台湾プロ野球データベース コラム集

ホームページ「台湾プロ野球データベース」(http://cpbldatabase.jimdo.com/)のコラムを掲載しています。

2018CPBLドラフト指名選手リスト 中信兄弟+ラミゴ

f:id:cpbldatabase:20180709130148j:plain

*1

f:id:cpbldatabase:20180709130840j:plain

*2

 

 

中信兄弟(指名8名)

①李振昌(リ・ジェンチャン) ドジャース3A 180cm 86kg 32歳 右右 投手

契約金なし 月給62万元(今季~21年末) 出来高100万元(毎年) 背番号34

今ドラフト一番の大物。離島澎湖の出身で正式に野球を始めたのは屏東に移ってきた高校生からと遅めのスタートも、その後頭角を現し06年ドーハアジア大会、08年北京五輪、09年WBC等で代表選出、08年にインディアンスと契約。長いマイナーでのプレーを経て13年にメジャー昇格、14年には37試合に登板し1勝1敗 28IP ERA4.50。しかし15年はメジャーで2試合のみの登板に終わり、16年に埼玉西武と契約。台湾人選手で初めてメジャーリーグNPBでプレーした選手となったが18試合 16.2IP ERA6.48と結果を残せず。昨年はロッキーズ3A、今年はドジャース3Aでプレーし22試合2勝2敗 25.1IP ERA3.91だった。投球は約7割を占める140km後半~150km前半のシュートに近いツーシームとスライダーのみでほぼ組み立て奪三振を多く奪うが、一方で球種の少なさ故かメジャーやNPBではカウントを整えるのに苦労し結果を残せなかった。中信兄弟では即戦力として抑えで起用される見込み。実はCPBLでの登板は既にあり、08年にレンタル選手として兄弟(現中信兄弟)に在籍、二軍戦で1試合に登板している。


②高宇杰(ガオ・ユージェ) 國立體大 184cm 92kg 21歳 右右 捕手

契約金380万元 月給8万元 出来高100万元 背番号65

即戦力の期待もかかる捕手。高校時代は4番でキャプテンの重責を担い、大学時代もキャプテンを務め、U-23ワールドカップ、ハーレムベースボールウィーク、アジア選手権など国際大会で代表常連に、今年の春季リーグでは打率.538と猛打を振るった。捕手として大柄な体格から放たれるパワーある打撃が持ち味でコンタクト能力と選球眼にも長け、長打はライナー性の打球が多い。守備も既にCPBLでもトップクラスの技術を持ち、ブロッキングを特に得意とする。肩は傑出して強くはないものの動作のシンプルさで高い盗塁阻止能力を誇り、ホーム周りの打球処理も素早い。課題はミートポイントを逃しての弱いフライが多いことと、健康面もプロでは気を付けたいポイント。昨年のアジア選手権では野手で唯一大学生から選出された。

 

江坤宇(ジャン・クンユ) 平鎮高中 178cm 76kg 18歳 右右 内野手

契約金340万元 月給8万元 出来高60万元 背番号90

安定感ある守備が持ち味の高卒SS。高2までは3B、高3からSSメインに守るようになり打順は1~3番の上位打線を任された。16年の黑豹旗では大会MVP、17年の黑豹旗ではSSとしてベストナインに選出。最大の武器は安定感のあるSS守備で、守備の動きのスムーズさと柔軟さ、キャッチングのセンスに優れ、足捌きとバランス感覚も申し分ない。肩も平均以上、送球も正確でありチームのキャプテンとして、また内野の守備の要としてその存在感は大きかった。走力は平均以上で打撃はボールを確実に捉えることを意識したライナー性の安打が多い。ただプロのボールにどこまで対応できるかは未知数で、そこさえクリアできればゴールデングラブ常連になり得る存在である。


④吳俊偉(ウ・ジュンウェイ) 新北市 175cm 70kg 20歳 右右 投手

契約金260万元 月給7万元 出来高50万元 背番号94

新北市の若き守護神。昨年までは「池俊偉」という名前で、屏東高中を卒業後家計の経済状況を考慮し大学進学はせず社会人の新北市でプレーし抑えを任された。今ドラフトのためのトライアウトで148kmをマークしスナイダー監督の目に留まり、トライアウト合格者では最上位の指名に。140km前半のストレートにカーブとスライダーを組み合わせ、昨年のポップコーンリーグでは高い奪三振能力を示した。若さゆえかピンチになると変化球が増えること、体格の華奢さは課題もスナイダー監督の期待度から推測するに今年の後期からリリーフとしてその姿を一軍のマウンドで見られるかもしれない。


