台湾プロ野球データベース コラム集

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アジアプロ野球チャンピオンシップ台湾代表 選手名鑑

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台湾代表日程(時間はすべて日本時間)

(練習試合)

11/10 19:35 千葉ロッテ(桃園)

11/11 18:05 千葉ロッテ(桃園)

11/12 18:05 千葉ロッテ(桃園)

 

11/17 19:00 日本(東京ドーム)

11/18 18:30 韓国(東京ドーム)

11/19 18:00 予選1位-予選2位

 

・投手

林樺慶(リン・ホァチン)Hun-Ching Lin

1994.10.03(23歳 4年目) 186cm 85kg 右投右打 14年D2位 

高苑工商-開南大学-ラミゴ(14~)

17年成績:20試合 18先発 6勝4敗 ERA5.25 106.1IP 被HR13 与四球30 奪三振73 WHIP1.58

 "日本に立ちはだかる先発右腕"

 4年目で悲願の初勝利を挙げた右腕。中学時代からストレートは最速140kmに達し台湾の強豪校、日本の高校からのスカウトがあったものの地元高雄の高苑工商に進学。高校では大幅な球速向上はならずもボールのノビと角度が優れ、多彩な変化球を持ち合わせたこともありエースに。13年の高校生ドラフトで義大(現富邦)から2巡目で指名されるもまさかの契約金、月給なしという過酷な条件に入団を拒否、結果海外でのプレーという夢を絶たれたばかりか国内の大学への進学も困難となった。そのような中にあって開南大学が単位取得を条件に入団を認めたことで窮地を脱し、入学後は郭李建夫コーチの指導もあって球速が145kmまで向上。1年間在籍した後14年のドラフトでラミゴから指名を受け入団となった。しかし入団後3年間勝ち星なし、一軍での先発も計2試合となかなか芽が出なかったが昨年はチームの5番手先発として一年間ローテを守り6勝と飛躍の一年に。141km前後のストレート、136km前後のツーシーム、スライダー、カーブ、フォーク、シンカーと多彩な球種を組み合わせ6回前後をゲームメークする。今大会では日本戦の先発が予想されている。

 

朱俊祥(ジュ・ジュンシャン)Chun-Hsiang Chu

1995.04.15(22歳 5年目) 175cm 70kg 右投左打 13年高校生D2位 

台中工農-ラミゴ(13~)

17年成績:40試合 0先発 4勝2敗 ERA6.32 37IP 被HR6 与四球18 奪三振46 WHIP1.41

"怪我から完全復活の快速球リリーバー"

 ストレートが魅力の右腕。1年目から一軍のマウンドに上がり140km後半のストレートを連発、当時のCPBL最年少で勝利投手を記録すると2年目の14年には26試合に登板しERA3.23と結果を残したが11月に友人のバイクに乗って出かけた際に事故に遭い右足腓骨と頸骨を骨折、この怪我で約1年半を棒に振った。昨年は一軍4試合の登板に終わるも今季は自己最多となる40試合に登板、出来の起伏が激しかったものの37IP/46Kと変わらず球威があることをアピールできた一年となった。最速154kmのノビのあるストレートにスライダー、フォークを組み合わせる奪三振マシーン。制球にはまだ課題を抱える荒削りなリリーバーだが、日本代表の稲葉監督が10月に桃園で視察を行った際に彼の名前を挙げ「球質が素晴らしく、アジアプロ野球CSでの勝利の方程式の一人となるかもしれない」と評価された。


王躍霖(ワン・ヤオリン)Yao-Lin Wang

1991.02.05(26歳 3年目) 184cm 94kg 右投右打 15年D6位 

三信家商-国立台湾体育運動大学-カブスマイナー(09~14)-国訓-ラミゴ(15~)

17年成績:64試合 0先発 3勝1S ERA3.43 57.2IP 被HR3 与四球25 奪三振56 WHIP1.16

"挫折を乗り越えタイトル獲得"

 かつての速球が蘇ってきた右腕。10年から14年まで5シーズンをカブスマイナーでプレー、その間に12年WBC予選、13年WBC東アジア競技大会侍ジャパン戦、14年仁川アジア大会など数多くの国際大会で場数を重ねるも最高A+までしか昇格できず、通算113試合 16勝23敗16S ERA3.98。その後15年3月に阪神の入団テストを受験も最高136kmしか出ず不合格、自信を失ったがその年のドラフトでラミゴからドラフト指名を受け入団。2年目からリリーフとして出番を増やし16年は41試合、そして今季は64試合に登板し19ホールドで最多ホールドのタイトルを獲得、セットアッパーとしてラミゴの勝ちパターンの一角を担った。重心を深く沈ませるフォームが特徴的で、マイナー時代に96マイルを記録したストレートが今季は最速150kmをマークするまでに復調、対右打者を被打率.179と抑えた。スライダー、カーブ、チェンジアップ、カットボールと球種も多彩だが制球難が課題。


