台湾プロ野球データベース コラム集

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2019CPBLドラフト指名選手リスト 味全(13~28巡目)

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⑬林孝程(リン・シャオチェン) 南華大学 173cm 75kg 19歳 右左 OF

 

主要国際大会経歴(高校以降) 

南華の核弾頭。高校時代は一時期ボールにバットが当たらないほどの極度のスランプも経験したが、コーチの熱心な指導もあり復調。南華大学ではトップバッターとして起用され、今年の春季リーグでも好成績を残した。

 

⑭黃東淯(ホァン・ドンユ) 南華大学 177cm 79kg 21歳 右右 P

〇闘志 △球威 制球

主要国際大会経歴(高校以降) 

ガッツ溢れる右腕。美和高中の1学年先輩には嚴宏鈞(ラミゴ)がおり、バッテリーを組んでいた。高校では135kmほどしか出なかった球速も、大学でトレーニングを重ね最速144kmに。短いイニングであれば140km前後を平均でマークし、変化球はカーブ、スライダー、決め球のフォーク。ストライク率も高く、時に声を上げながら打者とどんどん勝負していくタイプだが、球威は平凡なため甘く入った高めのボールを長打にされるケースが多い。精確なコントロールをプロでは身につけたい。

 

⑮張祐銘(ジャン・ヨウミン) 開南大学 177cm 72kg 22歳 右左 OF

〇パワー 肩 △選球眼

主要国際大会経歴(高校以降) 14年:U18アジア選手権 15年:U18ワールドカップ

吉田正尚オリックス)のような、小柄な体格から豪快なスイングを見せる外野手。高校時代から速いスイングスピードと安定したスイングを持つ打撃の評価が高く、フルスイングするタイプながら広角に打球を打ち分け、打球角度もある。しかし大学進学後は二塁打以上の長打は少なくないもののパワーツールの成長が遅くなり、大学での公式戦初HRは4年生になってから。低めの変化球と高めのストレートに手を出しがちな選球眼は改善する必要がある。スピードは平均レベルで、守備は打球判断と範囲は平均ながら、肩は平均以上で外野3ポジションではRFかCF向き。選球眼が改善されれば長打力のあるコーナーOFとして出場機会を得られるだろう。

 

⑯黃柏豪(ホァン・ボーハオ) 輔仁大学 180cm 80kg 22歳 右左 1B

〇パワー △1B専

主要国際大会経歴(高校以降) 14年:U18アジア選手権 15年:U18ワールドカップ

大学後半に成長を見せた「海外派」のパワーヒッター。高校時代前半は長打が目立たなかったが、高3に打撃フォームを修正後、パワーヒッターとして才能が開花。しかし大学進学後は3年生の終わりまでなかなか結果を残せず。本人も国内では試合数が少なすぎると感じたことから、16~18年には3年連続で夏休みの期間を利用してアメリカのサマーリーグに参加。それに伴い体格も立派に成長、選球眼とスイングの安定感が向上した。昨年のCPBLドラフトでは指名されなかったが、その後の大学リーグでは3HR、今年の春季リーグでも4番として活躍。打球はライナー性の打球が多いが、甘いボールは傑出したパワーでスタンドまで運んでいく。高校ではOFも、大学時代はほぼ1Bしか守っていないというポジションの制約もあって低順位での指名となったが、今年プロ入りを果たした。本人もプロ入り後はOFも再び練習する意向であり、チャンスを掴み取っていく。

 

⑰陳冠偉(チェン・グァンウェイ) 国立台湾体育運動大学 183cm 92kg 22歳 右右 P

〇フォーク

主要国際大会経歴(高校以降) 

彰化藝術高中出身としては初のプロ野球選手。父は興農で02~04年まで監督を務めた陳威成。母は客家人であり、客家人のプロ入りは劉時豪以来5年ぶり10人目。今年のドラフトは味全のトライアウトから参加し、その際に葉君璋監督がフォークに高い評価を与えた。オーバースローから最速143kmのストレートを投じる。

 

⑱牛塏曄(ニョウ・カイイェ) 新北市 171cm 103kg 25歳 右右 C

〇パワー 肩 △走力

主要国際大会経歴(高校以降) 

パワーと肩が自慢の社会人捕手。輔仁大学ではレギュラー捕手であり、17年には台北ユニバーシアードのトレーニングチーム、18年にはアジア大会のトレーニングチームに選出されたりと経歴も豊富だが、17年から3年連続でドラフトに参加し、今年ようやくの指名となった。打撃が最大の武器ではあるが、本人曰く長所は「守備と盗塁阻止のスピード」。

