確認)」を入力する。なお電話番号に関しては10桁で入力する必要があるが台湾の電話番号は必要なく、適当に日本での電話番号の最後の一桁を取ったものを入力すればOK。入力し終えたら註冊」をクリック。これでBrothers TVを視聴するためのアカウント作成は終了となる。登録確認のメールも送られては来ないため、また②の画面で電話番号とパスワードを入力すればログインが可能である。

f:id:cpbldatabase:20160427044555p:plain

 

f:id:cpbldatabase:20160427045038p:plain

 

(6/18追記

f:id:cpbldatabase:20160618145346j:plain

 5/28より元緯來體育台キャスター、記者の楊政典氏が実況を担当、解説は01年に防御率のタイトルを獲得した(1.40は職棒記録)蕭任汶氏、中信兄弟スカウトの王金勇氏など兄弟OBが務めている。

f:id:cpbldatabase:20160618212233p:plain

 現時点での画面はこのようになっている。一時期不可能となっていた画質の選択が再び可能となり、またチャット機能も設けられた。

 

 ・Yahoo奇摩影音 統一獅チャンネル(リンクは生中継用。統一のホームゲーム60試合を放送。)

https://tw.video.yahoo.com/lions/

 

長所

①画質を選択可能で、高画質で無料中継が楽しめる

統一獅の試合に関する短い動画をまとめており見やすい

 

短所

愛爾達(ELTA)の中継を用いているため、若干淡々とした、味気ない印象を抱く可能性がある(CPBLTVの映像、音声と同じ)

 

 Brothers TVと同じく今季からサービス開始。Yahoo奇摩、愛爾達、統一が提携し誕生したチャンネルで、映像は愛爾達のものをそのまま使用している。Yahoo奇摩新聞のアプリを通せば試合直前に観戦情報などが流れるようだが、それが特に必要なければスマホ、PCからアクセスして視聴すれば問題ない。Yahoo奇摩のトップ*4にも中継中は下の画像のように「直播」(生中継)と表示され、上のリンクにアクセスできる。ただ高画質中継を売りとしている愛爾達による中継は視聴環境としては素晴らしいものの実況、解説共に淡々と話す傾向にあり中継としての盛り上がりには欠ける印象。

f:id:cpbldatabase:20160427053126p:plain

f:id:cpbldatabase:20160427053142p:plain

(5/14追記

 現在は画質も選択可能となり、(画面右下で変更可能)右側のチャットには「Y小編」(Yahooの中の人)も加わり随時試合経過や球団情報を流すようになった。

f:id:cpbldatabase:20160514010735p:plain

(6/18追記

 現在はYahoo奇摩のトップページ(Yahoo奇摩)からも中継映像が視聴できる。

f:id:cpbldatabase:20160618212339p:plain

 

・二軍戦視聴(6/18追記

https://tw.sports.yahoo.com/news/live-%E4%B8%AD%E8%81%B7%E4%BA%8C%E8%BB%8D27%E5%B9%B4%E4%BE%8B%E8%A1%8C%E8%B3%BD-074847231.html

 6月上旬より、以前はCPBLTVのBプラン、Dプランの会員しか視聴できなかった二軍戦の無料放送が上記のリンクより行われるようになった。CPBLTVによる中継と同じく金土日の試合のみ放送される。試合時間は中継が行われる金土日は日本時間13時30分からで、延長戦は行われない。現在のところ、画面右下のボタンをクリックしてもフルスクリーンでの表示にはならないため、若干視聴しづらい。

f:id:cpbldatabase:20160618144109p:plain

 

・CPBLTV

http://www.cpbltv.com/

 ここからは一部を除いて有料チャンネルであるCPBL公式チャンネル、CPBLTVについて説明する。アプリも提供されており、PCのブラウザで視聴するよりも快適に視聴できる。(なお無料の3チャンネルに比べ海外からだと10秒ほどタイムラグがあるようだ)

 まずCPBLTVの料金体系と無料、有料サービスの区分について確認しておく。

 

(料金体系)

Aプラン

2016年の一軍公式戦(オープン戦、プレーオフ台湾シリーズ含む)

1デバイス視聴799元 2デバイス視聴1399元

 

Bプラン

Aプラン+金土日の二軍公式戦

1デバイス視聴849元 2デバイス視聴1479元

 

Cプラン

Aプラン+2012、2013年からそれぞれ50試合ずつ試合をピックアップした試合のフル動画を視聴可能

1デバイス視聴849元 2デバイス視聴1479元

 

Dプラン

Aプラン+金土日の二軍公式戦+2012、2013年からそれぞれ50試合ずつ試合をピックアップした試合のフル動画を視聴可能

1デバイス視聴888元 2デバイス視聴1549元

 

(無料で利用可能)

・2016年過去の試合フル動画視聴(「完整賽事」)

・「精彩短片」の視聴(ハイライトのショートムービー。なお同じものはCPBLyoutubeチャンネルにアップされている)

 

(有料サービス)

・一、二軍のライブ配信視聴(二軍は金土日の試合のみ中継あり)

・2014、2015年の試合フル動画視聴(「完整賽事」)

2012、2013年からそれぞれ50試合ずつ試合をピックアップした試合のフル動画視聴(「精選賽事」)

 

 このようになっており、早い話が無料だと「今季の過去試合の動画しか視聴できない」ということになる。現状無料の3チャンネルは過去の試合のフル動画をチャンネル内にアーカイブとして残していないため、見逃した試合についてはCPBLTVにアクセスしチェックすれば良い。CPBLTVの会員登録(料金支払い)の詳細については省略するが、上部の「我要購買」をクリックし「信用卡」(クレジットカード)による支払いで海外からの登録、購入も行える。

 しかし、LamigoTV以外の2チャンネルが開幕直前の3月にサービスの開始を発表したこともあり早期購入割引を求めそれ以前からCPBLTVを購入したユーザーからは「これだけ無料で視聴できる環境が整ってしまえば、有料で購入した意味がないではないか」といった不満の声も聞かれた。こうした声に対しCPBLTV側は「私達の長所はビデオオンデマンドを提供していることであり、ファンは既に終了した試合についても視聴できる。これは他球団のチャンネルが提供していないもので、CPBLも生中継が可能となる権利だけを各球団のプラットフォームに与えている。」とコメントしている。*5

 CPBLTVは今後も試合中継をベースに発展を続けていくと考えられ(例:2013年以前の試合のフル動画を視聴可能にする など)、各球団が提供している無料チャンネルとの差別化が図られるであろう。インターネットしか視聴できる術がなく、生中継だけ見られれば良い、という多くの海外のファンにとっては正直なところ現状の価格はやや高いと言わざるを得ない。各球団が大きな動きを見せた今、公式チャンネルとしてファンを満足させるサービスに期待したい。

 最後に台湾国内のみならず、少しでも多くの海外の野球ファンがこれらの中継を通し台湾プロ野球に関心を抱いてくれることを期待して、本稿を締めくくらせていただく。

 

 

 

2016シーズン展望+チアリーダー名鑑 統一7-11ライオンズ

f:id:cpbldatabase:20160327034116j:plain

*1

2016年シーズン展望第4回は郭泰源新監督のもと、昨年の最下位から古豪復活を目指す統一7-11ライオンズ。

 

<投手>

(戦力構成)

f:id:cpbldatabase:20160327175829p:plain

(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

 

先発

吉爾(右)(新外国人)

布魯斯(右)(新外国人)

