台湾プロ野球データベース コラム集

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2020CPBLドラフト指名選手リスト 味全

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味全(指名11名)

①王維中(ワン・ウェイジョン) パイレーツ 188cm 83kg 28歳 左左 LHP

〇経験 ストレート △スタミナ 変化球 年齢

主要国際大会経歴(高校以降) 10年:AAA世界野球選手権

 ついに台湾に帰ってきた経験豊富な左腕。兄は王躍霖(樂天桃猿)。12~13年にパイレーツ、14~17年までブルワーズでプレー。14年と17年にはMLBに昇格し計22登板。18年はKBOリーグ史上初の台湾出身の選手としてNCでプレー。開幕直後は好調だったが、体調不良、肩と肘のコンディション不良が重なり、シーズンを経るにつれ球威が低下し25試合7勝10敗 141.2IP ERA4.26と今一つで再契約されず。19年はアスレチックスとマイナー契約を結び5月下旬にMLB昇格。20試合に登板しERA3.33とまずまずの成績を残すも8月末にウェイバー公示され、9月にパイレーツと契約し5試合に登板。11月に40人枠から外れ、今季は当初アメリカでのプレーを希望していたが、新型コロナウイルスにより早々と台湾でのプレーを決めた。先発としては平均約145kmのストレートとスライダーを中心に、チェンジアップと稀にカーブを織り交ぜる。KBOリーグでのプレー時はストレート中心の攻撃的な投球は見せ四死球は少なかったものの、スライダーに角度があるわけではなく他の2球種も今一つで、奪三振を奪えず、被安打を多く浴びる場面が目立った。先発の経験がキャリアを通じて少なくスタミナが心配だが、経験とストレートを武器にエース級の働きが求められる。CPBLで活躍してからの再度の海外進出を本人は希望しているが、現在のCPBLの規定では3シーズンプレーしないと海外でのプレーが認められていない。本人もこの規定は理解しており、ドラフト後3年契約が結べることを希望している。

 

①廖任磊(リャオ・レンレイ) 埼玉西武 201cm 125kg 26歳 右右 RHP

〇体格 ストレート △コントロール 変化球 メークアップ

主要国際大会経歴(高校以降) 15年:アジア選手権

 勝ちパターンでの起用が目される大型右腕。中学卒業後、岡山県共生高等学校野球留学。卒業後は開南大学へ進学、その後休学し14~15年の2シーズンをパイレーツのRkでプレー。その後大学に復学し卒業。16年のドラフト7位で巨人に入団も、2シーズンで一軍昇格を果たせず18年オフに戦力外通告。19年はトライアウトで埼玉西武に入団し一軍登板を果たすも3試合の登板に終わり再び戦力外通告を受け、味全と契約しアジアウインターリーグでプレー。今季は4月に中信兄弟に自行培訓選手(練習生に相当)として入団。二軍では13試合に登板し1勝 12.1IP 21K 8BB ERA3.65。150kmを常時超えてくるストレートが最大の武器でビシビシ決まると手が付けられない。その一方で上体だけで投げている感が否めず制球もアバウト、変化球は主にスライダー、チェンジアップ、カーブを投じるがどれも精度が課題。また巨人時代から指摘されていた素行も懸念材料。

 

②林辰勳(リン・チェンシュン) 穀保家商 180cm 70kg 18歳 右右 C

〇守備 肩 △パワー

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 穀保家商の周宗志監督からも「ここ数年でチーム一番の捕手」と評される高校生ナンバー1捕手。中学時代から攻守備えた捕手として評価されており、16年ポニーリーグではアジア太平洋予選からワールドシリーズまで8試合連続、計12HRと大爆発しその名を知らしめた。高校入学後は守備力がより向上。二塁までの送球も約2秒と速く、トップクラスのキャッチングとブロッキング能力を備える。送球時の余分なステップと動作を減らせればより盗塁阻止能力は向上するだろう。打撃は流し打ちに長け、外角のボールを上手くミートする。ただミートに注力するあまりフルスイングが少なく、引っ張った打球の多くが打ち取られており、プロでは打撃に苦しむ懸念がある。小学校時代に打撃練習時にコーチが投げたボールが直撃、高校時代には打者のバットが当たり二度右目の網膜剥離の手術を行っており、今でも稀に飛蚊症の症状があるというが、本人はもう怖くないと語る。

 

②林逸達(リン・イーダ) 国立体育大学 185cm 95kg 19歳 右右 RHP

〇ストレートの球威 体格 △変化球 投球術

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U18アジア選手権

 ストレートが力強い本格派右腕。15年のU15アジア選手権の決勝では日本戦に先発し勝利投手に。高校入学後は投手中心だったが、2年時に怪我に悩まされ、一時野手に専念し1B/3Bを守り長打力が向上。3年からは先発投手としての登板が増え球速もアップ、「4番・DH」で出場し試合終盤にリリーフ登板するケースもよく見られた。18年の玉山盃では大会MVP&DHでベストナイン、U18アジア選手権でも代表入りを果たした。高校卒業後は将来の海外でのプレーも見据え国立体育大学に進学、リリーフで主にプレーした。立派な体躯から繰り出される最速150km、平均140km台中盤のストレートは重く、どんどん打者のストライクゾーンを攻めていく。変化球はカウント球のスライダー、勝負球のフォーク、誘い球として有効なチェンジアップを投じるが、ストレート一辺倒で勝負しがちなためプロでは変化球、投球術を磨きたい。先にCPBLでプロの水に慣れ、今後も機会があれば海外でのプレーを狙うとのこと。身体的な条件や投げているボールを見れば先発でのプレーを見たいが、先発で活躍できなくとも勝ちパターンのリリーフを任せられるだろう。

 

③楊鈺翔(ヤン・ユーシャン) 普門中学 187cm 83kg 18歳 右右 RHP

〇アップサイド ストレート △スタミナ

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 アップサイドに期待したい長身右腕。王躍霖(樂天桃猿)、王維中(味全)はいとこ。中学では4番・SSとしてプレー。高校入学後は金属バットの部からプレーし、1年では1B/3Bを守り、2年から投手に転向。転向当初は制球とボールのクオリティが不安定で最速は135km止まりも、3年から腕への負担軽減のためテークバックを短くしたことで安定感が向上。またトレーニング施設に通い詰めたことでストレートの最速は147kmまでアップ。ストレートは高い空振り率、カーブ、スライダー、フォークが持ち球。フォークは鋭く落ち勝負球として威力があり、カーブはクオリティは平凡ながらストレートとの球速差をつけるため用いられる。課題はスタミナで、長いイニングを投げた経験がまだ少ない。また心配なのは3年後半に入るとボールの威力が低下し、ストレートの空振り率が低下したこと。恵まれた体格と球威からプロでも先発として育成されるとの見立てが強い。

 

④王順和(ワン・シュンヘ) 穀保家商 175cm 70kg 18歳 右右 3B

〇スピード 広角 内野3ポジション △肩 アプローチ アップサイド パワー

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 攻守兼備の俊足内野手。中学時代は投手とSSを兼任。高校に入り3Bへコンバートされた。玉山盃では18、19年の2年連続でベストナインに入り、昨年のU18ワールドカップでは.364/.481/.682のスラッシュラインをマークし優勝に貢献、3Bのベストナインに選出された。スピードツールに長け、ベース一周を14秒前半で駆け抜ける。打撃はスイングがシンプルで低めのボールを得意とし、広角打法でギャップを抜いての長打も多い。一方で容易にボール球に手を出すケースが多く、高めの吊り球のストレートに空振りしカウントを悪くしてしまうのは要改善。守備は3Bメインも、2B、SSも守れる。肩はやや弱いが、送球技術とポジショニングでカバーしている。小柄な体格からアップサイドは大きくないと見られ、プロでは守備のユーティリティー性と俊足を生かした便利屋としてアピールしたい。既に味全の3Bには劉基鴻がいるが、「もし先輩よりも良ければ、来年に一軍に上がれる」と勝負する気は満々。

 

⑤蔣少宏(ジャン・シャオホン) 中国文化大学 179cm 93kg 23歳 右右 C

〇守備 パワー △打撃の安定感

主要国際大会経歴(高校以降) 15年:U18ワールドカップ

 中国文化大学の主戦捕手。父は三商、TML金剛でプレーした蔣坤珄。高校時代から攻守のバランスに長け、15年にはU18ワールドカップの代表にも選出された。高校卒業後、国立体育大学への進学で高校と話がついていたが、なんと入試の結果は不合格。滑り止めで他大学を受験していなかったため、野球浪人のような形で社会人の新北市でプレー後、1年遅れで中国文化大学に入学。新北市では特に配球について多くを学んだという。最大の売りはプロでも今すぐ通用する守備で、キャッチングとブロッキングの評価が特に高い。捕手としての落ち着きもあり投手に安心感を与えられる。盗塁阻止能力もあり、肩と送球の強さも備えている。一方で打撃は課題が多く、パワーはあるものの低めや外角のボール球に手を出す癖があり、弱いゴロや平凡なフライでのアウトが多く成績が安定しない。守備型の捕手のため、プロでは更に武器の守備を磨き、自分に合った打撃のスタイルを見つければ意外性のある捕手として生き残りを図りたい。

 

⑥呂詠臻(ルー・ヨンジェン) 国立台湾体育運動大学 178cm 70kg 21歳 右右 RHP

〇ストレート △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 落ち着いたマウンド捌きを見せるイケメン右腕。穀保家商では体の線も細く出場機会も少なかったが、大学入学後2年になって頭角を現し、昨年江國豪(富邦)のプロ入り後、エースの座を受け継いだ。先発としては140~143km前後をマークするストレートに勝負球のスライダー、縦に大きく落ちるカーブ、フォークが持ち球。リリースポイントが安定せず、はっきりとしたボールが多いのは要改善。投球フォームが大谷翔平(エンゼルス)に似ていることが話題となった。

 

⑦劉崇聖(リォウ・チョンシェン) 嘉義高中 183cm 78kg 19歳 右右 RHP

〇ストレート ゴロボーラー △コントロール スタミナ 変化球

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 嘉義高中のエース。中学から球速は140kmに達し、現在の最速は148km。ストレートが最大の武器で、シンカーのような軌道を辿りゴロアウトを多く生み出す。変化球はカーブ、スライダーがメインで球質は平凡だが、ストレートとの球速差で高校野球では打ち取っていた。また18年の黑豹旗で投じた落差の大きいバルカンチェンジは、アメリカのネット掲示板でも話題となったが、投球比率としては少なく、腕の振りとリリースポイントがストレートと異なるなど試合で使うにはまだ不十分。コントロールが良くないため、ストライクを取るために球速を落とすシーンが見られ、先発では平均球速が落ち、試合後半のスタミナも課題。現在のコントロールと変化球ではプロの先発投手として生き残るのは難しいが、ストレートの球威を生かしてリリーフに回るのが賢明か。高校1年時に成績不振で留年した関係で、今年の大会は年齢制限で出場できず。最後の公式戦登板は2019年11月の黑豹旗16強戦だった。

 

⑧董秉軒(ドン・ビンシュエン) 中国文化大学 186cm 84kg 22歳 右左 1B/OF

〇パワー 広角 肩 △ポジション

主要国際大会経歴(高校以降) 15年:U18ワールドカップ

 大学4年でかつてのパワーを取り戻した選手。董子浩(樂天桃猿)はいとこ。高校時代からパワーの評価が高く、2年時に玉山盃でMVP、打点王、1Bでベストナインを獲得。15年のU18ワールドカップにも選出された。卒業後は中国文化大学に進学も手首の故障に苦しみフルスイングが出来ず、出場機会を得るためにミート中心の打撃に切り替えた。しかし昨年のドラフトに落選後、コーチから長打力を高めてこそドラフトで指名されるチャンスが出てくるとのアドバイスを受け、後輩である劉致榮(レッドソックス)を参考にウエートを行いパワーアップ。中国文化大学の4番として信頼を勝ち取った。武器である打撃は広角にコース問わず打てるのが強み。大学ではチーム事情もありほとんど1Bを守ったが、外野と3Bを守った経験があり、平均レベルの走力と強肩も兼備するため、コーナーOFとしてCPBLでも生き残れる可能性がある。CPBL各球団に人材が溢れている1Bと外野が守備位置ということもあり下位指名になったと予測されるが、戦力層の薄い味全に指名されたことをポジティブに捉え、劉基鴻や黃柏豪に続く生え抜きのパワーヒッターとして頭角を現したい。

 

⑨趙璟榮(ジャオ・ジンロン) 安永鮮物 180cm 85kg 22歳 右左 RHP

〇球速

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 速いストレートで生き残りたい社会人右腕。高苑工商から高雄大学に進学、昨年卒業後は社会人の安永鮮物でプレー。昨年のドラフトに参加も落選、今回はトライアウトから参加し、140km台中盤~後半のストレートを連発しアピールした。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

https://www.youtube.com/channel/UCJ8cnUlVCybEsYRoRNwXNbA

Twinkle一瞬之光

https://www.sportsv.net/authors/salada

2020CPBLドラフト指名選手リスト 中信兄弟+樂天桃猿

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中信兄弟(指名9名)

①余謙(ユ・チェン) 開南大学 180cm 76kg 19歳 右右 RHP

〇スタミナ ストレート メンタル △変化球のコントロール 投球過多

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 ドラフト8日前に参加を表明した大学ナンバー1右腕。高校前半は目立ったパフォーマンスは残せなかったが、3年になった18年11月、黑豹旗16強の穀保戦で自己新記録の140キロをマークしきっかけを掴むと、19年6月の玉山盃では146km、9月のU18ワールドカップでは決勝のアメリカ戦で好投しMVPを獲得。一気にドラフト上位候補へと評価を押し上げた。肩関節が柔軟で、速い腕の振りから最速150km、先発でも平均145kmを安定してマークする。ストレートのコマンドも安定しており、内外角へもしっかりと投げ分けられる。変化球で最も比率が高いのがカーブで、制球を磨く必要はあるが大きく縦に落ちカウントを稼ぐボール、勝負球両方で使える。フォークは垂直方向に落ちるもの、右打者の内角に沈むように落ちる二種を持ち、カーブと同じく制球を磨く必要はあるが、勝負球としての威力がある。また比率は少ないながら、チェンジアップはストレートと同じ腕の振りで投げられるため発展の余地がある。今年の大学野球リーグでは準決勝で168球完投勝利を収めるなど、複賽以降の3試合で計409球を投げたことがメディア、ファンの間で話題に。もともと海外でのプレーが有力視されており、開南大学進学時はNPBでのプレーを希望していた時期もあった。しかし新型コロナウイルスの影響で来季のマイナーリーグ開催も不透明になったことも考慮し、ドラフト参加を決断した。即戦力との声も多いが中信兄弟は焦らず、今年の後期に投げられる状態でなければ半年~1年の休息を与え、体調が万全になってから登板させる可能性もあるとのこと。