 

⑲李宇翔(リ・ユシャン) 新北市 172cm 58kg 22歳 右右 P

 

主要国際大会経歴(高校以降) 

下位指名からの秘密兵器となりたい右腕。高校時代は内野手兼投手としてプレー。大学から投手に転向し3年生の途中まではリリーフメインの起用だったが、18年からチームの先発不足の影響もあり先発に転向。最速は146km。

 

⑳曾柏融(ツェン・ボーロン) 中国文化大学 181cm 68kg 21歳 左左 P

〇変化球 内角攻め △ストレートの球威不足

主要国際大会経歴(高校以降) 

投げる「文化大学の柏融」。昨年の大学リーグでは準決勝で6.1IP/0Rと好投、今年の春季リーグでは7.0IPをノーヒットに抑えるなどここ最近は印象に残る好投が光った。トルネード気味に体を捻るフォームが特徴。最速は140kmに満たず、先発時のストレートは130km前半で球質も平凡だが、リリースポイントが高く投球に角度があり、また鋭く曲がるカーブ、チェンジアップ、フォークなどの変化球を組み合わせ打者のリズムを狂わせる。特にストレートとカーブは同じ腕の振りで見分けがつきにくい。内角を厳しく付けるのも評価できる。ただプロでこの技巧派スタイルを続けるのは厳しいため、ストレートの威力アップは必須。肩の可動域や痩せ型の体格も考慮すればアップサイドは一定あると思われるので期待したいところ。

 

陳震洋(チェン・ジェンヤン) 普門高中 177cm 78kg 18歳 右右 OF

〇パワー 肩 △選球眼 コンタクト

主要国際大会経歴(高校以降) 

普門のキャプテン。高校の先輩である邱丹(ラミゴ)のアドバイスを受けプロ入りを決意。高2までは内野手で高3からCFにコンバート、また高2までは金属バットの部でプレーしていた。今年の高校野球リーグでは嘉義市で2本のHRを放ったようにフルスイングとレッグキックから繰り出されるパワーが持ち味だが、スイングの軌道が大きすぎるためミートの確実性が不足している。また選球眼も悪く、変化球に崩されて空振りとなるケースが多い。ホームランとしているボールも速い速球ではないことも考慮したいポイント。現状ではパワーツールが長けている状態で他は向上の余地がある。守備は平均以上の打球判断能力と肩があり、CFとしてもプレーできそう。まずはじっくり二軍で育成したい。

 

㉒劉宇鈞(リォウ・ユージュン) 開南大学 177cm 72kg 21歳 右右 P

〇制球 △球威

主要国際大会経歴(高校以降) 

中国のMLB育成センター卒業生として初のCPBL選手。中学生の頃、父親が中国で仕事をしていたことから家族で移住。その際に野球をプレーする環境を求め、2011年に台湾人選手として初の江蘇のMLB育成センターのメンバーとなった。センターでの科学的トレーニングもありセンターのエース格に成長、17歳にして最速142km、ストレートの平均136kmをマーク。MLB育成センターを卒業後は台湾に戻り、開南大学でプレー。大学での登板機会は少なくMLBDCに戻りプレーすることもあり、ここ半年近くは実戦から遠ざかり自主練に励んでいたという。ストレートは最速142km、スライダーとフォークが主な持ち球で制球も安定している。テークバックの無駄な動きを減らせれば球威アップも期待できる。

 

㉓張皓緯(ジャン・ハオウェイ) 崇越隼鷹 176cm 72kg 24歳 右右 SS

〇SS守備 △打撃

主要国際大会経歴(高校以降) 11年:U18アジア選手権 14年:U21ワールドカップ 15年:光州ユニバーシアード 16年:U23ワールドカップ 17年:台北ユニバーシアード

国際大会の経験豊富な内野手。17年、18年のドラフトに参加も指名されず(17年は富邦が自主培訓選手(NPBの育成選手に相当)からの支配下登録を打診するも拒否)今年三度目の正直での指名となった。SS守備が特に評価が高く、正面でボールを捕りに行こうとするクセがあるものの、足捌きが素早くスムーズで、肩の強さ、送球の速さも申し分ない。ダイビングキャッチでアウトを奪う場面もよく見られる。ドラフトでなかなか指名されない原因となったのは打撃。スイングが安定せず、プロのボールについていけるかは疑問点が残る。出塁、長打能力共に目立ったものもないため内野の便利屋枠として、守備からまずはチームに貢献したい。