江辰晏(左) 27試合 6勝3敗 104IP ERA4.07

陳韻文(右) 10試合 1敗 16IP ERA5.62

潘威倫(右) 25試合 7勝9敗 153.1IP ERA4.75

太字は移籍、新入団選手

 統一の今季の目玉の一つが大幅に若返りを図った先発投手陣である。まず外国人先発は吉爾(ジェイアー・ジャージェンス)、布魯斯(ブルース・ビリングス)の2人が入る。吉爾はオランダ出身でメジャーで3度の二桁勝利、通算53勝とまだ30歳ながら実績は十分で、一時期よりも球速は落ちたものの140キロ中盤のフォーシームを主体にスライダー、チェンジアップなどを交え力強いピッチングを見せる。布魯斯はキャリアのほとんどをマイナーで過ごし、145km前後のストレートにスライダー、チェンジアップを持ち球とする右腕だが、マイナー通算のK/9は8.2と高く先発2番手としては十分なレベルにある。先発3番手は昨年20歳ながら104IPを投げ6勝を挙げた左腕江辰晏が有力。昨年の経験を糧に今季は毎試合6イニング以上、20先発を目標に掲げる。そして先発4番手には現状同じく今年21歳となる14年のドラ1右腕陳韻文が入る。昨年は一軍でリリーフメインに10試合に登板し16IP/17K/9BB、140km中盤を常時マークするストレートのキレを見せる一方で変化球のコマンドの悪さも目立った。カウントを悪くしボール先行で球数が増えるシーンもオープン戦では多かったため、先発として一年間プレーするにはコマンドの向上が必要不可欠となる。なお本来のエース潘威倫オープン戦で肩の炎症を発症し一軍復帰は4月中旬~下旬と見込まれている。彼が復帰するまでローテーションは新外国人2名と20代前半の先発投手の構成となり、勝ちを計算できる投手が他球団のローテーションと比べ少ないのは不安要素だが、裏を返せばハマった時の爆発力も兼ね備えていると言えよう。

 

先発候補、及びロングリリーフ

林子崴(左) 14試合 2勝1敗 26.2IP ERA3.04

廖文揚(右) 23試合 3勝12敗 115IP ERA5.87

 昨年のドラ1左腕林子崴は3月初旬から調整不足や心理的影響もあり球速を落とし2年目のジンクスが心配されていたが今季初登板となった試合ではリリーフとして1.1IP/3K、球速も戻ったことをアピールし周囲を安堵させた。現在はリリーフでの登板が主となっているが潘威倫が復帰するまで手薄となった先発投手陣に再び割って入ることも十分考えられる。14年の台湾人最多勝も昨年リーグ最多敗戦となる12敗を喫した廖文揚は球質重視の投球から制球と攻撃的な投球に意識を切り替えロングリリーフとして役割を果たし先発のチャンスを伺いたいところ。

 

勝ち継投

傅于剛(右) 34試合 2勝1敗1S 39IP ERA2.31

邱子愷(左) 35試合 1勝1敗 23.1IP ERA6.56

林岳平(右) 18試合 1敗 18.2IP ERA5.79

郭恆孝(左) 3試合 1敗 5IP ERA16.20

王鏡銘(右) 32試合 5勝10敗 101.2IP ERA6.99

 昨年は抑えに華納(ワーナー・マドリガル)を起用し一年間安定した活躍を見せるも退団、新たな抑えの座には昨年先発とリリーフを行き来する起用が続いた王鏡銘が座ることとなる。リリーフに専念すれば140km中盤を常時マークできるストレートを有しており、肩の故障前に見られた打者を圧倒する投球にどこまで近づけるか。勝ちパターンの7、8回を投げる投手は流動的ではあるが、2年目の郭恆孝が今季ブレイクの予感。課題の制球難も改善の兆しがあるとの本人談もあり、左の本格派リリーフとして活躍を期待したい。他には肩の故障による球速低下に苦しみながらも安定感のある活躍を続ける右の傅于剛、対左打者への弱さを克服したい左の邱子愷、かつての守護神も昨年は18試合の登板に終わったベテラン林岳平とある程度駒は揃っている状態である。

 

その他の主な投手

林家瑋(左) 2試合 2.1IP ERA0.00

林其緯(右) 21試合 1勝1敗 14.1IP ERA6.28

邱浩鈞(右) 36試合 3勝1敗 46IP ERA7.63

江承峰(右) 36試合 1敗 56IP ERA7.55

郭泓志(左) 10試合 1勝2敗 9.2IP ERA5.59

羅錦龍(右) (一軍登板なし)

 ラミゴ時代には2年連続60試合以上登板も果たした左の林家瑋、昨年移籍1年目にして21試合に登板を果たした林其緯、細身ながら力強いボールを投げるリリーフとして昨年36試合に登板した邱浩鈞などが控える。邱浩鈞については今季先発、ロングリリーフとしての起用に備え調整を続けている。3年目にして自己最多の36試合に登板も安定感を欠いた江承峰は目立った情報はないが開幕一軍入り。昨年故障に苦しみ僅か10試合の登板に終わった14年の抑え郭泓志は、オフの10月に左肩手術を行いリハビリ中で後期からの復帰を目指す。超大型となった3年契約も今季で終了するため進退をかけたシーズンとなる。13~14年で計16勝も昨年5月に右肩関節唇損傷、上腕二頭筋断裂の手術を受け登板がなかった羅錦龍は過去の故障歴も相まって復帰が遅れ今季もリハビリを続行、早くとも9月に短いイニングで復帰できれば順調といった状況で頼れるベテラン2人を昨年に続きほぼ欠いての戦いとなる。

 

<野手>

(戦力構成)

f:id:cpbldatabase:20160327180542p:plain

(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

予想オーダー

4林志祥(左)107試合 打率.302 4HR 54打点 OPS.709

8唐肇廷(左)  42試合 打率.331 2HR 10打点 OPS.793

7潘武雄(左)  57試合 打率.300 12HR 32打点 OPS.917

D飛力士(左)(新外国人)

5陳鏞基(右)107試合 打率.278 14HR 50打点 OPS.824

3鄧志偉(左)  98試合 打率.267 14HR 60打点 OPS.812

9鄭鎧文(右) (新入団)

2郭峻偉(右)  9試合 打率.091 0HR 0打点 OPS.303

6郭阜林(右)  33試合 打率.248 7HR 17打点 OPS.793

 

主な控え

(捕手)

高志綱(右)  75試合 打率.258 1HR 21打点 OPS.637

林志賢(右)  20試合 打率.283 0HR 6打点 OPS.612

薛惟中(右)  13試合 打率.095 0HR 0打点 OPS.335

内野手

高國慶(右)  91試合 打率.327 5HR 57打点 OPS.810

周廣勝(右)  56試合 打率.346 2HR 22打点 OPS.866

劉育辰(右)  12試合 打率.256 1HR 4打点 OPS.641

買嘉儀(右)  78試合 打率.278 4HR 31打点 OPS.758

黃恩賜(右)  62試合 打率.228 1HR 10打点 OPS.600

(外野手)

劉芙豪(右)  61試合 打率.274 15HR 53打点 OPS.876

羅國龍(右)  99試合 打率.306 2HR 37打点 OPS.775

郭岱琦(左)  46試合 打率.228 6HR 25打点 OPS.662

朱元勤(左)  73試合 打率.272 3HR 24打点 OPS.710

方昶詠(右)  47試合 打率.307 0HR 14打点 OPS.755

郭俊佑(右)  39試合 打率.248 1HR 12打点 OPS.616

 

(打線総評)