 

②宋晟睿(ソン・チェンルイ) 平鎮高中 182cm 78kg 18歳 右右 OF/RHP

〇二刀流 肩 ストレート △パワー ウイニングショット メカニクス

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 火の玉ストレートと強肩が魅力の二刀流。中学時代は捕手兼投手。佐々木朗希(ロッテ)のようにゆったりと足を高く上げるフォームから安定して140km台後半、最速153kmをマークするストレートとフォーク、カーブ、スライダー、稀にチェンジアップも交える。オーバースローから角度のあるボールが投げ込まれるため、ストレートをミートし辛いボールとなるが、一方で変化球のボールのクオリティと制球は平凡。また肩肘に負担のかかるフォームも改善していきたい。CFとしては守備範囲と強肩が魅力で、高校生の外野手ナンバー1と評され、林哲瑄(富邦)と比較する声もある。打撃は守備ほど傑出したものはないが、スイングスピードが速くストレートをしっかりと打ち返すことができ、3年に入ってからは体格もがっちりとし飛距離が伸び、三塁打が増加。一方で外角に弱さを見せるため逆方向への強い打球が少なく、変化球の対応も課題。今ドラフトでは投手として参加したが、中信兄弟は二刀流として育成する意向を見せており、3~4年後に適性を判断する方針。

 

③馬鋼(マ・ガン) 普門中学 184cm 84kg 18歳 右右 3B

〇パワー 守備 △内角 スピード

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 長打力と安定感ある守備が魅力の内野手。高校前半は打撃が伸び悩んだが、フルスイング、フライボールを意識し打撃フォームを見直したことで、3年に入り打撃の才能が開花。ボールの高低を問わずフライで打球を遠くに飛ばすことができるように。成績で目立ったものはないが、穀保、平鎮、高苑といった強豪校相手にも安打、飛距離のあるフライを残すことができ、長距離砲の雰囲気を感じさせる。スピードは平均以下、守備は平均レベルの肩と守備範囲で、打球の強弱を問わずしっかりと処理できる。運動能力は平凡だが、今ドラフトの高校生では一番安定感ある3B守備を見せる。変化球の見極め、内角に弱くゴロを量産してしまう点、スイングが前に突っ込みがちな点を修正すれば、3Bのレギュラーとしてプロでも活躍できるであろう。

 

④林志綱(リン・ジーガン) 国立台湾体育運動大学 178cm 68kg 21歳 右左 2B/SS/OF

〇スピード ユーティリティー △パワー

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 内外野守れるユーティリティー。高校時代は肩と送球の正確さを見込まれ、主戦捕手としてプレー。大学から内野手に転向、同時に外野も守るようになった。走力が一番の持ち味で、今ドラフトの野手の中でも屈指の走力を誇る。打撃は良好なバットコントロールと粘り強さを備えているがパワーに乏しく、俊足選手にありがちなバットに当てるだけの走り打ちも目立ち、大学前半は成績を残せなかった。3年から全力でスイングするようになり成績も上昇。内野守備は動きは機敏だが肩は平凡で、送球の安定感を高める必要。外野守備は主にコーナーOFを守り、打球判断は平凡。昨年、大学同期の林澤彬(樂天桃猿)の指名に刺激を受け、ドラフト参加を決めた。

 

⑤林吳晉瑋(リンウー・ジンウェイ) 穀保家商 179cm 80kg 18歳 右左 C/1B

〇パワー アプローチ △守備 スピード

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 CPBL初となる離島・綠島出身の左の大砲。小学5年時に野球をするため台東市内に移住し中学までプレー。高校は穀保家商に入学、1年からレギュラーとなり、1B/3B/Cを守った。18年の高校野球リーグでは本塁打王を獲得。打撃は辛抱強くボールを選べるアプローチの良さがあり、安定したスイングができるため、フルスイングしても空振りが少ない。またライナー性の長打が多く、速いストレートにも振り負けない。象徴的なのは19年8月に台中で行われた台美U18青棒交流賽でアレハンドロ・ロサリオの155kmのストレートを二塁打にしたシーンである。守備は1Bメインで、持ち球のチェンジアップを生かし二刀流としてリリーフで登板することもあったため肩は強い。スピードと運動能力は平均以下で、守備位置も高2以降はDHと1Bでの出場が増えた。今ドラフトでは1Bとして参加も中信兄弟は捕手としてまずは育成する方針。長打力ある捕手として花開く日を待ちたい。

 

⑥黃韋盛(ホァン・ウェイシェン) 遠東科技大学 183cm 82kg 21歳 右右 1B

〇パワー △アプローチ ポジション

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 打でアピールしたい1B。西苑高中では2B/SSとしてプレー。卒業後は康寧大学に進学もチームが解散したため、2年から遠東科技大学に転学。大学からはポジションを1Bに移しより打撃に専念できるようになった。バットコントロールも良く、あらゆるボールに対し広角に外野の深いところまでフライを飛ばせるのが特長。ただ欲が強すぎるため来たボールには何でも手を出しがちで、ボール球を追いかける点は修正したい。スイングの軌道も不安定で、プロの投手を相手にした際に打撃の持ち味がどこまで出せるのかは疑問。守備は大学から1Bに転向し、体格もがっちりとしたため敏捷性は落ちている。プロで1Bを守るとなると現状の長打力では物足りないため、また2Bを守れるようならチャンスは増えるだろう。今年の春季リーグではトップの打率.526をマーク。昨年のドラフトに参加も落選、今年リベンジを果たした。

 

⑦劉嘉益(リォウ・ジャーイ) 東石高中 168cm 58kg 18歳 右右 RHP

〇ストレート △体格 コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 小柄な速球派右腕。中学から運動能力の高さを生かし内野手兼リリーフとしてプレー。高校3年から投手としての登板が増え、球速もアップ。今年は最速146kmをマークし、リリーフでも140~144kmを投げられる。ストレートは右打者の内角に食い込むような軌道を辿り、ミートが難しい。変化球は右打者にはカーブとスライダー、左打者にはチェンジアップを投じる。課題は不安定なコントロールで、今後も球威アップを狙うのであれば球威とコントロールのバランスを考える必要がある。身長170cm未満の右腕がCPBLではほとんどこれまでいなかったのも不安材料だが、本人は175cmで似たタイプの吳俊偉(中信兄弟)を憧れの選手として挙げている。

 

⑧曾家鋐(ツェン・ジャーホン) 南華大学 178cm 70kg 22歳 右右 RHP

〇コントロール フォーク

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 フォークが武器の先発右腕。大学4年時に投球が大きく成長。ストレートは平均130km台後半でシュート気味の軌道を辿る。変化球はフォークとスライダーを投じ、特にフォークは現役時代「フォークボール王子」の愛称で活躍した蔡仲南監督の指導のおかげで自信が持てる球種になったという。今年の春季リーグでは大学野球リーグ優勝の開南大学相手に7.0IP/0Rの好投を見せた。

 

⑨劉貴元(リォウ・グイユエン) 普門高中 175cm 72kg 18歳 右左 OF

〇スピード アプローチ △パワー

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 CPBL開幕戦先発投手の張永昌(兄弟)以来30年ぶりとなる、高雄・美濃出身選手。普門ではCFとして主にプレー。2年で迎えた18年の黑豹旗ではLFでベストナインも、その後3年になってからはスランプが続いた。しかし今年の玉山盃では自分の予想を超える活躍で外野手のベストナインを獲得、家族の応援もありドラフト参加を決めた。最大の武器は走力で、良質なアプローチと打撃技術も備えている。当たりの悪い打球でも全力疾走で出塁するケースもしばしば。体格は細身でパワーには欠けるのでプロ入り後の成長に期待したい。2012年に一度資金難で解散した美濃國小の野球チームが名監督・徐生明氏の手により復活した際の一期生にあたる。

 

 

樂天桃猿(指名9名)

①馬傑森(マ・ジェセン) 普門中学 180cm 80kg 18歳 右右 SS/3B

〇運動能力 守備 パワー △引っ張り傾向 外角

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 ダイナミックに魅せるSS守備が売りの高卒野手。中学時代から野球センスは傑出しており、中学時代の15年5月に花蓮でテストを行った元兄弟の養父鐵氏からは天賦の才能を高く評価され、周思齊(中信兄弟)にも日本への野球留学を薦められたほど。高1から主に「3番・3B」に座り、高3から1学年上の鄭宗哲(パイレーツ)が抜けたSSにポジションを移し4番に。5番・3Bの馬鋼とのコンビは「馬馬連線」と呼ばれた。打撃は鋭いスイングスピードでパワーがあり高めのボールを得意とする。右打者でプルヒッターの傾向が強いため、相手にレフト寄りに守られる極端な守備シフトを敷かれることもしばしば。外角のボールに弱さを見せ、ボール球を追いかけてしまうことも多く、打球の強さが安定できないのが欠点。スピードは平均以下で、3B守備は安定しており強肩。ダイナミックに魅せるSS守備は範囲、スムーズさは申し分なく、CPBLのSSレギュラーでも遜色ない。ただ林子豪と同じく、3B向きと評するスカウトの声もある。今ドラフトでは彼の1巡目指名に驚きの声が上がり、球団内でも一巡目の指名を誰にするかは議論があったそうだが、「高校トップクラスの内野手を獲得しデプスを厚くするために指名した」とは曾豪駒監督のコメント。

 

②林子崴(リン・ズーウェイ) 穀保家商 178cm 70kg 18歳 左左 LHP

〇球種 コントロール スタミナ △アップサイド 球威

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 今ドラフトの高校ナンバー1左腕。中学から投手兼外野手としてプレー。高校入学後は外野手メインでの出場も、2年になってからはイニング数を増やしエースに。最速144km、平均130km台後半のストレートは制球力が素晴らしく内外角に投げ分けられ、特に左打者の内角に食い込むような軌道を辿るとなかなか手が出ない。横の曲がりが大きく速く落ちるカーブ、カーブと似た軌道ながらより速いスライダー、左打者の内角に投げ込むチェンジアップ、ストンと落ちるフォークと変化球のバリエーションも多彩で質が高い。各球種で空振りを奪え、スタミナもあることから長いイニングを安定して投げられるのが強み。心配なのは高校の後半から成長があまりなく、プロでも通用するほどの球速アップが見込めるかは未知数なこと。投手としての登板日以外は外野手として出場することも多く、実質二刀流となっているが、身体の負担を考慮しプロではまず投手としてプレーする。樂天桃猿は5番手の先発として育成する方針。同姓同名の林子崴(統一)も穀保家商出身。

 

③許峻暘(シュ・ジュンヤン) 開南大学 181cm 65kg 22歳 右左 RHP

〇ストレート 三振 △コントロール メカニクス

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 ダイナミックな投球フォームが特徴の開南のリンスカム。高校まではストレートの最速が130km前後、大学入学後も3年までパフォーマンスは平凡だったが、4年になり体格ががっちりとし、球速と球威がアップ。今年の3月の大学野球リーグの決勝で先発し8.0IP/2Rの好投でチーム2度目の優勝に貢献。ストレートは最速は144kmも、先発でも安定して140km以上を投げられる。投球フォームゆえ、リリースポイントがホームベースに近く角度があるため、高めのストレートを勝負球として空振りを奪える。カーブは大きく縦に落ちミートが難しく、バルカンチェンジは最初はストレートのように見え、最後に右打者の内角を突くように落ちる。球種は少ないがはっきりとしたボール球でも空振りを奪えるのが強み。課題はコントロールで、四球が多くストライク率を高めたい。また体全体を使う投球フォームもプロでの長いシーズンでは体力面が心配。少ない球数で打者を抑える術を身に着けたい。樂天桃猿は早速後期からの即戦力として、リリーフとして起用する方針。

 

④林政華(リン・ジェンホァ) 東大体中 175cm 67kg 18歳 右左 OF

〇コンタクト スピード 肩 △アップサイド パワー

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 高いコンタクト能力とスピードで出塁を重ねる外野手。中学2年まで内野手、3年から高校前半まで捕手も、スピードと肩を活かすため高校後半から外野手に転向、主にRFを守った。昨年のU18ワールドカップでは.346/.414/.462、今年の高校野球リーグでは大会トップの打率.510をマーク。憧れである王柏融(日本ハム)そっくりの打撃フォームから放たれるスイングはバットコントロールが良く三振が少ないため、1番打者として適任。守備は打球判断は平均も、肩は平均以上で遠投も正確。ただ体格が小柄でアップサイドは少ないと見られ、またスイングがコンパクト過ぎるのも長打力の向上を阻んでいる。高校ではRFメインだったが、CPBLでは長打力のあるRFが多いため、スピードと運動能力の高さを生かしCFとして生き残りたいところ。

 

⑤王志煊(ワン・ジーシュエン) 成徳高中 175cm 70kg 18歳 左左 LHP

〇コントロール スタミナ メカニクス △体格 球威

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 成徳高中の技巧派左腕エース。1年で早速高校野球リーグの主戦投手として7試合に登板、うち3試合に先発し5勝、28IP ERA0.00と完璧な投球を見せ、学校史上初の4位に押し上げる功労者に。2年でも王貞治盃と玉山盃で計24.1IP ERA1.77と好調だったが、3年に進級する夏に腕の故障でスランプに陥り、本格的な復帰は10月の黑豹旗となったが、ここで見事復活。チームを大会史上最高の5位に導いた。ストレートの最速は141km、平均135km程度ながら、内外角の低めにしっかりと投げ込める制球力の高さが光る。カーブ、スライダー、チェンジアップ等の変化球もストレートと同じ腕の振りで投げ込めるため、打者のリズムを崩すことができる。体格が小柄で球威不足は否めないが、高校でのプレーを経る中で腕の振りをオーバー気味に修正し、ボールの角度の威力をアップさせようという意欲は伺える。プロでは球速が伸びれば、貴重な左のリリーフとして育成される可能性が高い。

