台湾プロ野球データベース コラム集

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プレミア12台湾代表選手名鑑

 

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(画像:ETtoday)

 

 今回のプレミア12台湾代表は多くの試合を自国で開催、かつ最重要な国際大会(一級賽事)という位置づけなこともありモチベーションは非常に高く、最強のナショナルチームを作るため政府やCPBL、棒球協会がタッグを組み挑む。しかしながら特に投手陣には少なからず誤算があった。40人ロースター外のマイナーでプレーする曾仁和(カブスA+)黃暐傑(ダイヤモンドバックスA)王維中(ブルワーズA+)といった有望株を招集できず、投手13人のうち8人を層の薄いCPBL投手陣から選出せざるを得なかった。そのため先発は陳冠宇、郭俊麟のNPBコンビが軸となるが、先発3番手以降はしばらく実戦から離れている宋家豪、サプライズ選出された19歳の左腕呂彥青などと大舞台での起用には不安が残る。また勝ちパターンの確立も順調ではなく、練習試合でも救援陣が失点を重ねるケースが目立った。一方野手は打高投低のリーグとはいえCPBLのトップクラスが勢揃いしており、期待が持てる陣容となっている。CPBL史上初のトリプルスリーを達成した林智勝やCPBL新記録となる39HRを放った高國輝など打線の破壊力は代表でも史上最強と言っても過言ではない。一方で守備に長けた選手が少ないのは不安要素だが、それと投手陣の層の薄さを差し引いても「打線の破壊力で打ち勝つ野球」が今大会におけるテーマとなるだろう。

 プレミア12は各グループ4位以上に入れば決勝トーナメントに進めるため、台湾としてはなんとしても5試合中2試合以上の勝利が当面の目標となる。そのためカリブ勢では一番戦力が厳しいとされるプエルトリコ、台湾と決勝トーナメントの最後の切符を争うライバルとなりそうなイタリアは投手陣の層が厚くないため何としても勝たなければならない相手となる。グループA突破の可能性が高いオランダ、カナダ、キューバとは苦しい試合展開になることが予想されるが、この3か国の中で一番期待が持てるとすれば13年WBC一次ラウンドで勝利を収めたオランダか。

 13年WBCは周囲の予想を良い意味で裏切り一次ラウンドを突破し日本戦では大善戦を繰り広げ、国内の野球人気を押し上げる原動力となった。あの感動をまた台湾の野球ファンの前で再現することはできるだろうか。2年前は悔し涙を流した東京の地に今回は笑顔で姿を見せることを願ってやまない。

 

(スタメン予想)

8陽岱鋼 6郭嚴文 4林智勝 D林益全 7高國輝 2林泓育 3陳俊秀 5陳鏞基 9王柏融

(控え)

C 高志綱 張進德

2B 林志祥

3B 蔣智賢

CF 張志豪

RF 張建銘

 

(先発)

陳冠宇 郭俊麟 宋家豪 倪福德 呂彥青

(ロングリリーフ)

潘威倫 林子崴 王鏡銘

(リリーフ)

羅國華 陳禹勳 林柏佑 陳鴻文 羅嘉仁

 

プレミア12台湾代表 グループA試合日程(球場は全て洲際)

11/9 18:30 vsオランダ 

11/11 18:30 vsイタリア 

11/12 18:30 vsカナダ 

11/14 18:30 vsキューバ 

11/15 12:30 vsプエルトリコ

 

プレミア12台湾代表選手名鑑

(名前をクリックすると個人成績or棒球wikiのページにジャンプします。)

 

(先発)

陳冠宇(チェン・グァンユウ)ロッテ 25歳 179cm 75kg 左左

14試合 5勝4敗 61.1IP ERA3.23

 代表エース格となる左腕。今年はテスト入団から這い上がり6月に一軍初勝利を挙げると、9月と10月でERA0.96 3勝を挙げチームのCS進出に大きく貢献した。最速146kmのストレート(ツーシーム)にスライダー、カーブ、フォーク、シュート、チェンジアップと豊富な球種を持ち合わせるが今大会の練習では特にチェンジアップとフォークの調子が良いとの本人談。初戦となる9日のオランダ戦先発の可能性が高いとみられるが、10年のインターコンチネンタルカップでのオランダ相手に5.2IP/2Rの好投をもう一度見せられるか。