 昨年リーグ最下位の630得点とチームの足を引っ張った打線は今季新たな戦力と成長著しい若手を起用しテコ入れを図る。

 1番は例年通り林志祥が務め、2番は右腕先発時には昨年右肘の骨片除去手術でシーズン途中に離脱した唐肇廷、左腕先発時には昨年前期に安打を量産し首位打者争いを繰り広げた羅國龍が入るか。3番にはベテランの年齢に差し掛かり、故障がつきものながら安定した選球眼と打力を見せる潘武雄、そして4番には新外国人飛力士(フェリックス・ピーエイ)を据える。飛力士は溜まったランナーを堅実に返す中距離ヒッターとしてフルシーズンで打率.300 15HR 80打点ほどの活躍を期待したい。5番から7番までははっきりとは固定できないであろうが、昨年自己最多の14HRを放った陳鏞基が5番、6番に穴はあるもののツボに嵌った時の長打力が魅力の鄧志偉、(対左投手相手には高國慶)、7番にルーキーながら順調に持ち前の長打力をアピールしている鄭鎧文 劉芙豪を押しのけRFを勝ち取りそうだ。8番、9番はCとSSの選手の居場所となりそうで、8番にCが、9番に昨年入団し33試合で7HRを放った郭阜林が入れば面白い。積極的すぎる打撃が目立ち選球眼、コンタクト能力に課題を残すものの今年25歳とまだ伸びしろはあり、長打力不足の打線に刺激を与える存在となれる可能性は十分。控えはツープラトン起用で漏れた実績あるベテランが多く出番を待つことも考えられ、高國慶劉芙豪が代打待機となれば相手ベンチにもプレッシャーとなる長打を打てる打者がベテランに偏重気味だったチームにも着実に世代交代の波が押し寄せている。

 

(捕手)

 正捕手高志綱が昨年に肘の骨片除去手術で開幕には間に合わず、二番手捕手として期待されていた林志賢も古傷である右肩の関節唇を傷め復帰には時間がかかる見通し。開幕一軍は昨年の二軍正捕手である23歳の郭峻偉、14年に二軍正捕手として打率3割をマークした25歳の薛惟中の二人が濃厚だが経験と実績に乏しく、高志綱林志賢の復帰が待たれるところ。ベテラン凃壯勳オープン戦での出場がなく二軍スタートとみられるが、2人の故障者の状態次第では重用されそう。

 

内野手

 1Bは昨年に続き鄧志偉高國慶のポジション争いとなるが、陳鏞基の3Bコンバートにより、昨年まで3Bを守ることもあった高國慶は実質1B専任となるため2人のポジション争いはより激しくなる。昨年野手転向3年目で78試合に出場した買嘉儀も3B守備が穴となっており、出場機会を得るためには1Bとしてチャンスを伺いたい。2Bは攻守に安定感を有する林志祥が安泰で、3Bは膝の負担軽減のためにようやくコンバートとなった陳鏞基がレギュラーとなり、空いたSSには郭阜林が入る。昨年33試合で9失策ながらオフには守備力強化に取り組み、その成果がシーズンで試される。

 内野のバックアップには守備力に課題もSS、3Bをこなせる黃恩賜、昨年打撃開眼し打率.346をマークした周廣勝(2B、3B)、1B以外の内野全ポジションをこなすも昨年は自己最少の12試合出場にとどまった劉育辰などが控える。プロスペクトの筆頭候補は20歳の吳國豪。1年目の昨年も早速8試合に一軍出場しており今年は練習試合やオープン戦にも多く出場し経験を積んでいる。

 

(外野手)

 LFは健康に出場できるならば潘武雄がレギュラーとなり、バックアップに昨年73試合出場の朱元勤、一発のあるベテラン郭岱琦、同じく一発はあるもののここ2年不振の郭俊佑らが想定される。CFは冒頭でも述べたように投手の左右により唐肇廷羅國龍がツープラトンで起用されそうか。走力が売りの方昶詠は2年目の昨年打率.307をマークするなど一軍での実績もありバックアップ筆頭候補。RFはオープン戦で2HRを放ち好調の鄭鎧文がスタメンで起用され続けており開幕もこの形になると想定され、昨年チーム最多HRの劉芙豪がベンチに追いやられるというチームにとっては嬉しい誤算。このように3ポジションを俯瞰してみるとバックアップの選手にとって一番競争の余地があるのはLFであり、潘武雄が出場できない事態になるとより一層ポジション争いが活発となるであろう。

 

(DH)

 オープン戦から左手に違和感のある飛力士を「4番・DH」で起用し続けている。本職がCFであり守備も決して悪くないが、本人曰く4月下旬から5月上旬頃に守備に就けるとのこと。昨年先発出場時DHに入っていた張泰山の退団により仮に飛力士がCFに入るようであれば彼に代わり潘武雄郭岱琦高國慶といったベテランが入ることが予想される。

 

<プラス要素>

・20代前半の先発投手が3人となる可能性もあり、他球団も羨む国内先発陣誕生もあり得る

・8回郭恆孝-9回王鏡銘といった、新たな勝ちパターンが見られそう

・ルーキー鄭鎧文、2年目郭阜林等の活躍次第では若手の長打力不足が解消される

・飛力士がCFのポジションで他球団よりも攻撃力で利得を稼げる公算が高い

 

<マイナス要素>

・実績あるベテランが故障による離脱など不甲斐なく、若手に頼らざるを得ない投手陣

高志綱を開幕から欠き、プロスペクト林志賢も怪我により一軍正捕手に悩む状況

最低でも4月下旬まで飛力士をDHまで起用せざるを得ず、ベテランをDHに入れることができない状態

・優勝を狙うには投打とも戦力不足が否めない

 

チアリーダー

Uni Girls

f:id:cpbldatabase:20160327031754j:plain

*2

f:id:cpbldatabase:20160327174512p:plain

  今年はYuki、Julieの2名が新たに加入し計13名。黒をメインにチームカラーのオレンジと白を組み合わせた衣装と装いも新たに。

*1:統一獅公式FBページより引用

*2:Uni Girls公式FBページより引用

2016シーズン展望+チアリーダー名鑑 義大ライノス

f:id:cpbldatabase:20160323175001j:plain

 *1

2016年シーズン展望第3回は投打が噛み合った戦いを見せまずは3年ぶりの台湾シリーズ出場を果たしたい義大ライノス。

 

<投手>

(戦力構成)

f:id:cpbldatabase:20160322101926p:plain

(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

 

先発

羅力(右) 30試合 16勝5敗 190.2IP ERA3.26

力猛(右)(新外国人)

倪福德(左) 11試合 4勝2敗 57.1IP ERA5.18

蔡明晉(右) 21試合 5勝5敗 85IP ERA5.40

蕭一傑(右) 10試合 2敗 17.1IP ERA5.19

太字は移籍、新入団選手

 義大は今季外国人先発2人の態勢で開幕を迎える。羅力(マイク・ローリー)は昨年投手三冠を獲得するなどフル回転の活躍で今季もチーム投手陣の柱となる。新外国人投手力猛(スコット・リッチモンド)はメジャー通算36試合に登板し09年には8勝を挙げた右腕で、プレミア12ではカナダ代表として出場。しかしマイナーでの過去のシーズンを見ても1試合平均6イニング未満のシーズンも多く、外国人投手に求められるイニングイーターぶりが発揮できるかは疑問。3番手には昨年ドラフトで入団し先発ローテの一員として機能した左腕の倪福德、4番手には昨年4年ぶりに先発中心の起用となりまずまずの成績を残した蔡明晉が入ることになりそうだ。先発ローテ最後の枠となる5番手は3人が1枠を争う形となったが、開幕は蕭一傑がローテ入りという見方が強い。2年目の昨年は成績を落としたものの、今季は調整が順調でオープン戦でも2回無失点と結果を残した。その他の先発候補は昨年ドラフト3位入団のルーキー黃亦志、復活を目指す林晨樺が候補。黃亦志はスライダーをアウトピッチにカーブ、チェンジアップを投じる右腕だが制球とメカニクスに課題がある。首脳陣は二軍で先発経験を積ませてから一軍で登板させる意向。サイドスロー林晨樺は13年に15勝を挙げ最多勝のタイトルを手にして以降2年は不振にあえいでいたが、今季は積極的にストライクを取りに行く投球スタイルにモデルチェンジし自信を取り戻しつつあるのは朗報。課題の対左打者への投球がどうなるか。