⑤王奕凱(ワン・イーカイ) 花蓮體中 183cm 80kg 18歳 左左 投手

契約金200万元 月給5万元 背番号84

特異性が武器の大型高卒左腕。岡島秀樹に似た独特のフォームからストレートは最速143km、平均135~138kmと速くはないがノビがあり、右打者の内角高めのボールは誘い球として効果を発揮。これにスライダー、カーブを組み合わせ多くの空振りを生み出す。メカニクスとリリースポイントは安定しておらず制球が不安定、フォームの特異性ゆえ肩の故障も経験したが立派な体格故アップサイドは大きく、上手く育てば先発左腕としてプロでも活躍できるだろう。


⑥王政順(ワン・ジェンシュン) 國立體大 175cm 78kg 22歳 右左 内野手

契約金160万元 月給7万元 出来高70万元 背番号5

攻守に冴えたプレーを見せる内野手。高校時代から14年の18Uアジア選手権で最優秀内野手に選出、同年の黑豹旗では3Bのスタープレーヤー賞を受賞するなど活躍。打撃はバットコントロールに優れ、しっかりと振り切り重心を崩されても長打を生み出すことが出来る。走力は平均レベルだが積極性があり外野手の間に落ちた打球でも二塁、三塁を陥れ、今年の春季リーグでは三塁打5本。守備は主に3B/2Bで打球反応と動きが良く強烈なゴロもきちんと処理できる。中信兄弟は複数ポジションを守る内野手の競争が熾烈だが、追い込まれた際の打撃が受け身になりがちなこと、守備の集中力と安定感をより高めれば一軍の舞台により近づくだろう。ポジションも同じ李宗賢(富邦)は大学の先輩にあたる。


⑦林丞軒(リン・チェンシュエン) 台中運動家 183cm 82kg 25歳 右右 投手

契約金100万元 月給7万元 背番号54

2年目のドラフトで指名された右腕。高校は成功商水、大学は高苑科技大學を卒業後15~16年まで國訓、17年からは台中運動家(既に解散)でプレー。昨年も同じくドラフトのためのトライアウトに合格したが指名されず。トライアウトで145kmをマークしたように速球派右腕と見られ、制球に課題か。スナイダー監督はドラフトで制球力に課題があっても球速の出る右腕を指名する傾向にあるため、それが彼の指名にも繋がったと言えよう。


⑧吳俊杰(ウ・ジュンジェ) 開南大學 187cm 76kg 22歳 右右 投手

契約に至らず

長身の本格派右腕。高校時代に国際大会の経験は無かったが大学で球速をアップさせ成長、昨年は台北ユニバーシアードアジア選手権で代表入りを果たした。躍動感あるフォームから長身を活かした角度のあるボールを両サイドに投げ分けるため打者はミートしづらく、ストレートは最速148km、変化球はカーブ、スライダー、フォーク。課題は制球が安定せず、先発としては球数管理が今一つで5回で100球近く投げることも珍しくない。変化球のクオリティも考慮すればリリーフに適性があるように見受けられる。

 

ラミゴ(指名7名)

①翁瑋均(ウェン・ウェイジュン) 南華大學 187cm 84kg 20歳 右左 投手

契約金480万元 月給8万元(二軍6万元) 出来高150万元 背番号96

今ドラフトのダークホースとして名乗りを挙げた大学1年生。高校は13年に結成されたばかりの普門中學出身で16年の玉山盃では投手のベストナインを獲得、同年のU18アジア選手権では予選リーグの日本戦に先発した。大学進学後も今年の春季リーグでは25回無失点と活躍、大学野球リーグで今年度一部昇格を果たしたばかりのチームの将来を背負って立つ存在になるかと期待されていた中で、大物投手が少ないこと、大学での試合数の少なさを考慮してのドラフト参加となった。角度あるストレートは最速146kmで平均140km前後、球種はスライダー、カットボール、フォーク、シンカー、カーブ、チェンジアップなど多彩で、マウンドで闘志溢れる姿を見せるのも印象的。高校時代に肘の炎症や痛みに悩まされており健康面がネック。

 

②陳晨威(チェン・チェンウェイ) 新北市 180cm 72kg 21歳 右左 内野手

契約金350万元 月給不明 出来高50万元 背番号98

俊足+内外野守れるオールラウンダー。陳家駒(中信兄弟)のいとこにあたる。美和高中から大同技術學院に進学し昨年の梅花旗ではトップの打率.583をマーク、今年から社会人の新北市に入団しプロへの準備を進めてきた。突出したスピードと運動能力が持ち味で高校時代は主に2B兼OF、大学ではSSと複数ポジションを経験、広い守備範囲と優れた打球判断を誇る。打撃は空振りが少なく粘り強いアプローチを見せ球数を投げさせて出塁するケースが多く、走力を活かした内野安打も少なくない。ただ走力を活かし過ぎようとしすぎるあまり叩き付ける打球や走り打ちをしてしまう癖は改善したい。守備では送球とキャッチングの安定感を高める余地がある。ラミゴでは余德龍、林立に続く便利屋枠になれる存在だ。