郭俊麟(グォ・ジュンリン)西武 23歳 175cm 70kg 右右

21試合 3勝7敗 79.2IP ERA5.31

 即戦力として期待され開幕2連勝と上々のスタートも以降は他球団からのマーク、ストライクゾーンの狭さなどに苦しみ二軍落ち、一時期リリーフへ配置転換。アマ時代の一番の武器だったチェンジアップが今年は打者に狙われるボールとなり、カーブとスライダー中心の投球にモデルチェンジを強いられた。シーズン後半から横田投手コーチと共にシンカーをレベルアップさせ、今大会ではストレートと組み合わせてピンチでもゴロアウトを奪えるようになりたいと語っており、またしばらく封印していたチェンジアップも再び解禁となるようだ。

宋家豪(ソン・ジャーハオ)楽天 23歳 186cm 103kg 右左

 楽天としては3人目となる台湾人選手。今年のドラフトで統一のドラフト2位指名を受けるもそれを蹴り育成契約でNPBへの挑戦を決めた。がっちりとした体格から最速151kmの重い球質のストレート、チェンジアップ、スライダー、カーブを投じ内角も臆せず攻める強気の投球が持ち味。実戦から離れていた影響か制球、変化球が今一つと今大会に向けての調整は順調ではないものの、国際大会の経験は豊富。先発3番手あたりでの起用が予想される。

倪福德(ニー・フーデ)義大 33歳 182cm 90kg 左左

11試合 4勝2敗 57.1IP ERA5.18

 CPBLでは貴重な先発左腕。今年のドラフト2位で2年半の複数年契約、一年目の月給43万元でという好待遇で迎えられたが今季は平凡な成績に。140km台前半のストレートと横に大きく曲がるスライダーの組み合わせというスタイルは変わっていないが以前のサイドスローに近いフォームからスリークォーターになったため悪い意味で癖がなくなった印象を受ける。

呂彥青(ル・イェンチン)台湾体育大 19歳 175cm 65kg 左左

 今代表最大のサプライズ選出。一次候補にも入らなかった顔にあどけなさの残る19歳の評価を高めたのは9月のアジア選手権。初戦の韓国戦でリリーフし3.2IP/5Kの快投に始まり、最終戦の日本戦では先発し6回無失点で準優勝に大きく貢献した。細身ながら最速147kmのストレート(平均142~143km程度)にスライダーが主な変化球でチェンジアップも投じるが変化球は制球が定まらないことが多く、全体的にもコマンドを高める必要がある。ストレートの勢いがプレミア12で格の上がる打者相手に通用するか、長いイニングを投げられるスタミナには疑問符がつくが手薄な投手陣ゆえ、今のところ先発候補の一人に数えられている。

 

(ロングリリーフ)

潘威倫(パン・ウェイルン)統一 33歳 182cm 98kg 右右

 25試合 7勝9敗 153.1IP ERA4.75

 CPBL通算最多勝のベテラン右腕。今季はエースとしては物足りない成績も、台湾人投手としてはリーグ最多イニングを投げ5年ぶりに規定投球回に到達と一年間先発の軸として機能。今大会ではリリーフとして調整を続けており、先発の層が薄い代表では大事な役回りとなる。13年WBCでは一次ラウンドのオランダ戦で2番手として4.2IP/0Rの好投を見せたが、再び大事な初戦でオランダーキラーとなれるか。

林子崴(リン・ズーウェイ)統一 20歳 179cm 78kg 左左

14試合 2勝1敗 26.2IP ERA3.04

 統一の未来を担うプロスペクト。若くして代表経験は豊富で、今季はドラフト1位で指名を受けると即戦力左腕として8月上旬からリリーフメインに起用され、3試合にも先発。球の出どころの見にくいフォームからスライダー、カーブ、チェンジアップを持ち球にノビのある140km中盤のストレートを繰り出すが、コマンドがまだ粗削りなせいかシーズン終盤は球速を落とし制球の向上を図ったかのような姿も見られた。今大会では貴重な左のリリーフとして活躍が期待される。