 義大は昨年台湾人投手で100IP以上投げた選手がおらず、台湾人投手の最多勝蔡明晉の5勝と国内先発投手の人材不足が浮き彫りとなった。今季は開幕から実績のある倪福德がおり、5番手候補も複数人上がる状況で期待は持てそうだが、果たしてどうなるか。

 

先発候補、及びロングリリーフ

黃亦志(右)(新入団)

林晨樺(右) 12試合 1勝 23IP ERA5.87

范玉禹(右) 4試合 1勝1敗 9IP ERA12.00

太字は移籍、新入団選手

 前述した二名に加え4年目を迎えた21歳の長身右腕范玉禹も先発候補。昨年は二軍でフルシーズンプレーし22試合5勝9敗 ERA5.76と平凡な成績に終わり自身二度目のウインターリーグ参加を経験。そろそろ結果が求められるだけにまずは二軍で先発として結果を残し一軍の先発5番手争いに食い込みたいところ。

 

勝ち継投

林正豐(右) 50試合 4勝3敗1S 50IP ERA5.94

沈鈺傑(左) 37試合 30IP ERA3.60

黃勝雄(左) 37試合 3勝7敗2S 65IP ERA4.99

許文錚(右) 7試合 6.2IP ERA5.40

林羿豪(右) 60試合 2勝4敗1S 54IP ERA4.50

潘力(右)(新外国人)

太字は移籍、新入団選手

 以前から弱点であったリリーフ陣は昨年抑えを務めた羅嘉仁が肩の手術により今季絶望で更に悲惨な状況となる可能性が高い。空いた抑えには新外国人潘力(ハッサン・ペーニャ)が入る見込み。しかし昨年メキシカンリーグで20Sを挙げたものの来台が遅れ、オープン戦の登板でも1イニング持たず6失点するなど調整不足が伺える投球であった。

 加えて昨年50試合に登板したベテラン右腕林正豐も肘の炎症の回復が遅れ二軍スタートと苦しい状況。現状潘力に繋ぐまでの勝ちパターンは7、8回を昨年チームトップの60試合に登板した林羿豪、14年の奪三振王の速球派黃勝雄、12年にトミージョン手術を受けて以降主に二軍で復活を目指してきたアンダースロー許文錚の3人で凌ぐものとみられる。他にはベテラン左腕沈鈺傑も勝ちパターンに入りそうだ。

 

その他の主な投手

賴鴻誠(左) 27試合 3勝1敗 38.1IP ERA4.46

郭勝安(右) (一軍登板なし)

陳煥揚(右) 10試合 2敗 10.2IP ERA8.44

張耿豪(右) (一軍登板なし)

張耀文(右) (一軍登板なし)

 独特の投球フォームが特徴の左腕賴鴻誠はロングリリーフもこなすことが可能で、サイド気味のフォームからオーバー気味に改めたとのこと。2年連続で不本意な成績に終わった陳煥揚は開幕一軍入りし、苦しいブルペン事情の中で久々のフル回転を果たしたい。18歳で一軍のマウンドに上がり1年目から7勝も、その後成績を落とし昨年3月には急性椎間板ヘルニアの手術によりシーズンのほとんどを棒に振った張耿豪は3年ぶりの一軍での登板が間近に迫る。威力あるストレートが持ち味だった郭勝安はラミゴ時代の2年は酷い制球難により一軍にさえ昇格できず昨年シーズン途中に戦力外となったが今季はコーチ兼任として制球のみならずメンタルも改善して復活を期す。統一を戦力外となった後テスト入団した張耀文オープン戦での登板を果たしており、制球難が改善されれば一軍のリリーフ陣に入る余地はある。

 

<野手>

(戦力構成)

f:id:cpbldatabase:20160322102424p:plain

(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

予想オーダー

7胡金龍(右) 108試合 打率.383 16HR 76打点 OPS.987

6陳凱倫(右) 79試合 打率.303 1HR 27打点 OPS.722

9張建銘(左) 114試合 打率.342 11HR 74打点 OPS.873

3林益全(左) 117試合 打率.367 23HR 126打点 OPS1.008

D高國輝(右) 120試合 打率.324 39HR 110打点 OPS1.016

8林哲瑄(右) 20試合 打率.244 1HR 8打点 OPS.730

5陽冠威 (右) 90試合 打率.300 11HR 60打点 OPS.779

2林琨笙(右) 57試合 打率.336 1HR 17打点 OPS.782

4林威廷(右) 45試合 打率.216 1HR 10打点 OPS.535

 

主な控え

(捕手)

方克偉(右) 24試合 打率.250 1HR 5打点 OPS.652

内野手

黃智培(右) 30試合 打率.247 3HR 17打点 OPS.695

于孟雄(左) (新入団)

楊承駿(右) 12試合 打率.241 0HR 2打点 OPS.599

羅國麟(右) (一軍出場なし)

藍少白(左) 63試合 打率.221 0HR 15打点 OPS.513

林瑋恩(右) 93試合 打率.235 0HR 20打点 OPS.551

玄宗(右) 50試合 打率.231 2HR 11打点 OPS.649

(外野手)

高孝儀(右) (一軍出場なし)

林旺衛(左) 93試合 打率.282 2HR 31打点 OPS.769

吳宗峻(左) 20試合 打率.275 0HR 2打点 OPS.635

張詠漢(左) 47試合 打率.206 2HR 8打点 OPS.522

太字は移籍、新入団選手

 

(打線総評)

 義大の打線はここ数年1~5番までの上位と中軸の破壊力でアドバンテージを有していた一方6番以降の下位打線が弱点であったが、今季は若干陣容を変えてシーズンに臨むこととなりそうだ。

 1番と3番は首位打者胡金龍、ベテラン張建銘が時に打順を入れ替わる形で上位を打つこととなり、間の2番には今季SSメインで調整を続けている陳凱倫が入り繋ぎ役となる。4番に打点王林益全、5番に39HRのシーズン新記録を達成した高國輝を入れ破壊力十分の上位打線でランナーを還す役目を今年も負う。下位打線の頭ともいえる6番には昨年ドラフト1位で入団し一時期1番を任された林哲瑄が入り比較的貧弱だった下位打線に刺激を与える存在となるか。打力に定評があるわけではないものの走力と選球眼を兼ね合わせており、出塁能力には期待が持てる。7番以降は陽冠威林琨笙林威廷といった面々が予想され特に大きく昨年と代わり映えがするわけではない。控えに目を移すと于孟雄羅國麟といった昨年のドラフト入団組がアピールを続けており于孟雄は内外野を守れるバイプレーヤーとして空いた打順にうまく入り込み、羅國麟はOFからSSにコンバートされチームの穴だったSSの打力向上に貢献できればチームとしては助かるだろう。

 

(捕手)