 

㉔林驛騰(リン・イーテン) 台北市 183cm 90kg 27歳 右両 OF

〇パワー △年齢

主要国際大会経歴(高校以降) 

今ドラフト参加者最年長のオールドルーキー。中学までは右打も高校で左打に転向、11~12年までインディアンスのRkでプレーし両打に転向するも、計34試合 打率.188 0HR 9打点 OPS.546にとどまり13年3月に解雇。その後は崇越、國訓、現在は台北市でプレー。16年から18年まで3年続けてドラフトで指名されずも、四度目の正直で指名を受けた。今ドラフト参加者唯一の海外プロリーグでプレー経験のある選手でもある。味全のトライアウトでもHRを放ったように、パワーが最大の武器だが、一軍参入時には29歳になっており若手の多いチームでは早めの結果が求められる。

 

㉕陳良志(チェン・リャンジ) 台湾電力 183cm 90kg 22歳 右右 P

アンダースロー △単調

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U23ワールドカップ

台湾電力の若きサブマリン。高苑工商から遠東科技大学に進学も18年に退学し社会人強豪の台湾電力でプレー。18年のU23ワールドカップではメキシコ戦でリリーフ登板し6.2IP/0R、先発の機会を与えられたコロンビア戦でも8.1IP/1Rと好投。それが自信となり、今年のドラフト参加を決意した。120km前半~中盤の沈むストレートを軸にゴロアウトを生み出す。90km台のカーブや100km前後のシンカーも投じるが、プロでは単調な投球にならないよう変化球も増やし、活用する必要がありそうだ。

 

㉖歐晉(オウ・ジン) 国立体育大学 176cm 110kg 22歳 左左 1B

〇パワー △1B専

主要国際大会経歴(高校以降) 

「ベービーオルティス」のあだ名を持つ小柄なパワーヒッター。ルカイ族であり、彼の名を一躍有名にしたのが09年のリトルリーグワールドシリーズ。宋文華とのダブルエースでチームを牽引、03年に台湾が大会復帰後の最高成績となる準優勝に貢献。高校は強豪の平鎮高中に進学し1Bとしてプレー、14年に18Uアジア野球選手権大会代表に選出されるなど実績も残したが、打撃の安定感が不足していることを理由に高校卒業後はドラフトに参加せず、国立体育大学に進学。しかし大学時代は目立った成績を残すことが出来なかった。パワーツールは平均以上だが、それ以外に平均以上のツールがなく、敏捷性も不足しており1B専と完全に打撃全振りと言ってよい。大学時代に食べ過ぎで体重が110kgまで増加。体重過多は本人も認めるところで、「プロ入り後はまず10kg減量したい」と語っている。

 

㉗高淮安(ガオ・ファイアン) 国立体育大学 183cm 87kg 23歳 右左 OF

〇外野3ポジション可 △アプローチ

主要国際大会経歴(高校以降) 

細身の外野手。小学校で170cm近くあり、本人は野球をしたかったが、家族が反対しバレーをプレー。そのため野球を本格的に始めたのは中学からと遅い。高校時代は1番・CFとしてプレー。打撃はバットコントロールに優れ、広角に安打を量産する。大学進学後は長打力も向上させた。守備では外野3ポジションをソツなくこなしフライの判断や守備範囲も安定。しかし大学では打撃成績が安定しない時期が続いた。打席でのアプローチを向上させ、低めのボール球を振らないことが安定した成績を残す鍵となる。

 

㉘魏全(ウェイ・チュエン) 台北市立大学 182cm 77kg 21歳 右右 C

〇話題性 △経験

主要国際大会経歴(高校以降) 

今ドラフトで話題を集めた捕手。名前が球団名の「味全」と中国語の発音が同じということを理由にドラフト前から注目を集め、最終順位で指名された瞬間はドラフト会場が歓喜に沸いた。高苑工商では出場機会に恵まれずも、大学で攻守に成長した姿を見せた。本人は林泓育(ラミゴ)のような打撃に長けた捕手が目標と語っている。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

https://www.youtube.com/channel/UCJ8cnUlVCybEsYRoRNwXNbA

Twinkle一瞬之光

https://www.sportsv.net/authors/salada