邱浩鈞(チョウ・ハオジュン)Hao-Chun Chiu

1990.12.29(26歳 3年目) 180cm 70kg 右投右打 14年D5位 

平鎮高中-中国文化大学-新北市-国訓-統一(15~)

17年成績:61試合 0先発 1勝4敗 ERA3.48 54.1IP 被HR3 与四球23 奪三振59 WHIP1.53

"細身から繰り出すストレート+高速フォーク"

 プロ入り後初の国際大会代表となった右腕。高校時代からリリーフとして活躍し高2で145kmをマーク、大学でもリリーフとしての代表入りがほとんど。入団時には「郭泰源二世」と期待されルーキーイヤーからリリーフとして積極的に起用されたが2年間は思うような結果を残せず。しかし今季開幕からセットアッパーとして役割を固定されると才能が開花し開幕から11試合連続無失点、前期のERAは2.30。後期に疲れから打ちこまれるケースが増え数字を落としたがチームトップの61試合に登板、充実の一年となった。体格は細身ながら140km中盤~後半のストレート、130km後半の高速フォーク、カーブ、スライダーを主な持ち球とする速球派。

 

王鴻程(ワン・ホンチェン)Hung-Cheng Wang

1991.09.08(26歳 1年目) 192cm 92kg 右投右打 17年D6位 

福岡第一高-日本経済大学-BCリーグ・石川-崇越隼鷹-中信兄弟(17~)

17年成績:8試合 0先発 1勝 ERA1.12 8IP 被HR0 与四球2 奪三振7 WHIP1.38

"1年目から経験積んだ知日派"

 日本で計8年プレーした火の玉右腕。中学卒業後来日し福岡第一高、日本経済大学でプレー。惜しくも目標だったNPB入りを果たせなかったため15年はBCリーグ・石川に入団、38試合で1勝3敗3S ERA3.41の成績を残し最速153kmもマーク。昨年は兵役の関係で台湾に戻り、その後崇越入りし抑えとして活躍。今年中信兄弟に入団後は9月中旬から一軍昇格しシーズン最終盤、そしてポストシーズンでは抑えを任された。サイド気味の腕の振りから140km後半~150kmを超えるストレートが最大の武器で奪三振多く奪うが、落差の大きい130km後半をマークするフォーク、スライダー、チェンジアップといった変化球も含めて制球力が課題であり、今後も抑えとして活躍するためには解決したい課題である。

 

羅國華(ルォ・グォホァ)Kuo-Hua Lo

1992.10.28(25歳 1年目) 178cm 90kg 右投右打 17年D3位 

三信家商-開南大学-ツインズマイナー(11~16)-米独立・リンカーンソルトドッグス-四国アイランドリーグ・高知-富邦(17~)

17年成績:29試合 0先発 2勝1敗 ERA5.54 26IP 被HR2 与四球20 奪三振21 WHIP1.92

"安定感取り戻したい右腕"

 抑えとしてマウンドに上がりたい右腕。高校卒業後ツインズマイナーでプレー。12~14年までRkで平均以上のパフォーマンスもなかなか昇格のチャンスを掴めず。15年は登板こそ19試合のみもERA1.44と安定感を見せ、抑えも任された。RkからAに昇格した昨年もERAは2.60ながら、45IP/31BBと制球が悪化し8月に放出された。その後米独立でプレーし3試合に登板。今季は四国アイランドリーグ・高知で抑えを任されリーグトップの9S、19試合でERA0.86の好成績。また課題だった制球難も21IP/1BBと改善の兆しを見せ、今年のドラフトで富邦に入団。後期開幕直後に登録、守護神として期待は高かったがCPBLでは再び制球難が顔を出し安定感ある投球は見せられなかった。140キロ台後半を安定してマーク、最速154kmのフォーシームとゴロを生み出すツーシーム、落差の大きいカーブ、チェンジアップ、スライダーを組み合わせ積極的にストライクゾーンを攻める投球スタイル。