 昨年までの正捕手鄭達鴻が中信兄弟にFA移籍し一番の懸念材料であるポジション。林琨笙が正捕手となることが濃厚だが、現状チームに捕手が彼を含め4人しかおらず2番手の方克偉も打力と盗塁阻止能力に長けた存在として出場機会は増加するとみられる。二軍の正捕手は昨年に続き強肩と長打力に定評の蔡友達、守備型の林憲章が出場機会を分け合うことになりそう。万が一一軍の捕手陣2人のどちらかが離脱するようなことがあれば一気に苦しくなり、ドラフトで捕手の指名は必要不可欠。現状3Bとして起用される見込みの陽冠威の捕手復帰も十分あり得るだろう。

 

内野手

 1Bは林益全が不動だが、その他の3ポジションはいずれも流動的。2Bは14年のルーキーイヤーに打率.313をマークした林威廷がレギュラーで藍少白于孟雄といったところがバックアップ候補。3Bは打力では陽冠威が一歩リードしているものの守備には難があり、昨年4年目にして開花の兆しを見せた黃智培、3Bメインに内野複数ポジションを守れる玄宗にもチャンスはある。SSは陳凱倫がレギュラーとなり、広い守備範囲を誇る専守型の林瑋恩、対してフルスイングが魅力な一方守備に不安を残す羅國麟もSS候補。

 内野は他球団と比べ20代後半の脂の乗った時期に差し掛かった選手が多い一方で今一つ抜け出た存在がおらず、加えて複数ポジションを守れる選手も多いというメリットは見方を変えればポジションを固定できなかった課題の表れでもあり、それが下位打線の層の薄さにも繋がっている印象がある。今季そんな殻を破る存在が激戦区の内野から誕生するか注目したい。

 

(外野手)

 LFは昨年胡金龍高國輝が分け合う形で守るケースが殆どだったが、今季開幕は胡金龍をメインに、CFは広い守備範囲と走力を誇る林哲瑄で万全。RFにはお馴染みのベテラン張建銘が入ることとなるが、高國輝の今オフの海外進出(正確に言えばKBO進出を目論んでいるとされる)を考慮すれば4番手、控え外野手のデプスの薄さは頭の痛いところ。4番手の外野手としては林旺衛が最有力だが、俊足巧打タイプの選手で長打力とコンタクト能力では一段劣り、彼に続く4番手候補吳宗峻はベテランの域に差し掛かるもここ数年は結果を残せず正念場のシーズンを迎え、14年にブレイクした張詠漢も昨年は不振と明るい兆しは見えない。そしてOF最年少が高孝儀(26歳)と若手育成に力を注いでもいないのも気がかり。ドラフトで高卒野手を指名するなり、義大の攻撃力を生み出してきたOFの立て直しを考える時期に既に来ていると見るべきであろう。

 

(DH)

 高國輝をDHで固定し、身体の状況によっては胡金龍と入れ替えて起用することとなりそうだ。他にDHで入れて起用したい選手も特には見つからず、2人を中心に運用していくと予想される。

 

<プラス要素>

内野は他球団と比べ20代後半の脂の乗った時期に差し掛かった選手が多い

・台湾人投手の中で唯一フルシーズン先発として投げた経験のある倪福德が今季は開幕から先発できる

・弱点だった下位打線がルーキーの加入により活発となる可能性

・リーグ屈指の上位、中軸の攻撃力が今年も健在

 

<マイナス要素>

・羅力以外の先発投手陣のイニング消化能力があまり高くない

羅嘉仁の離脱などによりリリーフ陣の層がより薄くなった

外野手の控えのデプスが薄く、ドラフトなどでの補強が急務

正捕手林琨笙に続く2番手以降の捕手が物足りず、陽冠威の捕手復帰もあり得る

 

チアリーダー

Rhino Angels

f:id:cpbldatabase:20160323230314p:plain

*2

f:id:cpbldatabase:20160323174157p:plain

 今シーズンはメンバーを増員予定だったが、新メンバーと同じ3人が脱退したため昨年と同じ11名に。20代前半のメンバーが7名と若いメンバーが多いのが特徴か。

*1:義大ライノス公式FBより引用

*2:中央通訊社より引用

2016シーズン展望+チアリーダー名鑑 中信兄弟

f:id:cpbldatabase:20160317030726j:plain

 *1

2016年シーズン展望第2回は二年連続で台湾シリーズ進出も台湾一を逃し今季への強い意気込みを見せる中信兄弟。

 

<投手>

(戦力構成)

f:id:cpbldatabase:20160318231639p:plain

(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

 

先発

悍德(右)(新外国人)

歐文(左)(新外国人)

魔力(右)(新外国人)

鄭凱文(右) 16試合 10勝4敗 103IP ERA3.50

林煜清(右) 14試合 1勝7敗 72.1IP ERA5.47

太字は移籍、新入団選手

 今季は悍德(ドノヴァン・ハンド) 歐文(ルディ・オーエンス) 魔力(ロバート・モーリー)と外国人3枠を再び全員投手に割いての戦いとなる。

 悍德は191cm 107kgの立派な体躯からストレートの球速は130km代後半が殆どながらカーブ、スライダー、チェンジアップとのコンビネーションで打ち取る技巧派右腕で13年にメジャーで31試合、昨年も1試合に登板した。ゴロアウトを多く生み出すタイプのため内野守備の不安なチームでの投球は若干不安。歐文は軟投派タイプと称される左腕で良質なチェンジアップ、カーブにマイナー通算BB/9 2.1が示す通り高い制球力も持ち合わせる。魔力は140km前半のストレートをコンスタントに投じスライダーをアウトピッチに稀にチェンジアップも組み合わせた投球スタイル。テークバックの際に右腕を頭近くまで上げる独特のフォームで投球するも、目立ったボールがあるわけではないためパワーのある打者への対応に苦労した様子が伺える。4番手は昨年2年連続二桁勝利をマークするも肘の手術のため7月下旬に離脱となった鄭凱文。怪我も癒え計算できる中信兄弟の台湾人エースとして、今年は3年連続の開幕投手となる可能性もある。5番手は複数の候補がひしめき合う中林煜清が抜けだした格好。入団から3年連続で規定投球回を投げ安定したイニングイーターとして欠かせない存在となるも、昨年は腕の疲労による炎症でわずか1勝と不振に陥り二軍調整が続いた。オープン戦でもストレートの球速は130km前後と戻っている様子は見られないものの、チームは今季彼に90球程度の球数制限を課し5番手として起用する意向。

 なおチームは3月下旬に新外国人投手を来台させる予定であり、開幕してしばらくは新外国人投手を二軍にスタンバイさせての競争が続くこととなる。

 

先発候補、及びロングリリーフ

邱品睿(左) 15試合 3勝1敗 37IP ERA2.68

鄭錡鴻(左)  5試合        2敗 13.2IP ERA9.22

許銘傑(右) 19試合 4勝3敗 85IP ERA4.76

林英傑(左) 20試合 4勝5敗 57.1IP ERA4.24

江忠城(右) 29試合 1勝1敗 26.2IP ERA8.44

太字は移籍、新入団選手

 昨年左の中継ぎとして15試合に登板しERA2.68と優れたスタッツを残した邱品睿、制球難に苦しむ鄭錡鴻の両左腕がロングリリーフから現状先発5番手を狙う有力候補。ラミゴを戦力外となり中信兄弟に入団した許銘傑はキャンプでの調整が遅れており開幕は二軍で迎え、状態が上がった段階で一軍に上げる方針。昨年26.2IP/8HRと痛打されるケースが目立った3年目の江忠城はロングリリーフに配置転換。今オフは自信を取り戻すためトレーニングを多く積んだが、その成果は現れるか。昨年戦力外から入団し20試合に登板、4勝を挙げ復活したベテラン林英傑も怪我で出遅れたが、経験ある便利屋として登板機会は十分にあるだろう。

 

勝ち継投

彭識穎(左)(新入団)