 

⑥邱家慶(チョウ・ジャーチン) 成徳高中 176cm 75kg 18歳 右右 C

〇守備 インサイドワーク

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 ディフェンシブな高卒捕手。高校は南英商工に入学するもすぐに故障し、1年前半は試合に出場できず。その後1年後半から実家に近い新竹の成徳高中に転校した。打撃も悪くはないが、守備についての評価が高く、送球が素早く、二塁への送球はほぼ2秒で正確。インサイドワークにも長け、配球も臨機応変。球場全体を見られる視野の広さも高卒捕手としては突出している。プロでも縁の下の力持ちとして本塁を守りたい。ドラフト5位の王志煊とは、バッテリーで指名された。

 

⑦何逸龍(ヘ・イーロン) 台北市立大学 178cm 72kg 18歳 右右 RHP

〇球速 アップサイド △投手としての実績

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 投手としての成長に期待の右腕。中学までは投手として140kmを投げるまでに成長していたが、平鎮高中では中学までの投げ過ぎを考慮し、またチームの投手の頭数が揃っていたこともあり監督が外野手にコンバート。外野手としてもレギュラーとしてプレーしたが、打順は下位打線が中心となり打撃でアピールしきれず、昨年ドラフトに外野手として参加も指名されなかった。台北市立大学に入学後に再び投手へ転向し、144kmをマーク。曾豪駒監督は球速と体格の良さを評価しており、活躍が際立っている樂天桃猿の7巡目の隠し玉として期待が高まる。

 

⑧林楷錡(リン・カイチー) 国立体育大学 186cm 82kg 22歳 右左 OF

〇アップサイド △体格 コンタクト

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 アップサイドに期待の大卒外野手。元味全のアンダースロー、林琨瑋を父に持つ。スイングはシンプルで、どんなボールにも重心を崩さず対応できる。痩せ型の体形でパワー不足が指摘されていたが、大学4年になりトレーニング方法と食事を見直し体重増加に成功。パワーと打球速度が向上し成績も伴うようになった。しかし依然としてミートポイントが安定せず、空振りが多いのは課題。スピードは平均で、守備は打球判断と肩が強く安心してCFを任せられる。大卒として即戦力の選手ではないが、アップサイドは大きいと見られ、今後に期待したい。

 

⑨蔡鎮宇(ツァイ・ジェンユ) アズサ・パシフィック大学 168cm 70kg 23歳 右右 OF

〇パワー スピード △体格 年齢

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 アメリカで3年間プレーした外野手。穀保家商時代の14年には黑豹旗でRFとしてベストナインを獲得。卒業後は輔仁大学に入学も在籍は1学期のみで、その後渡米。アメリカで2度の転校を経てアズサ・パシフィック大学でプレーした。体格はアメリカでプレーしたこともあってか筋肉質でがっちりとした体格でスイングが鋭くパワーがあり、外野守備も走力を生かせる。ただ今ドラフトで指名を受けた中で今年24歳という年齢、168cmという小柄な体格から低順位での指名となったとみられる。また樂天桃猿は彼の他に林政華と林楷錡と高卒、大卒の外野手を獲得したため1年目から気が抜けない。大学での専攻は運動生理学で、特にキネシオロジーと呼ばれる生物の身体の運動の科学的研究を学んでいた。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

https://www.youtube.com/channel/UCJ8cnUlVCybEsYRoRNwXNbA

Twinkle一瞬之光

https://www.sportsv.net/authors/salada

2020CPBLドラフト指名選手リスト 統一+富邦

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*1

 

統一(指名10名)

①林子豪(リン・ズーハオ) 平鎮高中 185cm 78kg 18歳 右左 3B/SS

〇コンタクト バットコントロール △体格 アプローチ

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 林益全(富邦)と比較される、高校2年時から高校トップクラスの打者として国内外の大会で活躍した内野手。中学では主に「1番・SS」として活躍、3年時に中学野球リーグの優勝に貢献。高校では金属バットの部でスタートも、17年の台日高中棒球菁英對抗賽で活躍後出場機会を増やし、3番打者に定着。19年のU18ワールドカップでは中軸を打ち.355/.474/.452のスラッシュラインをマークし優勝に貢献。今年5月の王貞治盃ではチームメートの李灝宇の故障により抜けた穴を埋める形で、中学時代以来となるSSを守りスカウトにアピールした。打撃では広角に打てるコンタクト能力と高校トップクラスのバットコントロールが際立っていたが、3年に入りパワーが向上し更にレベルアップ。一方で選球眼には課題を残し、外角のボールに対し当てるだけの打撃や空振りが多い。スピードと運動能力は平均的。185cmとSSにしては高い身長、強肩でキャッチングも安定しているため、3B向きと見られる。体の線がやはりまだ細く、プロでやっていくにはまだまだ鍛える必要があるが、完成した際には高い率を残せる3Bとしてやっていけるだろう。

 

②何恆佑(へ・ヘンヨウ) 穀保家商 185cm 80kg 18歳 右左 1B/2B

〇完成度 バットコントロール スピード △ポジション 高め

主要国際大会経歴(高校以降) 19年:U18ワールドカップ

 高校生野手としての完成度に高い評価受ける内野手。中学では3B、SSとしてプレー。1年では出場機会が多くなかったが、2年からスタメンの機会を増やし、3年では3番に固定された。18年の黑豹旗ではベストナイン&最優秀一塁手、19年の玉山盃では最優秀一塁手、今年の高校野球リーグでは全体3位の打率.432、全体1位の16打点と国内の大会でしっかりと数字を残せる安定感が光る。打撃はバットコントロールにも長け、コンタクトとアプローチを兼備し、打球方向の半分以上はセンターから左方向と逆方向へ打つ技術も高い。ただ高めのボールを苦手にし叩きつけゴロアウトになるケースが多く、ミートポイントが遅くプロの球威についていけるかも不安なポイント。スピードも武器で一塁までの到達タイムは約4.1秒、内野安打も多く相手守備のミスも誘っていた。守備は穀保に優秀な内野手が多かったこともあり1Bで固定、強いゴロへの反応も良く、安定した守備力を見せていた。一方で2B/3B/SSを守ることは少なく、技術面では送球までの動作が不安定。なお劉育辰打撃コーチによると統一は2B、SSでの起用を考えているとし、手足が長い分逆方向の動きが多い2BよりはSS向きではとの考えを示している。プロでの生き残りを考えるなら、2Bが現状最適解か。

 

③劉予承(リォウ・ユーチェン) 穀保家商 179cm 75kg 18歳 右右 RHP/SS/3B

〇運動能力 二刀流 フォーク △スタミナ 攻守の安定感

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 まずは投手でプロに挑む二刀流。国際大会に縁はなかったが、19年に補強選手として参加したU18台美熱身賽での投球で自信をつけ、その後の立德盃では高苑工商を相手に7回パーフェクト、今年のU18アジア選手権代表候補22人に残った。ストレートは最速148km、平均でも143km前後をマーク。カーブ、スライダーで球速差をつけ、ホームベースで一気に落ちるフォークを勝負球にする。投手として見るならば3年時の投げ過ぎは懸念材料で、また長いイニングを投げると球速が落ちるのでスタミナをつけたいところ。3年からは投手としての登板が多くなったが、3B/SSもソツなくこなすことができ、野手の評価の方が高いスカウトも。打撃はストレートに強く、引っ張り傾向が強い。守備では特にSSとして打球反応の速さ、守備範囲、肩どれもが平均以上で、走力も高い。今ドラフトに参加する高校生の中でも屈指の運動能力を誇る。一方で野手としては選球眼、守備の安定感を課題とし、アップサイドは大きくないとの見方もある。本人は試合の主導権が握れ、マウンドにいる方が落ち着き自信も出てくるとのことで、投手として今回のドラフトに参加、統一もまずは投手として起用する見込み。

 

④李其峰(リ・チーフォン) カブス 180cm 70kg 22歳 右右 RHP

〇マイナーでの経験 △コントロール 球種不足

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 マイナーで3年間プレーした右腕。興大附農卒業後、カブスマイナー契約カブスの台湾担当スカウトがFacebookに台湾アマの観戦レポートを投稿している女性であることが後に判明し話題となった。しかし契約後肘の靭帯断裂が判明しトミージョン手術、契約金も10万ドルから3万ドルに減額。その後リハビリを経て18年に復帰した。マイナーでの2年間は先発とリリーフ両方で起用され、Rk止まりも計24試合でERA4.85、K/9 7.9、BB/9 2.0とスタッツは悪くなかった。今年は新型コロナウイルスの影響で3月に自らチームを退団し、6月に富邦に自行培訓選手(練習生に相当)として入団、約1か月間二軍でプレーも、9試合でERA7.90と甘いコースに来た失投を打ちこまれたのは気がかり。140km前半のシンカー気味のストレートとスライダーが持ち球で、チェンジアップを現在習得中。若さ、マイナーでの経験はプラスだが、渡米前と比較し大きく成長した点が見られない。本人は先発でのプレーを希望しているが、そのためには変化球のレパートリーを増やしたいところ。

 

⑤姚杰宏(ヤオ・ジェホン) 中国文化大学 184cm 78kg 22歳 右右 RHP

〇スタミナ 球質 △メカニクス 投球過多

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 中国文化大学のエース。中学時代は内野手で高校から肩の強さを買われ投手に転向。大学入学後に右ひざの半月板を損傷し手術を受け、復帰後も球速は130km前後だったが、トレーニングを経て球速を140km前後まで戻した。さらに劉致榮(レッドソックス)が通っていたことで有名になったトレーニングセンター「黑山羊訓練中心」で科学的なトレーニング、さらに徹底した自己管理を行った結果、ストレートが最速148km、平均でも143km前後にまで球速アップ。威力のあるフォーシームとツーシーム、カウント球に用いるカーブ、勝負球のフォークが持ち球で、最近はチェンジアップの習得に励んでいる。また昨年のポップコーンリーグ、大学野球リーグ、そして今年6月の春季リーグで計111イニングを投げるなどスタミナもある所を見せたが、投げ過ぎは心配。特に今年の大学野球リーグの2次リーグ以降は計21.2IP/2Rと好投。その後U-23ワールドカップの強化チーム入りを果たした。世代別代表の経験がない為、新人トライアウトからのドラフト参加。憧れの投手に則本昂大(楽天)を挙げ、制球、ストレートのノビ、フォークを参考にしていると語る。

 

⑥許哲晏(シュ・ジェーイェン) 遠東科技大学 178cm 78kg 22歳 右右 SS

〇SSの経験豊富

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 チームの弱点を埋めたい大卒SS。野球を始めてからずっとSSを守ってきた。先日行われた中職二軍交流賽でも打率.429とアピール。今年のドラフトは高校生野手にSSを本職とする選手が不在だったこともあり、莊韋恩と共に守備力の高い大学生SSとして注目を集めた。統一は近年SSが固定できなかっただけに、即戦力として活躍が期待される。本人はチームメートとなった先輩陳鏞基のように打てるSSが憧れと語るが、内野はどのポジションでも守る意向。

 

⑦林原裕(リン・ユエンユ) 強恕中学 185cm 73kg 18歳 右右 RHP

〇アップサイド △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 今後に期待の高卒右腕。オーバースローから130km前後のストレートにスライダー、カーブもコントロールがアバウトでまだまだこれから磨き上げる必要のある選手。185cmと恵まれた身長があり、また近年は各大会で結果を残せていない強恕中学出身でもあるため、完全に今後の指導者、育成の方法次第で伸びる可能性を秘めた選手と言える。

 

⑧張肇元(ジャン・ジャオユエン) 台東大学 183cm 103kg 22歳 右右 C

〇パワー △アプローチ 守備

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 長打が期待できる捕手。中学時代は4番も、平鎮入学後はチャンスを得られず出場機会が減少。台東大学に入学後も、3年までのパフォーマンスは平凡だったが、4年になりパワーが増しホームランが増加。アプローチの雑さ、変化球への対応は要改善。また体格が太り気味であるため、敏捷性に欠け守備力も平均以下。守備はプロ入り後磨いていく要素が多いが、現状統一には長打が期待できる捕手がいないため、まずは打で結果を残しチャンスを掴みたい。

 

⑨李慶隆(リ・チンロン) 穀保家商 185cm 81kg 18歳 右右 RHP

〇球速 リリーフ経験豊富 △安定性 メカニクス

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 リリーフで期待したい高卒右腕。非凡な野球センスを持ち、中学から145kmをマーク。穀保入学後もリリーフ中心に活躍し球速が148kmまでアップ。その後3年になる夏休みに故障し、復帰後フォームをオーバースローからサイド気味のスリークォーターに修正し制球が改善。しかし球速が一時平均140km前後まで落ち、今も全盛期の球威には完全には戻っていない。ストレートはリリーフでは常時140km前半をマークし、右打者の内角をえぐる軌道を辿る。変化球は右打者にはスライダーとカーブ、左打者にはチェンジアップを多投する。ボールの安定性には欠けるが、リリーフとして打者を抑え込む術は備えている。故障歴があり、また肩に負担のかかりそうなフォームなのでケアには気を付けたい。元興農の李國慶はおじにあたり、学歴をつけ将来の仕事を考慮しての大学進学をアドバイスされたが、家族と話し合った結果自分の希望を尊重し、ドラフト参加を決めた。

 

⑩楊淳弼(ヤン・チュンビ) 国立台湾体育運動大学 184cm 85kg 22歳 左左 LHP

〇投球フォーム メークアップ △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 今ドラフトで最後に指名された左腕。彰化出身で、高校から高雄に移り三民高中に進学。2年時には玉山盃の代表に選出された。球の出所が見辛い投球フォームは、元統一の潘俊榮にそっくりという声も。130km台後半のストレートにスライダーが主な変化球でストレートが決まると威力があるものの、フォームの不安定さも関係してかコントロールが乱れるケースが多い。プロ入り後は左のリリーフとしての起用が見込まれるが、まずはじっくりとフォームを固め制球難を改善させたい。

 

 

富邦(指名9名)