彭識穎(ポン・シーイン)Shih-Ying Peng

1992.07.02(25歳 2年目) 175cm 71kg 左投左打 15年D3位 

平鎮高中-輔仁大学-合作金庫-国訓-中信兄弟(16~)

17年成績:35試合 0先発 1敗1S ERA5.87 23IP 被HR1 与四球6 奪三振15 WHIP1.57

"今大会唯一のリリーフ左腕"

 左のワンポイントとして活用された投手。高校時代から制球力を武器に活躍し大学では先発とリリーフを兼任し14年のU21、15年の光州ユニバーシアードなどに代表として出場。ルーキーイヤーの昨年から左のリリーフとして起用されたがシーズンが進むに従ってボールが甘く入るようになり52試合に登板もERA8.57とプロの洗礼を浴びた。今季も前期は苦しむも後期に入り復調、プレーオフ台湾シリーズでは計4.1IPを無失点に抑えた。上背はないものの140km前後のストレートとスライダー、チェンジアップを低めに集め打者を料理する。

 

林政賢(リン・ジェンシェン)Cheng-Hsien Lin

1995.09.13(22歳 3年目) 188cm 90kg 左投左打 15年D6位 

平鎮高中-中国文化大学-義大(15~16)-富邦(17~)

17年成績:17試合 15先発 3勝3敗 ERA3.79 78.1IP 被HR7 与四球49 奪三振64 WHIP1.52

"富邦の柳賢振"

 原住民阿美族のタパロン集落出身の左腕。高校時代の13年U18ワールドカップではエースとしてカナダ戦に先発し勝利投手に。その後中国文化大学に進学も1年生の終わりに中退しプロ入りを果たした。ルーキーイヤーは二軍で3試合のみ、昨年は先発とリリーフを行き来し11試合の登板に終わったが、今季は開幕から先発としてローテを守りチーム3位の15試合に先発、勝ち星には恵まれなかったが打高投低のCPBLでERAは3点台後半、新人王候補にも名前が挙がった。ストレートは平均130km後半もノビがあり、スライダー、ナックルカーブと組み合わせコーナーを突く投球が持ち味。その一方で無駄なボール、四球も多く球数が増える傾向にあり今季は1試合最高のイニング数が6.1IP。今大会ではチーム3番手の先発として名前が挙がっている。

 

陳冠宇(チェン・グァンユゥ)Kuan-Yu Chen

1990.10.29(27歳 7年目 オーバーエイジ) 179cm 75kg 左投左打  

穀保家商-国立体育大学-横浜(11)-DeNA(12~14)-千葉ロッテ(15~)

17年成績:27試合 8先発 3勝4敗 ERA3.29 63IP 被HR5 与四球32 奪三振59 WHIP1.40

"先発もチェンチェン大丈夫の左腕エース"

 キャリアハイの一年を送った左腕。大学在学中の11年に横浜に入団もその年のオフに育成選手となり、12年8月にはトミージョン手術。外国人枠の関係で登板機会に恵まれず、一軍登板は14年の1試合のみに終わった。オフに戦力外となるとロッテの秋季キャンプでテストに合格し入団。15年はチーム左腕先発として最多の13試合に先発登板し5勝4敗 ERA3.23をマークし更にはCSでも好投。昨年は一軍7試合の登板にとどまるも今季はWBC代表に選出され開幕をリリーフで迎えると5月中旬~6月中旬まで先発に配置転換。その後再びリリーフに戻る忙しい役割をこなしたが安定した投球を披露。ストレートは今季リリーフ中心となってから球威がアップし常時140km中盤、自己最速149kmをマーク。加えてスライダー、フォーク、カーブ、シュートとのコンビネーションで内角を強気に突ける小気味のいい投球が持ち味で今季はストレートの被打率.233、スライダーの被打率.150と投球の8割以上を占める2球種が冴えていた。今大会は初戦の韓国戦に先発予定。

 

陳禹勳(チェン・ユーシュン)Yu-Hsun Chen

1989.05.20(28歳 4年目 オーバーエイジ) 182cm 83kg 右投右打 13年D1位 

強恕中学-台北市立大学-新北市-国訓-合作金庫-ラミゴ(14~)

17年成績:59試合 0先発 2勝4敗37S ERA2.63 61.2IP 被HR4 与四球29 奪三振70 WHIP1.18

"セーブ記録を塗り替えた国際大会の切り札"