謝榮豪(右) 38試合 3勝7敗 82.2IP ERA5.44

官大元(右) 59試合 4勝2敗2S 59IP ERA3.66

陳鴻文(右) 50試合 6勝3敗24S 55IP ERA2.94

太字は移籍、新入団選手

 昨年開幕時は先発に一時転向するも奮わず後期からリリーフに戻っていた謝榮豪が今季は2年ぶりに開幕からリリーフとなり、主に7回を任されるとみられる。そして8回に官大元、9回に陳鴻文が基本となる。官大元は14年に不振に陥り酷使を危惧する声もあったが昨年は見事な活躍。しかし開幕前に右肘炎症のため戦線離脱し、復帰までは8回を謝榮豪、7回を王梓安あたりに任せざるを得なくなってしまった。陳鴻文は昨年リーグ最多セーブのタイトルを獲得もストレートの球速が出ないことに苦しみ、制球を乱すケースもしばしば。3月に行われた日本との強化試合では6失点と打たれに打たれたが、シーズンでは立ち直った姿を見せられるか。そしてルーキー彭識穎は勝ちパターン起用でのブレイクを予感させる。制球の良さを評価されているが、左腕ながら安定して140km前半のストレートを投げられるのもCPBLでは貴重な武器と成り得る。自身が目標に掲げる一軍投球回40IP以上も無理なくクリアできそうだ。

 

その他の主な投手

王梓安(右) 12試合 2勝6敗 52.2IP ERA6.49

羅國華(右) 39試合 2敗 43IP ERA5.86

周磊(右) 3試合 2.1IP ERA11.57

杜家明(右) 17試合 1勝 28IP ERA6.11

林克謙(右) 33試合 1勝1敗 31.2IP ERA7.96

 198cmの長身右腕王梓安は昨年先発メインでの起用も制球と長いイニングを投げようと球速を落とすシーンが目立ったため、今季は短いイニングで勝負。2年目の周磊は首脳陣からの期待も大きく、オープン戦では一軍のレベルを体感させるために積極的に起用されている。ビハインドの場面でも淡々と仕事をこなす羅國華、義大を戦力外となった後1年のブランクを経るも昨年中信兄弟に入団し33試合に登板した林克謙、昨年17試合に登板し経験を積み、今季はロングリリーフとして起用する見込みだった20歳の杜家明は怪我で出遅れとなった。

 

<野手>

(戦力構成)

f:id:cpbldatabase:20160318233800p:plain

(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

予想オーダー

9張正偉(左) 108試合 打率.335 2HR 41打点 OPS.832

8張志豪(左)   91試合 打率.297 14HR 45打点 OPS.879

7周思齊(左) 109試合 打率.349 15HR 79打点 OPS.941

4林智勝(右) 110試合 打率.380 31HR 124打点 OPS1.157

5蔣智賢(左)   30試合 打率.306 3HR 25打点 OPS.772

3彭政閔(右) 108試合 打率.320 4HR 57打点 OPS.808

D許基宏(左)     87試合 打率.319 13HR 56打点 OPS.966

2鄭達鴻(左) 100試合 打率.334 3HR 51打点 OPS.823

6王勝偉(右) 114試合 打率.291 6HR 40打点 OPS.720

(太字は移籍、新入団選手)

 

主な控え

(捕手)

陳家駒(左) 95試合 打率.268 8HR 32打点 OPS.730

王峻杰(右) 17試合 打率.189 0HR 5打点 OPS.460

内野手

潘萣翔(左) 11試合 打率.360 0HR 3打点 OPS.869

陳江和(右) 97試合 打率.273 2HR 28打点 OPS.642

陳偉漢(右) 31試合 打率.228 0HR 6打点 OPS.542

黃仕豪(右) 68試合 打率.267 0HR 17打点 OPS.637

蘇緯達(左) 4試合 打率.333 0HR 7打点 OPS.778

(外野手)

林威助(左) 96試合 打率.309 6HR 58打点 OPS.776

陳子豪(左) 100試合 打率.298 5HR 44打点 OPS.785

林王啟瑋(右) 14試合 打率.346 0HR 3打点 OPS.869

郭健瑜(右) 26試合 打率.359 0HR 4打点 OPS.826

 

(打線総評)

 昨年開幕時は外国人野手2人体制で弱点だった打線を補っていたが、今オフはFA加入のトリプルスリー男林智勝、義大の正捕手鄭達鴻により厚みを増し外国人枠を投手に割くことができるようになり、リーグでもトップの打線が完成しそうだ。ベストメンバーを組むとなると30代以上の選手が6人も名を連ねることとなるが他球団にとっては上位から下位まで気の抜けない打者が続く。ここ数年打線に弱点を抱えていたチームは小技や走塁を比較的重視する向きがあったが今季は重量打線。チームの攻撃スタイルにも変化が見られるか注目したい。

 1、2番は5年連続打率3割の張正偉、昨年自己最多の14HRを放ち年々成長を見せる張志豪が固い。そしてクリーンアップは3番周思齊、4番林智勝、5番蔣智賢が有力とみる。そして長きにわたりチームの不動の4番として君臨してきた彭政閔が6番に入ると予想されるあたりに打線の層の厚さを伺わせる。吳復連監督は中軸の打順について明言はしていないものの、オープン戦では4番林智勝、5番蔣智賢をほぼ固定で、2月の紅白戦では彭政閔が6番に入っていたこともあり予想オーダーの打順となる可能性は高い。昨年2年目で本領発揮となった林威助周思齊と入れ替わる形で中軸に入ることも十分に考えられる。

 7番に若き左の大砲、昨年13HRの新人王許基宏、8番にFA加入した実績あるベテラン鄭達鴻、9番に上位打線の繋ぎ役として不動のSS王勝偉が入るか。控えの選手層も内野には二遊間をこなせる潘萣翔、昨年のドラフト5位でパワーが魅力の蘇緯達がおり、外野も20歳の若さながら昨年一軍100試合に出場した陳子豪、昨年のウインターリーグで成長の爪痕を残した右の長距離砲林王啟瑋といった面々が控えデプスも厚い。目下のライバルラミゴと比較し打線に関しては追いつくどころか上回る形となったがシーズンを通してこの強力打線がどのように機能するか注目したい。

 

(捕手)

 FA加入の鄭達鴻がメインとなって起用されるとみられる。とはいえ今年で35歳となり1年通してマスクを被り続けるのは難しい。2番手を打力で一歩リードする陳家駒、1年目の13年に72試合に出場した王峻杰で争う形となり、彼らにもある程度の出場機会は与えられるであろう。中信兄弟は4球団で最多の8名の捕手を抱えており二軍も競争が熾烈である。長打力が武器の2年目林明杰、ベテラン陳智弘、昨年35試合で3HRの黃鈞聲、昨年一軍で20試合に出場の周聖訓といった面々がおり二軍の正捕手争いも簡単には決着がつきそうにない。

 

内野手

 1Bは彭政閔、もしくは許基宏が分担して務めることになるか。今年38歳となる体を考慮すれば彭政閔をDHに、許基宏を1Bに入れたいところ。彭政閔が1Bに就く場合は2Bでの起用が濃厚の林智勝を試合終盤に1Bに回し、2Bに守備力に定評のベテラン陳江和潘萣翔を守備固めとして投入することも考えられる。SSは王勝偉をメインにバックアップが潘萣翔となりそうだが、懸案は3Bレギュラー蔣智賢の守備力。昨年も28試合で6失策、守備率.909という数字が残っているが、それにも関わらず3B専任の守備固めの適役がいないのが泣き所。現状オープン戦でも彼に代わって守備固めに入っている陳江和に任せるのがベストか。また内野手の主力が軒並み30代中盤から後半に入っており蘇緯達王威晨甘少康といった25歳以下の若手内野手にもかかる期待は大きい。二軍専用球場の開設を初め設備が大幅に整備され、外国人がメインとなったファーム(首脳陣)でどこまで成長できるか。