①張進德(ジャン・ジンデ) ジャイアンツ 179cm 102kg 27歳 右左 C

〇守備 △パワー 故障歴

主要国際大会経歴(高校以降) 14年:アジア大会 15年:プレミア12 19年:アジア選手権、プレミア12

 マイナーでキャリアを積んだ捕手。11~18年までパイレーツマイナーでプレー。昨年は45年ぶりにSF所属の台湾人選手となったが、怪我の影響もありRkと2Aで計45試合でOPS.488と不振に陥った。マイナー通算盗塁阻止率37%を誇り、また安定したスローイングも備え守備は高く評価されていた一方で、打撃はパワー不足が否めなかった。今季は新型コロナウイルスの影響、また子供も成長し、マイナーでのプレーが長くなったこともあり、家族と話し合い故郷に戻ることを決断。4月に富邦に自行培訓選手(練習生に相当)として入団。二軍で26試合 打率.444 5HR 17打点 OPS1.227と打棒爆発、盗塁阻止率も30.8%とレベルの違いを示した。ドラフト4日後の7月24日に2.5年契約を結び、翌25日には代走から出場しタイムリーを放ち、單場MVPの活躍。その後もシャープなスイングで外野のギャップを抜く打球を連発、チームの雰囲気も盛り上げている。富邦にいなかった攻守兼備の捕手獲得で後期巻き返しを狙う。

 

②郭俊麟(グォ・ジュンリン 埼玉西武 175cm 76kg 28歳 右右 RHP

〇経験 完成度  △手術 年齢 コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) 10年:IBAFU18ワールドカップ 11年:IBAFワールドカップ 14年:アジア大会、U21ワールドカップ 15年プレミア12 17年:WBC

 故障からの復活に期待の右腕。数々の国際大会で好投しインパクトを残し、大学卒業後、偉大な同郷の先輩である郭泰源の背番号12を与えられ埼玉西武に入団。1年目から即戦力として開幕からローテ入りし21試合3勝7敗 ERA5.31をマークも、その後は不振や故障に苦しみ出場機会が減少。昨季は2試合のみの先発登板にとどまり、オフに戦力外通告を受けた。今季は4月に樂天桃猿に自行培訓選手(練習生に相当)として入団、リリーフとして登板していたが5月15日の味全戦で1球を投げただけで降板。試合後に右肘の靭帯断裂が発覚しトミージョン手術を受けた。復帰は早くとも来季の後期になると見られる。平均145kmのストレートにスライダー、チェンジアップ、カーブを織り交ぜるスタイルもNPBでは制球難とスタミナ不足に苦しんだ。トミージョン手術が指名順位に影響するのではという声もある中での2位指名について洪一中監督は「もし2巡目で指名しなければ、3巡目には残っていなかっただろう。王維中以外では今ドラフト一番の投手」と語っており、彼への期待が伺える。

 

③陳真(チェン・ジェン) 中国文化大学 185cm 92kg 21歳 右右 OF

〇パワー アプローチ △ミート能力 スピード フライ処理

主要国際大会経歴(高校以降) 16年:U18アジア選手権

 即戦力のパワーが魅力の外野手。穀保家商時代から選球眼に長けた好打者として活躍、16年にはU18アジア選手権の代表に選出された。体格が痩せており、長打力は平凡だったが、大学入学後から同級生の劉致榮(レッドソックス)と行っていた朝早くからの猛練習が実を結び、2年までで3本だった公式戦のHRが3年だけで7本と長打力が急成長。今年の大学野球リーグでは3HRで本塁打王を獲得、決勝では余謙からもHR。打撃は常にフルスイングながら、アプローチも成熟しておりしっかりと考えて打席に入れる。一方でミートの正確性に欠け、力ないフライやゴロも多く、外角球への対応を向上させる必要がある。走力は平均以下で、外野守備は肩は平均以上だが、深いフライを追いかけるのを苦手としており打球判断に不安が残る。生まれつきの多指症で、野球を始めた後にグローブが入らなくなったため手術をした経験を持つ。

 

④莊韋恩(ジュアン・ウェイエン) 国立体育大学 170cm 59kg 22歳 右右 SS

〇守備範囲 走力 △守備の安定感 パワー 変化球

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 今年の大学生ナンバー1SS。成德高中ではSSとしてプレーしつつアンダースローのリリーフとしても登板。大学からはSSに専念し主に1番として切り込み隊長の役割を担った。最大の武器は守備と走力で、守備については打球反応の速さと広い守備範囲を有している。送球も動作が素早くどの位置からもしっかりと送球でき、肩も悪くない。ただ試合でのエラーが多く、キャッチングと送球の安定性は改善する必要がある。打撃に関しては体格が小柄で痩せ型のためパワー不足が否めず、スイングの軌道を短くし確実にミートする。4年時には体格も大きくなりスイングスピードとパワーが向上、外野のギャップを抜く長打が出るようになったが、変化球への対応は課題がある。元義大、富邦、味全でプレーした林瑋恩のように小技と華麗な守備で魅せるSSとして活躍を期待したい。

 

⑤林詠翔(リン・ヨンシャン) 高苑工商 176cm 72kg 18歳 右右 RHP

〇ストレート 角度 △コントロール

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 小柄ながら爆発力のある高卒右腕。トライアウトからドラフトに参加した選手では最初に指名された選手となった。体格は小柄ながらオーバースローでボールに角度がある。先発では137~141km、リリーフでは142~145kmのストレートを投じる。課題はコントロールで、内外角への投げ分けができず、はっきりとしたボール球も多い。カーブ、スライダー、フォークなどを投じるがストレートとリリースポイントが異なるため球種を見破られやすいのも要修正。コントロールを意識してかスピードを抑えているようにも見受けられ、アップサイドへの期待は大きい。しっかりと体作りをしコントロールが改善すれば一軍でもリリーフでチャンスを掴める可能性がある。

 

⑥黃兆維(ホァン・ジャオウェイ) 平鎮高中 185cm 85kg 18歳 右右 1B

〇パワー メークアップ △ポジション スピード

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 過小評価されていた平鎮のパワーヒッター。高校入学後は木製バットに慣れずバットコントロールや変化球への対応を苦手とし結果を残せなかった。しかし3年に入ってからミートの正確性、長打力が向上し李灝宇が不調に陥った時は4番打者に入った。打撃はプルヒッターで常にフルスイング、大きなフォロースルーとパワーヒッターに必要なものを備えている。ライナー性の打球が多いためホームランは多くないが、代表クラスの投手からもしっかりと成績を残しており、今ドラフトの高校生の中でパワーの潜在能力では一番との声もある。今年の高校野球リーグでは1Bでベストナイン王貞治盃では打率.583、9打点は大会トップだった。課題は外角球と高めのストレートへの対応で、打撃技術をもう一段プロでは磨きたい。スピードは平均以下、中学時代は肩も良かったため3Bを守ることもあったが、高校では1Bメイン。しかし出場機会を得るためには敏捷性を高め、1B以外のポジションも守れるようにしておきたい。中学、高校でキャプテンを務め、性格は物静かながらキャプテンシーのある人物である。憧れの選手は朱育賢(樂天桃猿)で、長打力を参考にしたいと語っている。

 

⑦曾峻岳(ツェン・ジュンユエ) 西苑高中 174cm 68kg 18歳 右右 RHP

〇ストレート スタミナ △アップサイド 球種不足

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 西苑のエース。中学ではSS、高校でも入学当初はSSも投手を始めたところ才能が開花。その後は投手メインでSSをたまに守る形となった。ストレートはホップし威力があるフォーシーム、沈むツーシームの二種を投げ分け、最速は146km、先発では137~141km、リリーフでは140~143kmを平均してマークする。コントロールも良く高低の投げ分けはしっかりと出来ているが、内外角への投げ分けは要修正。変化球はカーブを多く投じ、カウント球として用い、また右打者の外角低めに縦に落ちるスライダーを投げ込み三振を奪う。フォークはコントロールが不安定であまり投じない。2年時はスタミナと投球効率の良さを見せたが、3年になってからは疲労からスランプに陥りパフォーマンスにバラつきがあったのは心配な点。小柄でリリースポイントも低く投球に角度がないため、プロでも通用するかは疑問。また先発タイプにしては球種が少ないので現状はリリーフ向きか。本人も球種不足を自覚してかフォーク以外にもチェンジアップを練習している。

 

⑧許宸銘(シュ・チェンミン) 南英商工 178cm 70kg 18歳 右左 SS

〇守備範囲 △肩 パワー

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 許禹壕(樂天桃猿)の弟。南英商工ではキャプテンを務めた。広い守備範囲を誇り、特に三遊間への打球へ軽々と追いつく場面も多いが肩の弱さがネックでアウトを取れない場面もしばしば。打撃は広角に打て外野のギャップを抜く長打はあるものの、ややパワー不足。今年富邦の胡金龍が母校である南英商工のライングループで洪一中監督を批判する投稿をし騒動になったため、彼の指名時は少しだけドラフト中継が沸いた。

 

⑨周奕丞(ジョウ・イーチェン) 台東大学 178cm 80kg 22歳 右左 2B/3B/SS

〇スピード アプローチ 内野3ポジション △肩 攻守の安定感

主要国際大会経歴(高校以降) なし

 日本での留学経験を持つ内野のユーティリティー。中学卒業後、張奕(オリックス)の紹介で福岡第一高に野球留学。主に外野を守っていたが入学当初は言語面で苦しみ、2年になってからようやく慣れたという。3年時にスライディング時に右肩を脱臼し長期離脱を経験。卒業後も日本の大学からの誘いはなく、一時は野球を辞めることも考えたが、家族の応援もあり国立台湾体育運動大学に進学。しかし3年になる前に出場機会を得るため台東大学に転学した。打球角度はないものの、ボールを遠くを飛ばそうという意識が伺え、ライナー性の二塁打が多く、広角に打球を飛ばせアプローチも我慢強い。また走塁は積極的で盗塁も多い。一方でスイングが安定しておらず、ボールの下を捉えての力ないフライが多く、左投手の球筋への対応も苦手としている。守備は2B/3B/SSを守れ、守備範囲は広いものの肩が弱く、安定感に欠け失策も多い。今年の春季リーグではリーグ2位の打率.575をマークし脚光を浴びた。既に完成度の高い内野手ではあるが富邦では手薄な2Bとしてプレーしチャンスを伺いたい。父の周永慶は味全の練習生としてプレー、今年の冬は川﨑宗則と一緒に自主トレを行った。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

https://www.youtube.com/channel/UCJ8cnUlVCybEsYRoRNwXNbA

Twinkle一瞬之光

https://www.sportsv.net/authors/salada

2019CPBLドラフト指名選手リスト 味全(13~28巡目)

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*1

 

⑬林孝程(リン・シャオチェン) 南華大学 173cm 75kg 19歳 右左 OF

 

主要国際大会経歴(高校以降) 

南華の核弾頭。高校時代は一時期ボールにバットが当たらないほどの極度のスランプも経験したが、コーチの熱心な指導もあり復調。南華大学ではトップバッターとして起用され、今年の春季リーグでも好成績を残した。

 

⑭黃東淯(ホァン・ドンユ) 南華大学 177cm 79kg 21歳 右右 P

〇闘志 △球威 制球

主要国際大会経歴(高校以降) 

ガッツ溢れる右腕。美和高中の1学年先輩には嚴宏鈞(ラミゴ)がおり、バッテリーを組んでいた。高校では135kmほどしか出なかった球速も、大学でトレーニングを重ね最速144kmに。短いイニングであれば140km前後を平均でマークし、変化球はカーブ、スライダー、決め球のフォーク。ストライク率も高く、時に声を上げながら打者とどんどん勝負していくタイプだが、球威は平凡なため甘く入った高めのボールを長打にされるケースが多い。精確なコントロールをプロでは身につけたい。

 

⑮張祐銘(ジャン・ヨウミン) 開南大学 177cm 72kg 22歳 右左 OF

〇パワー 肩 △選球眼

主要国際大会経歴(高校以降) 14年:U18アジア選手権 15年:U18ワールドカップ

吉田正尚オリックス)のような、小柄な体格から豪快なスイングを見せる外野手。高校時代から速いスイングスピードと安定したスイングを持つ打撃の評価が高く、フルスイングするタイプながら広角に打球を打ち分け、打球角度もある。しかし大学進学後は二塁打以上の長打は少なくないもののパワーツールの成長が遅くなり、大学での公式戦初HRは4年生になってから。低めの変化球と高めのストレートに手を出しがちな選球眼は改善する必要がある。スピードは平均レベルで、守備は打球判断と範囲は平均ながら、肩は平均以上で外野3ポジションではRFかCF向き。選球眼が改善されれば長打力のあるコーナーOFとして出場機会を得られるだろう。

 

⑯黃柏豪(ホァン・ボーハオ) 輔仁大学 180cm 80kg 22歳 右左 1B

〇パワー △1B専

主要国際大会経歴(高校以降) 14年:U18アジア選手権 15年:U18ワールドカップ

大学後半に成長を見せた「海外派」のパワーヒッター。高校時代前半は長打が目立たなかったが、高3に打撃フォームを修正後、パワーヒッターとして才能が開花。しかし大学進学後は3年生の終わりまでなかなか結果を残せず。本人も国内では試合数が少なすぎると感じたことから、16~18年には3年連続で夏休みの期間を利用してアメリカのサマーリーグに参加。それに伴い体格も立派に成長、選球眼とスイングの安定感が向上した。昨年のCPBLドラフトでは指名されなかったが、その後の大学リーグでは3HR、今年の春季リーグでも4番として活躍。打球はライナー性の打球が多いが、甘いボールは傑出したパワーでスタンドまで運んでいく。高校ではOFも、大学時代はほぼ1Bしか守っていないというポジションの制約もあって低順位での指名となったが、今年プロ入りを果たした。本人もプロ入り後はOFも再び練習する意向であり、チャンスを掴み取っていく。

 

⑰陳冠偉(チェン・グァンウェイ) 国立台湾体育運動大学 183cm 92kg 22歳 右右 P

〇フォーク

主要国際大会経歴(高校以降) 

彰化藝術高中出身としては初のプロ野球選手。父は興農で02~04年まで監督を務めた陳威成。母は客家人であり、客家人のプロ入りは劉時豪以来5年ぶり10人目。今年のドラフトは味全のトライアウトから参加し、その際に葉君璋監督がフォークに高い評価を与えた。オーバースローから最速143kmのストレートを投じる。