 ラミゴの守護神。中学までは内野手メインも高校から投手に転向。すぐに頭角を現しエースとなったがその間の酷使がたたり高3時に肘の靱帯が切れトミージョン手術。大学進学後もリハビリに励んだが1年後に今度は右肩を傷め手術。二度の大きな手術を受けた後は国内では主に先発、国際大会ではリリーフとして活躍するまでに復調。卒業後は社会人3球団を経て13年のドラフト1位でラミゴ入り。ルーキーイヤーから65試合に登板とフル回転で30ホールドを挙げタイトルを獲得すると15年は不振に陥ったものの16年は65試合 ERA3.41と復調、今季はシーズン通して抑えの座を守り14年の元チームメートのメヒア(元西武)のCPBL記録シーズン35セーブを更新する37セーブを挙げ、チームの台湾シリーズ優勝に大きく貢献した。140km中盤~後半をマークするノビのあるストレートに以前はスライダーを勝負球としていたが昨年からフォークの比率を大きく増やすようになり、他にはカーブ、チェンジアップを織り交ぜる。国際大会に強いのも心強く、プレミア12では5.2IPを無失点、16年、17年の対侍ジャパン戦でも計3.0IPを無失点と完璧に抑えた。今大会でも抑えとしての活躍に期待したい。

 

・捕手

林祐樂(リン・ヨウレ)Yu-Le Lin

1992.06.23(25歳 3年目) 175cm 90kg 右投右打 15年D4位 

三民高中-華德工家-国立台湾体育運動大学-台湾電力-統一(15~)

17年成績:40試合 108打席 .222/.267/.283 得点40 安打22 HR0 打点7 三振19 四球5 盗塁0(成功率0%) 守備率.986 盗塁阻止率.500

"強肩戻った統一の控え捕手"

 守備力が売りの捕手。10年のIBAFワールドカップでは4番・内野手として優勝に貢献、同じく優勝を果たした14年のU21、そして15年の光州ユニバーシアードでは正捕手として活躍。大学卒業後は社会人の台湾電力を経てプロ入り、入団時はSSとCをこなせる強肩捕手として高評価を得た。しかしプロ入り後は捕手に専念も肩の故障に悩まされ、試合に出続けるうちにイップスとなり15年、16年の阻止率は.200、.135と低迷し17年の開幕前に「林志賢」から改名。今季は故障も癒えイップスを克服したことで強肩が戻り阻止率.500(26-13)をマーク、同年齢の郭峻偉と2番手捕手の座を争った。その一方でプロ入り後は配球に課題があると指摘されるケースが多くベテラン高志綱の後継者として正捕手を任されるにはまだ時間が必要か。打撃に関しては16年に打率.301をマークも今季は再び低迷、通算K% 20.7% BB% 2.8%と捕手であることを差し引いても打席でのアプローチに物足りなさが残る。

 

嚴宏鈞(イェン・ホンジュン)Hung-Chun Yen

1997.04.30(20歳 3年目) 165cm 70kg 右投左打 15年D11位 

美和中学-ラミゴ(15~)

17年成績:38試合 105打席 .282/.378/.329 得点17 安打24 HR0 打点7 三振22 四球13 盗塁0(成功率0%) 守備率.978 盗塁阻止率.542

"小柄でも侮れない若手捕手"

 後期ブレイクを果たした捕手。地元屏東の美和中學を卒業後15年のドラフト最下位でラミゴ入り。2年目の16年は二軍で23試合の出場にとどまるも阻止率.556と盗塁阻止能力の高さを見せると今季は一軍の捕手の相次ぐ故障や不振も重なり7月下旬に一軍初昇格。すると打ではシンプルなスイングでヒットを放ち9月22日まで打率3割をキープ、守では阻止率.542と捕球後のスローイングの速さ、正確さは一軍でも通用するものを見せ台湾シリーズでも3試合で先発出場。これまで2番手捕手として起用されていた劉時豪を一躍脅かす存在となった。今季はドラ1で高卒捕手廖健富が加入しラミゴの捕手競争はより一層激しさを増したが、これからの成長に期待したい。

 

内野手

吳念庭(ウー・ニェンティン)Nien-Ting Wu

1993.06.07(24歳 2年目) 178cm 75kg 右投左打 15年D7位(NPB) 

共生高-第一工業大学-埼玉西武(16~)

17年成績:15試合 44打席 .231/.295/.333 得点5 安打9 HR0 打点4 三振8 四球4 盗塁1(成功率100%) 守備率.862

"これからが勝負のユーティリティー"