 

(外野手)

 LFは周思齊林威助陳子豪の3人で、CFは張志豪陳子豪の2人で争い、RFは張正偉がほぼ固定となるとみられる。大幅な補強が行われた今オフで唯一手が加わらなかったポジションであり、昨年と比べて大きな起用法の変化もドラフトまではないと考えられる。林王啟瑋が右の代打からポジションを伺う形になればよりチームはより活発さを増すことだろう。

 

(DH)

 昨年は林威助周思齊の二人が主にDHに入ったが、今季は彭政閔が彼らに代わって入るケースが増加するであろう。三人の誰が入るにせよ30代後半の選手を上手く休ませながら起用するという意味においてDHは重要となる。

 

<プラス要素>

・FA選手2人獲得による打力の底上げに成功

・ルーキー彭識穎の仕上がりが順調で、他の勝ち継投の投手の負担軽減が期待できる

・捕手が計8名と4球団最多、他球団に比べ余裕を持った捕手起用が可能

・大幅に整備された二軍での若手育成

 

<マイナス要素>

・新外国人投手は打たせて取るタイプが多く、脆い内野守備に足を引っ張られる恐れ

・2B、3Bの守備に不安があり、守備固めを試合終盤に出す必要性が高まった

・先発5番手候補は多いが抜けた選手が不在

・30代の野手が多くレギュラーを占め、若手野手の出場機会が減少する可能性が大きい

 

 

チアリーダー

Passion Sisters

f:id:cpbldatabase:20160315220755j:plain

*2

f:id:cpbldatabase:20160318230938p:plain

  今シーズンは昨年までの8名から思妮、寶兒の2名がグループを離れオーディションにより新たに6人を追加し史上最多の12名で球場を盛り上げる。

*1:中信兄弟公式サイトより引用

*2:Passion Sisters公式FBページより引用

2016シーズン展望+チアリーダー名鑑 Lamigoモンキーズ

f:id:cpbldatabase:20160317031900p:plain*1

2016年シーズン展望第1回はチーム史上初の3連覇に向け歩みを進めるLamigoモンキーズ

 

 <投手>

(戦力構成)

f:id:cpbldatabase:20160317213532p:plain

(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

 

先発

羅曼(右)(新外国人)

尤猛(左)(新外国人)

索爾(右)(新外国人)

王溢正(左) 23試合 11勝6敗 123.1IP ERA6.13

王躍霖(右) 10試合 1敗 14.2IP ERA5.52

太字は移籍、新入団選手

 昨年16勝とシーズンを通して大黒柱となった蘭斯佛(ジャレッド・ランスフォード)、8月中旬からの入団で6勝、台湾シリーズ第7戦でノーヒッターを達成した明星(パット・ミシュ)などとは再契約せず、10~11年に兄弟(現中信兄弟)に所属、昨年はヤクルトで61試合に登板しリーグ優勝に貢献した羅曼(オーランド・ロマン)、5年ぶりの復帰となった尤猛(シェーン・ユーマン)、昨年BCリーグ奪三振王の索爾(ライアン・サール)と3人の外国人先発で開幕を迎える。羅曼は今年で37歳となる年齢が懸念されてのヤクルト退団だったがオープン戦では無難な仕上がりを見せ、今季は先発に専念してのフル回転に期待したい。尤猛は昨年ハンファで17試合に登板し4勝6敗 ERA4.52と平凡な成績に終わり7月下旬肩の故障が早期回復しないことをうけ退団。140km前後の直球とスライダー、チェンジアップを組み合わせるスタイルだが、昨年は直球の被打率が.326と思わしくなく韓国球界での4年連続二桁勝利を阻んだ原因となった。今季も3月上旬に腕の違和感を訴えて以降投球練習をしておらず、開幕ローテ入りは絶望的。37歳という年齢や昨年の投球を見る限り今季の活躍には疑問符がつく。索爾はアジア球界での実績においては前二人に及ばないものの27歳の若さが魅力であり、力強い速球に加え鋭く落ちるスライダーをアウトピッチとする。

 4番手は昨年リーグの台湾人投手で最多となる11勝を挙げた王溢正が確実も、安定感に欠けるため外国人が不振で彼がローテを繰り上げて投げるようなチーム状況となれば苦しくなる。昨年先発(13登板)、リリーフ(6登板)を行き来しながらも85IP ERA4.76と一定の成績を残した許銘傑の退団(中信兄弟に移籍)により空いた5番手には昨年入団し主にリリーフとして一軍10試合に登板した王躍霖が入る。国際大会経験が豊富で5シーズンマイナーでプレー、故障後の一時期は球速低下に苦しんでいたが今年に入り先発でも安定して140km中盤をマークするようになった。

 

先発候補、及びロングリリーフ

洪聖欽(右) 28試合 2勝2敗 20.1IP ERA5.31

林樺慶(右) 19試合  27.2IP ERA4.55

駿傑(右) 1試合 1IP ERA9.00

曾孟承(右) 25試合 3勝1敗1S 50.1IP ERA7.15

 昨年勝ち継投に入るも今一つの成績に終わった洪聖欽、昨年リリーフとして19試合に登板した22歳の林樺慶がロングリリーフとして待機。奇しくも二人は昨年の千葉ロッテ鴨川秋季キャンプに参加した投手である。その他には昨年二軍で6勝、一軍での先発経験もある駿傑や昨年は不振でビハインド時の登板が主だったベテラン曾孟承なども控える。

 

勝ち継投

黃偉晟(右) 54試合 2勝3敗2S 44.2IP ERA5.44

林國裕(右) 40試合 2勝 36.1IP ERA4.95

陳禹勳(右) 45試合 2勝7敗4S 40.1IP ERA4.91

林柏佑(右) 44試合 5勝2敗13S 50IP ERA3.96

林彥峰(右) 13試合 1勝 11.1IP ERA6.35

游宗儒(右) (一軍登板なし)

太字は移籍、新入団選手

 勝ち継投は昨年と大きく変動はなく、6回と7回を2年連続50試合以上登板の黃偉晟、存在は地味ながら使い勝手の良い林國裕の2人に任せ、8回を陳禹勳、抑えを林柏佑に任せるであろう。他にも義大を戦力外となった後入団となった林彥峰、右サイドから最速147kmの直球を投じる游宗儒といった新入団選手にも勝利の方程式入りの期待がかかる。

 

その他の主な投手

郭文凱(右) (一軍登板なし)

洪宸宇(右) 4試合 3.2IP ERA14.73

陳敏賜(右) 2試合 1IP ERA18.00

鄭承浩(右) 11試合 2敗 14.1IP ERA5.02

王豐鑫(右) 13試合 14.1IP ERA5.65

蔡璟豪(右) 9試合 1敗 18.2IP ERA12.54

 ビハインド時、ロングリリーフでの登板が主の郭文凱は過去2年目だった成績を残せなかったが、年齢的にもそろそろ一皮剥けたい。でっぷりとした体格が特徴の投手転向2年目洪宸宇オープン戦にも登板しCPBLでは貴重な左腕で140km超えの直球が健在な所を見せ開幕一軍入り、左殺しとしてアピールなるか。191cmの長身、140km後半の直球が持ち味も制球難が課題の陳敏賜もフォームを修正し投球内容が改善、短いイニングで打者を制圧する投球が期待される。鄭承浩は同じリリーフ左腕洪宸宇の成長により肩身は狭くなったがまだ29歳と若く、奮起を促したい。