王鏡銘(ワン・ジンミン)統一 29歳 176cm 93kg 右右

32試合 5勝10敗 101.2IP ERA6.99

  13年WBC代表。13年に肩を怪我した後は球速が落ち、150km超の直球一辺倒からスライダーをメインに、カーブ、チェンジアップといった変化球も交えて打者と対峙するようになった。現在は今季も昨年に続き先発とリリーフ両方をこなしたがどちらも今一つの成績に終わりBB/9が3.23→4.60と悪化、自身初となる二桁敗戦を喫した。そんな中でも代表入りするあたりに今回の投手陣の層の薄さを感じざるを得ないのは悲しいところ。一次予備候補からの選出に本人も「29億元のロトに当たったみたい」と驚きを隠せない様子。

 

(リリーフ)

羅國華(ルォ・グォホァ)ツインズRk 23歳 178cm 88kg 右右

19試合 4勝1敗7S 31.1IP ERA1.44

 投手陣で唯一のマイナーリーガー。昨年の仁川アジア大会、9月のアジア選手権でも代表入りしており、アジア選手権ではシーズン中と同じく抑えを任された。年々K/BBが向上しており今年は31.1IP/43K/8BBと上々の成績で、小柄ながら最速96マイルのストレートを軸にスライダー、フォーク、チェンジアップを組み合わせ打者を料理する。勝ちパターンとして名前は挙がっておらず6、7回でマウンドに上がることになるとみられる。

陳禹勳(チェン・ユーシュン)ラミゴ 26歳 182cm 88kg 右右

45試合 2勝7敗4S 40.1IP ERA4.91

 昨年ルーキーながらセットアッパーとして30ホールドでタイトルを獲得し優勝に貢献したが、2年目の今年は酷使の影響か昨年後半から引き続き開幕から波に乗れずセットアッパーの座を明け渡すこともあり二軍落ちも経験、ERAは1点以上悪化した。K/9やBB/9といったスタッツは大きく悪化はしていないものの突如制球を乱すことがあり、またGO/AOが1.40→2.04と大幅に上昇したことで脆さのあるチームの内野守備の影響を受けた可能性がある。140km台後半を常時マークする直球でぐいぐい押すパワーピッチャーで、変化球はスライダー、チェンジアップ、フォークを投じる。

林柏佑(リン・ボヨウ)ラミゴ 29歳 183cm 91kg 右右

44試合 5勝2敗13S 50IP ERA3.96

 09年WBC台湾代表、2011年IBAFワールドカップ代表の経験がある右腕。不安定なチームの投手陣の中で、4月中旬から抑えの座を守り続けた。春季キャンプでは先発として調整していたため、抑え転向は本人も驚きだったといい、チームの先輩である許銘傑からのアドバイスや他球団の抑え投手のチェック、リベラの自伝を読むなどして新しい環境に適応していったという。昨年に引き続いて被安打数がイニング数を上回りながらも50IP/52K/11BBと立派なスタッツ。直球の球速は140キロ前半であることが多いが、ノビのあるボール。コマンドが特段優れているわけでもないが投げっぷりが良くストライクゾーンでうまくボールがばらけている印象。

陳鴻文(チェン・ホンウェン)中信兄弟 29歳 180cm 97kg 右右

50試合 6勝3敗24S 55IP ERA2.95

 中信兄弟の守護神。今季は抑えとして初めて一年間投げぬき見事セーブ王のタイトルを獲得し台湾シリーズでも鬼気迫る投球でラミゴをあと一歩まで追い詰めた。イニングを跨いでのセーブも難なくこなすため台所事情の苦しいブルペン陣においては使い勝手のいい選手である。13年のWBCでは日本相手にリードを守り切れず敗戦投手となったが、準々決勝以降の対戦でのリベンジに燃えている。