③邱丹(チゥ・ダン) 普門高中 174cm 89kg 18歳 左左 外野手

契約金300万元 月給5万元 出来高80万元 背番号48

常に全力でグラウンドに立つ小柄な高卒OF。今年の高校野球リーグでは2位となる打率.400をマークしCFとしてベストナインに選出。玉山盃の直前に右足中足骨を故障し約2ヶ月をリハビリに費やしたが上位指名を勝ち取った。打撃は三振を恐れないフルスイングで逆方向への長打も多い。高卒OFナンバーワンとの呼び声高い守備は打球判断が最大の長所でスピードは平凡ながら広い守備範囲を誇り強肩。打撃は失投を逃すことがままあること、守備では送球が高めに浮くことがあり走者の進塁を許すケースがあるのが課題。また全力プレーが魅力ではあるが小柄な体格と故障歴、長いシーズンも考慮すれば力の抜きどころも覚えていきたいところ。タイプとしては本人が一番好きな選手である張志豪(中信兄弟)に近い。


④賴智垣(ライ・ジーユエン) 國立體大 178cm 86kg 21歳 右右 投手

契約金250万元 月給7.5万元 出来高20万元 背番号89

成熟した投球を見せる右腕。高校時代からU18ワールドカップ代表に選出され、140kmをマークする有望株も肩の故障で3年間は大きな成長が見られなかったが、大学進学後は高強度のトレーニングで球速を向上させ3年生から呂彥青(阪神)に替わって主力先発として起用され今年の春季リーグでは5試合 26.2IP 5勝 ERA0.68の好成績。最速148km、先発としては平均140km程度のストレート、シンカーは共に右打者の内角をえぐる軌道を辿り他にはスライダー、フォークを投じ空振りを多く奪う。プロでは制球力を向上させ効率よく打者を料理する術を覚え長いイニングを投げられるようにしたい。父は元俊國-興農-兄弟でプレーした賴有亮で、CPBL史上二人目の親子選手となった。


⑤陳克羿(チェン・ケーイ) 南英商工 185cm 74kg 19歳 右左 投手

契約金180万元 月給5万元 出来高20万元 背番号40

投げっぷりが良い細身の右腕。高1時は出場機会は少なかったが、高2から出番を増やし球速も大幅にアップ。投球はまだまだ未成熟ながら、速い腕の振りからストレートは最速144km、変化球は大きく落ちるカーブ、スライダー、フォークを投じ、角度があるため打者はタイミングを合わせにくい。細身過ぎる体型を鍛え、フォークを勝負球として使えるようになれば面白い存在。

 

⑥江國謙(ジャン・グォチエン) 平鎮高中 180cm 88kg 19歳 右右 投手

契約金155万元 月給5万元 出来高40万元 背番号18

平鎮の便利屋右腕。中学時代から140キロをマークし高校時代は先発、リリーフ共に起用されメンタルの強さを示し今年の高校野球リーグでは6試合3先発 3勝 26.2IP 19K ERA1.01。ストレートは最速145、制球力が安定しており内外角共にストライクを取ることが出来る。主な変化球はカーブとスライダーで、対左打者にはチェンジアップ、比率は少ないがフォークも投げるなど球種は豊富。体格はやや太めでありアップサイドは小さいと見られ、現状はリリーフ向きか。


⑦范柏絜(ファン・ボージェ) 高苑工商 183cm 73kg 18歳 右右 投手

契約金85万元 月給5万元 出来高40万元 背番号92

中学時代から期待されていた右腕。野球を始めたのは中学生からと遅く、中2でOFから投手に転向とキャリアは浅いが頭角を現しU15アジア選手権代表にも選出。スムーズな投球フォームからストレートは最速141kmで内角を積極的に突くことができ、テンポも良い。変化球は決め球のフォークとスライダー、チェンジアップを持ち合わせどれもレベルが高い。中学時代から将来を期待されていたがこのような下位指名となったのは中学から高校にかけての成長があまり見られなかったからと考えられる。またスタミナ不足で50球を超えたあたりから球威が落ち、制球にも影響するのが課題。

 

 

参考:

https://www.sportsv.net/articles/53268

https://www.sportsv.net/articles/53223