 

⑱牛塏曄(ニョウ・カイイェ) 新北市 171cm 103kg 25歳 右右 C

〇パワー 肩 △走力

主要国際大会経歴(高校以降) 

パワーと肩が自慢の社会人捕手。輔仁大学ではレギュラー捕手であり、17年には台北ユニバーシアードのトレーニングチーム、18年にはアジア大会のトレーニングチームに選出されたりと経歴も豊富だが、17年から3年連続でドラフトに参加し、今年ようやくの指名となった。打撃が最大の武器ではあるが、本人曰く長所は「守備と盗塁阻止のスピード」。

 

⑲李宇翔(リ・ユシャン) 新北市 172cm 58kg 22歳 右右 P

 

主要国際大会経歴(高校以降) 

下位指名からの秘密兵器となりたい右腕。高校時代は内野手兼投手としてプレー。大学から投手に転向し3年生の途中まではリリーフメインの起用だったが、18年からチームの先発不足の影響もあり先発に転向。最速は146km。

 

⑳曾柏融(ツェン・ボーロン) 中国文化大学 181cm 68kg 21歳 左左 P

〇変化球 内角攻め △ストレートの球威不足

主要国際大会経歴(高校以降) 

投げる「文化大学の柏融」。昨年の大学リーグでは準決勝で6.1IP/0Rと好投、今年の春季リーグでは7.0IPをノーヒットに抑えるなどここ最近は印象に残る好投が光った。トルネード気味に体を捻るフォームが特徴。最速は140kmに満たず、先発時のストレートは130km前半で球質も平凡だが、リリースポイントが高く投球に角度があり、また鋭く曲がるカーブ、チェンジアップ、フォークなどの変化球を組み合わせ打者のリズムを狂わせる。特にストレートとカーブは同じ腕の振りで見分けがつきにくい。内角を厳しく付けるのも評価できる。ただプロでこの技巧派スタイルを続けるのは厳しいため、ストレートの威力アップは必須。肩の可動域や痩せ型の体格も考慮すればアップサイドは一定あると思われるので期待したいところ。

 

陳震洋(チェン・ジェンヤン) 普門高中 177cm 78kg 18歳 右右 OF

〇パワー 肩 △選球眼 コンタクト

主要国際大会経歴(高校以降) 

普門のキャプテン。高校の先輩である邱丹(ラミゴ)のアドバイスを受けプロ入りを決意。高2までは内野手で高3からCFにコンバート、また高2までは金属バットの部でプレーしていた。今年の高校野球リーグでは嘉義市で2本のHRを放ったようにフルスイングとレッグキックから繰り出されるパワーが持ち味だが、スイングの軌道が大きすぎるためミートの確実性が不足している。また選球眼も悪く、変化球に崩されて空振りとなるケースが多い。ホームランとしているボールも速い速球ではないことも考慮したいポイント。現状ではパワーツールが長けている状態で他は向上の余地がある。守備は平均以上の打球判断能力と肩があり、CFとしてもプレーできそう。まずはじっくり二軍で育成したい。

 

㉒劉宇鈞(リォウ・ユージュン) 開南大学 177cm 72kg 21歳 右右 P

〇制球 △球威

主要国際大会経歴(高校以降) 

中国のMLB育成センター卒業生として初のCPBL選手。中学生の頃、父親が中国で仕事をしていたことから家族で移住。その際に野球をプレーする環境を求め、2011年に台湾人選手として初の江蘇のMLB育成センターのメンバーとなった。センターでの科学的トレーニングもありセンターのエース格に成長、17歳にして最速142km、ストレートの平均136kmをマーク。MLB育成センターを卒業後は台湾に戻り、開南大学でプレー。大学での登板機会は少なくMLBDCに戻りプレーすることもあり、ここ半年近くは実戦から遠ざかり自主練に励んでいたという。ストレートは最速142km、スライダーとフォークが主な持ち球で制球も安定している。テークバックの無駄な動きを減らせれば球威アップも期待できる。

 

㉓張皓緯(ジャン・ハオウェイ) 崇越隼鷹 176cm 72kg 24歳 右右 SS

〇SS守備 △打撃

主要国際大会経歴(高校以降) 11年:U18アジア選手権 14年:U21ワールドカップ 15年:光州ユニバーシアード 16年:U23ワールドカップ 17年:台北ユニバーシアード

国際大会の経験豊富な内野手。17年、18年のドラフトに参加も指名されず(17年は富邦が自主培訓選手(NPBの育成選手に相当)からの支配下登録を打診するも拒否)今年三度目の正直での指名となった。SS守備が特に評価が高く、正面でボールを捕りに行こうとするクセがあるものの、足捌きが素早くスムーズで、肩の強さ、送球の速さも申し分ない。ダイビングキャッチでアウトを奪う場面もよく見られる。ドラフトでなかなか指名されない原因となったのは打撃。スイングが安定せず、プロのボールについていけるかは疑問点が残る。出塁、長打能力共に目立ったものもないため内野の便利屋枠として、守備からまずはチームに貢献したい。

 

㉔林驛騰(リン・イーテン) 台北市 183cm 90kg 27歳 右両 OF

〇パワー △年齢

主要国際大会経歴(高校以降) 

今ドラフト参加者最年長のオールドルーキー。中学までは右打も高校で左打に転向、11~12年までインディアンスのRkでプレーし両打に転向するも、計34試合 打率.188 0HR 9打点 OPS.546にとどまり13年3月に解雇。その後は崇越、國訓、現在は台北市でプレー。16年から18年まで3年続けてドラフトで指名されずも、四度目の正直で指名を受けた。今ドラフト参加者唯一の海外プロリーグでプレー経験のある選手でもある。味全のトライアウトでもHRを放ったように、パワーが最大の武器だが、一軍参入時には29歳になっており若手の多いチームでは早めの結果が求められる。

 

㉕陳良志(チェン・リャンジ) 台湾電力 183cm 90kg 22歳 右右 P

アンダースロー △単調

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U23ワールドカップ

台湾電力の若きサブマリン。高苑工商から遠東科技大学に進学も18年に退学し社会人強豪の台湾電力でプレー。18年のU23ワールドカップではメキシコ戦でリリーフ登板し6.2IP/0R、先発の機会を与えられたコロンビア戦でも8.1IP/1Rと好投。それが自信となり、今年のドラフト参加を決意した。120km前半~中盤の沈むストレートを軸にゴロアウトを生み出す。90km台のカーブや100km前後のシンカーも投じるが、プロでは単調な投球にならないよう変化球も増やし、活用する必要がありそうだ。

 

㉖歐晉(オウ・ジン) 国立体育大学 176cm 110kg 22歳 左左 1B

〇パワー △1B専

主要国際大会経歴(高校以降) 

「ベービーオルティス」のあだ名を持つ小柄なパワーヒッター。ルカイ族であり、彼の名を一躍有名にしたのが09年のリトルリーグワールドシリーズ。宋文華とのダブルエースでチームを牽引、03年に台湾が大会復帰後の最高成績となる準優勝に貢献。高校は強豪の平鎮高中に進学し1Bとしてプレー、14年に18Uアジア野球選手権大会代表に選出されるなど実績も残したが、打撃の安定感が不足していることを理由に高校卒業後はドラフトに参加せず、国立体育大学に進学。しかし大学時代は目立った成績を残すことが出来なかった。パワーツールは平均以上だが、それ以外に平均以上のツールがなく、敏捷性も不足しており1B専と完全に打撃全振りと言ってよい。大学時代に食べ過ぎで体重が110kgまで増加。体重過多は本人も認めるところで、「プロ入り後はまず10kg減量したい」と語っている。

 

㉗高淮安(ガオ・ファイアン) 国立体育大学 183cm 87kg 23歳 右左 OF

〇外野3ポジション可 △アプローチ

主要国際大会経歴(高校以降) 

細身の外野手。小学校で170cm近くあり、本人は野球をしたかったが、家族が反対しバレーをプレー。そのため野球を本格的に始めたのは中学からと遅い。高校時代は1番・CFとしてプレー。打撃はバットコントロールに優れ、広角に安打を量産する。大学進学後は長打力も向上させた。守備では外野3ポジションをソツなくこなしフライの判断や守備範囲も安定。しかし大学では打撃成績が安定しない時期が続いた。打席でのアプローチを向上させ、低めのボール球を振らないことが安定した成績を残す鍵となる。

 

㉘魏全(ウェイ・チュエン) 台北市立大学 182cm 77kg 21歳 右右 C

〇話題性 △経験

主要国際大会経歴(高校以降) 

今ドラフトで話題を集めた捕手。名前が球団名の「味全」と中国語の発音が同じということを理由にドラフト前から注目を集め、最終順位で指名された瞬間はドラフト会場が歓喜に沸いた。高苑工商では出場機会に恵まれずも、大学で攻守に成長した姿を見せた。本人は林泓育(ラミゴ)のような打撃に長けた捕手が目標と語っている。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

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Twinkle一瞬之光

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2019CPBLドラフト指名選手リスト 味全(1~12巡目)

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*1

 

味全(指名32名)

劉基鴻(リォウ・ジーホン) 平鎮高中 182cm 73kg 18歳 右右 SS

〇パワー △敏捷性 守備範囲 3B向き?

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U18アジア選手権

強打のSSとして平鎮を支えたキャプテン。小学校時代は9つ全てのポジションを経験、中学時代は投手としてプレーする時期もあったが、中3進級前に球速が上がらなかったこと、打撃に自信が出てきたことで野手に専念。高校入学後は強豪校ゆえ競争が激しく金属バットの部からのスタート、1年まではSSだったが、2年になると江坤宇(中信兄弟)とポジションが重なり3Bにコンバート、3年から再びSSに戻った。2年から4番を務め、3年ではキャプテン兼4番として活躍。18年の黑豹旗では林承飛(ラミゴ)、江坤宇(中信兄弟)に続くチーム史上3人目となるSSでベストナインに選出された。SSとしては体が大きく敏捷性には欠けるが、送球、キャッチングは遜色なく「強打のSS」として活躍してきた。打撃ではスイングスピードが速く、ゴロやライナーの打球速度が速い。また長打と率を両立できており、長打力だけなら今ドラフトの高校生ではトップクラス。プロ入りにあたり改善すべきポイントは打撃では変化球への対応を高めることと、打球方向がレフト方向に偏りがちな為、広角に打てる技術を身につけシフトを敷かれないようにしたい。守備範囲が広くはなく、プロでは1Bまたは3Bに回る可能性もあるが、高校で魅せた守備の安定感が維持できればSSでもプレーできるだろう。

 

①徐若熙(シュ・ルォシ) 平鎮高中 180cm 80kg 18歳 右右 P

〇完成度 制球 △アップサイド 疲労

主要国際大会経歴(高校以降) なし

「怪物」李晨薰と並ぶWエースとして活躍した右腕。中学時代は守備範囲の広いSS兼投手としてプレーも、高校では打撃に自信が無いことから投手に専念。高1時は右肘の内、外側に骨棘がある影響でパフォーマンスにムラがあり、17年6月の玉山盃の大会後に右肘の違和感を訴え、同年9月に右肘軟骨の摘出手術を受け、昨年1月に復帰。手術後のリハビリの過程で下半身強化に勤しんだことが功を奏し、10月に自己最速153キロをマーク。ただ、頻繁な登板機会ゆえか平均球速は上がらず最近はリリーフ時でも140~145kmの間を推移する。(平鎮のコーチは最速149km、平均球速145kmとコメント)縦に大きく落ちる120km前後のカーブと120km台後半のフォークを主な変化球とし、発達した下半身から投げ込まれるフォームは安定しており、制球も良好。高卒投手としては完成度は高いが、海外でのプレーを諦めた要因でもある特段大きくない体格がネックで、アップサイドは大きくないと見られる。タイプとしてはリリーフ向きだが、チェンジアップも覚え始めており、配球のバリエーションが広がれば先発として育成されるチャンスもあるだろう。

 

②李凱威(リ・カイウェイ) 中国文化大学 174cm 70kg 21歳 右左 2B/3B

〇アプローチ 攻守の安定感 △内野安打の少なさ

主要国際大会経歴(高校以降) 15年:U18ワールドカップ 18年:世界大学野球選手権、U23ワールドカップ

文化大学のリードオフマン。高校、大学時代は高打率と安定感ある守備で鳴らし、主に1番を務めた。小柄ながら締まった体つきをしており、スイングはシンプルでバットコントロールも良好。確実にボールをミートし大学生ではトップクラスの選球眼を備える。ヒットゾーンは広く、稀に逆方向に長打を放つ意外性も持ち合わせるが、ミートポイントを意識する余りフルスイングできないケースがあること、打球の方向を見てから一塁に走り出すクセは要改善。守備では運動能力、肩は平均レベルながらフライの判断やゴロのバウンドを計算する能力に長けており、安定感のある守備を見せる。プロでも即戦力の内野手として活躍できる実力は既に持ち合わせている。

 

②朱祥麟(ジュ・シャンリン) 開南大学 185cm 85kg 20歳 右右 2B/SS

〇長打力 △攻守の安定感

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:世界大学野球選手権、U23ワールドカップ

大柄ながら二遊間を器用にこなす選手。朱元勤(統一)はいとこにあたる。高校時代は打撃に突出したものはなかったが、大学進学後フルスイングするようになり才能が開花、中軸を打つまでになった。打撃は長打力を活かし各大会で数字は残しているが、スイングが遠回りしておりミートの確実性が不足している。守備は高校時代は1Bもスピードと身体能力を見込まれ大学入学後2B、2年からはSSも守るようになりOFもこなし、やや技術面で粗さを見せるも大柄ながら動きはスムーズで、スピードと肩を兼備している。長打力のあるユーティリティーが完成形となる。

 