羅嘉仁(ルォ・ジャーレン)義大 29歳 180cm 90kg 右右

49試合 2勝5敗10S 43.1IP ERA5.19

  今季CPBL最速の157kmをマークした義大の守護神。絶好調だった昨年から一転、今季は9度のセーブ失敗で二軍落ちを経験し僅か10セーブにとどまる不振を経験、抑えとしての役割を十分に果たせなかった。しかし今大会の練習では投球リズムをゆっくりにするようアドバイスを受け変化球、制球ともに改善されたとの本人談。実際練習試合では好投を見せており、現状抑えの筆頭候補か。持ち球はカーブ、チェンジアップ、カットボール

 

(C)

林泓育(リン・ホンユー)ラミゴ 29歳 181cm 103kg 右右

119試合 打率.353 24本 101打点 4盗塁 OPS1.024

 ラミゴ強力打線の4番。成績面ではBB%が昨年の4.69%から9.84%に大きく向上。今季もほぼDHとしての出場だったが、打撃重視のスタメンを組む可能性の高い今回の台湾代表では主戦捕手として起用されるものとみられる。とはいえ13年のWBCではオランダ戦や日本戦において捕手としてスタメンマスクを被っており、郭泰源監督も7月下旬にはラミゴ首脳陣に「捕手としての適性を見たい」と伝え8月中旬まで捕手としても出場し、シーズン後の代表合宿でも捕手として練習を行っているため大きな問題はないと思われる。

高志綱(ガオ・ジーガン)統一 34歳 178cm 75kg 右右

 75試合 打率.258 1本 21打点 3盗塁 OPS.637

 長年代表で活躍してきたベテラン捕手も近年は成績が下降気味。今季は故障もあり120試合制になった09年以降では最少の出場数にとどまり、9月中旬以降はルーキーの林志賢にポジションを譲る機会も増え世代交代の波を感じさせた。打力重視のスタメンを組むことを考慮すれば、今大会は林泓育のバックアップとしてチームを支えることになりそうだ。

張進德(ジャン・ジンデ)パイレーツA+ 22歳 180cm 100kg 右左

 99試合 打率.292 5本 41打点 2盗塁 OPS.713

 野手では唯一のマイナーからの選出。守備力に長けミスが少なく、捕球と送球共に安定しており、年々出場機会を増やしているが今年はCとしてはトッププロスペクトと出場機会を分け合う形となり、*1DHでも53試合出場した。代表では打てる若手の三番手捕手として出番を待つことになるとみられるが、不測の事態でも安心して任せることができる実力は持ちあわせている。

 

(1B)

林益全(リン・イーチュエン)義大 30歳 180cm 83kg 右左

 117試合 打率.367 23本 126打点 1盗塁 OPS1.008

 義大の4番。今季も126打点で打点王を獲得。史上唯一の3度のMVPに輝いた高い完成度を誇る打撃を見せつけ、アジア最速となる通算1000安打も達成。代表でも同じく4番として強力打線を引っ張ることになるとみられるが、国際大会で成績を残せていないのが懸案事項。今年こそ「活躍できるのは国内のみ」という汚名返上なるか。1B守備は陳俊秀と共に上手いとは言えないが、彼が1Bに入る場合は陳俊秀はDH、DHに入る場合は陳俊秀が1Bに入ることとなりそうだ。

陳俊秀(チェン・ジュンショウ)ラミゴ 27歳 183cm 97kg 右右

113試合 打率.335 25本 118打点 11盗塁 OPS.990

 安定感増した右のパワーヒッター。10年の広州アジア大会、昨年の仁川アジア大会代表など国際大会経験豊富で、今季は初年度の不振を吹き飛ばすように打ちまくりリーグ3位の118打点をマーク。特に9月は7HR、35打点と打ちまくり6番を打っていた打順もシーズン終盤には5番を打つことが増えた。26試合で2HRに終わった昨年よりもグリップを下げ重心をより低くした打撃フォームもこの好成績に一役買った印象。林益全とは1Bのポジションを争うことになるが、現状1Bでスタメン起用されそうか。左投手に強いためベンチスタートになった場合は勝負所での代打起用も面白い。

 

(2B)