 NPBでの2年目のシーズンを終えた内野手。高校から日本に野球留学し共生高では同じく代表入りした陳傑憲(統一)と共にプレー。卒業後は四国アイランドリーグ・愛媛に指名され入団合意に至るも後に自信の都合により退団、第一工業大に進学。大学では走攻守揃った1番・2Bとして活躍し15年ドラフト7位で埼玉西武入り。今季は源田壮亮の台頭により一軍での出場は15試合にとどまるも、二軍では90試合 打率.263 4HR 45打点 10盗塁、37K<45BBと打席でのアプローチが向上、守備では内野全ポジションに加え外野もこなし経験を積んだ一年となった。今大会でも内野のユーティリティーとしての起用が見込まれている。

 

 陳品捷(チェン・ピンジェ)Pin-Chieh Chen

1991.07.23(26歳 1年目) 183cm 80kg 右投左打 17年D2位 

南高商工-カブスマイナー(09~15)-レッズマイナー(15~16)-ドジャースマイナー(16)-四国アイランドリーグ・徳島(16~17)-富邦(17~)

17年成績:58試合 265打席 .328/.403/.509 得点56 安打76 HR7 打点33 三振28 四球26 盗塁3(成功率75.0%) 守備率.958

"富邦のセンターラインの穴埋めた元マイナーリーガー"

 スピードツールに長けた俊足巧打の2B。高校卒業後カブス入りすると、12年にAで36盗塁と走力を武器に10~15年までマイナーで2桁盗塁をマークし2Aまで到達。15年のルール5ドラフトでレッズに移籍、16年5月にトレードでドジャースに移籍も7月にリリース。その後四国アイランドリーグ・徳島に入団し今季途中までプレー、今季は32試合 .280 0HR 11打点 6盗塁。今年のドラフトで富邦に入団すると後期開幕戦から出場、マイナーでは主にOFも富邦ではマイナー1年目以来の2Bメインに出場しチームの穴を埋める活躍を見せた。マイナー通算のBB% 10.76%をマークしたアプローチはCPBLでも健在で、バットコントロールに優れライナー性の打球を広角に放つことを得意としていた打撃も打球が上がるようになり長打が増加。2B守備はまだ不慣れからかイージーミスも目立ったが来季以降の改善に期待したい。

 

郭阜林(グォ・フーリン)Fu-Lin Kuo

1991.01.07(26歳 3年目) 181cm 90kg 右投右打 15年D7位 

南高商工-国立台湾体育運動大学-ヤンキースマイナー(09~13)-国訓-統一(15~)

17年成績:60試合 200打席 .296/.352/.536 得点37 安打53 HR11 打点34 三振50 四球16 盗塁1(成功率33.3%) 守備率.943

"台湾でようやく開花したパワーある便利屋"

 フルシーズンでの活躍が見たい内野手。大学入学後すぐの09年にヤンキースと契約、「Aロッドの後継者」としてその将来性を高く評価されるもマイナーでは13年のA+までしか昇格を果たせず伸び悩み、4シーズンで計167試合 打率.232 8HR OPS.648にとどまった。14年に台湾に帰国後は兵役のため國訓でプレーし第1回ポップコーンリーグに出場。15年は開幕を統一の自主培訓(練習生)として二軍で迎え、7月に活躍が認められドラフト指名され正式に選手登録、後期だけで7HRをマーク。16年は開幕早々守備時に打球が顔面を直撃し、4月に右手手のひらを骨折と怪我に見舞われ28試合の出場にとどまった。今季は前期に左脇腹を傷め約2ヶ月の離脱も後期に9HRを放ち統一の後期2位に貢献。クローズドスタンスゆえ外角のボールに強く、今季の11HR中6本がライト方向と逆方向へ力強い打球を放つ一方、アプローチの粗さを課題とする。守備は送球の安定感には欠けるものの3B/SS/1B/LFをこなすユーティリティーさが武器。今大会はアスレチックス時代から憧れだったというドナルドソン(ブルージェイズ)の背番号20をつけプレーする。

 

陳傑憲(チェン・ジェーシェン)Chieh-Hsien Chen

1994.01.07(23歳 2年目) 173cm 73kg 右投左打 16年D2位 

共生高-台湾電力-統一(16~)

17年成績:114試合 516打席 .387/.466/.508 得点113 安打169 HR3 打点48 三振36 四球53 盗塁17(成功率60.7%) 守備率.953

"統一の未来を担うイケメンショート"