 

<野手>

(戦力構成)

f:id:cpbldatabase:20160318233956p:plain

(WS=Win Shares 参考:

https://www.ptt.cc/bbs/Baseball/M.1444818098.A.B36.html

予想オーダー

9陽耀勳(左) 25試合 打率.425 0HR 10打点 OPS.968

8詹智堯(左) 113試合 打率.284 3HR 34打点 OPS.715

7王柏融(左) 29試合 打率.324 9HR 29打点 OPS1.017

D林泓育(右) 119試合 打率.353 24HR 101打点 OPS1.024

3陳俊秀(右) 113試合 打率.335 25HR 118打点 OPS.989

5林智平(右) 107試合 打率.305 4HR 42打点 OPS.756

6余德龍(右) 93試合 打率.301 1HR 34打点 OPS.734

2黃浩然(右) 108試合 打率.335 2HR 41打点 OPS.674

4郭永維(右) 73試合 打率.280 1HR 11打点 OPS.668

 

主な控え

(捕手)

劉時豪(左) 68試合 打率.237 1HR 12打点 OPS.649

内野手

林承飛(右) 4試合 打率.400 1HR 2打点 OPS1.164

郭修延(右) 27試合 打率.279 0HR 8打点 OPS.721

朱育賢(左) (一軍出場なし)

陳雁風(右) 32試合 打率.256 1HR 5打点 OPS.645

翁克堯(右) 6試合 打率.083 0HR 1打点 OPS.167

(外野手)

陳金鋒(右) 41試合 打率.200 0HR 7打点 OPS.533

藍寅倫(左) 56試合 打率.325 2HR 19打点 OPS.792

鐘承祐(右) 57試合 打率.276 4HR 22打点 OPS.781

林政億(右) 6試合 打率.083 0HR 1打点 OPS.167

太字は移籍、新入団選手

 

(打線総評)

 昨年両リーグ最多の124HR、785得点という圧倒的な攻撃力でチーム史上初の二連覇を勝ち取ったが、今季は昨年史上初のトリプルスリーを達成した林智勝が中信兄弟にFA移籍し、2Bレギュラーの郭嚴文が右肘の骨片除去手術、左膝の半月板手術のため前期の出場が絶望的となるなど内野の要が抜け三連覇に向けては逆風が吹いている現状。とはいえ若手の出場機会がベテランや主力の離脱、退団により増えたという見方も可能であり、若手の成長とチームの勝利を同時に見守ることができればそれにこしたことはない。

 1、2番は昨年途中入団ながら野手として打率.425と存在感を示した陽耀勳、CFレギュラー詹智堯のコンビが有力か。詹智堯は左投手との相性の悪さから左腕先発時には9番に入り上位打線への繋ぎ役になることも考えられる。3番は昨年大ブレイクし新人王のタイトル獲得を狙う王柏融が入るとみられるも、素質や実績は申し分ないが若干23歳の若さで3番に入りフルシーズン戦い抜けるのかは未知数。4、5番は林泓育陳俊秀と昨年と同じ顔触れ。

 ラミゴにとって泣き所なのは6番以降の下位打線となるだろう。2B 3B SS Cの選手が主に入ることになりそうだが、いまだに打順がはっきりしないところがあり、シーズン開幕後も手探りでオーダーを組むと予想される。即戦力高卒野手である林承飛オープン戦に入り本職のSSに加えて2Bにも就いているが打線にアクセントを加えるという意味でも郭嚴文が復帰するまでスタメンで起用し続けるのも一考か。

 

(捕手)

 昨年と変わらずベテラン黃浩然をメイン、2番手に劉時豪という形となり林泓育がマスクを被る場面はほとんど見られないだろう。劉時豪はまだ25歳と若く黃浩然の後継者として今季も引き続き出場機会を増やせるか。二軍はここ5年間中堅の許躍騰がレギュラーとなっているが22歳の許禹壕、昨年高卒で入団した嚴宏鈞の若手二人がどこまで出場機会を得られるかにも注目したい。

 

内野手

 ラミゴにとって最大の変数となるポジション。1Bは昨年2年目で打棒をいかんなく発揮した陳俊秀、3Bは2年連続盗塁王、昨年初の打率3割をマークの林智平でほぼ確定だが、2BとSSは決まらぬまま。2Bは郭永維郭修延翁克堯といった面々が守ることになりそうだがいずれも打力に乏しく、郭嚴文の復帰までは大きなウイークポイントとなることだろう。SSは昨年主にOFで起用された便利屋余德龍が有力で、彼を高卒2年目の林承飛が追いかけるという形。攻撃面を考慮するならば2B林承飛、SS余德龍が良いのかもしれないが内野手としての実績が不足しておりリスクも大きい。少ない朗報としては昨年ドラフト7位入団の1B朱育賢のアピールがキャンプ、オープン戦を通して続いていることである。陳俊秀が最近まで脇腹を傷め体調に不安がある中、持ち前の長打力でチームに良い刺激を与えてほしい。

 

(外野手)

 LF王柏融、CF詹智堯、RF陽耀勳が有力。両コーナーのポジションについては昨年陽耀勳がLF、王柏融がRFに入ることが多かったが陽耀勳の守備の負担を軽くするために洪一中監督が行ったコンバートである。しかしながら陽耀勳オープン戦で打率.083と振るわず、まずい打球の追い方を見せるなど変わらず守備に難があるところを露呈しており、仮に打棒が振るわなければ走攻守三拍子揃った14年の新人王藍寅倫や昨年の右肘骨片除去手術から復帰したかつてのRFレギュラー鐘承祐といった実力者に出場機会を奪われることは想像に難くない。このように外野は競争がかなり激しいポジションとなっているが、今年30歳を迎えた13年にブレイクの謝炫任、昨年出場機会は少ないながらも打率3割をマークした林政億の2人がどこまでこの競争に割って入れるかにも注目したい。

 

(DH)

 昨年は林泓育がほぼ1年間DHを任されていたが、今季限りでの引退を表明している陳金鋒の状態が良く開幕戦ではDHでの先発出場が確定。球団が彼のために引退関連イベントを企画している、との話もある9月の1か月間は彼の姿をスタメンで拝める機会も多くなるかもしれない。

 

<プラス要素>

・林智勝のFAによる退団でプロスペクト林承飛を一軍で起用できる幅が広がった

・台湾球界で実績ある羅曼と尤猛を獲得し新外国人の環境適応といったリスクを軽減

・外野手の層の厚さはリーグトップクラス、各選手のタイプもばらけておりバランスも良い

・昨年のドラフト組を中心に若いリリーフに飛躍の兆し、戦力となれば心強い

 

<マイナス要素>

・攻撃面において林智勝の穴埋めが困難、それに関連し2B、SSのセンターラインも固定しきれない恐れ

羅曼と尤猛は共に今年37歳となり以前のようにイニングイーターとしてチームに貢献できるか疑問

・昨年13先発、6リリーフをこなしそこそこの成績を残した許銘傑の穴を埋めることが案外容易ではない

・プロ2年目、23歳の王柏融を3番に固定することによる他球団からの厳しいマーク

 

チアリーダー

LamiGirls

f:id:cpbldatabase:20160317210601j:plain

*2

f:id:cpbldatabase:20160317221212p:plain

 今年は小萍、Angelの2人が脱退もオーディションにより新たに6人が加入し23人に。今後もメンバーの増員を示唆しており、その勢いは止まるところを知らない。

 

*1:Lamigo球団公式FBページより引用

*2:LamiGirls公式FBページより引用