林智勝(リン・ジーシェン)ラミゴ  33歳 183cm 100kg 右右

110試合 打率.380 31本 124打点 30盗塁 OPS1.158

 日本の野球ファンにも知名度が高いであろう台湾の大砲。今季は打高ということを考慮しても素晴らしい成績を残し、CPBL初のトリプルスリーを達成、台湾シリーズ、そしてシーズンでもMVPを獲得。今大会ではキャプテンに就任し台湾代表の顔にもなる。課題と言われる守備は9月中旬までSSをメインに守っていたが、以降は郭嚴文と入れ替わる形で2Bとしての出場が増え、試合後半にポジションを再び入れ替えるケースもしばしば。今大会では2BもしくはSSをメインに1Bでの起用の可能性もある。今年で5年契約が終了しFA権を行使したが「就活」としてもこの大会でのアピールは重要となるだろう。

林志祥(リン・ジーシャン)統一  28歳 173cm 74kg 右左

 107試合 打率.302 4本 54打点 20盗塁 OPS.709

 統一の核弾頭。今季は3年連続20盗塁に加え失策数もプロ入り後初の一桁(8失策)、ベストナインゴールデングラブの両方を獲得し充実の一年に。範囲が広く安定感のある2B守備は守備に不安のある林智勝がスタメンで出るようであれば守備固めとして貴重なものとなる。打撃は四球を選ぶことが少なく出塁率に物足りなさがあり、代表でスタメンに入れるとすれば9番が無難か。なお3Bも守ることはできるがあまり上手くはないため緊急時以外は任せない方が良い。陽岱鋼とは小学生時代の99年以来16年ぶりの代表での再会となった。

 

(3B)

陳鏞基(チェン・ヨンジー)統一 32歳 179cm 83kg 右右

107試合 打率.278 14本 50打点 16盗塁 OPS.824

 統一の攻守の要。今季は初の二桁本塁打をマークし3年連続二桁盗塁を達成した一方でSSと2Bしか守ることはなかった守備では過去ワーストの20失策、守備率.949。サブポジションとして3Bも無難にこなせる選手は彼のみで、今大会では蔣智賢と3Bのポジションを争うことになりそう。13年WBC日本戦では延長10回に併殺打を放ち最後の打者となった。

蔣智賢(ジャン・ジーシェン)中信兄弟  27歳 183cm 95kg 右左

 30試合 打率.306 3本 25打点 0盗塁 OPS.772

 09年WBC、昨年の仁川アジア大会代表。マイナーで9シーズンプレーし今季はシーズン前半を高知の4番として過ごした後、ドラフト1位で中信兄弟に入団。入団すぐは結果を残せなかったが徐々に調子を上げ及第点の成績を残した。打てる3Bがリーグ全体を見渡しても彼くらいしかいない事情を反映し、3Bとしてスタメン出場の可能性もあるが懸案事項の守備は範囲、送球に難ありで時たま好プレーを見せる一方、強襲してきた打球にうまく反応できない場面やイージーミスも目立ち3Bで26試合5失策。守りを捨て打撃に特化した感のある代表の象徴とも言えるが、果たして結果やいかに。

 

(SS)

郭嚴文(グォ・イェンウェン)ラミゴ 27歳 179cm 86kg 右左

109試合 打率.297 9本 71打点 14盗塁 OPS.767

 ラミゴの二塁レギュラー。今季はアジアタイ記録となる33試合連続安打を放ち、盗塁数も自己最多の14盗塁をマークした一方で、右肘の骨棘にも悩まされたのか打高のリーグを考慮すれば物足りない成績に終わり、2Bのベストナインゴールデングラブ賞共に林志祥に奪われる形となった。今大会ではシーズン終盤スタメンで起用されたSSでのスタメン起用、もしくは2Bでの出場となるだろう。練習試合では今シーズン1度しか出場のない2番での起用が多いが、あまり小技は得意としないためベンチから作戦を仕掛けるとなればエンドランや右打ちがメインとなると思われる。

 

(LF)