 2年目にしてスターの仲間入りを果たしたSS。10年から共生高に留学し12年にはNPBドラフト志望届を提出するも指名されず、卒業後はアマ強豪の台灣電力で13~16年までプレー。ルーキーイヤーの昨年はメインのSSの他に社会人時代に多く守っていたLFとしての出場も多かったが37試合に出場し打率.345と頭角を現すと、今季は開幕から1番・SSに定着し9月28日まで打率4割をキープし最多安打首位打者のタイトルを王柏融と争う活躍、17盗塁もリーグ2位とリードオフマンとして申し分ない働きを見せた。打撃では高いコンタクト能力からセンター、逆方向に安打を量産し守備では送球の安定感に欠けるものの広い守備範囲を誇る。3月の侍ジャパン壮行試合では菅野(巨人)から2安打を放った。

 

范國宸(ファン・グォチェン)Kuo-Chen Fan

1994.11.25(22歳 1年目) 183cm 88kg 右投右打 17年D5位 

平鎮高中-国立台湾体育運動大学-富邦(17~)

17年成績:11試合 43打席 .421/.488/.605 得点5 安打16 HR2 打点7 三振6 四球4 盗塁1(成功率100%) 守備率.949

"予想外の活躍見せた右の大砲"

 今後が楽しみな右の大砲。高校~大学と中軸を任され、広い範囲に長打を飛ばせる広角打法を持ち味とする。今年の台北ユニバーシアードで代表としてプレー後プロ入り、一軍での出場数は少なかったがレギュラーである林益全の怪我により代わりに1Bに入ると打撃でアピールし代表入りを勝ち取った。高校までは主に1Bも大学3年から3Bも守るようになり、プロ入り時には3Bメインに、昨年のウインターリーグでは3B/1B/2Bの3ポジションをこなしたため今後の起用法の幅が広がっているのも心強い。今年のウインターリーグにも2年連続で参加予定だったが、兵役の関係で不参加となった。

 

林立(リン・リー)Li Lin

1996.01.01(21歳 1年目) 180cm 75kg 右投右打 17年D2位 

平鎮高中-国立体育大学-ラミゴ(17~)

17年成績:13試合 53打席 .340/.415/.511 得点12 安打16 HR11 打点7 三振15 四球6 盗塁2(成功率66.7%) 守備率.965

"攻守兼備の魅せる内野手"

 SS/2Bをメインにこなす内野手。大学時代は長打力と守備力を兼備した2Bとして評価されていたが、国際大会代表は今年の台北ユニバーシアードが初。なおウインターリーグには15年から2年続けて出場しそれぞれ打率.341 打率.349と活躍、守備でもSS/2B/3Bの3ポジションをこなした。今年のドラフトでプロ入りすると一軍初打席でHRのド派手なデビューを果たし、打撃でも一軍に通用するものを見せた。強肩、守備範囲の広さと正確さは一軍でも既にトップレベルにある。課題であるプロの投手の鋭い変化球への対応を克服すれば来季はレギュラーとして活躍できるであろう。守備では足捌きの安定を図りたい。

 

朱育賢(ジュ・ユーシェン)Yu-Hsien Chu

1991.11.26(25歳 3年目) 188cm 100kg 左投左打 15年D7位 

大理高中-中国文化大学-崇越隼鷹-国訓-ラミゴ(15~)

17年成績:112試合 424打席 .308/.399/.610 得点71 安打112 HR27 打点83 三振89 四球50 盗塁1(成功率33.3%) 守備率.990

"豪快なスイングが魅力の長距離砲"

 長打力では今代表ナンバーワンの左打者。野球を始めたのは中学からと遅かったが、中3で既に185cmと立派な体躯を生かし投手として投打に活躍。高校は当時創部3年目の大理高中に進学し07年の高校野球リーグではダークホースとしてチームを準優勝に導いた。その後好打者を多数輩出している中国文化大学に進学すると2歳下の後輩である王柏融(ラミゴ)の入学まで4番を務め主軸として活躍。卒業後兵役を終えドラフト参加、左利きの1B/OFというポジションの兼ね合いもあり7位と低順位での指名ながらプロ入り後は武器の長打力をいかんなく発揮し16年は15HR、今季はリーグ2位となる27HRをマーク。4月には王柏融と並んでメジャースカウトからの視察を受けるまでに主軸として成長した。低めの変化球に脆さを見せるも肩乗せ打法からの気持ち良いフルスイングが最大の魅力でストレートに振り負けない。今大会は内野手登録も今季はLFを多く守ったがLFとしては打球判断、範囲共に平均以下。また対左投手に打率.237と分が悪かったため日韓の左腕との対決にも注目したい。