③曾傳昇(ツェン・チュアンシェン) 高苑工商 176cm 65kg 18歳 右左 SS

〇守備 走力 △長打力不足

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U18アジア選手権

林子偉(レッドソックス)から「自分が高校生の時よりも守備が上手い」と言わしめた、守備が魅力のSS。彼の名を一躍有名にしたのは昨年の黑豹旗で魅せた好守。トップクラスのスピードと運動能力を持ち、キャッチングの感覚、打球へのアプローチも天性の物がある。守備範囲も広く、優秀なSSとしての資質を備えており、華麗なプレーで魅せるタイプのSS。欲を言うならば、プロ入り後は安定感も高めるよう心掛けたい。打撃はバットコントロールに優れてはいるがスイングの軌道が不安定でボール球を追いかけるシーンが多く、成績は目立っていない。自身も打力不足を認識しており、高3後半からは全力で振るシーンも増えているため、その成果を見守りたいところ。まずプロ入り後は同じ左打ちのSSである客員コーチの川崎宗則から多くを吸収したい。

 

③郭天信(グォ・ティエンシン) 中国文化大学 173cm 66kg 19歳 右左 SS/2B/3B/OF

〇俊足 守備範囲 ユーティリティー △小柄な体格 パワー不足

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U18アジア選手権

大学1年生でプロ入りを決意した内野手。高校時代は捕手以外の全ポジションを経験し、投手としても平均レベルの球速を計測。高3でキャプテンとなり、17年にはU18アジア選手権で3番SSとして打率.364をマーク。俊足を武器に高校卒業後海外でのプレーを嘱望された時期もあったが、卒業の1年前にMLBへ申請し契約資格を取得しなかったため、国内の中国文化大学に進学。大学では打撃と走塁速度の強化に努め、昨年代表入りしたU18アジア選手権では日本戦の4回裏二死1、3塁、吉田輝星(日本ハム)からセーフティースクイズを決めた。一塁到達タイム約4秒の走力とSS、CFのセンターラインを難なくこなせる広い守備範囲が武器で、(大学では2B/3Bも守った)打撃も空振りが少なく上位に置き投手をかき回すタイプ。ただ小柄な体格でアップサイドは小さく、俊足巧打タイプとなるとCPBLでは即戦力は難しく、一軍で活躍するには時間を必要とするだろう。課題は内野守備の正確性と変化球への対応。

 

④吳俊杰(ウー・ジュンジェ) 開南大学 187cm 76kg 22歳 右右 P

奪三振能力 リリーフ向き △投球術

主要国際大会経歴(高校以降) 17年:台北ユニバーシアード アジア選手権

一年で成長を見せた長身の本格派右腕。高校時代に国際大会の経験は無かったが大学で球速をアップさせ、17年には台北ユニバーシアードアジア選手権で代表入りを果たした。しかし昨年のドラフトでは中信兄弟からドラフト8位指名も指名順位が低かったことを理由に入団せず。その後は開南大学でプレーを続け、テークバックを小さくするフォーム改造に着手。他にもフォークの比率を増やしたり、制球とスタミナを改善させるなど一年を無駄にせず過ごした。先発時は140~145kmのストレートに落差の大きいカーブ、スライダー、フォークを持ち球とし高い奪三振能力を誇る。欠点は効率的な投球が出来ず、余計な変化球や高めへの吊り球で無駄な球数を重ねてしまうこと。これまでは先発メインでプレーしてきたが、短いイニングを全力で投げるリリーフ向きの投手であり、プロでもすぐに勝ちパターンには入れるだけの実力を持っている。

 

④郭郁政(グォ・ユージェン) 南華大学 188cm 80kg 21歳 右右 P

〇アップサイド 角度 △球威不足

主要国際大会経歴(高校以降) なし

先発としての将来性に期待したい右腕。普門高中-南華大学からのプロ入りは昨年のラミゴのドラフト1位翁瑋均以来2人目。高校時代から140kmをマークも、制球が不安定で出場機会は少なかった。大学では投球フォームが安定し、それに伴い制球も改善。今年はCPBLドラフトトライアウトの前に行われた、味全のトライアウトに参加。(CPBLドラフトトライアウトは不合格)そこで先発として2イニング無失点と好投したのも影響しての上位指名か。ストレートは最速145km(リリーフでは140~143km)で、スライダーを勝負球に使い、他にチェンジアップと空振りを奪えるフォークも投じる。南華大学の蔡仲南監督からはアップサイドの大きさ、身長を活かした投球の角度を評価されている。現時点ではプロですぐに使えるレベルではないが体格も立派であり、将来性に期待したい。

 

⑤林子昱(リン・ズーユ) 台南市 185cm 78kg 25歳 右右 P

〇球速 球種 △年齢

主要国際大会経歴(高校以降) なし

スピードが持ち味の細身右腕。2014年に成立したばかりの社会人チームである台南市からは初のプロ野球選手となった。17年から台南市でプレー以降、体格が立派になり球威も向上した。昨年のドラフトでは指名漏れも、今年のCPBLドラフトトライアウトは参加者最速の148kmをマーク。スムーズなデリバリーから沈む軌道を辿る、リリーフ時145~148kmのストレートにカーブ、シンカー、フォーク、チェンジアップと球種は豊富。以前はカーブとストレートを投げる時の腕の振りの速さの違いが目立つ時期もあったが、現在は改善されている。

 

⑥森榮鴻(セン・ロンホン) 崇越隼鷹 183cm 83kg 24歳 右右 P

〇ストレート △2度のトミージョン手術 制球

主要国際大会経歴(高校以降) 16年:U23ワールドカップ

故障からの再起を期す右腕。張志豪(中信兄弟)は母方のおじにあたる。2012年AAA世界選手権では曾仁和(カブス)とのダブルエースとして活躍、12年のWBC予選では代表入りするなど順調な成長ぶりを見せていたが、その後肘を傷め手術を行い復帰するも今度は登板中に肘の靱帯を損傷、トミージョン手術により大学在籍中は約3年半にわたるリハビリを余儀なくされた。16年のドラフトにラミゴが即戦力として4巡目で指名したが、指名順位が低かったこともあり契約せず。その後崇越隼鷹に入団するも、17年の春季リーグで右肘靭帯を損傷、同年10月に二度目のトミージョン手術。手術後はリハビリをしつつ、親戚の家具工場でも働いた。リハビリは幸い順調で今年の春季リーグで復帰。球速は150km近くまで戻っており、持ち球はスライダーとチェンジアップ、制球はやや不安定。

 

⑦張政禹(ジャン・ジェンユ) 南華大学 180cm 68kg 19歳 右左 SS

〇アップサイド △守備の安定感

主要国際大会経歴(高校以降) なし

細身の高卒内野手。美和高中を卒業した昨年にドラフト参加も指名漏れ。今年も「期待していなかった」と話すが、大学野球リーグでトップの打率.562をマーク、見事1年生での指名となった。高校時代は打撃は目立たなかったが、大学入学後スイングの安定感とパワーが向上。守備はキャッチング、柔軟性、打球反応共に良好で頭も使える選手。安定感が増せば、隠れた掘り出し物になれる可能性がある。

 

⑧蔡明憲(ツァイ・ミンシェン) 南華大学 184cm 75kg 20歳 右右 P

〇制球 アップサイド △投球の角度 球威

主要国際大会経歴(高校以降) なし

細身の先発候補右腕。味全のトライアウトでは先発し2.0IP/1R。制球力が高く、大学入学後球速もアップ。リリーフ時は140~143km前後をマーク、先発時は140km前後のストレートと125km前後のウイニングショットのスライダー、チェンジアップを投じる。課題は投球の角度と球威が不足しており、高めの失投を長打にされるケースが多いこと。

 

⑨呂偉晟(ル・ウェイチェン) 崇越隼鷹 188cm 75kg 20歳 右右 P

〇球速 体格 △制球 再現性

主要国際大会経歴(高校以降) なし

速球派右腕。高校時代から球速も速く、昨年のCPBLトライアウトでは145kmをマークするも、制球が不安定なこともあり不合格。今年は味全のトライアウトに参加しアピール、特に高校から修正してきたリリースポイント、サイド気味の腕の振りからオーバースローに近い腕の振りに変えたことで角度がつき球威をアップさせた。変化球は鋭いカーブがあるが、課題の制球は相変わらずで投球の再現性は低い。投球技術を全体的にこれから磨いていく必要がある。

 

⑩莊玉彬(ジュアン・ユビン) 美和高中 180cm 70kg 18歳 右右 P

〇ストレート ストライク率 アップサイド △メンタル 試合経験

主要国際大会経歴(高校以降) なし

高校で大きく成長した右腕。中学時代は試合経験が少なかったが、美和高中入学後、元兄弟監督の陳瑞振の熱心な指導もあり、大きく成長。高2で135kmにとどまっていた球速は高3で143kmにまでアップした。しなやかな腕の振りから繰り出す先発時135~140kmのストレートのクオリティは高く、空振りを多く奪える。制球は平均レベルながらストライク率が高いため少ない球数で長いイニングを投げられる。変化球は110km前後のカーブと120km前後のフォークがあるが、どちらもまだ未完成。現時点ではメンタルと試合経験が不足しているが、高校時代の成長スピードの速さを見ると、プロ入り後のアップサイドも大きいと見込まれる。目標とする選手は千賀滉大(ソフトバンク)。

 

⑪全浩瑋(チュエン・ハオウェイ) 美和高中 178cm 82kg 21歳 右右 C

〇肩 パワー △変化球への対応

主要国際大会経歴(高校以降) なし

強打と肩が魅力の捕手。高校時代から中軸を任され、大学でも強打の捕手としてレギュラーに。大学生捕手ではトップクラスの強肩を誇り、キャッチング、ブロッキングも平均以上で安定感のある守備を見せる。打撃はパワーがあり、長打も飛び出すことがあるが、スイングの軌道が長く変化球を見極める能力がまだ低い。今年の大学野球リーグでは全体ドラ1の江國豪からホームランを放った。

 

⑫洪瑋漢(ホン・ウェイハン) 国立台湾体育運動大学 170cm 70kg 23歳 左左 OF

〇走力 コンタクト 守備範囲 △パワー アプローチ

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:世界大学野球選手権、U23ワールドカップ

代表の「1番・CF」を任された核弾頭。15年の協會盃では打率.684、12打点をマークし大会史上初の野手からのMVP選出。その年のアジアウインターリーグでは中華培訓の一員として出場し12試合、打率.240。昨年は世界大学野球選手権、U-23代表に選出され、主に1番・CFを任された。打撃はバットコントロールに長け、空振りが少なく容易にアウトにならない。またトップクラスの走力でセーフティーバントや内野安打での出塁も多い。ただ体格は小さくパワー不足であり、ゾーン理解の不足ゆえ手を出すボールの範囲が広すぎることが欠点。また外角のボールはほとんど流し打ちでヒットにするスタイルもプロで通用するかは疑問符がつく。守備では高い運動能力を活かしたスピードと広い守備範囲でアマ最高のCFとの評価を受けるが、打球判断を稀に誤ることがあり、肩は平均レベル。ストライクゾーンをしっかり管理し自分のスイングが出来るようになれば4番手外野手としてチャンスは増えるであろう。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

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Twinkle一瞬之光

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2019CPBLドラフト指名選手リスト 統一+ラミゴ

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*1

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*2

 

統一(指名6名)

①林安可(リン・アンケ) 中国文化大学 184cm 90kg 22歳 左左 OF/P/1B

〇ストレート 二刀流の可能性 △制球 投球の幅

主要国際大会経歴(高校以降) 14年:U18アジア選手権 15年:U18ワールドカップ 16年:U23ワールドカップ 17年:アジア選手権台北ユニバーシアード 18年:世界大学野球選手権、U23ワールドカップ

CPBL初の二刀流の可能性を秘めた選手。アルゼンチン人の母を持つハーフで、高い運動能力を持つ。中2時に投球過多による左肩骨折で約1年を棒に振るも、強豪・南英商工に進学後、エース兼クリーンナップとして高2から頭角を現し、14年のU18アジア選手権、15年のU18ワールドカップ代表に選出。大学入学後は投手メインでのプレーとなり球速が147kmまでアップ。スムーズな投球フォームから質の良いストレートに、スライダーとチェンジアップ、カーブを組み合わせ三振を奪う。ただ制球が不安定な場面が少なからずあり、球数が増え気味な点は要改善。一方野手の練習は大学時代ほとんどしていないと本人は語るが、持ち前のセンスで好打を連発、OF守備もそつなくこなす。18年のU23ワールドカップでは投手としての登板はなく、OF/1Bとして打率.545(11-6)の好成績だった。ここ数年はアメリカ、日本でのプレーを目標にしていると口にし、昨年11月には東北楽天の入団テストに参加するも不合格。現状アマ時代の実績はあるものの、エースポテンシャルとまではいかない。あるスカウトによるとここ2年の登板数が多く、投手としての成長が思ったほど見られなかったことから、野手としての評価が上回っているとの声もある。統一はまずOFとして起用する予定。

 

②羅暐捷(ルォ・ウェイジェ) 高苑工商 175cm 70kg 18歳 右左 C

〇打てる左打の捕手 △守備

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U18アジア選手権

高校の2年先輩の廖健富(ラミゴ)のような、打力に長けた高卒捕手。中学時代から打撃が光っていた選手であり、捕手としての出場機会を増やしたのは高2の後半から。捕手の他にOF、1Bもこなし、昨年のU18アジア選手権ではOFとして代表入り。打撃はスイングスピードが速く、ライナー性の打球が多い。高校3年間で打球の飛距離も伸びるようになり、将来は捕手でありながら中距離、長距離砲になれるポテンシャルを持っている。ただしスイングが遠回りする癖があり、外角のボールに姿勢を崩されることが多く、変化球へのアプローチを向上させたい。走力は平均レベルで、守備は捕手としてはキャッチング、ブロッキングは平均レベル。また肩はあるものの送球が不安定で、ベース周りの処理も苦手としている。守備はまだプロレベルには達していないが、チーム唯一の左打ちの捕手として、打撃のポテンシャルでアピールしていくことになるだろう。

 