高國輝(ガオ・グォフイ)義大 30歳 189cm 95kg 右右

 120試合 打率.324 39本 110打点 7盗塁 OPS1.016

 台湾の大砲。今季はCPBL記録を大きく更新する39本塁打を放ち2年連続でタイトル獲得。また今年リーグで唯一全試合出場を達成した。リラックスした打撃フォームから長打を生み出し、代表でもクリーンアップに入り強力打線の核になるとみられる。守備はLFをメインに外野は全てこなせるが、かつて5ツールプレーヤーとしての評価を受けた面影はなくフライの追い方に難がありスピードも落ちているため、CFはまず代表戦では守らせることはなくLFで固定となるだろう。パクビョンホ(ネクセン)を意識したかのような打撃フォームだが、本当に本人が意識しているかは不明。

 

(CF)

陽岱鋼(ヤン・ダイガン)日本ハム 28歳 183cm 87kg 右右

86試合 打率.259 7本 36打点 14盗塁 OPS.664

 日本でもお馴染みの台湾の英雄。今季は5月に左手首の剥離骨折などでレギュラー定着後最少の出場数も代表では不動の「1番・CF」としてチームを引っ張る活躍が期待される。381PAで93K/21BBと打席でのアプローチに相変わらず課題を残すが、広い守備範囲と走力、14年に25HRをマークした長打力でチームを活気づけたい。

張志豪(ジャン・ジーハオ)中信兄弟 28歳 180cm 81kg 右左

91試合 打率.297 14本 45打点 12盗塁 OPS.879

 バントは少なめの強打の2番打者。アマ時代の09年のアジア選手権以来、プロ入り後大きな大会での国際大会選出はなかったが今回嬉しい代表入りを果たした。ここ数年はパワーもつけ2年連続の二桁本塁打をマークし入団から6年連続で二桁盗塁と走力も持ち合わせる。守備ではCFとしてホームラン性の打球を何度も好捕するなどフェンス際の打球に強いイメージがあるが、Win Sharesで算出された守備指標では平均レベル*2なのは打球判断のまずさなども影響してのものか。顔もプレースタイルも似ている陽岱鋼とは同じCFのポジション(かつここ数年はほぼCFしか守っていない)ゆえベンチで出番を待つ機会が多いと予想されるが、パワーヒッターが揃った強力打線において代走、代打、外野のバックアップとして使い勝手のいい貴重な駒となれる可能性は十分にある。

 

(RF)

張建銘(ジャン・ジェンミン)義大 35歳 176cm 75kg 左左

114試合 打率.342 11本 74打点 4盗塁 OPS.872

 代表最年長のベテラン。今季は自身初の二桁本塁打をマークし2番を中心に強力打線の1ピースとして機能した。強肩と積極的な打撃は健在で2度のWBCアジア大会北京五輪と代表経験豊富。かつ国際大会での成績も良く頼れる存在となりそうだ。RFのポジションは経験と守備力ならば張建銘、打撃の爆発力ならば王柏融という選択になるであろうが、優劣はつけがたく監督の好み次第でスタメンを決定することになるだろう。

王柏融(ワン・ボーロン)ラミゴ 22歳 181cm 90kg 右左

29試合 打率.324 9本 29打点 0盗塁 OPS1.017

 ラミゴを救ったスーパードラ1。ソフトバンクも獲得に興味を示していた*3大物外野手は、入団後二軍戦を経ることなく9月上旬から一軍で出場するとルーキー史上最速で30安打、3試合連続HRなどとにかく打ちまくり、中信兄弟との台湾シリーズでは林智勝と並び新記録となる合計14安打を放ち、優秀選手にも選ばれるなどルーキーと呼ぶのもふさわしくない大活躍を見せた。一次候補の45人に入らなかったにも関わらずの選出はこのシーズンでの大活躍が大きかったのは言うまでもない。速いスイングスピードから逆方向へも長打を打てる完成度の高い打撃が一番の武器。弱点と言うべき明確なものは見つからないが、強いて挙げるならば変化球への対応が比較的苦手か。RFはベテラン張建銘とポジションを争うことになるが、自慢の打撃をアピールできるか。