 

林承飛(リン・チェンフェイ)Cheng-Fei Lin

1997.04.08(20歳 3年目) 178cm 78kg 右投右打 15年D2位 

平鎮高中-ラミゴ(15~)

17年成績:91試合 328打席 .265/.330/.412 得点33 安打77 HR6 打点31 三振64 四球27 盗塁4(成功率57.1%) 守備率.968

"スターへの階段を駆け上がる若きショート"

 既にSSのレギュラーを安泰なものとした若武者。中学までは内野手と投手の二刀流、高校では4番・SSとして強豪平鎮高中でプレー、15年にはU18ワールドカップ代表に。卒業後当時の高卒野手最高額となる契約金400万元でラミゴ入り。入団1年目の15年にCPBL最年少での本塁打記録を塗り替えると2年目の昨年はSSとしてレギュラーを勝ち取り打率.307 9HR 55打点をマーク、ベストナインを獲得。今季はレギュラーシーズンの成績を落としたが台湾シリーズでは第3戦で1試合8打点の新記録を達成するなど打ちまくり優秀選手に選ばれ、この活躍により廖健富(ラミゴ)と代わって今大会の代表入りを果たした。打撃は低めのボールにも上手く対応できるのが強みで、対左投手には2年連続で打率3割超。守備は肩は平均レベルながら軽いフットワークから広い守備範囲を有し、20歳とは思えない安定感を誇る。陳傑憲(統一)とポジションが重なるためどのように起用されるか注目したい。

 

・外野手

王柏融(ワン・ボーロン)Po-Jung Wang

1993.09.09(24歳 3年目) 181cm 90kg 右投左打 15年D1位 

穀保家商-中国文化大学-ラミゴ(15~)

17年成績:115試合 517打席 .407/.491/.700 得点107 安打178 HR31 打点101 三振44 四球50 盗塁16(成功率61.5%) 守備率.996

"再び日本で大暴れしたい大王"

 すっかり日本の野球ファンにもお馴染みになった台湾の大王。高校時代は3Bとしてプレーも国際大会の代表には選ばれず一度は野球を諦めようと思った時期もあったそうだが、中国文化大学に進学すると外野手に転向し長打力が向上。13年の東アジア大会、14年のU21などの国際大会で主力として活躍するまでに成長した。15年に当時の野手最高額の契約金500万元でラミゴ入り。ルーキーイヤーは9月からの出場ながら29試合で9HRと格の違いを見せつけると昨年はCPBL史上初の打率4割、200安打を達成、今季は台湾人選手としては史上初の四冠(首位打者本塁打王打点王最多安打)を達成、ゴールデングラブベストナイン、シーズンMVPも含めると七冠とタイトルを総なめに。打撃はCPBLでは最早穴が見つからない状態となっており、今季は対左投手打率が.530、44K<50BBとキャリアで初めて四球数が三振数を上回った。この活躍に海外球団からの注目が続いているが、CPBLの海外移籍のFA権は累計3年のため最速でも18年オフ以降でなければ移籍は認められない。

 

陳子豪(チェン・ズーハオ)Tzu-Hao Chen

1995.07.29(22歳 5年目) 179cm 89kg 左投左打 13年高校生D2位 

高苑工商-兄弟(13)-中信兄弟(14~)

17年成績:78試合 345打席 .336/.403/.622 得点63 安打103 HR19 打点64 三振57 四球29 盗塁9(成功率75.0%) 守備率.933

"着実に打撃で成長見せる高卒外野手"

 前半戦大活躍の左打者。高校時代から打撃が高く評価され13年の高校生ドラフト2巡目でラミゴと競合の末、前身の兄弟に入団。1年目から最終戦で一軍出場を果たすとその後は順調に出場試合数を伸ばし長打力も向上、16年は打率.350 15本 70打点をマーク、今季は開幕から好調で主に1、2番に入りホームラン数は一時リーグトップをキープしていたが7月下旬に左肘靱帯を傷め約2ヶ月離脱、復帰後はDH中心でプレーした。打撃は元々速かったスイングスピードがプロで更に向上し、低めのボールも苦にせずしっかり振り抜き長打を生み出す。一方高校時代から不得手としていた守備は相変わらずで送球の安定性、打球判断ともに悪く、見えないミスも多いのがネックで今季は主にRFを守った。良い意味でも悪い意味でも若さがプレーに表れる選手であり、来年こそは自身初の規定打席到達を果たしシーズンを通して元気にプレーしたい。