③吳承諭(ウー・チェンユ) 開南大学 181cm 85kg 22歳 右左 P

〇球威 リリーフとしての経験値 △制球 スタミナ

主要国際大会経歴(高校以降) 15年:U18ワールドカップ 17年:アジア選手権 18年:U23ワールドカップ

15年にABL・メルボルンでもプレーした右腕。鶯歌工商出身としてはラミゴ3巡目の林澤彬と共に初のプロ野球選手となった。高校は名門校ではなかったが、エースとして14年の黑豹旗8強入りに貢献。大学ではリリーフメインも、今年3月以降はプロを意識してか、先発でも投げる機会があった。体をトルネード気味に捻りながら投げるため球種が判別しにくく、腕の振りが速いため打者に威圧感を与える。ストレートの最速は149kmで、リリーフでは144~147kmのストレートを投じる。オーバースローから投げ下ろす120km前後のカーブは落差が大きく、高い制球力を誇りカウント球として機能している。勝負球は右打者の内角に沈むような軌道を辿る120km後半のフォーク。前述したように先発でも起用されたが長いイニングだと球威が持続しないことが多く、デリバリーがスムーズではないため制球の安定感が不足している。プロではやはり短いイニングで勝負するリリーフが適任か。昨年11月には東北楽天の入団テストに1巡目の林安可と共に参加するも不合格だった。父は電子、家具、飲食関係の事業を行うビジネスマンであり、06年に誠泰コブラズが売却の意向を示した時には買収に関心を示したこともあったという。

 

④柯育民(ケ・ユーミン 国立台湾体育運動大学 175cm 77kg 21歳 右右 C

〇守れるポジションの豊富さ △実績

主要国際大会経歴(高校以降) なし

意外な上位指名を受けた捕手。高校ではSSメイン、大学で捕手に転向、今年はOFも守った。17年には自行培訓(練習生)として統一の二軍でプレー、18試合 .258 HR 2打点 OPS.582。劉育辰監督代行からは運動能力を評価されており、捕手ではなくSSからプレーして欲しいとの考え。チームは20代の捕手が多いため、SSに転向した方が出場機会はありそうだ。

 

⑤邱智呈(チョウ・ジチェン) 穀保家商 168cm 80kg 18歳 左左 OF

〇長打力 選球眼 △小柄な体格 コーナーCF向き

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U18アジア選手権

長打と選球眼が武器の穀保の核弾頭。中学時代はエース兼3番打者も、小柄な体格が理由で高校では投手に専念。高1の後半からOFのレギュラーとなった。内外角の対応がしっかりでき、広角に深い場所まで長打を生み出すことが出来る。同時に我慢強いアプローチも兼備しており、スピードは平均レベルながらもチームの1番打者を任される要因となった。課題は低めのボール球に手を出しがちな点。守備は打球判断、範囲ともに平均レベル。プロでは長打力のあるコーナーOFとしてアピールすることになるだろう。

 

⑥黃紹熙(ホァン・シャオシ) 崇越隼鷹 178cm 80kg 25歳 右両 OF

〇スピード ユーティリティー性 △年齢 パワー不足

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U18アジア選手権

二度目のドラフトで夢叶えた元四国アイランドリーガー。父はCPBL通算1582安打をマークし守備でも魅せた名二塁手の黃忠義。高校から日本に野球留学し、岡山共生高と京都成美大学でプレー。その後一時的に台中威達でプレーした後に国立台湾体育運動大学に入学。17年には四国IL・愛媛で27試合 打率.219 1HR 7打点 OPS.606をマーク。その後は台中運動家でプレーも18年5月にチームが解散、CPBLドラフトに参加するも指名漏れ。それからは無所属の状態が続いていたが、今季は崇越隼鷹でプレーした。元々は左打ちだったが、16年前半頃からスイッチヒッターに転向。元々守っていた2B/SSに加えてここ数年はOFとしての出場機会が増え、内外野こなせるユーティリティー性は魅力も、パワー不足であり年齢も考慮するとバックアップとしての出場機会がメインとなるだろう。

 

ラミゴ(指名7名)

①蘇俊璋(ス・ジュンジャン) 中国文化大学 178cm 70kg 20歳 右右 P

〇連投 メンタル △投球のバリエーション

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:世界大学野球選手権、U23ワールドカップ

中国文化大学の守護神。中学時代はリリーフ投手兼捕手で、高校では先発メインも、大学で再度リリーフに転向。上背はないが、高いリリースポイントから、ボールの出所が分かりにくい腕の振りでリリースするため打者は対応しづらい。ストレートは最速147km、平均140~144kmほどで内外角に投げ分けられ、120kmほどのカーブと125kmほどの鋭いフォークを組み合わせ、高い奪三振能力を持つ。大学時代は抑えとして登板機会も多かったが、故障や疲労を訴えることも少なく、強心臓でもあり抑え向きの投手である。ただ球種が単調であり、プロ入り後はもう一つ変化球を覚えたいところ。

 

②李承禎(リ・チェンジェン) 平鎮高中 185cm 85kg 18歳 右右 P

〇球種の豊富さ 制球 △アーム式 ストレートの球威

主要国際大会経歴(高校以降) なし

平鎮のイニングイーター。中学ではエース兼クリーンアップとして活躍、平鎮入学後は出場機会に恵まれずも、高2からチャンスを掴むと各大会で活躍。リリースポイントは低く、高いストライク率でテンポ良くゾーンを攻める。140km前後のストレートはツーシーム系のクセのあるボールで、変化球はバルカンチェンジをメインとし、他にスライダー、カーブ、フォークと球種は豊富。制球力を高く評価されており、投球技術も成熟したものを見せ、効率良く長いイニングを投げる術に長けており完投も多い。課題としてはストレートの空振りが少ないため球速の向上と、より内角への投球比率を増やしたいところ。アーム型のフォームのため故障の心配はあるが、アップサイドは大きいため先発としてじっくり育成したい。

 

③林澤彬(リン・ゼビン) 国立台湾体育運動大学 175cm 68kg 20歳 右左 SS

〇攻守のバランス △目立った長所がない

主要国際大会経歴(高校以降) なし

統一のドラ3吳承諭と同じく、鶯歌工商から初のプロ野球選手。高校時代は2Bを主に守り、大学からSSメインになり、長打力が向上しボール球を容易に追いかけなくなった。守備はキャッチングにセンスを見せ、柔軟性もある。知名度が高くない中での3巡目指名は味全が内野手を上位で確保していく中でのやむを得ない指名だったのか、元々狙った上での指名だったのかは気になるところ。

 

④曾琦(ツェン・チー) 国立体育大学 188cm 78kg 22歳 右右 P

〇ストレート ゴロボーラー △トミージョン手術明け

主要国際大会経歴(高校以降) 15年:U18ワールドカップ 16年:U23ワールドカップ

トミージョン手術からの完全復活を目指す右腕。高校時代はMLB球団もマークするなど高い評価を受け、大学入学後も16年のU23ワールドカップで代表入りするなど順調だった。しかし17年の台北ユニバーシアードのトレーニングチームに入るも代表を逃すと、この頃から肘に違和感を感じ制球を乱すようになるも靭帯断裂には半年間気付かず、結局18年1月にトミージョン手術。リハビリ期間は同じくトミージョン手術を受けたダルビッシュ有カブス)の動画を見て大きく励まされたという。約1年にも及ぶリハビリを経て今年の春季リーグから復帰した。17年に152kmをマークしたストレートは現在では145kmまで出るようになった。変化球はスライダー、カットボール、チェンジアップ。三振は多くないが、打者にミートポイントを絞らせず少ない球数で打ち取っていくスタイルで、現在は先発よりもリリーフとしての登板機会が多いが、タイプとしては先発向きである。

 

⑤張喜凱(ジャン・シーカイ) 中国文化大学 180cm 70kg 20歳 右右 P

アンダースロー 内角攻め △投球のバリエーション 球威不足 制球

主要国際大会経歴(高校以降) 16年:U18アジア選手権

文化大学のサブマリン。大学を退学し今ドラフトに臨んだ。烏来出身のタイヤル族で、野球をするため新莊の小学校に転校。中学までは主に内野手としてプレーも、守備時にサイド、アンダースローで送球することが好きだったこともあり、高校2年生の後半に入りコーチが投手、しかもアンダースローの転向を薦めた。当初は不慣れだったものの牧田和久渡辺俊介の投球動画などを見て研究。16年の高校野球リーグでは桃園農工(現北科附工)を優勝に導く活躍を見せ、決勝では6.0IP/0R(6回コールド)。その活躍もあり玉山盃の桃園市、U18アジア選手権に代表入り。U18アジア選手権では決勝の日本戦に先発、5.1IP/1Rの好投で一躍名を挙げた。文化大学に進学後は先発、リリーフの両方を器用にこなした。大きく横に曲がる120km前後のスライダーと110km前後のカーブ、リリース時に浮き上がり、ベース附近で沈む130km前後のストレートでゴロアウトを生み出す。曲がりが大きい変化球を持ちながらも、内角を突ける厳しさも持ち合わせ、左打者も苦手としていないのも強み。ただアンダースロー故体への負担も大きく、制球を乱すシーンが見られる。また球威不足も気になる点であり、プロ入り後は制球力を改善するなどして対策したい。

 

⑥莊昕諺(ジュアン・シンイェン) 南英商工 183cm 86kg 18歳 右右 P

〇球威 奪三振能力 △球種不足 緩急不足

主要国際大会経歴(高校以降) なし

離島・澎湖出身、南英のエース。昨年ラミゴに5巡目で指名された陳克羿は高校の1つ先輩にあたる。中学までは目立った成績を残してこなかったが、野球を続けるため高校から台南へ。高2から登板機会を増やしていった。小さめのテークバックから最速146km(先発では140km前後)のホップ気味のストレートと125km前後のスライダー、120km前後のカーブで奪三振を多く奪う。コントロールも良好でストライク率も高く、長いイニングを投げることが出来る。タイプとしては先発向きだが、球種がまだ少なく、投球の緩急を身につけたい。

 

⑦楊瑞承(ヤン・ルイチェン) 臺中台壽保 180cm 90kg 25歳 右左 3B

〇パワー 作戦遂行能力 △年齢 実績

主要国際大会経歴(高校以降) なし

即戦力としてアピールしたい内野手。昨年「楊家祥」から改名。大学時代は目立った成績を残せず、17年にドラフトトライアウトを受験したが不合格も、今年再度ドラフトトライアウトを受験し4打数3安打とアピール、2年越しの夢を叶えた。長打力が武器だが、作戦遂行能力が高く小技も得意とする。ラミゴの近年の7巡目指名は藍寅倫、朱育賢、黃子鵬などチームに欠かせない主力として活躍している選手が多いが、これに続けるか。今年26歳とアピールに残された時間は少なく、三連覇を目指すチームゆえ内野の層も厚い。社会人チームで得た経験と安定感をもって、確実に与えられたチャンスをものにしたい。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

https://www.youtube.com/channel/UCJ8cnUlVCybEsYRoRNwXNbA

Twinkle一瞬之光

https://www.sportsv.net/authors/salada

2019CPBLドラフト指名選手リスト 中信兄弟+富邦

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*1

 

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*2

 

中信兄弟(指名8名)

①岳政華(ユエ・ジェンホァ) 穀保家商 176cm 85kg 18歳 左左 OF/P

〇制球 守備範囲 △投球フォーム 野手としての経験不足

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U18ワールドカップ

穀保が誇る二刀流。兄は17年中信兄弟ドラフト1位の岳東華。高2から先発として起用されるようになり最速145km、平均140kmを出せるまでに成長。制球力に長け、打者に手を出させるカーブ、チェンジアップが主な持ち球。速い腕の振りから放たれるストレートも質は高いが、腕の振りが長い故負担のかかるフォームなのがネック。高3に肘の故障から投球ができず、メインとなった野手としては走力は平凡ながら高い打球判断能力を持ち、広い守備範囲で外野3ポジションをそつなくこなす。打撃はフラットなスイングからライナー性の強い打球を放ち、スイングスピードも速いが、試合経験の少なさ故高校で大きく伸びることはなく、内角の速いストレートへの対応にやや弱さを見せる。野手としてはCF向きだが、プロでは投手か野手どちらかに絞るほうが将来の伸びしろは大きくなると見られる。スカウトの中では野手の評価の方が高い。GMは二刀流の可能性も残しているとコメントしているが、現時点では野手として起用される見通し。

 

②魏碩成(ウェイ・シュオチェン) 遠東科技大学 182cm 78kg 22歳 左左 P

〇チェンジアップ マウンド捌き △投球フォーム

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:世界大学野球選手権、U23ワールドカップ

「第二の呂彦青」候補の左腕。高校時代は最速130kmほどしか出ず、完成度の高い投手ではなかったが、大学は教育、設備、指導環境を考慮し、国立大学からの誘いを断り遠東科技大学に進学。入学後は先発としてプレーも目立った成績を残せていなかったが、18年7月の世界大学野球選手権で初めて台湾代表入り。選出当時は「奇兵」とも評されたが、予選のチェコ戦で7.0IP/10K/0Rと上々の投球を見せ予選突破に貢献すると、18年10月のU23ワールドカップでは日本戦に先発し7.0IP/3Rの好投。先発し3.0IP/4Rだった世界大学野球選手権決勝の日本戦の雪辱を果たし、試合には敗れたが一躍名を上げた。闘志溢れるマウンド捌きとチェンジアップが武器で、ストレートは平均138~140km、最速145km。左腕独特の角度で内角のストレートは打者が詰まらされやすい。他にカウント球として用いるカーブ、スライダー、フォークも投じる。腕が遠回りに出てくるフォーム故制球力と、上半身に頼り気味で下半身が使えていないフォームが気になるところ。昨年にもCPBL球団からドラフト参加を勧められたが、最終学年の今年に参加を決断した。チェンジアップとカーブを磨けば、イニングイーターとして活躍できるポテンシャルがある。

 

③曾頌恩(ツェン・ソンエン) 台東大学 178cm 92kg 19歳 右右 OF

〇パワー △完成度

主要国際大会経歴(高校以降) なし

意外な上位指名を勝ち取った外野手。中学は大理国中でプレー、高校は平鎮高中に進学するも木製、金属バット両方のチームで試合に出られるチャンスがなく、3年に父親の友人の紹介で玉里高中に転校。その後は中心打者として活躍した。パワーツールが長けており、走力も平均以上だが、打撃は欠点も多く守備は平均的で、コーナーOFに落ち着くと見られる。

 

④張聖豪(ジャン・シェンハオ) 東大体中 175cm 70kg 18歳 右左 C

〇強肩 守備力 アプローチ △打撃の再現性

主要国際大会経歴(高校以降) なし

今年の高卒捕手でナンバーワンの守備力を誇る選手。小学校から現在までポジションは捕手メイン。守備はブロッキング、ベース周りの打球処理が良好で、高いリーダーシップも備える。そして一番の売りは今年の高校生でナンバーワンとも言われる強肩で、ポップタイムはCPBLの捕手の平均を上回るほど。打撃はアプローチが傑出しておりボール球に簡単に手を出さず、スイングはスピードとパワーを兼備しライナー性の長打も飛び出す。速球にも力負けしないローボールヒッターだが、スイングが不安定でボールの上を叩いてのゴロアウトが多い。走力は平均以下。