蘇智傑(スー・ジージェ)Chih-Chieh Su

1994.07.28(23歳 2年目) 180cm 88kg 右投左打 16年D1位 

平鎮高中-中国文化大学-統一(16~)

17年成績:92試合 404打席 .351/.423/.593 得点67 安打125 HR17 打点77 三振72 四球41 盗塁9(成功率64.3%) 守備率.938

"統一の若き四番打者"

 打力は申し分ない左のパワーヒッター。高校時代から主軸として頭角を現し11年のAAAアジア野球選手権、12年のAAA世界野球選手権に出場。中国文化大学では王柏融(ラミゴ)の卒業後4番として活躍、15年のアジア選手権では打点王、16年の春季リーグではトップの4HR。長打力と内外野こなせる器用さが評価され昨年全体ドラ1として野手史上最高額の契約金560万元で統一に入団、44試合で打率.333 9HR 33打点をマーク。今季は開幕から右肘の軽い靱帯裂傷により1ヶ月ほど出遅れ、また台北ユニバーシアード代表に選出されたこともあって規定打席には届かなかったが4番として長打力を発揮、左投手も苦にしない。一方で守備はアマ時代は1B、2B、RFと内野中心にこなすも今季は前述の怪我の影響を考慮し負担の少ないLFにコンバート。ただ経験不足からか打球判断が悪く、肩も強くないため大きな穴となってしまった。今大会では守備の不安も考慮してDHでの起用がメインとなりそうだ。

 

詹子賢(ジャン・ズーシェン)Tzu-Hsien Chan

1994.02.24(23歳 2年目) 183cm 92kg 右投右打 16年D2位 

南英商工-中国文化大学-中信兄弟(16~)

17年成績:83試合 308打席 .350/.403/.610 得点43 安打97 HR17 打点60 三振53 四球26 盗塁3(成功率50.0%) 守備率.971

"広角打法が持ち味の今年の新人王"

 飛躍の一年となった外野手。高校2年生まで投手として名を馳せ、高1で最速146kmをマーク。しかし高2時に故障がきっかけでイップスにかかり外野手に転向。大学進学後は1、2年時には目立った成績を残せなかったものの3年から結果を残し始め中軸に座るようになり、大学の先輩である王柏融(ラミゴ)の後を継ぐ形で4番に入ることもあった。15年のウインターリーグではチーム最多の15試合に出場し.354/.436/.500 1HR 12打点、昨年の春季リーグでは打率.513 17打点の二冠に輝くなど好成績を残しドラフト2位で中信兄弟に入団。1年目は契約後すぐに一軍に昇格すると15試合で2HR、台湾シリーズにも出場を果たすと、今季は8月下旬から4番に定着し新人王を獲得、若返りを図る中信兄弟の象徴的な存在となった。失投を逃さないパワーと広角に打球を飛ばす打撃を持ち味とし、守備は範囲こそ広くないものの強肩を有し74試合で6捕殺。打席に入る際に尻を揺らす動作をルーティーンとしているが、本人曰く大学3年生になる頃にしゃがんだ方が重心が安定すると考え、また打席でじっと投手を見るのが好きではないため始めたとのこと。

 

陽岱鋼(ヤン・ダイガン)Dai-Kang Yang

1987.01.17(30歳 12年目 オーバーエイジ) 183cm 89kg 右投右打 05年高校生D1位(NPB) 

福岡第一高-日本ハム(06~16)-巨人(17~)

17年成績:87試合 381打席 .264/.356/.406 得点46 安打87 HR9 打点33 三振80 四球41 盗塁4(成功率66.7%) 守備率.988

"自ら参加を志願した今大会最年長"

 リーダーとして活躍が期待されるスター。11年間プレーした日本ハムからFAで巨人に移籍、WBCを出場辞退し臨んだ今季は下半身の張りで開幕一軍に間に合わず、一軍昇格は6月上旬。昇格後は徐々に調子を上げ8月は打率.323 5HRをマークも9月に打率.209 0本と不調に陥り、盗塁もレギュラー定着後最少の4個。なおUZRはCF全体3位の10.4。若手中心の今大会に彼が出場すると予想する者は少なかったが、洪一中監督曰く「彼はずっと今大会のニュースに関心を持っていた。彼の立場と知名度から言えば特別にこの大会に出場する必要もないが、彼の台湾のために力になりたいという気持ちは揺ぎ無いものであり、大会参加を歓迎している。」とコメント、今大会にかける本人のモチベーションは高い。