 

⑤黃弘毅(ホァン・ホンイ) 東大体中 183cm 78kg 18歳 右右 P

〇ストレートの向上 △スタミナ 球種不足

主要国際大会経歴(高校以降) なし

細身の東部出身右腕。台東出身で、ここまでのキャリアを全て台東で過ごしてきた。国際大会代表には縁が無かったが、今年6月のU18ワールドカップ代表候補36人に選出された。痩せ型の体格から左足を高く上げるフォームが特徴で、デリバリーもスムーズ。球速は高3の夏休みまで最速138kmも、昨年12月に142km、今年の高校卒業前には146kmをマークするなど球速の向上が著しい。高いリリースポイントから平均138km前後も威力あるストレートに、120km前後の縦に大きく落ちるカーブを組み合わせる。制球はアバウトながらストライク率は高い。課題はスタミナで4、5回で球速が落ち始めること、カーブ以外に実戦で使える球種が無いこと。体格、投球の成熟度はまだまだだが、プロの環境で先発として育成されれば化けるポテンシャルは持っている。

 

⑥劉劭威(リォウ・シャオウェイ) 新北市 191cm 107kg 23歳 右右 P

〇球威 フォーク △制球

主要国際大会経歴(高校以降) なし

球威が自慢の大型リリーフ右腕。高校時代は投手としてプレーも怪我に苦しんだ。卒業後はMLB球団から10~12万ドルの契約金を提示されたという。しかし中国文化大学入学後は膝の故障により球速が落ち、大3で野手転向。卒業後新北市入りしてから高校時代のコーチのアドバイスを契機に投手に再転向した。直近のポップコーンリーグでは9.0IP/13K/0Rの好成績でリーグ最多の7セーブをマーク。大柄な体格から最速151km、安定して140km後半をマークするストレート+145km近く出るフォークが武器。チェンジアップも投じるが、制球はまだ荒削り。チームには新北市から同じくプロ入りした吳俊偉がいるが、ストレートで押すタイプとしては似ている。

 

⑦林瑞鈞(リン・ルイジュン) 西苑中学 173cm 65kg 18歳 右左 SS/2B/3B

〇三振の少なさ アップサイド △守備の安定感

主要国際大会経歴(高校以降) なし

攻守のバランスに長けた高卒内野手。小学校までは右打ちで、中学から左打ちに転向したが適応できず1、2年時はスランプに。高校では主にSSを任され、高2からはクリーンナップに入る機会が増えた。打撃は三振が少なく、ミート力に長けている。走力は平均以上で、SSとしても高い敏捷度と一歩目の速さがある。肩は平凡も平均以上の守備範囲を誇り、体勢が不安定な中でもすぐに一塁へ送球するなどセンスの高さを見せる。打撃ではスイングの不安定さ、守備では安定感の向上と平凡なミスを減らしたい。高3になってから打力は向上しており、アップサイドにも期待が持てる。ドラ1の岳政華とは同じ中学出身(三星国中)で、再びチームメートとなった。

 

⑧邱志恆(チョウ・ジヘン) 穀保家商 175cm 85kg 18歳 右右 OF

〇パワー △走力

主要国際大会経歴(高校以降) 17年:U18ワールドカップ

小さな未来の大砲候補。中学から長打力は知られるところであり、穀保に入学後は1年から4番を任され活躍。2年時にU18ワールドカップ代表入りするも、大会中に父親が亡くなる不運などもありスランプに。その後は出番が減少、昨年3月の高校野球リーグ決勝では勝負を決定づける代打HRを放つ活躍も、3年後半は代打としてベンチを温める機会が増えた。打撃は速いスイングスピードと爆発力が魅力で「振り切る」スイングは見ていて気持ちが良い。走力は平均以下、守備も傑出したものはなくコーナーCFに落ち着くと見られる。

 

 

富邦(指名10名)

①江國豪(ジャン・グォハオ) 国立台湾体育運動大学 180cm 80kg 21歳 右右 P

〇制球力 スタミナ △変化球の制球

主要国際大会経歴(高校以降) 17年:台北ユニバーシアード アジア選手権 18年:世界大学野球選手権、U23ワールドカップ

今ドラフトの投手でトップクラスの完成度を誇る即戦力右腕。麥寮高中からは初のプロ野球選手となった。中高時代は無名に近い存在だったが、実力は評価されていた。高1で125kmだった球速は高3に140km超え。大学では1年から主力投手として活躍、1~2年はリリーフメインで3年から先発メインに。スムーズなデリバリーから速い腕の振りで先発としては140km前半を安定してマークし、最速は147km。ツーシーム、130km前後の鋭いスライダー、130km前後のチェンジアップ、120km前後のカーブと球種は豊富。アマトップクラスの制球力でコーナーを突き、内角へのボールで打者を詰まらせるシーンも多い。先発でも十分なスタミナを誇るが、変化球の制球、特にチェンジアップに甘さがある点は改善したい。当初は海外でのプレーを希望していたが、今年は球団増もあってかCPBLでのプレーを決めた。三振を多く奪えるタイプではないので、制球力をどこまでプロで維持できるかが鍵となるだろう。

 

②朱益生(ジュ・イーシェン) 台北市立大学 183cm 83kg 19歳 左左 P

〇制球力 変化球 △球威

主要国際大会経歴(高校以降) 17年:U18ワールドカップ

細身の技巧派左腕。平鎮高中では左腕エースとして活躍、16年のMAZDA台日高中棒球菁英對抗賽の決勝では履正社高校が主体の大阪府選抜を相手に完封勝利。しかし高3で投球過多に伴う疲労から絶不調に陥り、卒業後はCPBLドラフトに参加せず、台北市立大学に進学。体格は痩せ型で力感のある投球フォームではないが、ベース附近で微妙に動くストレートの最速は144km。ただ先発としては平均135km程度、リリーフ時に140km前後と球速に頼ることなくコーナーに投げ分ける制球力で打者を料理する。変化球に関してはベストピッチであるチェンジアップと、スライダーとカーブは共に打者のミートポイントを外す効果がある。今の球威だとプロで即通用するかは難しいが、優秀なリリーバーになれる素質を持っている。

 

③林聖榮(リン・シェンロン) 台北市立大学 178cm 65kg 18歳 右右 P

〇ストレート 球種の豊富さ △投球過多 制球

主要国際大会経歴(高校以降) なし

大理高中の二刀流。吳蔚驊、蔡齊哲(共に中信兄弟)はいとこにあたり、富邦10巡目の李建勳と同じく大理高中からのプロ入りは今年打棒を爆発させている朱育賢(ラミゴ)以来。中学で142kmをマークし、高1からチームの主力投手に。2年までは球速が上がらなかったが、3年になり体格が立派になり、それに伴い球速が上昇し現在の最速は147km。ストレートは先発時は平均138km前後、リリーフでは145km前後までギアを上げる。また伸び上がる軌道で、ツーシーム系のボールになることもある。変化球は115km前後のカーブ、左打者に多く用いるチェンジアップ、空振り率が高いスライダー、フォークと豊富で三振を多く奪える。懸念点は高校三年間で投球過多が指摘され、また制球は平凡でカウントが深くなることが多く無駄な球数を費やすことが多い点。球種の豊富さから先発、高校時代はピンチでの登板もあり心理面も鍛えられたことからリリーフとプロ入り後は両方の可能性が考えられる。酷使は避け、まずは二軍でじっくり将来の方向性を見極めたいところ。

 

④姚冠瑋(ヤオ・グアンウェイ) 中国文化大学 170cm 78kg 23歳 右右 C

〇パワー △実戦不足 高めへの対応

主要国際大会経歴(高校以降) 13年:U18ワールドカップ 14年:U18アジア選手権 18年:世界大学野球選手権、U23ワールドカップ

昨年のU23ワールドカップでは4番も務めた強打の捕手。高校卒業後、社会人の新北市で1年間プレーした後に中国文化大学に入学。打撃はスイングがシンプルながらパワーがあり、高い選球眼も兼備している。低めのボールに容易に手を出さず、内外角のボールを広角にライナーで打ち返せる。一方でベルトより高めのボールによく手を出し、フルスイングをするため空振りが多いのは要改善。守備に関してはキャプテンシーがあり、送球は正確でポップタイムは平均レベル。良く言えば安定感があり、悪く言えば傑出したものがないとも言える。大学前半は張閔勛(ラミゴ)、吳明鴻(中信兄弟)が先輩にいたため出場機会が限られ、大3時には腕を手術したためほぼ一年試合に出場できず、大学での実戦経験を積めなかったのは懸念点。守備より打撃に強みを持つ捕手であり、チームには昨年全体ドラ1で戴培峰を獲得したもののまだ二軍で目立った活躍ができていないため、競争を煽る意味もありそうだ。

 

⑤林奕豪(リン・イーハオ) 穀保家商 180cm 68kg 18歳 右左 OF

〇パワー 肩 △コンタクト

主要国際大会経歴(高校以降) なし

憧れは王柏融(ラミゴ)、左のパワーヒッター。高校2年途中までは金属バットの部でプレー。朱育賢(ラミゴ)のような肩乗せ打法から繰り出すスイングには速さと爆発力があり、アッパースイングで豪快に引っ張り強い打球を生み出す。反面空振り率も高く、逆方向への打球のパワーとスピードは不足している。打球判断能力は平均レベルも走力があり、CFを中心に外野3ポジションを守れるが、プロではコーナーOFに回る可能性が高い。140kmほどを投手としては投げられる肩の強さもあるが、制球力がないことから投手の登板は少なかった。現時点では完成度は高くなく、経験も不足しているが、長打力は傑出しておりパワーヒッターとして花開く可能性を秘めている。

 

⑥戴云真(ダイ・ユンジェン) 中国文化大学 183cm 80kg 22歳 右右 OF

〇パワー 俊足 △変化球への対応 安定感

主要国際大会経歴(高校以降) 18年:U23ワールドカップ

長打と走力が魅力の大卒外野手。高校ではユーティリティーとして投手、Cとしてもプレー。大学ではOFに専念、昨年のU23ワールドカップで初の国際大会代表に選出された。スイングの軌道は不安定だが、スイングスピードは速く爆発力があり、ストレートに強い。一方で変化球に対しては脆さを見せるため成績には起伏がある。高い運動能力を持ち、強肩とトップクラスの俊足で大学後半はCFを守ることが多かった。惜しむらくは体の柔軟性とバランスに欠けるため怪我のリスクが高い点。大卒の選手としては身についていない技術も少なからずあるが、パワーとスピードという長所ははっきりしており、そこに魅力を見出せれば数年をかけて育てる価値はあるだろう。

 

⑦葉國情(イェ・グォチン) 花蓮体中 180cm 78kg 18歳 右右 P

〇アップサイド △球種不足

主要国際大会経歴(高校以降) なし

先発としてのアップサイドに期待したい高卒右腕。高校入学後はリリーフメインも、昨年劉義傳(元三商、兄弟)が監督就任後に先発に転向。制球が課題だったが、監督やコーチの指導により改善されフォームも安定した。ストレートの球速はリリーフで145kmをマークするなど高校でアップさせたが、ここ最近は制球重視になったため平均は140km前後に落ち着いている。変化球は120km前後のスライダーとカーブがあるが、先発としては球種不足で、カーブもフォームが違うため見破られやすい。アップサイドは大きいと見られ、高校の先輩である陳文杰、王奕凱(共に中信兄弟)のようにプロでどこまで伸びるか期待したい。

 

⑧楊程皓(ヤン・チェンハオ) 中国文化大学 186cm 93kg 22歳 右右 P

〇ストレート 体格  △制球

主要国際大会経歴(高校以降) なし

大学の先輩、黃子鵬(ラミゴ)に続きたいサイドスロー。ドラフトトライアウトから参加し、打者6人に対し4つの三振を奪いアピールした。高校時代に怪我がきっかけでサイドスローに転向。打者の目を惑わすため時折スリークウォーターでも投げる。肩関節が柔らかく、力み無く140km以上のストレート(最速148km)を投げられる。ストレートは沈む軌道のためゴロアウトを多く生み出す。変化球はカーブ、スライダー、バルカンチェンジ。リリースポイントが安定せず、制球は不安定。大学では登板機会が少なく酷使されておらず、体格にも恵まれストレートにも威力があるため、細かな技術を身に付ければリリーフとしてプロでも生き残れるであろう。

 

⑨辛元旭(シン・ユエンシュ) 台北市立大学 178cm 76kg 20歳 右右 3B/1B

〇スイングスピード △ポジション 長打力の向上

主要国際大会経歴(高校以降) なし

打力が魅力の3B。高校では1Bがメインで、強豪・平鎮高中では出番が限られたが、大学では3B/1Bを守るようになり、安定感ある打撃を見せる中軸打者(2年からは4番メイン)として活躍。スイングスピードが傑出しており、バットコントロールも良好。外角のボールを流し打つ技術に長けており、ライナー性の打球が多く二塁打が多い。ただし外角の誘い球にも手を出す癖があるのが欠点。大学進学後は打球の飛距離こそ伸びるも、本塁打を放つ能力に進歩が見られなかった。運動能力は平均以下で守備は3B/1Bに限られる。3B守備は安定しているため、打撃でアピールできれば一軍に生き残れるチャンスはある。

 

⑩李建勳(リ・ジェンシュン) 高苑科技大学 192cm 95kg 22歳 右右 P

〇スタミナ

主要国際大会経歴(高校以降) なし

今ドラフト参加者最長身。ドラフトトライアウトを通じての指名で、トライアウトでは145kmをマーク。映像は少ないが、2年前の大学野球リーグで先発時は130km前半がほとんどだったため、球速が向上した可能性がある。持ち球はフォークとカーブでスタミナが豊富との評価。

 

参考

Taiwan Baseball Notes

https://www.youtube.com/channel/UCJ8cnUlVCybEsYRoRNwXNbA

Twinkle一瞬之光

https://www.sportsv.net/authors/salada